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DISC REVIEW

B

哀しみに唾を吐いて

batta

哀しみに唾を吐いて

曲名でもある"哀しみに唾を吐いて"という、強烈な言葉がリフレインする。それでいて、"ラララ"と一緒に歌えたり、身体を揺らせるビートがある。さらには、ホシノタツ(Vo/Gt)の感情直結型な歌声でメロディも耳に飛び込んでくる。様々な魅力がありながら、とっ散らかった印象を与えない、絶妙なバランスを誇る楽曲だと思う。他の収録曲も、パンキッシュに疾走しながらも歌詞は美しく整っている「SOS」、ポップな曲調でラヴリーな世界観を描いた「グッドモーニング」、メロディと歌詞をじっくり堪能できる「夜明けまで」......とバラエティに富んでいるが、どれも完成度は高い。枠にとらわれず、"自分たちの鳴らしたい音、歌いたい言葉"を発信していきたいという意思表明に見える1枚だ。(高橋 美穂)

chase

batta

chase

2009年の結成後インディーズで活動、2015年秋から所属事務所を離れ、再始動した4人組ロック・バンドのメジャー1stシングル。Track.1「chase」が大人気のTVアニメ"ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない"第2期オープニング・テーマとして起用。直球のガレージ・サウンドにより歌われる内容は、ジョジョのストーリーに通底する"生きていくための戦い"を想起させるとともに、新たな一歩を踏み出したバンドの姿勢も示唆しているようで興味深い。Track.2「chase -Acoustic Version.-」ではアコギの弾き語りの上をフワフワと行き交うメロトロンとチェロの音色が、同じ曲にもかかわらずまったく違う印象を与えている。"Animelo Summer Live 2016 刻 -TOKI-"への出演が決定しているのも注目だ。(岡本 貴之)

エターナル

batta

エターナル

前作『ゲームオーバー』から1年、battaの2ndアルバム『エターナル』がリリースされる。エターナル="永遠"という意味から『ゲームオーバー』と対照的な言葉に感じ少々違和感を覚えたが、いざ再生するとそれは解消された。それは"限りあるいま"を生き抜こうという、バンドが掲げる強固なメッセージを感じられたからだ。歓楽街を駆け抜けるような軽快なロック・チューン「トレジャーランド」から、平穏な日常と幸せを問うミドル・バラッド「人間らしい暮らし」、ギター伴奏のみの冒頭が胸を打つ「eternal」まで、どんな生き様も肯定するような包容力があるロック・サウンドが詰まっているのだ。彼らがネクスト・ステージへ確実に進んでいることを証明するアルバムである。(大島 あゆみ)

La Di Da Di

BATTLES

La Di Da Di

実験性の追求とハードコア・パンクの精神というバンドの核となる部分はそのままに、音楽性を深化させてきたBATTLES。彼らによる4年ぶり3作目となるアルバム『La Di Da Di』は前作『Gloss Drop』の延長線上にあることは間違いない。しかし完全なインスト作となり、過剰性から解放され精神的な軽やかさを手に入れたことから、より個々のビートやメロディは強固に。基本的な構造はテクノ的なミニマルな反復。そこに幾何学的なリフが折り重なり、屈強なビートが生むダイナミズムが作用しカタルシスを喚起する。また今作においては、覚醒を予感させるTrack.1から端を発する、地殻変動するようにうごめく巨大なエネルギーも作品を規定する大きな要素だ。Tyondai Braxton脱退以降、残されたメンバーのみで作られた初の作品が、ある種のシンプルさを志向していることも興味深い。(山元 翔一)

Gloss Drop

BATTLES

Gloss Drop

Tyondai脱退後、3人編成となった彼らの新作は、不穏に拡がるサウンドスケープが波のように押し寄せ、ボルテージがどんどん上がっていく「Africatsle」から始まり、シングルカットされた「Iscream」を始め、ヒップホップ/ファンク要素も散りばめられている。南国的なパーカッションや、土着的な民族音楽のエッセンスも取り入れられ、非常にバラエティに富んだ内容だ。自由な音階で3連符の嵐を刻む「White Electic」を聴けばわかる通り、メンバー個々の、プレイヤーとしてのセンスと技術の高さに、改めて感服してしまう。BATTLESの中核となるハードコアなアイデンティティはそのままに、心躍らずにはいられないアッパーでポップなサウンドを新機軸として提示し、更にパワーアップした姿を我々に示してくれた。(杉浦 薫)

Section #11

THE BAWDIES

Section #11

デビュー10周年、結成15周年というアニバーサリー・イヤーを締めくくるのは、新たな幕開けへの祝砲ともなるニュー・アルバム。全12曲、どの曲がシングルになってもいい、最高に踊れて笑顔になって、甘酸っぱくて、エキサイティングな、喜怒哀楽を総動員するロックンロールが次々と放たれる。彼らがルーツ・ミュージックから啓示のごとく受け取ったロックンロールの持つプリミティヴな力を継承する核は変わらず。その使命感をより強固に、ソウルフルで華のあるプレイで聴かせる。中でも、ポピュラー・ミュージックの歴史をモダンにマッシュアップしたような「THE BEAT」は面白く、またキャリアを積んだ今だからこそ歌えるバラード「STARS」も洗練された深みがある。この1枚でどんな旅もできそうなアルバムだ。(吉羽 さおり)

VXV

OKAMOTO'S

VXV

CDデビュー5周年を迎え、1月に5thアルバムをリリースしたばかりのOKAMOTO'Sによる"5.5th"アルバムは5組のアーティストとのコラボレーション作品。RIP SLYMEとはAEROSMITH & RUN-D.M.Cばりのオールド・スクールな王道ヒップホップとハード・ロック・サウンドの融合を聴かせ、スカパラとは大編成イケイケ音楽部隊と化し、Wilson PickettばりにシャウトするROYとはクロさ全開で渡り合う。タイトルと曲調から"民生愛"がビンビン感じられる「答えはMaybe」と、いずれもOKAMOTO'Sならではの、この企画を実現できる実力と各アーティストへの敬意を感じさせる内容。中でもラストの黒猫チェルシーとのデュエット「Family Song」が出色で、2組の友情を感じさせる感動的な楽曲となっている。(岡本 貴之)

LEMONADE

THE BAWDIES

LEMONADE

小さい頃から音楽が大好きで、英国や米国のリズム&ブルースやロックンロールを聴き続けてきたのだろう。彼らの楽曲を聴いたらそう思わない人はいないのではないか。それ程トラディショナルなロックンロールを追求し続け、今作もそこからは一瞬たりともぶれてはいない。シンプルでパワフルなサウンド、渋いヴォーカル、全部英語の歌詞。しかし、ただの模倣とは違うのである。古き良き音楽を昇華することにより純度を高め、現代に再構築したのが彼らだ。そして、ファンキー・ビートなTrack.2には驚かされる。ROYの歌声が日本人離れした稀有なものであることを改めて感じずにはいられない。また、Etta Jamesへの愛と尊敬の念に溢れた「TOUGH LOVER」は彼女を知らない人でも楽しめる1曲に仕上がっている。(石井 理紗子)

LOVE YOU NEED YOU feat. AI

THE BAWDIES

LOVE YOU NEED YOU feat. AI

異色コラボ? いやいや寧ろ合いすぎちゃってどうしましょう! THE BAWDIESのトレード・マークとも言えるスーツを脱いで臨んだ、ソウル・シンガーAIとのコラボ曲「LOVE YOU NEED YOU」はハンズ・クラップやメロディアスなギター・リフなどがモダンな空気を醸し出す伝統的なロックンロール。ROYとAIのパワフルなツイン・ヴォーカルは息ピッタリ。5人がのびのびと楽しんで音を出しているのが伝わってくるので、聴いてるこっちもウキウキでスキップでもしたくなってくる。Ray Charlesの名曲「HIT THE ROAD JACK」のカヴァーも秀逸。THE BAWDIESの持つエンタテインメント性、AIのシンガーとしての力量をこれでもかと見せ付ける、エネルギッシュなシングルだ。(沖 さやこ)

JUST BE COOL

THE BAWDIES

JUST BE COOL

THE BAWDIESの勢いは留まることを知らない。現在バンドは怒涛のツアー中、にもかかわらずまさかのニューシングルのリリース。さらにHOT、HOTと言って来たバンドがまさかの"JUST BE COOL"というタイトル。いったいどうなっているんだ!?と思いながら音源を聴いてみると、なるほど納得。ソウル・ミュージックのループ感をTHE BAWDIES流に解釈した素晴らしい楽曲に仕上がっていた。Track.2には7月5日下北沢SHELTERで行われた「THERE'S NO TURNING BACK」TOUR FINALのプレミア音源を収録。これがまたベスト盤か!?というようなTHE BAWDIESの代表曲が収録されている。どちらにせよ、内容、ヴォリュームともに申し分のない一枚。(西浦 雅人)

THERE'S NO TURNIN' BACK

THE BAWDIES

THERE'S NO TURNIN' BACK

前作『THIS IS MY STORY』でTHE BAWDIESがただのルーツ・バンドなどではないと提示した後で、彼らがどう進むのかと思っていたが、ここまで幅広い音楽性をパッケージしたアルバムになるとは思っていなかった。痛快なシングル「HOT DOG」のようなロックンロールから、「I WANT YOU TO THANK YOU」といった驚くほどのポップ・ソングまで、これまでのTHE BAWDIESとは違う振れ幅を披露している。しかし、インタビューでも語ってくれたように、そこには変な力みなどなく、あくまで自然体で楽しんだ結果生まれたフレッシュな感覚が詰まっている。ROY のシャウトも凄まじく、これまでのTHE BAWDIESのロックンロールというイメージをさらに強固に塗り替える一枚。(佐々木 健治)

IT'S TOO LATE

THE BAWDIES

IT'S TOO LATE

『THIS IS MY STORY』で、それまでのルーツ・ミュージックからさらに前進したTHE BAWDIES 独自のサウンドを鳴らした彼等が、メジャー・ファーストシングルとなる『IT'S TOO LATE』をリリースする。音の質感は『THIS IS MY STORY』と同じくモダンなもの。その音は、うねりをあげるギター・フレーズが印象的な痛快なロックンロール。まさに、インタビューでも語られる通り、ルーツ・ミュージックの枠組みでは説明することのできない、独自のスタイルを獲得したことをはっきりと示す楽曲だ。カップリングは、今年のツアー・ファイナルの模様を収録したライヴ・ヴァージョン。そのエネルギッシュなライヴを疑似体験できる内容となっている。(佐々木 健治)

This Is My Story

THE BAWDIES

This Is My Story

50~60'sのロックンロールへの憧れだけでは到底太刀打ちできない、「本物」のグルーヴに満ちたTHE BAWDIESの登場は、黒船来航さながらだった。当時のレコードから飛び出してきたかのような、ソウルフルなヴォーカルや跳ね回るリズムは、海外からスタイルだけを拝借するような日本のバンドが持つ、ある種のカッコ悪さを炙り出した。 真の意味での1stアルバムだ、とメンバーが口を揃えて語る本作は、ルーツ・ミュージックの飽くなき探求を進めてきたTHE BAWDIESが、いよいよ本格的にオリジナリティーを開拓した傑作である。モータウン的だったりモダンR&B的だったり、多様さを増した楽曲の中に見え隠れするのは、THE BAWDIESならではのポップ感覚。懐古主義なんて言葉から遠く離れた未来のポップ・シーンに、この音は鳴っている。(榎山 朝彦)

Family

BBHF

Family

エレクトロやR&B、ヒップホップの影響を感じさせる配信限定EP『Mirror Mirror』と対になる、バンドのフィジカル面を打ち出した作品とも言えるが、完全に対照的でもないところが面白い。9月に先行配信した「なにもしらない」で窺えた、震えるような表現する自由や音楽に懸けて生きるしぶといほどの痛快さが、BBHFならではのジャンルのハイブリッドを生んでいることに感動する。アフリカン・リズムに乗せ生楽器のフレージングを研ぎ澄ました「花のように」にしろ、静謐且つ力強いサウンドスケープを描くなかで"水面を叩け 骨が砕けるくらい"と歌う「水面を叩け」にしろ、生きている細胞が躍動する歓喜に満ちている。しかも彼ららしい透徹した音像は世界でも無二だ。(石角 友香)

Moon Boots

Bird Bear Hare and Fish

Moon Boots

Kanye Westらに関わるAndrew Dawsonと、PARAMOREらを手掛けるBrian Phillipsというふたりのエンジニアの起用が象徴しているように、プログラミングと生演奏が独自のバランスで融合し、幅広い曲調の12曲へと結実。特に印象的なのは前者がミックスを担当した楽曲で、リズムマシンやサンプラーを駆使し、現代的なヒップホップやエレクトロ・ポップとリンクしながらも、最終的には日本語の歌モノに落とし込むという、このバランス感はなかなかお目にかかれるものではない。ギターのサンプリングでウォール・オブ・サウンドを作り出した「ウクライナ」と、TR-808によるトラップ風のリズム・アプローチを取り入れた「Work」が1枚のアルバムに共存するという、このクロスオーバー感は、今を生きるバンドの証明だ。(金子 厚武)

ライカ

Bird Bear Hare and Fish

ライカ

尾崎雄貴(Vo/Gt)は「ライカ」について、"他とは違うギター・ロック"と語っていたが、"ギター・ロック"という言葉が、狭義のジャンルを指すことの多い現状において、僕はストレートに"ロック"と言い切りたい。アトモスフェリックな音像は現代的であり、ギターという楽器にまだまだ可能性があることを示しているものの、この躍動感はわざわざ"ギター"と冠するまでもなく、"ロック"そのものだ。一方、カップリングの「ロックフェス」にも要注目。フェスに留まらず、SNSやストリーミングなど、音楽との接し方が変化していくなかでの違和感をユーモアに包みながら表現したこの曲は、彼らがもはや閉じた世界の住人ではなく、現実と対峙する強さを身につけたことを示す意味で、重要な1曲と言える。(金子 厚武)

ページ/次の火

Bird Bear Hare and Fish

ページ/次の火

まずは元Galileo Galileiのメンバーがこうして新たな旅立ちの一歩を記したことを素直に祝福したい。尾崎雄貴(Vo/Gt)はwarbearとしてのインタビューで、以前のバンド時代について、"勝手に何かに縛られていると思い込んでいた"、"自分のキャパ以上のことをやろうとしちゃってた"と振り返っていたが、そういったプレッシャーから解放され、warbearとして自由な気持ちで音楽へと向かった結果、それと同じ気持ちで再びバンドに向かうことができるようになったのだろう。よって、この初のシングルからも気負いのようなものは一切感じられない。フレッシュなバンド・サウンドを部屋鳴りも含めたアンビエンスとともに閉じ込めた「ページ」、ゴスペルチックなコーラスがエモーションを喚起する「次の火」ともに秀逸で、早くも次のアクションが気になってしまう。(金子 厚武)

Hi Heel

THE BEACHES

Hi Heel

元JERRY LEE PHANTOMのメンバーで構成されているものの、改名すると共に、第三国に息付くビートを取り入れながらロックとクロスオーバーさせ、カラっと乾いた南国風サウンドで、いくつものフロア・アンセムを産み出してきたTHE BEACHES。「もっとミダラに。もっとフラチに。」というキャッチフレーズが付けられた『Hi Heel』は、それまでのTHE BEACHESサウンドから明らかな変化が起きている。初期の日本の歌謡曲を彷彿とさせる妖しいメロディと不穏な音階表現が目立ち、跳ねるリズムのアッパーな縦ビートから、腰に纏わりつくような横ビートへ。THE BEACHES は常に時代の先の先を見据えているバンドだが、またしても私達の想像を遙かに超えた素晴らしい作品を届けてくれたのだ。今、日本で一番愛してやまないバンド。(杉浦 薫)

Thank Your Lucky Stars

BEACH HOUSE

Thank Your Lucky Stars

前作『Depression Cherry』からたった2ヶ月で届けられたボルチモア出身のドリーム・ポップ・デュオによる6枚目。スパンの短さは決してサプライズ的ではなく、創作の泉が湧き続けたゆえで、いつだって彼らは自然体だ。この2枚で無理にアプローチを変えたり、対となる要素を持たせることもなく、まるで同じ方向を向いている。ただ新たな創作の刺激となったのはVictoria Legrandが数曲ベースやギターを弾いていることだろう。前々作『Bloom』までのシンメトリーで幾何学的な美しさを持つメロディと規則正しいサウンドが、彼女の絶妙な拙さによって歪み、グルーヴが引き出されることで新たな心地良さを生む。彼らの航路は少しずつだが着実に舵を切っている。(峯 大貴)

Bloom

BEACH HOUSE

Bloom

2010年の年間ベストの呼び声高い『Teen Dream』から約2年、またしてもVictoriaとAlexによるポップ・デュオBEACH HOUSEは傑作を創り上げた。儚いイマジネーションが開花した時に得られる一時の美しさを『Bloom』......花にモチーフを与え、制作された今作は、前作ほど"逃避"の様相は薄れ、だがしかし甘美で深遠ゆえの危うさの漂う、喪失感を伴った叙情性溢れる音楽。ギターのアルペジオとオルガン・ピアノが絡み合い飛翔していくかのような官能性と、Victoriaの中性的でイノセントなヴォーカルが手を組んで新たなユーフォリアを演出する。これは前作を聴いたときにも感じたことだが、黄昏時に聴くには、これ以上ないBGMなんじゃないかと思う。今作のテーマは"旅"なのだという。(中里 友)

Teen Dream

BEACH HOUSE

Teen Dream

あのFLEET FOXESやGRIZZLY BEARも絶賛するボルティモア出身のドリーム・ポップ・デュオBEACH HOUSEから3rdアルバムが届けられた。本人達も自分達のクラシックが作れたと語る本作は、深くそして穏やかで、まるで森の中の優しい雨のように心が洗われる作品だ。前作リリース以降、地元ボルティモアを離れNYの教会を改造したスタジオで作った今作は完成度が高く、1つの世界観で統一されている。スライド・ギターとオルガンとフランス映画音楽の巨匠Michel Legrandの姪であるVictoriaの存在感抜群のヴォーカル。彼らはこの組み合わせだけで幻想的な世界へ僕らをどこまでも連れて行ってくれる。しかしそれは自分の中に閉じこもる様な世界ではなく、とても開放的なものだ。(遠藤 孝行)

Be

BEADY EYE

Be

デビュー・アルバムとなった前作『Different Gear, Still Speeding』から約2年半、BEADY EYEから待望の2ndアルバムが届いた。TV ON THE RADIOのマルチ・プレイヤー、Dave Sitekをプロデューサーに招いた今作はどの曲も非常に音の抜けが良い。シングル曲の「Flick Of The Finger」も「Second Bite Of The Apple」も大々的にホーン・セクションが導入されているが、まったく違うキャラクターになっているところはさすがの手腕。どの曲も様々な表情でリスナーを歓迎してくれる。Noel Gallagherについて歌われている「Don't Brother Me」(訳:兄貴面するな)は愛とユーモアが込められた穏やかでキュートなナンバー。どうやらOASIS再結成を待っているのは、リスナーだけではないのかも。(沖 さやこ)

Different Gear Still Speeding

BEADY EYE

Different Gear Still Speeding

2009年のNoel GallagherのOASIS脱退劇そして活動休止発表から約一年半、早くもBEADY EYEのデビュー・アルバムが届いた。「もう世界一のバンドじゃないし」その言葉が象徴するかの様に世界のあらゆるOASISファンの期待をひらりとかわしながら、またその上を行く様なフレッシュで力強いアルバムだ。60年代のブリティッシュ・ビートを基本としながら生々しいサウンドが印象的。Liam Gallagher のヴォーカルも今まで以上に深みがあり暖かい。疾走感たっぷりの攻撃的なナンバー「Four Letter Word」からの冒頭3曲で、気が付けばBEADY EYEに夢中になっている。新たにお気に入りのバンドを見つけた時の爽快感、極上のロックンロール・アルバム!(遠藤 孝行)

Hello, It's You

BEARINGS

Hello, It's You

カナダ発のポップ・パンク・バンド、BEARINGSの2年ぶり2枚目となるアルバム。GOOD CHARLOTTEや5 SECONDS OF SUMMERなどを手掛けたCourtney Ballardをプロデューサーに迎えた今作は、前作で披露した切なさと耳馴染みの良さを併せ持つメロディを引き継ぎながら、グッとメジャー感の増したサウンドに。イントロからポジティヴなヴァイブスを漂わせるTrack.1に始まり、80s風なシンセで甘酸っぱいフレーズを奏でるTrack.3、トラップ・ビートにアコギを絡ませたTrack.8と、挑戦的なアレンジもハマっている。ストレートに感情を乗せたラスト2曲も素晴らしく、ポップ・パンク直撃世代からエモ/オルタナ系のリスナーまでおすすめしたい1枚だ。(菅谷 透)

Hot Sauce Committee Part 2

BEASTIE BOYS

Hot Sauce Committee Part 2

極上のラフ・ミックスみたいな仕上がり――。インタビューでメンバーが語った言葉は思いっきり頷ける。MCAの病気治療によるインターバルを経てついにリリースされる新作は、他の音源からのサンプリングで楽曲が構築されることも多いヒップホップというジャンルの中で、生音ならではのグルーヴ嗜好も色濃いビースティの真骨頂を感じる。全編で展開するサウンドの質感は、ある意味荒削り。しかし、だからこそ一聴からインパクトはもの凄い。そして、“これで踊らなかったら何で踊るの?”なんて言いたくなってしまう“どファンキー”なナンバーが並ぶ中で、「Lee Majors Come Again」はハードコア・パンク色が濃かった初期をちょっと思い出させたり……。ビースティはやっぱりビースティ、そのやんちゃ小僧っぷりは不変!(道明 利友)

The Palace Garden

BEAT CONNECTION

The Palace Garden

THE DRUMSやHOT CHIPを送り出したことでも知られるMoshi Moshiから放たれるシアトルの強力な新人。新人といっても昨年にはEPが輸入盤で話題になっていたので知っている方も多いかもしれない。(今回の日本盤はそのEPもボーナス・トラックとして収録)。VAMPIRE WEEKENDラインの最新型といってもいいだろう。トロピカルなサウンドと華やかなシンセ・フレーズとダンス・ビート。リード・トラックで疾走感溢れる「The Palace Garden, 4am」はこれからのアンセムのひとつと成り得るだろう。ひとつひとつ耳に残るフックが満載。元々魅力的なバンドではあったがEPから一気に化けた印象。ダンス・フィールドからロック・サイドへ様々なリスナーへ届くであろう名盤。今の季節にぴったりそのままで。(遠藤 孝行)

Colors

BECK

Colors

3年半ぶりの新作は、グラミー賞の3部門を受賞した『Morning Phase』から一転、売れっ子プロデューサー、Greg Kurstinとともに完成させた極上のポップ・アルバム。いわゆるブルー・アイド・ソウルを、80'sっぽいきらびやかなシンセで飾り、現代的なグルーヴでバウンシーに聴かせるサウンドは、まさにモダン・ポップ職人Kurstinと組んだ成果。Bruno Marsとはまた違った形で、最新のポップスの在り方を提示することに挑んだ1枚と言ってみたい。しかし、それだけで終わらないのがBECK。ガレージ・ロックっぽいギターが鳴る「I'm So Free」、ブギウギ・ピアノが跳ねるTHE BEATLES風ポップ・ナンバー「DearLife」、ヒップホップの「Wow」といった変化球を加え、BECK印をしっかり刻み込む。(山口 智男)

ON OFF

bed

ON OFF

“たいして意味無いこともあるだろう” ― そういってbedは物語を語り始めた。特徴的なツイン・ボーカルとツイン・ギターが鳴り響くサウンドの中、等身大の世界が次第にジワジワと広がりを見せる。LOATAGEやOGRE YOU ASSHOLE など、昨今非常に盛り上がりを見せている邦楽ロック・シーンにおいても、bedは特異なまでに愚直だ。情緒的に盛り上がりを見せる語り口調には、Vincent Galloに影響を受けたというのも頷ける。聴き込むほどに全身に馴染む楽曲は、大げさな装飾はなく、確実に一歩一歩踏みしめるように鳴らされている。そこには、ストイックなまでに徹底した“リアル”の追及があるのだ。様々な思いが入り乱れ、記憶が交錯する現実を堅実に語り紡ぐことで、彼らは自分と世界との繋がりを確固たらしめているのだ。(山田 美央)

Late Developers

BELLE AND SEBASTIAN

Late Developers

今作は、昨年リリースされた前作『A Bit Of Previous』制作時に同時にレコーディングされていたということで、2作品は対をなすような位置づけになっているとのこと。2枚組ではなく、あえて時間を空けてリリースしたのにはいろいろ事情があるのかもしれないが、ファンにとっては嬉しいサプライズ・プレゼントとなった。地元グラスゴーでのレコーディングということで、全体的にリラックスしたトーンで描かれ、バンドが本当にやりたい音楽を詰め込んだというようなワクワク感もある。多彩な楽器の音色とお洒落なレトロ感、国際的で雑多な不思議かわいい雑貨屋さんを覗いたようなハッピーな気持ち。人生の悲哀を歌いながらもそんな人生を否定しない、聴く者の心に寄り添う姿勢が独特のポップネスとなっている。(山本 真由)

Girls In Peacetime Want To Dance

BELLE AND SEBASTIAN

Girls In Peacetime Want To Dance

2月に行われるHostess Club Weekender出演が決定したグラスゴーの至宝BELLE AND SEBASTIANのニュー・アルバムが日本先行でリリース。オリジナルのアルバムとしては『Write About Love』以来の作品となる。うっとりと酔いしれ、また力強いアンセムとして心に深く刺さって、揺さぶっていくメロディ、歌、歌の物語を豊かに押し広げていくサウンドで、どっぷりとその世界に浸らせてくれる。そして、自分が見えているようで見てはいなかったものや、漠とした思いといったものにストーリーをもたらす。示唆に富んだその内容に、郷愁感や心強さと同じくらい感情的な痛みがぶり返すことも多いけれど、改めて青くも深みあるベルセバならではの上質なポップ・ミュージックが詰まっていて、時を忘れてしまう。(吉羽 さおり)

Mainly Mute

BELLMAN

Mainly Mute

ノルウェーのシンガー・ソングライターArne-Johan RauanのプロジェクトBELLMAN。中国や韓国のフェスティバルへの出演も決定しており、アジア圏全土で注目されている彼のデビュー・アルバムが、日本でもようやくリリースされる。北欧ならではの透明感溢れる空気が全編を通して漂っており、叙情的且つメランコリックなポップ・サウンドを主体に、時折クラシック・ロックの影響も感じさせる。すべての楽曲がどこまでも続く大自然を進んでいくようなスケール感を持っており、静かな前半から徐々に高まり後半にかけてどんどんドラマティックに展開していく様はエモーショナルで、美しい歌声も相まってとても幻想的。SIGUR ROSやMUM、KYTE等のファンは一聴の価値あり。 (石塚 麻美)

Hey U X

BENEE

Hey U X

ニュージーランド出身、Z世代の新星シンガー・ソングライター BENEEが初のアルバムをリリースした。TikTokでダンス・チャレンジ動画が投稿され世界的ブレイクのきっかけになったTrack.4は、華やかなディスコ・トラックに乗せて(失恋の)孤独を楽しく嘆く楽曲で、ロックダウン下の人々に刺さったのも納得のキラーチューン。かねてよりファンだったというGRIMESとコラボしたレイヴィなTrack.3、自粛期間中に観察していたカタツムリから着想を得たラップ・ナンバーのTrack.5、ダウナーなロック・サウンドにファルセットが心地よいTrack.8など、自由度の高い歌唱スタイルと楽曲でオルタナティヴなポップ・ワールドを展開。自身の恋愛経験に基づいた、赤裸々なリリックにも注目だ。(菅谷 透)

Aurora

Ben Frost

Aurora

ここまでミニマムでクールな音のレイヤーで生々しい緊迫感を表現するインストゥルメンタリストもそうそう存在しないのではないか。再評価著しいSWANSの前作「The Seer」への参加や、Brian Enoからの依頼で映画"惑星ソラリス"に触発されたエクスペリメンタル・ミュージックを制作、またBjorkの「Desire Constellation」のリミックスなどでも知られる彼。MVも好評な「Flex」は感覚としては映画"ゼロ・グラヴィディ"劇伴の静かに迫り来る危機感を音楽へ昇華した感覚に近いが、この人の場合、どこか精神性としてインダストリアルやシューゲイズといったロックを宿している気がしてならない。中盤の1分半の暴力的なまでの轟音トラック「Secant」以外などは特に。恐怖と快楽は紙一重的な体感。(石角 友香)

Former Lives

Benjamin Gibbard

Former Lives

言わずと知れたDEATH CAB FOR CUTIEのフロントマンでありソングライター、そしてPOSTALSERVICEとしても活躍するBen Gibbardの初のソロ・アルバム。今まで書き溜めていた曲を作品。前述の2つのプロジェクトとは一線を画した、牧歌的とも言えるほどに装飾を取り払ったアレンジにより“Ben”のソングライティングの能力の高さが非常に浮き彫りになっている。旧知の仲であるというEARLIMARTのAaronのスタジオで録音された本作は、全編非常にリラックスしたムードが音にもそこはかとなく漂い、聴く場所を選ばず常に寄り添える作品になっている。バンドとしての活動も楽しみだが、今後もソロとして音源の発表、そして来日を望みます!(伊藤 啓太)

American Heart

Benson Boone

American Heart

ヴァイラル・ヒットをきっかけに、2024年に一躍スターダムを駆け上がったBenson Boone。彼が前作から1年でリリースした最新作『American Heart』は、星条旗を背負うワイルドなアートワークに負けじとパワフルな音楽性だ。1980年代風且つ洗練されたブルーアイド・ソウル・スタイルのトラックを従え、響き渡るヴォーカルには、すでにFreddie Mercury(QUEEN)さながらのヒロイックな風格が感じられる。セクシーなダンス・ナンバー「Mystical Magical」や誠実なバラード「Momma Song」と聴きどころ十分な作品だが、中でも「Take Me Home」から「Young American Heart」で演じられる壮大でノスナルジックなフィナーレは、圧巻のポップ・スターぶり。(藤村 太智)

3650

Bentham

3650

バンド結成10周年を記念した、2年ぶりのアルバム『3650』。今作はオゼキタツヤ(Vo/Gt)書き下ろしの新曲6曲に加え、「TONIGHT」のアザー・アレンジ再録と、4月に行った配信ライヴの音源3曲を収めた全10曲入りとなっている。新曲はBenthamの10年の軌跡、感謝や愛、ここから続いていく未来への想いなど、様々な感情が溢れている気がする。一歩一歩を確かに踏みしめながら駆けていくサウンドにバンドの意志を感じる「マーガレット」、どこか懐かしく温かい、誠実なバラードであるリード曲「アルルの夜」、また他の収録曲とは毛色の異なる、ネオンの光を思わせる音色が都会的な「NUDE」。Benthamの10年=3650日を辿りつつ、現在のバンドの音楽に対する意欲も感じられる作品だ。(三木 あゆみ)

Re: Public <2014-2019>

Bentham

Re: Public <2014-2019>

CDデビュー5周年を記念したベスト・アルバム。インディーズからメジャー進出、そして現在に至るまで、たくさんのキッズを踊らせてきた楽曲の中からメンバー自身がセレクトした。曲順までこだわり抜いた全21曲(たっぷり!!)からは、歌声や演奏の変遷を味わうことができる。注目すべきはオープナーである「パブリック (2019 ver.)」。彼らのデビュー曲であり代表曲である「パブリック」を再録しており、その軌跡が凝縮されて聴こえてくる。ラストはユウ(チリヌルヲワカ/ex-GO!GO!7188)をゲスト・ヴォーカルに迎えた新曲「FUN」。軽やかなビートとコーラスに身を委ねていると、終盤にストーリーを広げるような素敵な歌声の交わりが待っている。(高橋 美穂)

MYNE

Bentham

MYNE

2010年結成ということで、フェス時代のもと育ってきたBentham。その自覚がいい意味の責任感となってアッパーな楽曲を生み続け、フェスを盛り上げ続けてきたと思うのだが、満を持してその先へと突き抜けたのが今作である。もともとダイナミックな歌唱力を持つ小関竜矢(Vo/Gt)を筆頭に、高い演奏テクニックを持つメンバーが集結していることに加えて、音楽的なバックグラウンドも幅広い彼ら。今作は、"MYNE"=鉱山というタイトルが物語るとおり、Benthamに秘められていた宝石のようなアイディアやスキルがきらめく1枚だ。J-POPへアプローチできるまっすぐさから、キッズを笑い踊らせるユーモア、音色まで突き詰めたこだわりまで、彼らの広さと深さが同時に証明されている。(高橋 美穂)

Bulbous Bow

Bentham

Bulbous Bow

インディーズ時代からメジャー1stフル・アルバムまで深く関わってきたFRONTIER BACKYARDのTGMXに代わり、野間康介をプロデューサーに迎えてのメジャー1st EP。その制作環境の変化は如実に表れており、フル・アルバムでのいい意味で隙間のあるサウンドとはまったく違い、音の壁を厚めに塗った印象だ。かといってヘヴィでラウドな音楽になっているかというとそうではなく、「Reset」、「FATEMOTION」など、軽やか且つスケール感を持ってポップに聴かせているのは、バンドと野間との相性の良さからくる結果なのかも。バンドマンとして生きていく覚悟を感じさせる「Bandwagon」の冒頭で歌われる"ポケットの中に 押し込んだモノ"をまだまだこれから見せてくれそうな、野心に満ちた挑戦的な1枚。 (岡本 貴之)

Re: Wonder

Bentham

Re: Wonder

今年4月にメジャーにフィールドを移し、2枚のシングルをリリースしたBenthamが完成させたキャリア初のフル・アルバム。彼らの持ち味でもあるメロディとギター・リフの圧倒的なキャッチーさはそのままに、四つ打ちだけでなく8ビートやサンバ、3拍子など、様々なリズム・セクションを用いたギター・ロック・サウンドが揃う。鮮やかな鍵盤の音色が印象的な楽曲やパンク・ナンバー、ロックンロール然としたギターが炸裂するもの、先人のロック・バンドたちのオマージュ的な音作りなど、これまでで最もメンバーの音楽志向が素直に反映されたものになったのでは。等身大の心情が綴られている歌詞との親和性も高い。1stフル・アルバムに対するメンバーの気合や抱いていたロマンが十二分に感じられる。(沖 さやこ)

激しい雨/ファンファーレ

Bentham

激しい雨/ファンファーレ

インディーズで4枚のEPをリリースした4人組が4曲入りの両A面シングルでメジャー・デビュー。明るくキャッチーなイメージが強い彼らだが、今回収録されている楽曲たちはどの曲も人懐っこさの中にどこかしら陰の要素がある。Track.1は随所に使われるマイナー・キーが歌詞にもある"涙"を際立たせ、Track.2は切なさがもたらす疾走感と柔らかいコーラスに、新しいスタートを切る春らしい軽やかさと焦燥性が通う。8分の6拍子のリズムを取り入れた繊細且つパワフルなTrack.3も新境地。特に大胆にピアノを取り入れたTrack.4はソングライター 小関竜矢(Vo/Gt)の内面性が最も強く出たものになったのでは。歌詞、サウンドともにアート性も強く、バンドに新しい可能性が生まれている。(沖 さやこ)

ExP

Bentham

ExP

前作『OMG』リリース以降、東名阪でのツーマン・ライヴや代官山UNITで初のワンマン・ライヴを行うなど全国各地で精力的な活動を続けているBenthamの4th EP。前作から取り入れられたメンバー全員作曲の方法を引き続き導入し、より効率のいい制作ができたようだ。バンドとしても"より多くの人に聴いてもらえるであろうタイミング"ということで、聴き手に対して伝わりやすい楽曲を心掛けたとのこと。とはいえバンドの勢いは損なわれていない。ライヴで培った筋力を存分に使い、メンバーのテクニックが味わえるTrack.2、エモーショナルに突っ走るTrack.3、ガレージ・パンク・テイストのTrack.4など、全曲にバンド・サウンドだからこそ出せる躍動感が溢れている。(沖 さやこ)

OMG

Bentham

OMG

1st EPを進化させた音像でがっちりと固めた2nd EPから約半年、4人は3rd EPにて過去2作で作り上げた基盤を使って攻めの姿勢を仕掛けてきた。過去作は聴き手に寄り添うアプローチも多かったが、今作は音楽的にも彼らのエゴが明確に出ており、これまでにない力強さが生まれているのが特徴的だ。自分たちの音にわくわくが止められないような、衝動的な純粋さも感じる。今作はEPと謳いながらも8曲というボリュームなので、楽曲もバラエティ豊か。勢いのある太いロック・ナンバーから、ハイになって踊れる曲、沁み入るミディアム・テンポや、心地よく軽やかな楽曲まで、これまでには見られない情景が多々詰め込まれている。リスナーに寄り添ってきたバンドが、リスナーを引っ張るバンドへと進化した。頼もしい。(沖 さやこ)

NEW LIFE

Bentham

NEW LIFE

2014年10月に『Public EP』で全国デビューを果たしたBenthamが7ヶ月振りに放つ新作。前作同様FRONTIER BACKYARDのTGMXがプロデュースを手掛けている。今作は『Public EP』で提示した5曲でのBenthamを、より凝縮させ、明確にした、より濃度の高いものになった。まず、小関竜矢(Vo/Gt)のハイトーン・ヴォイスが強度を増し、伸びも良い。ヴォーカルが音の上に乗るのではなく、音を引っ張るようだ。アンサンブルもよりグルーヴが生まれており、TGMXとの意思疎通を含め、前作で踏まえた経験を活かした作品になった。BenthamはこのEPでバンドの土台を固めた。だからこそ、だいぶ気が早いが、次回作はどんなアプローチを仕掛けてくるのかが気になる。(沖 さやこ)

Public EP

Bentham

Public EP

2010年結成、今年はKEYTALKのツアーのゲスト・アクト4公演に抜擢され若いリスナーを中心に注目を集める4ピースの初の全国流通盤。プロデューサーにFRONTIER BACKYARDのTGMXを迎えている。Track.1、2はブルージーなギター・リフに四つ打ちが絡み、一抹の切なさが漂うメロディとハイトーンでありつつも屈強なヴォーカルが冴え渡る、KEYTALK×a flood of circleな楽曲。そういう意味でも彼らは最近の四つ打ち系バンドの中でも、ベースやギターに太さを感じさせる。Track.3には変拍子を、Track.5ではボサノヴァ風のサウンドを盛り込むなど、短尺でありながらもカラフルなアプローチを投入。全曲に躍動感が漲り、前のめりな音像がこちらを突き動かす。(沖 さやこ)