Japanese
BiSH
2018年07月号掲載
Member:アイナ・ジ・エンド モモコグミカンパニー
Interviewer:沖 さやこ
シングル『PAiNT it BLACK』から約3ヶ月。常に話題に事欠かないBiSHが、またもやゲリラ戦法を仕掛けてきた。リリースがまったく公表されていなかった2曲入りシングル『NON TiE-UP』は、タイアップ曲2曲を収録した両A面シングル『Life is beautiful / HiDE the BLUE』とは真逆とも言える内容。音楽的にもBiSHの新機軸であり、なかなか過激な歌詞が乗る。元来の魅力のひとつであった多面性を明確に打ち出したリリースとなった。アイナ・ジ・エンドとモモコグミカンパニーに、今回のシングルとBiSHの未来について訊く。
-横浜アリーナでのワンマン・ライヴ[BiSH "TO THE END"](2018年5月22日開催)はどんな1日になりましたか?
アイナ:横アリだからといって、いつもより気張ったステージ・パフォーマンスをしようとせず、"いつもどおりのBiSHでいればいい、ただ会場が大きくなっただけだ"と思っていたんですけど、いざ立ってみると"わっ、でっかー!"と圧倒されました(笑)。4曲目くらいまで照明の関係で一番後ろの奥の人の顔が見えなくて......暗闇の中で誰かわからない人と会話してるみたいな、変な感覚がしたんです。でもMCで客席にバンッと明かりがついたときに、客席が全部清掃員(※BiSHファン)で埋まっている景色と、奥にいる人の顔もしっかり見えて。"あ、いてくれてるんだ"と思ったら安心したのか、1対1で歌えている気がしてきて。そこからはいつもの感覚で歌えました。
モモコ:あっという間、一瞬で終わってしまったという印象があって。去年の幕張メッセ(2017年7月22日に開催した[BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL "REVOLUTiONS"])は緊張10割って感じだったけど、春のツアー(2018年1月から4月にかけて開催した"BiSH pUBLic imAGE LiMiTEd TOUR")で各地たくさんお客さんが来てくれて。新しいお客さんが初めてBiSHを観て好きになってくれている実感もあったので、横アリは緊張が6割くらいに抑えられて、楽しむ余裕もできました。とは言っても実際ステージに立つと人の数に圧倒されて。この熱気に負けないように強くなっていかなきゃなと思いました。
-前回の『PAiNT it BLACK』(2018年3月リリースのメジャー3rdシングル)時のインタビュー(※2018年4月発行の"BiSH/EMPiRE SPECIAL ISSUE"掲載)で、セントチヒロ・チッチさんが"BiSHはワンランク上がらないといけないタイミング。完璧以上のものを見せられないといけない"とおっしゃっていましたが、おふたりにそういう意識はありますか?
アイナ:さすがチッチ、めちゃくちゃ意識が高い(笑)!
モモコ:でも......完璧ってなんなんだろう? いいのか悪いのかわからないけれど、私はお客さんが"歌もダンスも上手い、いいものを観られたな"と思うライヴより、"今日のライヴで救われたな"とか"心に伝わってきたな"と思えるライヴが完璧と言われるものに近いと思うんです。この3年、歩いてきたどの時期もBiSHが完璧じゃなかったとは思わないし、下手なりに伝えられたことがあったと思う。技術が高いパフォーマンスが見せられた方がいいとは思いますけど、背伸びしすぎず、心を置き去りにしないように頑張っていきたいなって。
アイナ:最近、強くなることは弱くなることだなと思っていて......だからこそ私にとっての"完璧"は、脆さや弱さに向き合っていくことなんです。歌もダンスも上手にこなす最強集団になることを望んでいるわけではなくて、等身大でいたい。等身大のままでいたいから、自分の弱さとちゃんと向き合って、自分を表現していきたいと思っています。
モモコ:この前渡辺(淳之介/プロデューサー)さんが"BiSHは完璧になり切れてないところが味になっている"と言ってくださって。大事なMCで噛んじゃったり、緊張しちゃったりするのも真剣だからだと思うから......そういう姿勢は大事にしていきたいです。
-モモコさんは本("目を合わせるということ")を出して、アイナさんはBiSH以外のアーティスト活動もあり、それぞれの個性を生かした活動ができていると思います。
モモコ:私は、歌詞を書かせてもらっていなかったらBiSHをあっさりやめていたと思う(笑)。それくらい書くことにモチベーションがあって。本を出せたのもBiSHで3年やってこれたからこそ、できたことだと思います。
アイナ:ひとりでステージに立つのが怖い日もあったんですけど......やっぱり帰る場所があるというのはすごく大きくて、BiSHのメンバーのことを思うと強さが生まれるんです。あんな素人集団を横浜アリーナまで連れていってくれたチームも含めてBiSHが大好きだし、一緒にいるとすごく安心する。それはひとりで活動していたら出会えない感情だから、今の環境は幸せだなと思います。嬉しいです。
モモコ:アイナのソロ・ライヴを何回か観て、"アイナめっちゃかっこいいじゃん!"と思って。一緒にステージに立っているときはわからなかったアイナの良さが見えたし、貴重な存在だなと思った。アイナがBiSHにいてくれるのは本当にありがたい。それはアイナだけでなくメンバーみんなに対してそう思います。
-今回は、タイアップ曲2曲が収録された両A面シングル『Life is beautiful / HiDE the BLUE』と同じタイミングで、『NON TiE-UP』というシングルがゲリラ・リリースされるという。清純なシングルと、過激なシングルという両極端な内容も衝撃的です。
モモコ:『Life is beautiful / HiDE the BLUE』はどちらもタイアップ曲だから、本来のBiSHを全部出しているというよりは、タイアップ作品とBiSHのコラボだなと思っていて。『NON TiE-UP』は、裏のBiSHの顔――誰にもプレッシャーをかけられていないBiSHみたいな感じがして面白いなって。
アイナ:『NON TiE-UP』は本気の遊びだよね(笑)。それがかっこいい。歌詞もヤバい。渡辺さん疲れてるのかな~? って(笑)。
モモコ:渡辺さんは疲れるとすぐ下ネタ入れたがる(笑)。
-ははは(笑)。「Life is beautiful」と「HiDE the BLUE」で"BiSH変わっちゃったな"と思った人も『NON TiE-UP』で度肝を抜かれるでしょうね。
モモコ:「NON TiE-UP」の歌詞のとおり"ザマミロ"って感じですよね(笑)! でも聴いてくれる人には、どっちのBiSHが本当のBiSHだとは決めつけないでほしくて。どっちもできるのがBiSHだと思ってほしいな。
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