Japanese
BRADIO
Skream! マガジン 2017年06月号掲載
2017.04.30 @中野サンプラザ
Writer 石角 友香
3月5日、赤坂BLITZからスタートした今回の"FREEDOM tour 2017"が全国を巡って、東京に帰還した。しかも2,000人以上のキャパシティを誇るこの中野サンプラザ公演は早々にソールド・アウト。入場を待つファンの年齢層、ファッションなどの幅広さも頼もしい。ドラマ"新・ミナミの帝王"に新作『FREEDOM』収録の「Get Money」が起用されるなど、知名度が上昇する要因は増えたのは確かだが、それでも音楽そのものに力がなければこれだけグラデーション豊かなファン層を獲得するのは難しいだろう。
ステージに用意された、アルバム・ジャケット同様のバックドロップや、2台のミラーボール、ホーン隊も登場するであろうセットに胸が躍る。ホール・ライヴでできる限りのことをやってやろうという心意気がメンバー登場前から見えたのだ。照明が落ちると同時に位置についたメンバーがソウル・レビュー風の演奏を始め、最後にヴォーカルの真行寺貴秋も加わると、拍手も一段とボリューム・アップ。James Brownよろしく、ブレイクをキメつつ、そのまま「彼女ハリケーン」、「Flyers」と、ぶっといグルーヴで踊れるBRADIOの鉄板チューンが続く。今回はサポート・メンバーの奥野大樹(Key/ルルルルズ)、女性コーラス隊のイマニ&エボニーに、ホーン隊(サックス、トランペット、トロンボーン)も加わり、音源で意図したサウンドがライヴでも伝わるのみならず、ショーとしての見応えも明らかに増幅しているように思えた。それにしても改めて彼らの曲のサビの良さ、強さが全身に入ってくる。ソウル、ファンク、R&Bやルーツ・ライクなR&Rを基盤に置きながら、今の日本のロック・バンド・シーンの音楽を経験してきたリスナーの耳にも刺さるキャッチーなポイントが必ずある。一方で「HOTEL エイリアン」の、どこかUKロックを経由してきたようなロッキン・ソウルな粋もある。
"FPP(FUNKY PARTY PEOPLE)にファンキーとハッピーを届けにきたぜ!"と、2階席からでも白い歯が見える真行寺のMCを挟んで、アルバムのタイトル・チューン「-Freedom-」ヘ。スキルフル且つ重低音でホールを揺らす酒井亮輔(Ba)が、さらに頼もしい。頼もしいといえば、これだけ自由にクラップし、シンガロングし、横ノリで踊るオーディエンスは当代きってと言っていいんじゃないか? と思えるほどファンがタフだ。"freedom~"の絶妙に心地よいメロディ・ラインのコーラスをみんな、シンガロングしている。かく言う私もついつい口ずさんでしまったのだが(笑)。ステージから見る客席の光景はさぞ壮観だっただろう。そのグルーヴがどんどんステージにサプライされていくのがわかる。ソウルフルなショーというのは何十年も、それこそ本場でも日本の先人もやってきたことだ。でも、BRADIOのライヴではおそらく誰もがBRADIOからこうした横ノリのグルーヴに触れたんだと思う。いい意味で余裕を持って軽くノるというより、ロック・バンドのライヴで巻き起こるようなエモーションが、ダンスに転化されている、そんな印象だ。連綿と続くソウル・レビューと日本のバンドが邂逅した2017年の最適解。高度なのに誰でも入って身体を揺らせば楽しくなれる、それが今のBRADIOの力量なのだ。
スキルフルな楽器隊は各々ソロの見せ場があったのだが、酒井はリアルタイム多重演奏をベース1本で展開するという、クリエーターとしての閃きも見せ、ショーに明確な起伏をつけてくれた。起伏といえば、酒井のソロのあとに披露した、メンバー+奥野のみの演奏による、タイトなビートと大山聡一(Gt)のループするリフが印象的な、バンドの素を感じさせる「蝙蝠」のハードボイルドな側面に射抜かれた。歌い終え、真行寺はワンマン・ツアーだからこそ見せることのできる、自分たちの明るくファンキーなだけじゃない側面を届けることの喜びを話していたが、ライヴの規模が大きくなったからこそ、様々な表情を持つBRADIOの奥にある表情も見せることができるのだ。それは続いて披露したリアレンジとセッション色の濃い"ROOM BRADIO"コーナーにも明らかで、フロントは椅子に座り、抑えた照明のなか、小さなシャンデリアがスルスルと降りてきて、まさに"部屋"のような演出で披露した「You Make Me Feel Brand New」のオーガニックなブルース感、リリックを取り出せばストレートなロック・チューンになりそうな「思い通りにならない世界」は、やるせなさや行き場のない承認欲求といった感情も表現していこうとする、今のBRADIOの音楽的な意志の強さも窺えた。一転、大山のギター・ヒーローぶりが存分に発揮されたソロを挟んで、一気にロック濃度が上昇。しかも彼の切れ者(容赦ないといった方が正しいか)キャラも相まって、単なるギター・ソロ以上にパーソナリティが伝わるのが楽しい。
この中盤の聴かせるブロックが大いなるフックになって、再び図太いグルーヴへと弾みがつく。隙間の多いアンサンブルが心地よく、ちょっとガレージっぽくもある大山のコード・カッティングとクリーン・トーンのリフが冴え、基本的にタイトな16ビートを叩く田邊有希(Dr)のロックのダイナミズムも味わえる「Get Money」。ラウド/ミクスチャーな側面も窺えるこの曲でもファンのクラップが演奏をさらに転がしていく。かと思えば、いわゆる現代の歌謡ショーで披露しても違和感のないバラードの名曲「ギフト」も配置できるバンドの引き出しの多さを体感した。
さらにショーは加速して、「Revolution」では女性ダンサーが登場し、真行寺を生着替えならぬ、イリュージョンに連行。プロのようにシャープには運ばないものの、なんと衣装替えした真行寺はステージ下の客席にワープ。そのまま客席を練り歩きながら歌い、中野サンプラザのライヴを120パーセント、彼らなりのエンタメ精神でフックアップするスタンスに、素直に嬉しくなる。どこかサザンオールスターズの夏曲にも通じるポピュラリティを持つ「スパイシーマドンナ」、そして本編ラストは酒井のベース・ラインで歓声が上がる、新作の中でもゴキゲンすぎるナンバー「Back To The Funk」に突入するのだが、真行寺によるダンス・ステップのレクチャーを挟むと、もはや会場はここにいるすべての人のためのダンス・ホールである。椅子席のライヴで、誰もが横移動するダンスをスムーズに踊る様子のなんてピースフルなこと。リズムにノれようがノれまいが、誰もが身体を動かしている。"大人だってどうかしたいんだ"――そう、まさに課外DISCO。
BRADIOカラーの4色のテープがキャノン砲から放たれても、歓声よりダンスに夢中に見えたのは気のせいだろうか? 難しいことを考えさせずに、でも研ぎ澄まされたビートの跳躍と厚いグルーヴを提供するBRADIOとサポート・メンバーのプロフェッショナリズムと、彼ら自身もやんちゃな音楽好きであるという強力な両翼。それが今、シェアされた幸福な光景がそこにあった。
アンコールで真行寺は、"BRADIOのやり方は必ずしもスタイリッシュじゃないところもあるかもしれない。でも、音楽が好きな自分たちと音楽が好きなみんなでこんな空間が作れるなら、誰に何を言われようといいんじゃないかと思った"と、道なき道を歩いてきた現時点での感慨を口にした。圧倒的なカリスマとか、死生観を揺るがす世界観とか、そういうところでの勝負じゃないのだ。BRADIOは曲そのものでオーディエンスをフックアップし、新しい自分に出会わせてくれるバンドだ。全力を出し切ったショーの最後に、この日のライヴDVDのリリース、そしてメジャー・デビューが発表され、しばし止まないお祝いムードが中野サンプラザに充満したのだった。
[Setlist]
1. 彼女ハリケーン
2. Flyers
3. HOTEL エイリアン
4. Super Wonderful
5. -Freedom-
6. Step In Time
7. Overnight Superstar
8. 蝙蝠
9. You Make Me Feel Brand New
10. 思い通りにならない世界
11. Ride On Time
12. KAMISAMA
13. Get Money
14. ギフト
15. Playback
16. Golden Liar
17. Revolution
18. スパイシーマドンナ
19. Back To The Funk
en1. All I Need Is You
en2. Colors
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