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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

 

そこに鳴る

Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo) 斎藤 翔斗(Dr/Vo)

Interviewer:山口 哲生

そこに鳴るが、2ndフル・アルバム『開眼証明』を完成させた。フル作としては約4年ぶりとなる本作を端的に表すと、異常なまでにキャッチーである。そう記すと"やわになった"というイメージを持ちがちだが、この3人にそれは一切当てはまらない。テクニカルでアクロバティックなプレイを炸裂させることで生まれる過剰さで、聴き手を引きずり込んでいくキャッチーさと、3声で紡ぎ出すメロディ・ラインやコーラス・ワーク、さらには耳に残るフックなど、すんなりと身体に入ってくるキャッチーさが、絶妙なバランスを取りながら、凄まじい勢いで激走していく快作だ。"1つの着地点になったような感覚はある"と語る一枚について、3人に訊く。

-2ndフル・アルバムを"開眼証明"というタイトルにされた理由というと?

鈴木:アルバムのタイトルは、毎回ある意味一緒というか。"もう一歩先に行きたい"という意図があって、それをその時々の語彙でいろいろな言い方をしているんですけど、"開眼証明"も、そのパターンのひとつですね。

藤原:前回の(フル・アルバムの)"超越"(2020年リリース)とかはわかりやすいと思うんですけど。

-そうですね。まさに。

鈴木:"もう一歩先に行きたい"と、"先に行ったったで?"のバランス感というか。そこがタイトルに出ている気がしますね。

-鈴木さんご自身やバンドとして、先に進めた、開眼したという感覚があると。

鈴木:そうですね。翔斗がメンバーになり、曲の作り方も変わって、3人で演奏して3人で歌うところにフォーカスしてきて、ほんまにジャンル不詳というか、よく分からない感じになっているんですけど、"僕の考える最強の音楽"みたいなものを作っていったらこうなったんです。結果、1つの着地点になったような感覚はあるので、そういう意味で開眼したのかな。

-特にご自身が開眼したなと思うところというと?

鈴木:前より進んだなと思うのは、和声感というか。僕は音感があるほうじゃないんですけど、ないなりにだいぶ身に付いてきて。前までは不協していても気付かないタイプだったんですけど、分かった上で音を詰められるようになってきたのと、前は力技みたいなところがあったんですが、そこをコントロールして、ちゃんと技として使えたかなっていう感じはありますね。

-昔はあまりコントロールできなかったんですか? とにかくやってやれ! みたいな。

鈴木:もっと感覚でやってましたね。わけが分かっていなかったというか。もちろん考えてはいたんですけど、考えている密度や深さみたいなものがだいぶ変わった気がします。

-藤原さんは、今鈴木さんがお話しされたことを、今作の作業をしていくなかで感じましたか?

藤原:コーラス・ワークがすごく面白いなと思いながら聴いてましたね。特に「罪の宴」は、声の感じがきれいだなと思って。前までは、声で持っていくことがそんなになかったというか。このバンドのイメージもありますけど、楽器の音でどう隙間を埋めるかみたいな感じだったんですが、隙間を抜きながら、声で雰囲気を作って持っていくのが新しくていいなと思いました。

-では、藤原さんご自身が思う、バンドやご自身が開眼したと思うところというと?

藤原:視野が広がりましたね。引き算ができるようになりました。今まではかっこいい音が、強く大きくいっぱい鳴っていればいいみたいな感じだったんですよ。でも、引き算をしたら、おいしい部分がより引き立つというのがちょっと分かってきたというか。今までだったら絶対にめっちゃ歪ませていたところも、あえて歪ませないという選択を冷静に取れるようになりました。例えば「re:re:realize」だったら、本来弾くところよりも1オクターブ上げたんです。低いほうと高いほうで2パターン録ったんですけど、低いと疾走感が出なかったんですよ。そこも、今までだったら"サビは絶対に4弦でしょ?"っていう頭になっていたんですけど、3弦を弾くことで軽快さが出て、声のレンジともより合っていいなと考えられるようになりましたね。

-「re:re:realize」は藤原さんがメインで歌っている曲でもありますね。

藤原:自分がメイン・ヴォーカルを1曲丸々とるというのが、『超越』に入っていた「white for」以来だったんですけど、前回から約4年経っているということが自分の中でハードルになって、結構難航しましたね。前回の自分をどう超えるかみたいな戦いをしてました。

-実際にそこを超えることができたと。

藤原:録り終わったときの安堵感は大きかったんですけど......みんなの反応を貰うまではまだ安心できないですね。

-斎藤さんはいかがでしょうか。正式メンバーになってからは初のアルバムになりますけども。

斎藤:今回の『開眼証明』で、自分が全曲ドラムを担当したっていう状況にようやくなったんです。だから、バンドとしてもそうだし、自分の中でも、斎藤翔斗と言えば『開眼証明』という看板を出せるようになったのが大きいところですね。

-実際に作業してみていかがでした?

斎藤:当たり前の話ではあるんですけど、何か楽器をやりながら歌うことってすごく難しくて。そういう挑戦を続けていたんですけど、今の自分の中から出せるものは出せたかなと思いますね。歌もドラムも、もっと高い音が楽に出たらなとか、ここをもうちょっとこんなふうに歌えたらなとかはもちろんあるんですけど、自信を持ってやりきれたかなと思っております。

-ドラムに関して、ご自身をしっかり出せたなと思うのはどの曲ですか?

斎藤:「相聞詩」ですかね。アニメのタイアップ(アニメ"魔女と野獣"オープニング・テーマ)でもあったので、ワクワクと失敗できひんなという気持ちもありつつ、自分の強みとして、細かいことも鮮明にできるところがあると思っていて。例えばハイハットの使い方も、細かいことをやっているけどよく分かる、みたいな。そういうところが「相聞詩」には出てるかなと思います。そういう曲が増えてきたのもあるんですけど、より自分を出せて、いい感じになってるかなと感じますね。

-歌に関してはいかがです? この曲は気持ち良く歌えたなと思う曲とか。

斎藤:それで言うと、「相聞詩」はライヴで結構やってるんですけど、まだ全然納得はできてなくて。もっとできるやろって思ってるんですけど、録っていて結構気持ち良かったのは、「Inferno Inception」かもしれないです。レンジがちょうどいいというか。サビもわりと出しやすい帯域やったので、録っているときも一番"おっ!"みたいな感覚があったかもしれないです。

-先ほど藤原さんが"引き算"のお話をされていましたけど、鈴木さんが持ってくる曲に関して、そういった部分を感じることも多かったですか?

斎藤:ドラムは......そんなに手数変わってないかもしれないです。

鈴木:そう? 結構減らしたけど。

斎藤:デモの段階からわりと細かいことをやっていたし、たぶんドラムはあんまり変わってないかな。ギターは音数減ったかなって感じるときはありますけど。

鈴木:そうか......ギターも少ない曲はあるけど、少なくないな。