Japanese
Mrs. GREEN APPLE
Skream! マガジン 2018年10月号掲載
2018.09.08 @幕張メッセ国際展示場
Writer 石角 友香
アルバム『ENSEMBLE』のインタビュー(※2018年4月号掲載)で大森元貴(Vo/Gt)は、"人生のベスト盤ができちゃったから、またここから生きていかなきゃいけない"と話していた。5人のアンサンブルを軸に据えれば、もはやジャンルを飛び越えた新しいエンターテイメントとして、Mrs. GREEN APPLEというバンドはどこまでも飛距離を伸ばせる。だが、ある種の息苦しさや、若い世代ゆえの生きることの意味に関する自問が、このアルバムでも根底ではやはり渦巻いていた。
本作を携えたホール・ツアーを巡ってきた、最終地点としての幕張メッセ2デイズには2日間で約2万人のファンが結集。この日がミセス(Mrs. GREEN APPLE)の初ライヴという人も少なくなかった。ミュージカルの舞台のようなステージの設えは、このアルバムを象徴する先行シングル「Love me, Love you」のオープニングに想像以上にハマっていたし、実際、ダンサーを交えた演出も何曲かあり、視覚的にもエモーションの部分でもめくるめく展開が用意されていたのは確かだ。だが、それ以上に本編25曲約2時間半というボリュームの中に、ミセスはデビュー当時、いや、それ以前のインディーズ時代から現在まで、バンドがその都度投げ掛けてきた、ポップでキャッチーでありながら凄まじい深度を兼ね備えた楽曲を網羅していたこと。アンコールも含めるとこの日は28曲だったが、その各々が関係し合い、響き合い、届ける音楽の表現の幅を拡張してきたこと。その連なりに、ちょっと震撼した。
 オープナーとしての「Love me, Love you」はコンパクトにアレンジし、立て続けに彼らの名前を一気に知らしめた「StaRt」、「リスキーゲーム」、「道徳と皿」といった、メジャー・デビュー時のジェットコースター級のナンバーで固めたブロックは、一周回って鋭利さを増したニュアンスだった。序盤から何度も"まだまだいける?"とか、フロアのリアクションを感じ取るたびに"いいね!"と、言葉を挟む大森。煽るというより、このステージをどこまでも飛んでいく飛行機に見立てると、パイロットのように1万人の"乗客"を誰も取り残さないように、声を届けているようだった。前方の様子の詳細まではわからないものの、大森元貴(Vo/Gt)と藤澤涼架(Key)が花道まで進んでアクションすると、それはポップ・スターの華やかさだ。
オープナーとしての「Love me, Love you」はコンパクトにアレンジし、立て続けに彼らの名前を一気に知らしめた「StaRt」、「リスキーゲーム」、「道徳と皿」といった、メジャー・デビュー時のジェットコースター級のナンバーで固めたブロックは、一周回って鋭利さを増したニュアンスだった。序盤から何度も"まだまだいける?"とか、フロアのリアクションを感じ取るたびに"いいね!"と、言葉を挟む大森。煽るというより、このステージをどこまでも飛んでいく飛行機に見立てると、パイロットのように1万人の"乗客"を誰も取り残さないように、声を届けているようだった。前方の様子の詳細まではわからないものの、大森元貴(Vo/Gt)と藤澤涼架(Key)が花道まで進んでアクションすると、それはポップ・スターの華やかさだ。
そしてミセスのゼロ地点とも言うべき人の在りようを歌う「パブリック」と、対になる「アウフヘーベン」が続けて演奏されたことに、『ENSEMBLE』リリース後の今回のツアーで、大森が曲作りを始めたころから連綿と続く、人間を描く作家性が貫通した意義を強烈に感じた。全編、この5年を貫通するミセスの意志が感じられたが、冒頭の9曲は楽しさの中にも迫るものがあったのだ。
 中盤、紗幕が掛かったステージにはカフェの映像が映し出され、「Coffee」では髙野清宗(Ba)によるコントラバスの弓弾きも交えたミセス流のジャジーなプレイ、大きなグルーヴを完全にものにした「鯨の唄」では若井滉斗(Gt)の弾く堂々としたソロが、アウトロを壮大なものにしていた。
前半は1stフル・アルバム『TWELVE』の曲の強さを改めて実感する場面が多々あった。
中盤、紗幕が掛かったステージにはカフェの映像が映し出され、「Coffee」では髙野清宗(Ba)によるコントラバスの弓弾きも交えたミセス流のジャジーなプレイ、大きなグルーヴを完全にものにした「鯨の唄」では若井滉斗(Gt)の弾く堂々としたソロが、アウトロを壮大なものにしていた。
前半は1stフル・アルバム『TWELVE』の曲の強さを改めて実感する場面が多々あった。
藤澤のピアノ・ソロから、イントロで「WanteD! WanteD!」だと理解してリアクションするフロアの熱量。サビの大合唱から、生音のアンサンブルで作り上げるEDMナンバー「うブ」のエネルギッシュな迫力。山中綾華(Dr)のタフさにも驚く。そのままのノリで「WHOO WHOO WHOO」に繋ぎ、ファンのジャンプでフロアは正真正銘揺れている。EDM的なダンス・ナンバーの中にメンバーのソロ回しを入れるのも憎い。レーザーも大放出され、まさにダンス系フェスのメイン・アクトの如き演出も、チームとして出し惜しみなしといった感じだ。
打って変わって、ヴィジョンには歌詞が部分的に映し出され、激しく感情が揺さぶられる「L.P」。"何回だって"というフレーズを叫ぶように歌うファンもいた。さらにはスクラッチ音から始まった「REVERSE」では大森がダンサーと共に踊り、ラップする場面も。ヴォーカルもブレず、地声の高音もファルセットも細やかな表現ができるうえに、キレのあるダンスである。大森のエンターテイナーぶりが遺憾なく発揮されたセットリストだが、演者として"なんでもできる"ことを別に強調したいわけじゃないのだと思う。2時間半の本編の緩急をいかにつけて、1曲1曲の印象を強めるか。それを5人全員が楽しんでいる。彼らのエンターテイメント性は曲のために存在しているのだと感じた。
新曲「青と夏」で終わりゆく夏を惜しみ、夏といえばのナンバー「SPLASH!!!」にも繋いでいけるサマー・チューンの幅。そして最初のスマッシュ・ヒット「Speaking」では再び歌詞が画面に投影され、大森はファンに大半を歌わせる。Mrs. GREEN APPLEというバンドと出会い、誰にも言えない気持ちも何もかもを吐き出し全身で楽しんでいる、この曲の主人公たちがリアルにこの会場にいる。もう何度も聴いてきたし、ポップ・ソングとして昇華された曲だけれど、過去最大の想いの集積に図らずも心が揺さぶられた。
誰もが明け透けな気持ちになっただろう「Speaking」のあとに、大森は音楽を作ることの喜び、作家としての孤独を1stフル・アルバム『TWELVE』のときと同様に、今回の『ENSEMBLE』の曲作りの際に感じたと、長いMCの中で吐露していった。ライヴで実感できた心の共振は確かなものだけれど、ひとりで部屋にいるとまた頭をもたげる、ものづくりの飽くなき探求。その落差のなかでもがきながら生み出される曲。だからこそ、このツアーを回ってきて、この日1万人の顔を見て、『ENSEMBLE』を作ったことが報われたと話してくれた。
そこからはここで生きているみんなに向けての祝福のように、"悔いのない人生を!"と、「PARTY」、そして再び「Love me, Love you」をミュージック・ビデオにも登場したキャストを交えて、バンドで奏でる華やかなメロディとアレンジが、どこまでも大きなワンダーランドを幕張メッセに出現させてくれたのだった。
 アンコールを促す声とスマートフォンのライトが煌めくなかでの、まさにぴったりな「光のうた」、ツアー映像を背景にした「はじまり」は、本編のいい緊張感やスケール感と分けて披露してくれたのも納得できたし、正真正銘のラストにバンドの原点とも言える初期のナンバー「我逢人」をセットしたのも、またここから始まる5人のストーリーの確認だったように思う。
アンコールを促す声とスマートフォンのライトが煌めくなかでの、まさにぴったりな「光のうた」、ツアー映像を背景にした「はじまり」は、本編のいい緊張感やスケール感と分けて披露してくれたのも納得できたし、正真正銘のラストにバンドの原点とも言える初期のナンバー「我逢人」をセットしたのも、またここから始まる5人のストーリーの確認だったように思う。
早速、ライヴハウス・ツアーも発表されたが、欲を言えば、今回の情報量とスピード感を詰め込む彼らの若いエネルギーと演出を、1万人規模で、会場のどんな場所にいるファンも観られる会場で、いつかまた目撃してみたい。
[Setlist]
1. Love me, Love you
2. キコリ時計
3. ナニヲナニヲ
4. StaRt
5. リスキーゲーム
6. Oz
7. 道徳と皿
8. パブリック
9. アウフヘーベン
10. Coffee
11. 鯨の唄
12. FACTORY
13. ミスカサズ
14. WanteD! WanteD!
15. うブ
16. WHOO WHOO WHOO
17. L.P
18. REVERSE
19. 青と夏
20. 未発表曲
21. SPLASH!!!
22. Speaking
23. They are
24. PARTY
25. Love me, Love you
en1. 光のうた
en2. はじまり
en3. 我逢人
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