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LIVE REPORT

Japanese

そこに鳴る

2024.09.29 @代官山UNIT

Writer : 中尾 佳奈 Photographer:ニイミココロ

物語の始まりを予感させるような神秘的なBGMが包み込む会場。その世界観に吸い込まれるように足を踏み入れると、男女問わず、年齢層も様々なファンがフロアを埋め尽くしていた。照明がスーッと落ち、ノイズ、デジタル音、無数の言葉たち、秒針の刻む音に漂う緊張感から、"そこに鳴る、開演"の合図とともにブザーが鳴ると、メンバーたちが拍手で迎え入れられた。

約4年ぶりとなるフル・アルバム『開眼証明』をリリースしたそこに鳴るが、同作を引っ提げたワンマン・ツアーのファイナルを代官山UNITにて開催。アルバムと同様に、バンドの"らしさ"を前面に出した「拝啓、黎明を知って」でスタートし、早速その重厚なサウンドと超絶技巧で観客を沸かせていく。

圧巻のドラム・ソロに歓声が上がると、流麗なベースへと繋ぎ突入した「re:program」では華麗なタッピング・ギターも炸裂、無音をも奏でる楽曲展開に息をのむ。サビ始まりのダンス・ロック「綻んで爆ぜれば」では歌い出しから手を上げ跳ねるフロア。変拍子も飛び出す高速チューン「最低」にもしっかりと食らいついていく。藤原美咲(Ba/Vo)による穏やかなMCに一息つくと、最新アルバムに収録された「Inferno Inception」や「Endless me」といった3声のコーラスと疾走感が気持ちいいナンバーに続き、ピアノやストリングスが際立つ「表裏一体」を投下。そして「久遠に零れて」の四つ打ちのサビに観客は手をワイプして盛り上がる。続く「罪の宴」では鈴木重厚がギターを一旦置き、アコースティック・ギターを中心とした同期音源に合わせ、指を鳴らしたり、マイクを手に持ちステージ中央まで繰り出したりと、オーディエンスへのアクションを見せた。

関西弁でほのぼのと届けられるMCでは、少々強引な? 導入からのグッズ紹介や、なかなか来ないという代官山でのおしゃれなランチにまつわるトークに笑いも。そんな和やかムードをイントロからグッと引き締めた「re:re:realize」では、メイン・ヴォーカルを務めた藤原の凛とした歌声が響き渡る。地響きのようなドラミングから始まった「in birth」では緊迫感が漂うが、キャッチーなサビに踊るフロアは決めのクラップまで完璧だ。そして一際ダンサブルな「啓蒙して、尋常に」ではミラーボールが照らす。終盤は「Lament moment」や「掌で踊る」といったライヴ定番曲を連投。そして待望のアニメ・タイアップとなった新たな代表曲「相聞詩」で高揚感を煽り駆け抜けた。鈴木が"通常の5倍くらいの時間をかけて作った"と語った渾身のアルバム『開眼証明』のラストを飾るナンバーで、同公演の本編も幕を閉じたのだった。

熱気も冷めぬまま手拍子に誘われ、"どうも誰よりもアンコール出るの早いそこに鳴るです"と早々に再登場すると、ここでなんと斎藤翔斗(Dr/Vo)から同ツアーの番外編となる"そこに鳴る twoman tour「re:開眼証明」"が発表された。あまりに饒舌で完璧な告知にメンバーやファンからは"告知うま!"と驚きの声が。Suspended 4th、Hello Sleepwalkersという豪華な対バン相手も発表され沸き上がった歓声の勢いそのままに、「新世界より」ではオーディエンスの大合唱が巻き起こった。そしてメンバーを見送った後も興奮冷めやらぬフロアには期待の込もった力強い拍手が鳴り続け、メンバーたちをステージに引き戻す。Wアンコールとして披露された「エメラルドグリーン」でも、落ちサビのシンガロング、そしてフロア後方まで突き上げられた拳が感動のフィナーレを演出した。

怒濤のテクニカル・プレイと緻密なコーラス・ワーク、さらに同期も多用した巧みなサウンドで圧倒しながらも、楽曲の持つキャッチーさでオーディエンスを巻き込んでいった彼等。アルバム、そしてツアー・タイトルにもなった"開眼証明"という言葉通り、視界が開けたような多彩さにバンドのさらなる可能性が見えた。

[Setlist]
1. 拝啓、黎明を知って
2. 絶対的三分間
3. re:program
4. 綻んで爆ぜれば
5. 最低
6. Inferno Inception
7. 業に燃ゆ
8. 闘争を継ぐ
9. Endless me
10. 表裏一体
11. 久遠に零れて
12. 罪の宴
13. re:re:realize
14. in birth
15. 啓蒙して、尋常に
16. Lament moment
17. 掌で踊る
18. brilliant city
19. 相聞詩
En1. 新世界より
En2. エメラルドグリーン

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