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INTERVIEW

Japanese

シナリオアート

2017年03月号掲載

シナリオアート

Member:ハヤシコウスケ(Gt/Vo/Prog)

Interviewer:石角 友香

-なるほど。そして、シナリオアートはこれまでライヴでも同期を入れて緻密なサウンドを構築していましたが、今回は場の鳴りというか、生々しいサウンドに感じられて。録り音にもこだわりましたか?

結構、こだわりましたね。キティ伊豆スタジオっていうところで、ベーシックは録ってて。そこは全体が木でできてて、あったかい音がするんですよ。だから、今回のドラムの音はめちゃくちゃ気に入ってますね。すごく鳴りがいいなぁと。

-合宿レコーディングの成果は?

静かなとこやったんで、いい環境でできたなと思いますね。メンタル面も音に乗ってるかなと。一緒に生活して、同じ飯食って、音を重ねていく感じというか。

-レコーディングの時間以外にはどんなことを?

夜中に海に釣りに行ったりしました。レコーディングが終わって夜中1時か2時に行って、魚釣って、で、次の日にベースのヤマピー(ヤマシタタカヒサ)が魚をさばいて、みんなで食べるというのをやってました(笑)。

-夜中の釣りって怖そうですね。

結構、怖かったですね(笑)。海ってやっぱ全然敵わんなというか、夜は真っ黒じゃないですか? 人間ってちっぽけやなぁと思いながら釣りしてました。

-レコーディングしながら冒険を(笑)。そういうグルーヴも出てるのかもしれない。

だいたい、バンド活動って決まってくるじゃないですか? 曲作って、レコーディングして、ライヴをして。そのループからは少しの間、抜け出したし、そこでいろんなアイディアが膨らんだりしたところもありますね。

-合宿レコーディング感が出てる曲ってありますか?

「ジャーニー」とかは、(Dr/Vo/ハットリ)クミコさんがピアノでコードを弾いて持ってきたデモを、"一応、録っとこか"って感じで録って、すぐにできた曲ではありますね。しかも......伊豆に行く途中で、海とか通るじゃないですか。太陽が出てて海があって、海岸線を走ってるイメージとかは「ジャーニー」には出てるかなと思いますね。

-そしてこのアルバムは"踊る"というワードが頻繁に登場します。

多いですね。踊らされたり、踊ったりっていう。儀式じゃないけど、"踊る"って祈りみたいなところがあるじゃないですか?

-象徴的な言葉ですね。聴いてる人も好きなように踊ってくれると嬉しいだろうし。

それがどんな変な踊りになっても、その人自身が動かしてるっていうのがいいですね。

-そしてアルバムの流れの中で温度が変わる「コールドプラネット」(Track.6)は、ハヤシさんのギターの音やアレンジも今までとは違いますね。

この曲は全体的に冷たい世界観にしたいなと思って。リヴァーブの反響とかも冷たい高い音の方を出したし、フレーズもファンタジックに弾いたと思いますね。

-フィールド・レコーディングに行かれたのをTwitterで拝見しましたが、この曲ですか?

はい。大谷資料館という栃木県の採掘場というか、山の中の洞窟みたいな石を切り出した場所ですね。そこの音のリヴァーブ感がすごいんですよ。それでシミュレーション・ソフトを使わず、あえて生の反響を使ってレコーディングをしてみようと。

-それは曲の部分ですか?

一応、全部使っています。まぁ、むちゃくちゃ寒くて(笑)、日中でも5℃とか2℃とかなんですけど、夜になってからもっと冷えて、氷点下のとこでブルブル震えながら録るっていう。だからより冷たい世界観には合うというか(笑)、全然上手く歌えてないですけど、それはそれで面白いなと思います。

-贅沢なレコーディングですね。

今回は余すことなくやらせてもらいましたね。超大作になったんじゃないかな? って自信がある。ほんまに手間をかけて作ったから、聴いてもらいたいなっていうのはありますね。