Japanese
BRADIO
Skream! マガジン 2021年01月号掲載
2020.12.12 @パシフィコ横浜
Writer 石角 友香 Photo by ヤマダマサヒロ
バンド結成10周年の2020年をコロナ禍に見舞われた悔しさと、10ヶ月ぶりという有観客ライヴへの渇望が、関わるすべての人への感謝へ昇華された3時間弱。ここで生きてるぜと言わんばかりのバンドの熱量を確認できた一夜になった。
ホールに入ると目についたのはスポーツ観戦で応援グッズとして使われる棒状のバルーン。大山聡一(Gt)がMCで説明していたが、スタッフが当日朝6時から人数分の空気を入れたらしい。発声や歓声、タオル回しがNGの状況の中、なんとかコミュニケーションを楽しんでもらいたいという思いで用意されたとのこと。この趣向がFPP(Funky Party People/※BRADIOファンの総称)の変わらぬ熱量を伝えたのは確かだ。10周年のスペシャリティが随所に凝らされたこの日。オープニングは、サポート・メンバーひとりひとりがステージ上部中央からヴィジョンで紹介されての入場。13名編成で届けられることに。
全員揃ってのオープナーはメジャー・デビュー曲「LA PA PARADISE」。トップギアで飛ばすというより、丁寧に大人のショーを見せる感じだ。「真っ赤なカーチェイス」での大山と酒井亮輔(Ba)のリフのチェイスも楽しい。"ただいま、BRADIO戻りました!"という真行寺貴秋(Vo)の言葉に歓待の拍手が起こる。この日は配信も実施され、彼がこの日何度も繰り返していた"それぞれの覚悟、それぞれの正義、それぞれの勇気で選んでくれてありがとう"という言葉にも、一段階大人になった姿勢が滲む。
腰の据わったグルーヴで聴かせる「FUNKASISTA」、コーラス隊の3人――Jessica Imani Dawson、佐伯ユウスケ、多和田えみも前に出てきて、大山のギター・ソロを崇めたり(!?)するシーンも楽しい「Funky Kitchen」、クラシカルなニュアンスもある格調高い奥野大樹(Key)のピアノのイントロが大きな会場に映え、後半のハードボイルドなギター・ソロへとドラマチックに繋げていく「Once Again」、酒井の五臓六腑に響くベース・ライン、生音ヒップホップのニュアンスの上でシリアスな内省を歌う「蝙蝠」など、バンドの様々な節目で生まれてきたナンバーが、ほぼシームレスで7曲演奏された。
この夜は10周年の感謝と同時にBRADIOの音楽的な幅や3人の結束、意外なキャラクターを開陳する場面も随所に設けられ、まずは真行寺がメンバーだけのアコースティック・セットのタイミングで、ふたりには内緒で手紙を書いてきたと言う。「All I Need Is You」をアコギとベースで演奏してもらいつつ、替歌のていで大山と酒井に感謝を歌う真行寺。左右のスクリーンには照れ笑いの大山、わりと感極まっているように見える酒井が映し出される。3人の中では弟っぽいキャラで、喋っているときも天然なイメージの真行寺の素直さがすごく尊く見える。
さらに、この日ならではの趣向で真行寺とコーラス隊とのアカペラによる「雨恋」は、12月という季節も相まって非常にホーリーな雰囲気を醸し出す。人と人が声を重ね、息を合わせることの美しさ。後半、ピアノも滑らかに合流し、この日のハイライトのひとつとなった。
陶酔する会場に、バルーンを手にした大山が登場。いつもなら"BRADIO!"、"WHOOO"のコール&レスポンスが可能だが、今回は難しい状況なので、と渾身の"聖剣"捌きを見せ、そのアクションに同調する会場のムードと共に配信の画面越しにもパワーを送っていた。こんなにオモロいキャラだったっけ? と思いつつ、実はファンにはお馴染みなのかもしれない。大山のMCが終わると、後方の高い位置で真行寺がアコギを抱えて、歌うというサプライズ。続けて酒井、大山も歌い、怒濤の「スパイシーマドンナ」へ。ホーンのアンサンブルの熱を帯びるなか、タヒチアン・ダンサーズも登場して存分に情熱的なダンスで盛り上げる。なんだか一気に今年、ほとんど味わえなかった夏気分を回収してるような感じだ。さらに、「きらめきDancin'」では、懐かしい"ソウル・トレイン"を思わせるカジュアルなダンサーが自由に踊り、ステージは百花繚乱のお祭り騒ぎに。普段なら高速ハンドクラップで応えるファンが、バルーンでそれをやろうとして、もはやクラップと混ざって聴いたことのない応援がホールを埋め尽くす。
"何が正解かわからないけど、みんなを楽しませるのに精一杯"と真行寺が、この様々な趣向について説明したのだが、演出も選曲も何もかもがトゥーマッチ。でもそれがBRADIOらしい。なんと言っても10周年は感謝祭だ。終盤はグッと聴かせるミディアムの「Baddest」や、真行寺のヴォーカルの伸びもより絶好調なゾーンに入ってきた「O・TE・A・GE・DA!」、フル・メンバーで鳴らす熱いロッキン・ソウル「Golden Liar」、そしてさらにハード・ロック的なカタルシスを生む「Flyers」で、大山がセンターでソロを弾きまくる。畳み掛けるエネルギーを保ったまま、本編ラストは「Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-」で、ステージ上の13人、そしてホールにいるすべてのFPPが踊り、バルーンを鳴らし、今生きている喜びを全力で出し切っていた。ファンク、ソウルを背景にしたバンドとして2010年代に登場したことは、バンドとして簡単な道のりじゃなかったと思う。でも今、彼らの音楽はジャンルより先に大文字でBRADIOというバンド・ネームがドーン! とある。それぐらい、数々のライヴで人々を巻き込んできたのだ。本編をやりきったメンバーは深々とお辞儀をし、いったんステージをあとにした。
アンコールはバルーン以上に大きな拍手が波のように繰り返し押し寄せ、ひとつになったところで、メンバーだけが再登場。未発表の新曲だろうか。人は人だし、自分は自分のラヴ・ソングを歌えばいい、決めるのは自分だというニュアンスの歌詞だったと思う。ジャンルを超えて、今日この日の彼らが歌ったことで説得力を持つ普遍的なナンバーだった。
最後のMCで真行寺は10周年の今年、ライヴの実施を断たれたことにはさすがに落ち込みもしたが、配信ライヴで貰う"やっぱりBRADIOいいね"というコメントに、何かしなきゃという気持ちになったと言う。そして、もちろん、今誰もが元気なはずはないよねと言い、こんなとき自分はなぜ音楽をやっているのか、その理由は不変で幸せになるためだと改めて確信したと話した。この初心にして最強のマインドが込められた「Back To The Funk」は、同時に11年目に向けた扉が開いた感覚ももたらしてくれたのだった。
そして疲れ知らずのFPPに届けられたプレゼントは来春、約2年半ぶりとなるフル・アルバムのリリースの報告。グッと溜め込んだ新しいアイディアとサウンドが楽しみだ。各々の日常に戻っていくファンの顔には未来への約束がひとつ増えた歓喜が溢れていた。
[Setlist]
1. LA PA PARADISE
2. 真っ赤なカーチェイス
3. 語らぬ愛は美しい
4. FUNKASISTA
5. Funky kitchen
6. Sugar Spot
7. Flash Light Baby
8. Once Again
9. 蝙蝠
10. 夢見るEnergy
11. All I Need Is You
12. ギフト
13. 雨恋
14. スパイシーマドンナ
15. Boom! Boom! ヘブン
16. きらめきDancin'
17. Baddest
18. O・TE・A・GE・DA!
19. Golden Liar
20. Flyers
21. Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-
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En2. Overnight Superstar
En3. Back To The Funk
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