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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2017年02月号掲載

そこに鳴る

Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo) 真矢(Support Dr)

Interviewer:山口 智男

超絶テクを誇る男女3人組、"そこに鳴る"が3作目のミニ・アルバム『METALIN』を完成させた。前作『YAMINABE』リリース直後、ドラマーが突然脱退するという危機がバンドを襲ったことを考えると、前作のリリースから11ヶ月というのは驚異的なスピードと言えるだろう。いまひとつ確信が持てなかった前作での試行錯誤を経て、今回はバンドとして何をやりたいかはっきりとわかっていたという。鈴木重厚、藤原美咲、そしてバンドの危機を、バンドが進化する転機に変えたサポート・ドラマー、真矢の3人に新作について話を訊いた。

-昨年は、前作『YAMINABE』のリリースがあったり、ドラムが突然抜けたり、ツアーがあったりと、激動と言える1年だったんじゃないでしょうか?

鈴木:あっという間でした。前のドラムがいなくなったのが3月末だったんですけど、それが2週間ぐらい前に感じます。それぐらい一瞬だった(笑)。そのなかで4人ほどドラムの方にサポートしてもらってたんですけど、真矢君がサポートにもかかわらず、バンドを良くしようとしてくれて。その姿勢に感化されて、僕らも前向きになれたというか、多大な影響を与えてもらいました。

真矢:いやぁ(照)。

藤原:私も最初は"負けてたまるか"ってことしか考えてなかったんですけど、真矢君にメンバー全員の気持ちの持っていき方を教えてもらって。

真矢:そんなことないですよ(照)。

藤原:またまたぁ(笑)。

真矢:バンドを良くしようとしたっていうか、ドラムがいなくなったという状況で、"ドラムだけ叩きに行きます。あとはふたりで頑張ってください"っていうのは嫌だったんですよ。だから、"できることがあったら手伝いますから"ってスタンスを気に入ってくれたってことなんじゃないかな。

鈴木:またまたぁ(笑)。

真矢:最初に音源を聴かせてもらったとき、"ヤバい。俺には叩かれへん"って思ったんですよ。でも、そこでやらないって断ったら、自分の成長に繋がらないと思って、"わかりました"って叩けるようにしていったんです。そしたら、曲のイメージから、もっとかっちりしている人たちなのかなと思ってたんですけど、ふたりともわりとふわっとしていて(笑)。

鈴木:あ、KOGA RECORDS的なね(笑)。

-そもそも真矢さんとは、どんなふうに知り合ったんですか?

鈴木:共通の知り合いのバンドマンの紹介です。

藤原:最初にスタジオで合わせたとき、めっちゃかっこいいと思いました。

真矢:いや、そんな(照)。

藤原:いろいろなドラムの人と一緒にスタジオに入ったんですけど、彼が一番いい音だったんですよ。

鈴木:一番、音がでかかった。バコーンって感じだったんです。

藤原:ホントに同じドラム・セットなの!? って。

鈴木:連打が全部、バカバカバカって爆発音みたいに鳴っているんですよ。それを聴いたとき、はぁ~(ため息)となりました。

-そんな真矢さんをサポートに迎え、今回はどんな作品にしようと考えたんですか?

鈴木:四つ打ちが流行り、シティ・ポップが流行り、じゃあ次はメタルやなと(笑)。

-『YAMINABE』のときに、鈴木さんは"シーンに迎合した"と言っていましたよね? 僕は迎合したとは思わなかったし、仮に迎合したとしても、そこに鳴るらしさは失われることなく、むしろ幅が広がったと思ったんです。でも、鈴木さんは"わかりやすい踊れる曲を作ってしまって、それが受け入れられたら、本来のそこに鳴るらしさはもう求められていないわけだから、今後、何を作ったらいいかわからない"と言っていて......。

鈴木:ひねてるなぁ(笑)。そのころからだいぶ考え方は変わったかもしれないです。真矢君と接するようになってから、自分が幼いなと思ったんですよ。インタビューでそういう発言をしてしまうところなんかまさに。自分を見つめ直すことが多かったんです。

藤原:ポップになりましたね。

鈴木:思ってないやろ(笑)。まだアングラ感はあると思うけどね。

-まぁ、それはさておき、つまり今回は何をやりたいかはっきりわかっていたわけですね?

鈴木:僕らは今までも"メタルを取り入れた"みたいな謳い文句がついていたと思うんですけど、やっぱり"なんちゃって"だったんで、そうじゃなくて、ホンマに様式美的なものがあるメタルをやってみようと思いながら作ったのが「METALIN」(Track.3)なんです。メロディック・スピード・メタルをやってみました。ただ、筋骨隆々じゃない感じというか、ギター・ロック系のメタルじゃなさそうな人たちが完全な様式美メタルをやりながら、メロディや歌い方はポップにしたら面白いかなと。次はこれだろうと思ったんです。

-まさにそういうところが面白い曲になりましたね。メタルを真正面からやるにしても、そこに鳴るの場合、ポップさは欠かせない、と?

鈴木:えぇ。とっつきやすさはやっぱり欠かせない。メタルってクリーン・ヴォイスが少ないし、クリーン・ヴォイスで歌っていても声が高すぎて何を歌っているかわからないことが多い。そのせいで、キャッチーなメロディがキャッチーに聞こえないこともある。自分たちがやるなら歌だけはポップなものにしようと思いました。