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INTERVIEW

Japanese

MAGIC OF LiFE

2015年04月号掲載

MAGIC OF LiFE

Member:高津戸 信幸 (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-すべての曲が、リアリティが地盤にある物語ということですね。

メンバー・チェンジがあった時期(2012年)からの2年が本当に目まぐるしくて。2014年の頭くらいからやっといろんなことを見つめられるようになったので、このアルバムの制作に入っていきました。それで10個の物語を書いて、最後のTrack.11「storyteller」が自分たち自身のストーリー。"語り部(storyteller)"が最後に自分自身の気持ちを歌う、という"Storyteller"というアルバムを作りたかったんですよね。......まさに僕の人生そのものだと思います。まだまだ全然終わらないですけどね(笑)。最後に「storyteller」という曲が入っているのが、このアルバムのすべてなんだと思います。この曲には自分の思いをそのまま出しているので。

-「storyteller」は"10曲で言っているのはこういうことなんだよ"と訴えているようでもありますね。今までもずっと高津戸さんは人生を込めて音楽を作っていたと思うのですが、こうして改めて"音楽人生"にフォーカスを当てて、コンセプトとして物語を綴れるのは、いろんなことが整って、バンドが11年を迎えた今だからなのでしょうね。

よく聞いてた"10年やんなきゃわかんねえぞ"という言葉に対して、"そんなのあるわけねえよ"と思ってたんですけど......ありましたね(笑)。言葉にはできないですけど、感覚的に。音楽が素晴らしいと思えるようになったのは、それかもしれないですね。

-ああ、そうだったんですか。

何度も自分から音楽を辞めようと思っていた人間だったから......馬力がなかったんですよね。20歳のときに出したアルバムが、ちょっと売れちゃったんです。東京でひとりやふたりしか(お客さんを)呼べなかった自分たちが、全然実力が伴ってないのにいきなりCLUB QUATTROでライヴをするようになって、たくさんの大人が関わってくるようになっちゃって。期待だけされて、ずっとQUATTRO止まりなわけですよね。でも期待だけはされていて......もちろん期待される、欲してもらえる、ファンの方々が楽しみにしてくれるのは涙が出るくらい嬉しかったんですけど、楽しむことができなくて。

-デビュー時から毎年リリースを精力的に行っていたのに、そういう心境だったなんて。よく耐えてらっしゃいましたね。

やばかったですよ、本当に。色々なことがたくさんありました。でも、まだまだ若輩者ですけど、10年目にしてやっと音楽を楽しめるようになってきて。そのモードでこのアルバムを作ることができたんです。続けられたのはやっぱり、自分には音楽しかなかったからだと思います。自分に求められるものは音楽だけだし、つらいと思っていても、やっぱり好きなことだし。

-だからかもしれないですが、『Storyteller』は史上最大にエネルギッシュなアルバムだと思います。すべての曲がしっかりと主張していて、音からも迷いなどが一切感じられなくて。

ああ、確かに、迷わなかったかもしれないです。音を作っていったのは去年の夏くらいから、半年くらいかけて。僕がデモで全部作るものもあるんですけど、やっぱり自分の頭の中だけで完結してしまう音楽はつまらないし、やっぱりバンドは化学反応だと思うので。でも僕は歌詞に対して特に強い想いがあるので、歌詞まで書いて構成を作って、弾き語りでメンバーに持っていくんです。違うところは違うとばっさり言うんですけど、僕はメンバーを才能がある人たちだと思っているし、尊敬しているので、楽曲制作はスムーズなんです。メンバーが持ってくるものは基本的にかっこいいので。

-ミディアム・テンポの曲もあるし、ハードな楽曲もあるし、そういう振れ幅の広さなど、今まで積み上げてきたものの強みを最大限に生かしたアルバムだと思います。"Storyteller"というものがコンセプトになっているからかもしれないですが、ファンタジックな部分とリアリティのある部分の融合が、とてもいい塩梅というか、ちゃんと混ざり合ってますし。

ああ、本当ですか。それは完全に、今やっとできるようになった歌詞だと思います。

-歌詞もサウンドもそうですね。Track.5「箒星の余韻」は歌詞の世界観をそのまま音にしていると思いますし、Track.1「First morning」のギターの音色も民俗楽器的な感触があって。

「First morning」は、そういう幻想的というか、記憶障害をモチーフにしているので、追憶というか、琴線に触れるような音を作りたかったんです。民謡の響きは懐かしいというか、"思い出す"という感覚が僕の中にあったので、そういう音を弾いてくれと頼んで、(山下)拓実(Gt)くんが作ってくれました。独特の感性を持っていて、センスがあるんです。

-山下さんはアイディアマンですよね。

"自分はギタリストじゃない、画家だ"と言ってますから(笑)。絵のプライドが高いんですよ。"それは画家として絶対に許せない"とか普通に言うんで、"お前いつから画家なの!?"と思ったりするんですけど(笑)。もともと彼はヴォーカリストで、曲も書ける人だから、プレイというよりはセンスに長けてると思います。ちょっとおこがましい言い方になるんですけど、メンバーも僕についてきてくれてるという感覚はあるので、言葉にしないけどプレッシャーはあって。どうしても日本だとヴォーカリストが中心になってしまうと思うので、その責任は常に感じてないとやってこれなかったと思います。