Japanese
シナリオアート
2020.05.31 @Online Streaming
Writer 石角 友香
この演奏を今鳴らす意志。それは基本オフラインでもオンラインでも変わらないということは、どちらも経験してみて言えることなのだとこの日のライヴでわかった。新型コロナウイルスの影響でまだ観客を入れてのライヴは現実的でないなかでも、3月下旬の自粛要請時の"結果的な"無観客ライヴ、そして、アーティストの自宅から届けられるインスタライヴや、自宅からでありつつ、遠隔でメンバーが同時に演奏する生配信など、それぞれが工夫を凝らしてきた。そんななかシナリオアートが、バーチャル音楽配信サービス"OPEN MIC(オープンマイク)"の第1弾アーティストとして、新たなライヴ表現に臨んだのがこの日の公演だ。バーチャル・ライヴと言えば、"Fortnite"で行われたTravis Scottのライヴや、"Minecraft"を用いたものなど、アーティスト自身はアバターですべてがバーチャルであるスタイルが浸透しつつあるが、シナリオアートのライヴはあくまでも生身の演奏とバーチャル空間の融合が肝。よりどんなライヴが展開されるのか? 想像がつかない。
"待機中"、"ワクワク"とコメント欄がざわつき始める感じはリアル・ライヴに通じる感覚だ。約5分押し(!?)でコラージュ的なSEと青く揺れる映像が現れ、バーチャルなスピーカーやステージ・セットに転換。そこへ異次元から転送されたかのように、3人がいつものライヴさながら登場した。ヤマシタタカヒサ(Ba/Cho)が手を上げて合図したことで、彼らの見知らぬどこかで、でもリアルタイムでライヴを観ていることを確証する。音合わせのオーバーチュアから、1曲目は「アダハダエイリアン」。3人共少々、戸惑い気味の表情を浮かべるが、相反してモニターとイヤホン越しのこちらは3人の細かなフレーズも聴き取れ、オンラインの醍醐味を早くも堪能する。演奏しきったところでハヤシコウスケ(Gt/Vo)が"ありがとう。久しぶりのライヴ、バーチャル・ライヴだけど、アガっていくぜ!"とギアを上げたことで緊張が解けたのか、ハットリクミコ(Dr/Vo)にいつもの笑顔が戻った。続く「スペイシー」のハイトーンのロング・トーンに力が漲る。"クラップしたいけど、伝わるのかな"というコメントに私も頷いてしまった。あぁ、シナリオアートのファンと一緒に観てるんだな――当たり前だが、小さな実感が積み上がっていく気分。ブレイクもその後の畳み掛けも息遣いが確かに聴こえた「ハローグッバイ」まで、最近の彼らの怒濤のモードだ。"3ヶ月分の気持ちを爆発させる"と言いつつ、"ペースがわからん"と汗を拭うハヤシ。彼のアグレッシヴなモードは特に、今のシナリオアートを象徴している。
バーチャル・ライヴならではの演出は、テクニカル且つエクストリームな「ナナヒツジ」でさらに拡張。方程式やDNA配列が映し出され、歌詞の一部がモニターを占拠する。画面自体がバグっているようで、曲の世界観を自在に表現している。もし大きなテレビ・モニターに接続できるなら大画面、高精細、大音量で観たほうがいい! と確信した。「サヨナラムーンタウン」は宇宙空間の中に浮いているような視覚効果と満月が美しく、ビッグ・バンを思わせるエンディングもかなりの迫力。それが過剰に思えないのはシナリオアートの曲の世界観あってこそだろう。続いてライヴ初披露となった「エバーシック」はギターとベースが疾走する、生なのにメカニカルなシーケンス感、刻々と変化する拍からキメラ的にリフが発生してくるようなアレンジが圧巻。生演奏でここまで仕上げてきた3人に脱帽であった。しかも、高速を消失点に向けて突っ走るような映像のリンクもスリリングすぎる。
ところで、MCタイムの背景は、最初は海と見たのだが、ライヴが進むにつれ彼らの地元滋賀の琵琶湖ということになった(笑)。アグレッシヴな演奏直後のとりとめのないMCも相変わらずで嬉しくなる。とりとめのないと言いつつも、今彼らがアフター・コロナの世界におけるライヴについて、すでに次のフェーズを見据えていることがわかる発言もあり、非常に頼もしい。ヤマシタは"今僕らはみんなと全然違うところにいるわけですからね"と言い、ハットリは"大歓声が上がってるつもりでやる"と言う。そして、ハヤシは"コロナ後のライヴ・シーンを想像させる、いずれこうなりそうなものが(このバーチャル・ライヴで)一気に早くなった"と。ミュージシャンの体感をリアルタイムで知れたのは非常にポジティヴなことだ。しかも、この日は『EVER SICK』のリリースに伴うツアー・ファイナルの予定だった。予定されていた未来が白紙になったところからのマインドセットの変化も窺える。
新旧のレパートリーの中から、心よりファンに愛されている作品をチョイスしたこの日のライヴだが、「トワノマチ」にしても「ラブマゲドン」にしても、ファンタジーと少しの終末感が今の時世とマッチしていて、いわゆる誰でもない自分にとって大事なものを再確認できる。制限のある暮らしの中でこそ発見できる、日常的な暖かみの尊さを描く「ドライフラワー」も今だから、さらに心に浸透した。今改めて聴きたい、聴いてほしい曲がシナリオアートには驚くほどたくさんあるのだ。そのことも今回のライヴでの発見だと言える。バンドのパーソナリティを確立した曲と言える「ホワイトレインコートマン」では、傘や雨モチーフの様々なグラフィックが、今のシナリオアートと共に曲の強度をアップデートしている。"黒い雨"や、"嘘つきな 政治家"というフレーズに"今の世の中みたいだ"とコメントがつく。オフラインのライヴならライヴ後に話したり、ツイートしたりするようなことがリアルタイムで可視化される。これもオンラインの特徴だ。
ラストはこのライヴでMVが初公開された新曲「スターサイドシンドローム」。新作『EVER SICK』の中でも内容としては泥臭いぐらい本音の塊と言っていい曲だと思う。でも、音作りやアレンジは洗練されていて、2Aのシンセ・ベースやサビのユニゾンのヴォーカルに新鮮味を覚えた。そして、アウトロに向けての"いつか いつの日にか"というリフレインを、コメントでシンガロングする人も。コメント欄も賑々しく絵文字が乱打されたり決してしないのも、リアルのライヴと同じ感覚だ。それでいてバーチャルな映像や演出も聴き手の感覚を拡張こそするが、限定しない。1時間強の新しい体験。なお、電子チケットは6月7日18時まで購入可能で、視聴期限は同日23時59分までとなっている。
[Setlist]
1. アダハダエイリアン
2. スペイシー
3. ハローグッバイ
4. ナナヒツジ
5. サヨナラムーンタウン
6. エバーシック
7. ドライフラワー
8. トワノマチ
9. ラブマゲドン
10. ホワイトレインコートマン
11. スターサイドシンドローム
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