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LIVE REPORT

Japanese

POLYSICS

Skream! マガジン 2015年10月号掲載

2015.09.11 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 吉羽 さおり

3月にはミニ・アルバム『HEN 愛 LET'S GO!』を、7月にはその第2弾となる『HEN 愛 LET'S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~』と、その名の通りフロントマン、ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)の食べ物や怪獣への偏愛っぷりを、痛快且つ音楽的にも独自の偏愛に満ちた爆裂サウンドで調理したPOLYSICS。このスペシャル・アイテムを引っ提げてのツアーを5月に行ったが、今回は偏愛シリーズもひっくるめ、POLYSICSの歴史を、超高速で回る走馬灯のごとく表現するライヴだ。"ウルトラチャレンジ OR DIE!!! ~燃えろ!クアトロ地獄!2日で100曲カブリ無し!!!~"と、タイトルからエライ宣言をしてしまった、無謀なことこの上ないライヴである。ゼロか100かの振り切りぶりと、ある種のバカバカしさを120パーセントでやりきるのがPOLYSICSではあるものの、改めて言うが、無謀だ。
 
2デイズのうち2日目に足を運んだのだが、前日は全30曲を演奏したという。19時開演で、残り70曲。始まる前から、頭の中はワクワクと疑問符だらけだった。
「サニーマスター」で幕を開け、『HEN 愛 LET'S GO! 2』からの「怪獣チャンネル ~電波怪獣ビーコン登場~」で愛嬌たっぷりのノイズをフロアにぶちまけて、「ワチュワナドゥー」では、ハヤシがビールを2杯も飲み干す(2杯目はちょっと残っていたが)など、序盤から容赦なしのフルスロットルなプレイでオーディエンスを沸かせていったが、このペースでは100曲終わるころには日付を越えそうな状況だ。"夜中の2時にクアトロ放り出されても困るでしょ?"というハヤシの言葉に、客席から"終電で帰りたい(笑)!"なんて声もあがり、ここからはスペシャル・メドレーで一気にまくっていった。言うまでもないが、怒涛である。1999年の『1st P』収録の「PLUS CHICKER」でスタートし、24曲をメドレーにしてプレイ。メドレーの中でも、ヤノ(Dr/Vo)がトランペットを吹いたり(「Boy's Head」)、ヴォーカルをとったり(「サイボーグ彼女」)、あるいはフミ(Ba/Vo)がシンセを弾いたり歌ったり、魅せるボリューム感もたっぷりとあって、尺の長さを感じさせない。それでいて、息は切らしながらも、どこからそんなパワーが湧いてくるのかというくらい、3人は笑顔でアクロバティックなサウンドを生み出していく。"すごく時間をかけてシーケンスを組んでも、やってみたら8分とかで、燃費の悪いバンドだよね(笑)。それもアメ車みたいでかっこいいかな。POLYSICSっぽい"と笑うハヤシ。このメドレーを終えた時点でも、100曲までは残り40曲。考えると気が遠くなるような道のりだが、躍動感の百花繚乱が楽しめるメドレーで、聴き応え見応えがある。そして続けざまに、メドレー第2弾でさらに25曲をうま味たっぷりで繋いでいった。
 
"セットリスト組みながら、ここはこうきて、みんなこんなふうに盛り上がるかなとか考えてたんだけど......みんな、ずっと元気だよね"と、思わず苦笑いしていたハヤシだが、ステージ上の激しく、天井知らずのスペクタクル感を凌ぐように、声を上げ、腕を突き上げて、ノンストップでジャンプしていたのがフロアのオーディエンス。ステージとフロアとで、真正面からぶつかりあって凄まじい熱量を生み出すのがPOLYSICSのライヴだと、再確認した。そして、バラエティは広いが、どこからどう曲を切ってもウルトラキャッチーで、興奮のツボやスイッチを確実に押していくPOLYSICSサウンドの真骨頂も、メドレーとなって改めて実感。テクノ/ニュー・ウェイヴ・ファンのコアでマニアな心もくすぐり(あるいは、特撮、怪獣ファンのようなニッチでディープな愛情も刺激したり)、それでいて一聴で記憶に刷り込んでいくインパクトとフレンドリーさがあって、こだわりが強くありながらも他者を受け入れてくれるような包容力や自由さを持っている。"好き"を極める楽しさを、身をもって見せてくれる開放感のあるステージだ。
 
メドレーを終え、100曲まであと15曲。ここからはたっぷりと、奇天烈且つハイパワーなバンド・アンサンブルで、オーディエンスの汗をしぼりとっていった。アンコールとなった「Electric Surfin' Go Go」、「BUGGIE TECHNICA」で、今回のテーマである"2日で100曲カブリ無し"を達成したPOLYSICS。ステージもフロアもくたくたになりながら、会場一体となっての、"TOISU!!!"コールには、これまでにはないような達成感と、清々しさがあった。あっぱれ、というに相応しいライヴだった。

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