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INTERVIEW

Japanese

トゲナシトゲアリ

2025年05月号掲載

トゲナシトゲアリ

Member:理名(井芹 仁菜/Vo) 夕莉(河原木 桃香/Gt) 朱李(ルパ/Ba)

Interviewer:宮﨑 大樹
©東映アニメーション

"ガールズバンドクライ"プロジェクトの2周年を迎えたトゲナシトゲアリ。昨今は、国内ロック・フェスへの出演や、海外ワンマン[Live in SHANGHAI "凛音の理"]の開催も果たし、テレビアニメの放送が終わった今もなお、彼女たちの勢いはとどまることを知らない。9月には、初の日本武道館公演[トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 "奏檄の叫"]も決定している彼女たちが、10thシングル『ダレモ』をリリースするということで、理名(井芹仁菜役)、夕莉(河原木桃香役)、朱李(ルパ役)の3名に話を訊いた。

"ガールズバンドクライ"のプロジェクトが2周年を迎えましたね。

理名:"もう2周年なんだ"って。プロジェクトが始まってから慣れないことだらけで、1年、2年と経っていくのが本当に早くて、私個人としてはすごくあっという間だったなと感じます。

夕莉:私は"まだ2周年か"という感覚です。オーディション期間が長かったこともありますし、テレビアニメが始まる前からたくさんライヴをさせていただいて、初めてのこと尽くしでひとつひとつの思い出が濃いので、"もう4年くらいやっているんじゃないか"と思うくらい(笑)。

朱李:2人の話を聞いていると、どちらにも思えますね。"あっという間だった"という気持ちもありますし、いろいろなライヴやイベントに出させていただいて、すごく濃い2年だったので、"まだ2年"という気持ちもあります。

前回のインタビュー(※2024年8月号掲載)が2ndアルバム『棘ナシ』のリリース時期(2024年8月)だったんですが、それ以降の活動で印象的だったことを伺えますか?

夕莉:ワンマン・ライヴも印象的なんですが、私的にはフェスに出演させていただいたことが強く印象に残っています。年末の"CDJ(COUNTDOWN JAPAN 24/25)"や、最近だと"MEGA VEGAS 2025"に出演させていただいたんですが、ワンマンとは違って私たちを知らない方もたくさん来ている中でのライヴなので、"自分たちの演奏をどれだけ多くの人に届けられるか"という挑戦の場でもありました。フェスならではの盛り上がりや雰囲気がとても楽しかったので、これからもたくさん出たいです。

-フェスでトゲトゲ(トゲナシトゲアリ)を初めて観た方のリアクションはいかがでしたか?

夕莉:ワンマンは、リアルなトゲトゲとアニメの世界観がリンクするような演出やセットリストで表現していくことが多いんですが、フェスだとシンプルに"曲で戦う"という感覚で。1曲目からボルテージをMAXに上げていく曲で始めて、トゲトゲを知らなかったお客さんも初めて観てくれたお客さんも、一緒に盛り上がってくれているのが感じられました。

-理名さんは何が印象的でしたか?

理名:私たちは音楽が活動の主体なので、夕莉ちゃんと同じようにフェスやワンマン・ライヴの思い出が強く残っています。その中でも初めて海外でライヴを行った韓国("WONDERLIVET 2024")と、中国で開催したワンマン・ライヴで、実際に海外のファンの方々の顔を見て声を聞ける機会をいただいたので、海外公演はとても印象深いです。海外のファンの方は一緒に歌って楽しんでくれる方も多くて、言語が違うのに日本語で歌ってくださって。そういった文化の違いも新鮮で楽しかったですし、"聴いてくれているんだな"って実感できて嬉しかったです。これからもっといろんなところに行けたらいいなと思います。

-朱李さんはいかがですか?

朱李:私はテレビアニメ放送終了後に出演したフェスと、ワンマン・ライヴが印象深いと思っていて。最終回が放送された翌日に"かわさき100フェス"に出演したんですが、アニメで興味を持って初めて観てくださる方や、ほかの出演者のファンの方々もたくさんいるなかで、"自分たちがどう観られるんだろう"というのは考えていました。ワンマンだと2ndワンマン([トゲナシトゲアリ 2nd ONE-MAN LIVE "凛音の理"])がテレビアニメ放送終了後の最初のワンマンだったんですが、1stワンマン([トゲナシトゲアリ 1st ONE-MAN LIVE "薄明の序奏"])のときとは違って、アニメで知ってくれた初見のお客さんがライヴを観てどう思うのか、すごく緊張しました。あの頃は"お客さんに飲まれないようにしなきゃ"とか、いろいろ考えていた時期だったなと思います。
あとは"BAYCAMP"。聖地みたいなもの(TVアニメ"ガールズバンドクライ"劇中で"BAYCAMP"に出演している)なので、私が演じるルパのサウンド・チェックのシーンを再現したんですが、"上手くできなかったらアニメのファンが減るかも"ってすごく緊張したのを、今でもよく覚えています(笑)。そこを乗り切ったおかげで、今はリラックスして演奏できています。

-ちなみに、これは恒例の質問にしたいと思うんですが、最近あった"小指を立てたい"エピソードはなんですか?

夕莉:これ! 難しい(笑)!

-普段あまり怒ることがないそうですが。

理名:そうですね。イライラはしないけど――

夕莉:でも自分に対してはイライラします。"上手く弾けない""今日は調子悪い"とか。自分に対してじゃないものでいうと、少し前に夢の国に行ったんです。そうしたら、着いたときには晴れていたんですけど、だんだん雨が降ってきて、すぐに晴れて、またちょっとしたら雨が降って、晴れて......って。で、帰りは大雨だったので天気に小指を立てたくなりました。トゲトゲって、メンバーかスタッフさんに雨女か雨男がいて、リハのときも結構な確率で大雨なんです。雨が嫌いなので小指を立てました――エピソード薄いな(笑)。

-前回は夏の取材だったこともあって、"暑さ"に小指を立てていましたね。

夕莉:毎回天気だ(笑)。

-理名さんは?

理名:最近、事件系のショート動画がSNSのタイムラインによく流れてくるんです。昨日の夜もそういう動画ばっかり流れてきて、気になるから最後まで観ちゃうんですけど、それが結構怖くて。"さぁ寝よう"と思って目を閉じたら、観たことのない謎のホラー映像が頭の中に出てきて眠れなくなったんです。だから、存在しないホラー映像に小指を立てたい。

-あれ系の動画って"続きは後編で"みたいなことを言うのに、続きの動画がないことありませんか?

夕莉:そうそう。あれは小指を立てたくなりますよね、あとは"コメント欄へ"とか。

朱李:で、コメント欄を探しても見つからないとかあるあるだよね。

-では朱李さんは?

朱李:中学のときの同級生が出演する演奏会で譜めくりをすることになったんです。でも、当日になっても曲のデータが送られてこなくて、楽譜すらも送られてこなくて、気付いたら本番になって、いきなりサントリーホールに立たされたんです。そんな感じだったから、どこで譜面をめくったらいいのか全く分からなくて、ずっと座って見つめているだけの人になっちゃったんです。あれは本当に怖かったし、"曲のデータ送れよ!"って小指を立てたくなりました(笑)。

夕莉:そんなことがあったんだね。初めて知った(笑)。

朱李:うん。すっごい病んだ。"私のいる意味って......"って(笑)。

-(笑)さて、そんなトゲトゲは10thシングルをリリースしますね。表題曲は「ダレモ」という楽曲です。

朱李:『棘アリ』(2024年4月リリースの1stアルバム)の楽曲がめちゃくちゃ難しくてそこでシバかれていたんですけど(笑)、そのおかげで2ndアルバムの『棘ナシ』では苦戦することが少なかったんです。でも「ダレモ」のデモをいただいたときに"あ、また『棘アリ』が戻ってきてしまった"と思いました(笑)。ヴォーカルも難しいですし、楽器も難しいことをやっているんです。"またシバかれる、頑張らなきゃ"と感じました。

夕莉:トゲトゲの曲って、私たちの名刺代わりになっている「雑踏、僕らの街」(2024年5月リリースの6thシングル表題曲)が変拍子だったり、初めて聴いたときにノるのが難しい曲が多いと思うんです。でも、この「ダレモ」はライヴで初めて聴いた人でもノりやすい印象があったのと、サビに入るときのヴォーカルの爆発力が聴いていて気持ちいいです。

理名:えっ!

-そんな爆発力のあるヴォーカルの理名さんは、「ダレモ」にどんな印象がありますか?

理名:デモをいただいたときは真っ先に歌のことを考えるので、印象というよりは"今回も難しい曲が来たな"という感じだったんですが、単純にカッコいいです。トゲトゲの楽曲は各々のパートが輝くというか、スポットライトが当たるような楽曲ばかりだなと思っていて。夕莉ちゃんが言っているようにライヴ映えする曲だと思います。歌うのは、キーが高くてつらかったです(笑)。トゲトゲの楽曲の世界観を表現できるように、力強く歌うのが難しかったです。

-各楽器の聴きどころはどこですか?

夕莉:ギターは、ハンマリングとか、左手と右手が合わないと上手く音が出ないところがあって難しいんですが、ギター・ソロが目立つ曲なのでそこに注目してほしいです。弾いていて気持ちいい曲なので、ギターをやっている人は弾いてみたら楽しいと思います。

朱李:ベースは、テンポが速いなかで8分を弾き続けるのが難しいです。あと、2Aでは静かななかでベースが動いているところがあるので、そこはミスできないし、リズムも狂えないところなので、今も苦戦しています。

-歌詞とミュージック・ビデオはどんな解釈をしていますか?

夕莉:歌詞に"あのとき 誰も味方じゃない場所で/唯一 手を伸ばしてくれた運命"という部分があるんですが、ここは仁菜にとっての桃香だし、桃香にとっての仁菜でもあるなと思いました。MVは"キャラが登場するけど別世界"みたいな、これまであまりなかった設定なんですが、そこでも桃香と仁菜が出会ってからどんどん仲間が集まっていくところが、アニメ作中で描かれた出会いを彷彿とさせるなと思いました。

理名:世界線が違っても仁菜と桃香は出会うべくして出会うというか、どこに行ってもきっと2人は出会っていたんだろうなと思いました。仁菜と桃香だけに限らず、すばる(安和すばる/Dr)、智(海老塚 智/Key)、ルパ――みんなとの出会いも後半の歌詞に表れていて。"ガルクラ(ガールズバンドクライ)"の世界の話じゃなくても当てはまる、共感できる部分があると思います。あと、単純にMVのストーリーというか、コンセプトがすごく好きです。ヒナ(ダイヤモンドダスト/Vo)が出てくるんですよね。お屋敷みたいなところに仁菜とヒナがいるんですけど、もっと深堀りしてほしいくらい気になる内容でした。