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LIVE REPORT

Japanese

POLYSICS

Skream! マガジン 2016年07月号掲載

2016.06.12 @品川ステラボール

Writer 吉羽 さおり

3月にリリースしたアルバム『What's This???』を携えたツアー"POLYSICS TOUR 2016 ツアーでルンルン!!!"のファイナル公演が、品川ステラボールで行われた。アルバムのオープニングを飾る「Introduction!」の怒涛のアンサンブルで幕を開けたライヴは、『What's This???』の曲を中心に据えつつ、今年結成19周年を迎えたPOLYSICSの歴史も振り返られるようなものだった(MCでは、ハヤシが"なんだろうね、この貫禄ない感じ。ヒゲでも生やそうかな"などと語っていたが)。これまでも2日で100曲や、1日100曲のステージなど無謀な挑戦を繰り広げている3人だが、今回も曲数こそ30曲前後とPOLYSICSとしてはノーマルなものだが、内容は濃厚。且つ、ファンとの信頼関係の深さや愛情を感じる一夜となった。

ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)によるお馴染みの"TOISU!"コールと、"いくぜ、品川!"の叫びから「Buggie Technica」でフロアを爆発させ、"ルンルンしようぜ"と「アルプスルンルン」、「シーラカンス イズ アンドロイド」、そしてフミ(Ba/Syn/Vo)のブリッブリに歪みが効いたへヴィなベースと、ヤノ(Dr/Vo)のアグレッシヴなドラミングによる「Be a Human」を連続で披露して、早くもオーディエンスを汗まみれにしていく。まだまだ序盤だが、ステージ上の3人もフロアも、出し惜しみなく全力でぶつかり合う勢いもエネルギーもアンサンブルもジャンプも、すべて過多な状態。ちなみに、ハヤシのMCも絶好調で止まらず、フミに"もういいから"とストップがかかるくらい前のめりだ。

中盤に向けてはさらに攻撃的になっていく。アルバム『What's This???』からは、「Funny Attitude」や「Dig Down!」といった、超高速のナンバーでフロアをかき回していく。「ウィーダー」では、ヤノとフミの爽快なヴォーカルを背に、ハヤシはギターそっちのけでステージを走り、会場の温度をさらに上げていく姿は、発電できそうなパワーですらある。そして、曲中でBPMが変化していくハードコア・チューン「Tempo Tempo Tempo」は、『What's This???』を聴いたときにどうライヴで表現するのだろうかと思ったが、目まぐるしいテンポ・チェンジを人力でビシッと決めた。ピタリと合ったソリッドなアンサンブルを聴かせるのは、キャリアの成せる業だろう。そしてここからは、3人が並んでシーケンスやシンセを操り、シュールなテクノ・ポップ風のステージでドープな世界へとオーディエンスを連れ立っていく。そのあとのMCで、実はこのときヤノはPCを操っていたわけではなく、Twitterで実況していたと明かされた。もともと機械いじりが苦手だったということで、つぶやきを打ち込むのも苦心していたようだが、このツアーですっかり上達したようで、最終日のこの日は動画やリプライもできるまでに。ついにはハヤシに"ミスター・テクノロジー"といういささかダサめな称号も頂戴し、渾身のプレイ(?)でドラムを叩くよりも息が上がっているヤノの姿に、会場は拍手喝采となった。

そして「Let's ダバダバ」からスタートした後半では、ハヤシが客席ダイヴ! シンガロングとハンドクラップが巻き起こっている中、背面のまま美しくフロア中央まで運ばれ、そして"戻りまーす"の合図でステージへと運ばれていく。ファンの一体感が素晴らしい。そのあとも「299」では会場一体でニクキュー・ダンスをし、「ドップラーごっこ」ではハヤシがフロアへと降りて、もみくちゃになりながらコール&レスポンスを繰り広げる。凄まじい熱気の中、さらにハヤシは"品川プリンスを壊しに来たぞ"と叫び、『HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~』から「怪獣殿下~古代怪獣ゴモラ登場~」で暴れ回る。ラストの「Goody-Goody」まで、ひたすら"こんなもんじゃないだろ!"とハヤシが再び客席へと飛び込んでいくなど、ツナギの色がすっかり濃い色に変わるまで全力で走り抜けていった。

大歓声の中のアンコールでは、10月13日"TOISU!の日"に新宿ReNYにて19周年の特別企画のライヴを行うことを発表し、またライヴでほとんど披露していないレア曲「Be Still。」がプレイされ、「ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ」、「SUN ELECTRIC」といったライヴ・キラー・チューンでも、再びフロアをもみくちゃにした。"ハチャメチャな感じがあってよかった"とハヤシはMCで語ったが、この荒唐無稽なパフォーマンスと曲とでオーディエンスを興奮させ、ねじ伏せていく感じはPOLYSICSならでは。ツアーのたびに、その全力ぶりに恐れ入る。

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