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LIVE REPORT

Japanese

BRADIO

Skream! マガジン 2020年09月号掲載

2020.08.02 @SUPERLIVE by OPENREC

Writer 山口 智男 Photo by ヤマダマサヒロ

これまでファンキーでハッピーなヴァイブを放ちながらライヴハウスからホールまで、ライヴの空間を沸かせてきたBRADIOだ。ライヴ・バンドの多くが配信ライヴに活路を見いだすなか、彼らもまた8月2日、"BRADIO 10th Anniversary 夏だ!海だ!配信だ!って事で配信ライブやりま~す~"と題して、初の配信ライヴに挑んだのだった。

配信ライヴに臨む全バンドがオンライン上でいかにオーディンスとの距離を縮められるか、繋がれるかというテーマに取り組んでいると思うのだが、"ハートのほうはノー・ディスタンスで音楽を届けたいと思います!"と真行寺貴秋(Vo)が宣言した通り、この日、BRADIOがオンライン上のディスタンスを縮めるために考えたのが、ファン投票で選ばれた曲の数々を順不同に披露することだった。

15年9月にオンエアされた"京都きもの友禅"のCMのイメージ・ソング「Thanks」も含む、レアなセットリストは、シングル表題曲よりもカップリングやアルバム収録曲により愛着を持っている、ファン選曲ならでは。自分たちでは、もしかしたら選ばなかったかもしれない曲の数々を演奏しながら、メンバーたちも感じることが少なからずあったようだ。中盤、"みんなが選んでくれたから、一緒に作ってる感があります。ノー・ディスタンス。めちゃめちゃ近くに感じます"と大山聡一(Gt)が語ったように無観客にもかかわらず、一体感を感じられたことは、どれだけメンバーたちを鼓舞したことだろう。

酒井亮輔(Ba)のタッピング奏法が心憎い「Step In Time」や、真行寺がファルセットを交えながらセクシーに歌った「Chocolate Flavor」といったムーディな曲と、「スキャット・ビート」や、「幸せのシャナナ」といったファンキーなロック・ナンバーを織り交ぜた前半戦。そして、"何が出るかな?"とサイコロを使って、ゆる~く繰り広げたテーマ・トークを挟んでからの後半戦では、メンバーたちが口々に"予想外だった"と語ったランキング1位の「Abracadabra」(会場限定だった12年のデモCDの収録曲だ!)、まだタイトルも決まっていない新曲も披露。その新曲は同期でストリングスも鳴らした、ちょっとゴスペルっぽいところもあるバラードで、ソロも含め、大山が奏でるダイナミックなギター・ワークも聴きどころだった。

そして、ラスト・スパートを掛けるように"生でコール&レスポンスがしたい!"と言った真行寺と、彼の気持ちに応えステージから客席に降りた大山、酒井が予定外の(?)コール&レスポンスを繰り広げた「Golden Liar」から、"さぁ、みんなも一緒に踊ってくれ!"と彼らのライヴには欠かせないファンキーな「スパイシーマドンナ」に繋げ、バンドの演奏はさらに白熱! 本編の最後を締めくくったのは、BRADIO流のシティ・ポップ・ナンバー「Colors」だ。同期で流した女性コーラスに真行寺が情熱的な歌声を重ねたクライマックスは、配信ライヴならではの演出だったんじゃないか。

"まだやりてぇよ!"と楽屋の床に転がって、真行寺が駄々をこねるBRADIOらしい茶番で笑わせてからのアンコールは、そんな茶番がまるでなかったかのようにセンチメンタルな「雨恋」をしっとりと聴かせると、"最高の夜をありがとう。また必ず愛し合おうぜ"と真行寺が、ファンキーなポップ・ナンバー「Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-」に繋げ、最後の最後は曲が持つハッピーな空気でジェントルに包み込んだのだった。

そして、約半年ぶりのライヴを終え、真行寺が言ったのが"音楽って素晴らしい!"。
このライヴを観た誰もが心から出たこの言葉に胸を打たれ、頷きながら快哉を叫んだに違いない。

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