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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2019年04月号掲載

そこに鳴る

メンバー:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo)

インタビュアー:山口 智男

見事ソールド・アウトとなった下北沢SHELTERワンマンでも、自分がかっこいいと思うものを信じて前進するのみと新たな決意を印象づけた、そこに鳴る。14公演におよぶヨーロッパ・ツアーを経て、さらに逞しくなった彼らが5thミニ・アルバム『一閃』をリリースする。迷いを捨て、らしさを追求した結果、アクロバティックなオルタナ・サウンドは、らしさをぎゅっと凝縮しながら新境地もアピールするものに。それが狙わずに作った成果というところが大事だったとメンバーは語る。


かっこいいものを作ろうとするんじゃなくて、なんかやったらかっこ良かったっていうその順序が大事だった


-1月29日に下北沢SHELTERで開催した、そこに鳴る初のワンマン・ライヴ("破壊と再生~そこに鳴る1st one man live~ 『力こそパワー』")は見事ソールド・アウトとなりましたね。そのとき、"迎合する必要はない。自分がかっこいいと思うものを磨き続ければいい、と2018年は思えた"と鈴木さんは言っていましたが、そう思えたのは、前作『ゼロ』(2018年リリースの4thミニ・アルバム)の成果が大きかったからなんでしょうか?

鈴木:「掌で踊る」(『ゼロ』収録曲)のMVが、150万回という自分たちの実績に比例していないくらいの回数再生されたことが大きいです。MVをより再生してもらうために、より広めるために、今までいろいろと考えてやってきたけど、何も考えなくなった瞬間にぽーんと伸びたから、じゃあ考えん方がええのかなってことになりました。

-では、今回『一閃』を作るにあたっても迷うことなく?

鈴木:極力何も考えずに作りました。かっこいいものを作ろうとするんじゃなくて、作ってみたらかっこ良かったっていうその順序が大事というか、普通にやったらええ感じになるやろっていうか。余計なものを取り除いたときに残ったセンスみたいなものが一番普遍的なんじゃないかなという感じです。ただ今回は、曲作りにめっちゃ時間がかかりました。

-それは、なぜ?

鈴木:何やっていいかわからなかったんですよ。

-いやいや、考えずに出てきたものを、ただ作れば良かったんじゃないですか?

鈴木:いや、考えすぎない方がいいから何をやってもいいというわけではなくて、例えばメタルってコンセプトがあれば、メタルをやったらいいんですけど、何もないとそれはそれで時間がかかるなって。「諦念」はハンドマイクで歌える曲を作りたいというのがあったから、そんなに時間はかからなかったですけど。

-ワンマン・ライヴでもハンドマイクで歌っていましたけど、なぜハンドマイクで歌いたいと思ったんですか?

鈴木:「表裏一体」(『ゼロ』収録曲)という曲があって、その曲はピアノとかを入れていて、ギターを弾く量が少ないんですけど、そうなるとライヴのときにかなり歌に集中できて楽しかったので、1回ハンドマイクができるくらいギターを減らしてみようと。

-実際、歌ってみて楽しかったですか?

鈴木:楽しいんですけど、それ以上に難しかったです。僕、普通にギターを持って歌っているときもそうなんですけど、左手が空いたら、手がめっちゃうるさいんです。

藤原:はははは(笑)。

鈴木:めっちゃ動いちゃうんですけど、ハンドマイクで歌ったときの動画を観たら、左手がうるさすぎて"きっしょ!"ってなりました(笑)。

-なるほど(笑)。左手の動きは今後の課題として、他の曲はどんなことを取っ掛かりに作っていったんですか?

藤原:「fake fake fate」は短い曲を作ろうって。

鈴木:藤原と志雄(Support Dr)から"短い曲を作って"と言われて、"わかった"って作りました。

藤原:短くて速い曲っていいな、やりたいなと思ったんですよ。だから好奇心が大事なんじゃないかな。

鈴木:そうですね。ハンドマイクで歌いたいとか、短い曲をやりたいとか、キャッチーな曲にしたいとか、そういうエネルギーが一番大事だと思います。

-じゃあ、お題があった方が――

鈴木:楽です。でも、ない方がええ曲になりやすいような気がします。ええ曲というか、らしい曲に。

藤原:うんうん。

鈴木:でも、お題がないとしんどい。

-今回、新しい感じがしたんですよ。

鈴木:と言いますと?

-まず、ダンサブルなリズムが多いですよね?

鈴木:そう! 四つ打ちばっかりなんですよ。気づいたら四つ打ちばかりになっていました。結局四つ打ちが一番エモいなっていう感じがあって、曲のメインのビートを考えるとき、頭の中で鳴っているのがだいたい四つ打ちだったんです。だから意図して四つ打ちにしたわけではなくて、頭が言っているとおりに作っていったら、四つ打ちばかりになってしまいました。最後の「生存」以外四つ打ちなんですよね。複雑なビートなイメージのバンドやのに、ほぼ全曲四つ打ちになりました。

-ライヴでノリやすいということを意識したわけではないんですね?

鈴木:それは全然。四つ打ちがエモかった。グッときたんです。

-今のモードがそうなんですか?

鈴木:そもそも好きだったんですよ。曲の盛り上がりのピークとか、一番グッときそうなタイミングとかで四つ打ちになる感じが好きやったからっていうのはあります。今回、テンポ的にもBPM150~160ぐらいが多かったから、やっぱり四つ打ちがハマるなって。

-「生存」もほぼ半分、歌とギターだけで。こういう曲も今までなかったですよね?

鈴木:なかったですね。ただこの曲は、結構前からあって。弾き語りみたいな曲を作ろうと思ってワンコーラスだけ作ったんですけど、当時のドラマー(竹村友宏)に"ようわからん"って言われてずっと放置していたんです。当時は歌唱力もゼロみたいなレベルだったんでそれもあったと思うんですけども。それを久しぶりに聴き返してみたら、やっぱりいい曲だと思えたので、バンドでできるようにアレンジ――ワンコーラス全部、ギターと歌だけで、そこにバンドが加わっていくみたいにしました。J-POPによく見られるパターンのやつで、個人的にぐっとくるので一度やってみたくて。