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INTERVIEW

Japanese

BRADIO

2018年07月号掲載

BRADIO

Member:真行寺 貴秋(Vo) 大山 聡一(Gt) 酒井 亮輔(Ba)

Interviewer:山口 智男

昨年、満を持してメジャー・デビューを飾ったBRADIOが、待望のメジャー1stフル・アルバム『YES』を完成させた。メジャー移籍後にリリースしてきた『LA PA PARADISE』『きらめきDancin'』という2枚のシングルのディスコ路線を予想していたリスナーは、アルバムを聴いて度肝を抜かれることだろう。インディーでのリリースを含めると通算3作目のフル・アルバムとなる今回、彼らは以前にも増して、バックボーンであるR&B/ファンクのマナーに縛られない自由な曲作りにトライ。基本編成にない音色もふんだんに使いながら、新たなバンドの姿をアピールしている。


今までモヤッとしていたところがかなり晴れた感覚がある


-メジャー感のある力強いアルバムが完成しました。前回の『FREEDOM』(2017年1月リリースのフル・アルバム)は、BRADIOの魅力をぎゅっと凝縮したような作品でしたが、今回またグッと幅が広がったという印象があります。

大山:今回はほんとに、今までモヤッとしていたところがかなり晴れた感覚があるんですよ。それがバンドにとってすごくポジティヴな作用をしたというか、曲を作ること、そして、それをレコーディングすること自体が大きなパワーになりました。音楽的なアイディアやプレイも含めて、視野がかなり広がった感覚があったので、レコーディングもすごく刺激的でしたね。バンドにとって、とても意味のある1枚に仕上がったと思います。

-モヤッとしたものが晴れたっていうのは、やりたいと思いながら今まではわからなかった、そのやり方がわかったみたいなことですか?

大山:そうですね。今まですごくもやもやしていたというわけではないんですけどね。これまで自分の中で、やりたいと思いながらできなかったことがいくつかあったんですけど、今回のアルバムがそれにチャレンジするいいきっかけになったんですよ。ちょっと腑に落ちなかった部分が腑に落ちた感覚というか、"あぁ、そうか! こういうことをすれば、こんなふうになるんだ"っていう発見がいっぱいあって。演奏のグルーヴもそうだし、曲の作り方もそうだし、やりながらスッと"おぉ、いいね!"ってなる瞬間が多かったんですよ。

-前作はとにかく作って、考えて、また作ってというなかで自然とできあがっていった作品でしたが、今回はあらかじめ"こんな作品にしよう"というイメージはあったんですか?

大山:曲ごとに"こんなふうにしたい"というのはあったんですけど、アルバム全体として"こんな作品を作ろう"というのはなかったですね。そういう意味では、『FREEDOM』と作り方は同じだったんですけど、全然違う作品になったという感覚があるんですよ。

-その感覚は作っている最中からあったんですか?

大山:個人的には、かなりありました。編成が変われば、当然グルーヴも変わりますし、それがバンドにとってプラスになるように進めていったところもありますし。いい意味であまりかっちりしなくなったのかな。きれいにまとめることよりも、演奏の熱量や曲が持っているパワーに主題がシフトしていったんです。それは、自信も含め、プレイヤーとしての考え方が1年半前とは全然違ってきたっていうのもあるし、今の環境を面白がる気持ちも出てきたっていうのもありますね。

-グルーヴが変わったとおっしゃっていたのでここで聞かせてほしいんですけど、前のドラマーの田邊有希さんが抜けた(※2018年1月20日に脱退)ことは、バンドにとってやはり大きな出来事だったと思うんですよ。みなさんはそれをどう受け止めたんでしょうか?

大山:予期していない出来事がいつか起こるということは、バンドをやるなかで覚悟していたので、周りから心配していただいたり、声を掛けていただいたりしたんですけど、実は周りが思うほどには......。もちろん、長いこと一緒にやってきたメンバーがそばからいなくなるのは、そんなに簡単に受け入れられることではないし、そういうことがあってほしいとは全然思わないですけど、起こるときは起こるというのはわかっていたので。もともと、BRADIO以前にやっていたバンドがうまくいかなかったからでもあるんですけど、そういうことが起きたときにどういう姿勢で臨むかみたいなことは、常になんとなく意識していたことではあったんです。だから、決まっちゃったものはもう仕方ない。それよりも、続けると決めた3人が何をするのか、どう見せるかの方がテーマとして大きかった。最初は貴秋も亮輔もそれぞれに"これは大変だ"という気持ちになったと思うんですけど、そのなかで"何をしたら一番いい形になるのか"って考えにすぐ移れたのは、メンバー全員がそういうスタンスでいたっていうのもあるし、チームのみんながそれをサポートしてくれたっていうのもあるし。バンドの屋台骨であるドラムのビートが変わることを面白いと思う状況を作りたかったし、逆にすげぇいいグルーヴになったって言いたかったんです。もちろん、それは前と比べてってことではなく。

酒井:今、ヤスってドラマーにライヴもレコーディングも入ってもらっているんですけど、めちゃめちゃいい感じで。ヤスは昔からの仲間だったっていうのもあるんですけど、人柄にも魅力がある奴ですし、一緒にやっていて面白い。今回のアルバムで、自分が引き出せていなかった部分を発見できたんですよ。(ヤスとは)ほんとにお互いに刺激し合える関係性になれていると思います。