Japanese
Mrs. GREEN APPLE
Writer 石角 友香
2015年初夏、初めて彼らにインタビューした際の衝撃は未だに忘れがたい。特に(というかもちろん)、大森元貴(Vo/Gt)である。小学6年から承認欲求を満たしたくて曲を書き始めたと自覚している聡いところも、メジャー・デビュー・ミニ・アルバム『Variety』収録の「StaRt」について、届くまで時間を要する歌詞やメッセージだけに、アレンジや緩急は即効性のあるものを意図したという、楽曲のトータル・イメージや戦略に関する発言にも、度肝を抜かれた。当時、彼がまだ18歳だったという事実もさることながら、年齢関係なく、ここまで自分たちが作り出す音楽が今この時代においてなんなのかという冷静さと、きっと趣味でも曲を作り出すのだろうなという、アイディアの横溢は10年代のバンド・シーンの中でも異彩を放っていた。
同時に、音楽表現の軸に人間としての理想や摂理、時に絶望や諦観をこれほど歌うバンドをおそらく初めて知った気がする。そして結成7年、メジャー・デビューから5年を爆速で駆け抜けてきた今もその軸は変わらない。もちろん青春期から時間を経た必然的な成長は見て取れるが、軸は不変だ。そのことを、新曲3曲を含む初のベスト・アルバム『5』は端的に証明する。既存曲が16曲であることを考慮し、4枚のフル・アルバム、3枚のミニ・アルバムおよびシングルのカップリングを含めると、相当絞りに絞ったラインナップと言えるだろう。そう。これはまさに精神的、音楽的、そしてコア・ファンにも本作で出会う人にとっても芯を食ったフェーズ1を締めくくるベスト・アルバムなのだ。
それを象徴するかのように、1曲目はインディーズ時代の1stミニ・アルバム『Introduction』収録で、今回のためにリレコーディングされた「スターダム」。初期の四つ打ち~8ビートを行き交うリズムはそのままに、新曲「アボイドノート」にも通じるソリッドな生感が迫る。冒頭から過去と現在が接続する見事な配置だ。前半は情報量が多く、息つく暇もないぐらいのBPMと展開の多さ、それをバンドで乗りこなすスキルを実現した、「StaRt」や「Speaking」といった、Mrs. GREEN APPLEの存在を広くポップ・シーンに刻み込んだ楽曲が続く。ジェットコースター級の展開の中に、10年代後半のティーンエイジャーならではの不安定な繋がりを炙り出しつつ、このバンドは本気でリスナーの生きる力に懸けている――曲調こそ違うが、「パブリック」も大袈裟に言えば"生きるよすが"を描く、なるほど本質を突いた楽曲だ。
包容力を徐々に増したバンドの表現の発露は、時代を超えて通用する大きなメロディを獲得していく。「鯨の唄」でのストリングス・アレンジの自然さはその証左だ。また、グッとEDM以降のポップスの手法を取り入れた「WanteD! WanteD!」では、バンド形態にとらわれないというより、メンバー全員の解釈の深度を実感できる。エレクトロニックな楽曲をこの1曲に絞ったことも、7年の音楽的変遷を明快にしていると思う。そして、ジャンルのタガを外して、全方位に音楽を楽しみ尽くした3rdアルバム『ENSEMBLE』を象徴する、ストリングスとホーンをふんだんに取り入れ、ミュージカルライクな展開をも獲得した「Love me, Love you」。また、洋楽と和メロの双方を自然に融合する、大森のメロディメーカーとしての独自性を確認できる「僕のこと」。大袈裟じゃなく、生きている実感というか、細胞が叩き起こされるような歌唱である。終盤には新曲が並ぶが、いずれも異なる聴感を残す。こうして一望すると一定のジャンル感にとらわれないだけでなく、あらゆるジャンルにバンドとして果敢に挑んできたことがわかる。このベスト・アルバムをもって彼らは、"Mrs. GREEN APPLEフェーズ1完結"を表明。では、フェーズ2とは? ――何がどう更新されるのか、期待しかない。
▼リリース情報
Mrs. GREEN APPLE
ベスト・アルバム
『5』
2020.07.08 ON SALE
[EMI Records]
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【初回限定盤】(CD+DVD)
UPCH-29363/¥3,990(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
【通常盤】(CD)
UPCH-20549/¥3,000(税別)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
[CD] ※初回限定盤、通常盤共通
1. スターダム先行配信
2. 我逢人(がほうじん)
3. StaRt ※花王「メリットシャンプー」CMソング
4. Speaking ※テレビ東京系列アニメ『遊☆戯☆王ARC-V』エンディング曲
5. パブリック
6. サママ・フェスティバル! ※日本工学院2016CMソング
7. In the Morning ※関西テレビ/フジテレビ系 #naked Eveエンディング・テーマ
8. 鯨の唄
9. どこかで日は昇る ※劇場用映画『笑う招き猫』主題歌&MBS/TBSドラマ『笑う招き猫』EDテーマ
10. WanteD! WanteD! ※カンテレ/フジテレビ系 火9ドラマ『僕たちがやりました』オープニング曲
11. Love me, Love you ※AbemaTVドラマ『御曹司ボーイズ』主題歌
12. アウフヘーベン
13. 青と夏 ※映画『青夏 きみに恋した30日』主題歌
14. 僕のこと ※第97回全国高校サッカー選手権大会 応援歌
15. ロマンチシズム ※資生堂SEA BREEZE CMソング
16. インフェルノ ※MBS・TBS系全国28局ネット"スーパーアニメイズム"枠TVアニメ「炎炎ノ消防隊」オープニング主題歌 先行配信
17. アボイドノート 先行配信
18. PRESENT(Japanese ver.) 先行配信
19. Theater
[DVD]
Mrs. GREEN APPLE 2014~2019 LIVE & FES映像メンバー視聴座談会
・Mrs. GREEN APPLE 2014~2019 LIVE映像
1. 20140705 渋谷LUSH「ゼンジン未到とコンフリクト ~前奏編~」より「HeLLo」
2. 20141109 新宿MARZ「ゼンジン未到とパラダイムシフト ~音楽編~」より「藍(あお)」
3. 20150326 新代田FEVER「ゼンジン未到とプログレス ~実戦編~」より「我逢人(がほうじん)」
4. 20150708 日本工学院「Variety 再現スタジオライブ」より「StaRt」
5. 20150926 渋谷WWW「Mrs. ONEMAN LIVE ~武装と創と造~」より「ミスカサズ」
6. 20151224 恵比寿LIQUIDROOM「Mrs. ONEMAN TOUR ~東と名と阪~」より「うブ」
7. 20160410 赤坂BLITZ 「TWELVE TOUR ~春宵一刻とモノテトラ~」より「Speaking」
8. 20170519 東京国際フォーラム「MGA MEET YOU TOUR」より「JOURNEY」
9. 20170715 日比谷野外大音楽堂「ゼンジン未到とロワジール ~東京編~」より「庶幾の唄」
10. 20180909 幕張メッセ国際展示場「ENSEMBLE TOUR ~ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ~」より「They are」
11. 20180909 幕張メッセ国際展示場「ENSEMBLE TOUR ~ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ~」より「PARTY」
12. 20181117 札幌ペニーレーン24 「ゼンジン未到とプロテスト ~回帰編~」より「Simple」
13. 20190704 NHKホール「The ROOM TOUR」より「どこかで日は昇る」
14. 20190704 NHKホール「The ROOM TOUR」より「FACTORY」
15. 20191208 横浜アリーナ「Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR / エデンの園」より「インフェルノ」
・Mrs. GREEN APPLE 2015~2019 FES映像
1. 20150809 国営ひたち海浜公園 WING TENT「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」より「VIP」
2. 20190901 泉大津フェニックス 「RUSH BALL 2019」より「ロマンチシズム」
3. 20190811 国営ひたち海浜公園 GRASS STAGE「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」より「青と夏」
・Music Video
アボイドノート Music Video
PRESENT(Japanese ver.) Music Video
Theater Music Video
・Behind the Scenes of "5"
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