Japanese
シナリオアート
Skream! マガジン 2022年05月号掲載
2022.04.01 @下北沢Flowers Loft
Writer 石角 友香 Photo by しみず まい
普段のライヴより近い距離で、演奏はもとより、トークも交えて贈る名付けて"Scenario Home"シリーズが、2月に続き今回は"bedroom"と題して開催された。会場の下北沢Flowers Loftには生粋のファンが集合。椅子席でリラックスしたムードだが、メンバーが定位置につき、ハットリクミコ(Dr/Vo)が「スペイシー」のイントロのドラムをパワフルに叩きながら"みんな立ってよ!"と声を掛けると、全員が一斉に立ち上がり、おのおの自由に身体を動かし始めた。こぢんまりしたスペースながら、しっかりバンド・アンサンブルをバランス良く届けるこの会場の特性もあって、いつもの迫力を体感できるのも嬉しい。実は冒頭からちょっとしたハプニングもありつつ、そのことも普段の3人の会話とおぼしきトーンで話しながら、臨機応変に対応するのも、この企画ならではかもしれない。
態勢を立て直して、2曲目はハヤシコウスケ(Gt/Vo)のディレイが掛かった単音フレーズがヴィヴィッドに響き、ヤマシタタカヒサ(Ba/Cho)のスラップともまた違うパーカッシヴな奏法がブリッジのフックとなり、曲に緩急をつける「サヨナラムーンタウン」。ドリーミーで透明な部分とマス・ロックばりの構築力をこれほど自然に聴かせる、シナリオアートのオリジナリティを改めて感じる。さらに、ギターもシンバルのサウンドもきらめくような「ブレーメンドリームオーケストラ」へ。ハチロク(8分の6拍子)のリズムが音楽隊のムードを醸し、ハットリとハヤシのイノセントな声色や曲もムードを浸透させた。緻密に組み上げられたアレンジでありつつ穏やかな気持ちになれる、彼らの"Home"らしい選曲だ。
トーク・パートではまずファンに向けて"おかえりなさい"と言葉を掛け、とりとめのない近況報告から始めながら、初回の前回に行ったシナリオアートのトリビア・クイズ、名付けて"ムイズ(難しいクイズ)"のネタが難しすぎた反省(?)を踏まえて、今回はメンバーが用意した条件に勝ち残った人が、ハットリの使用済みスネア・ヘッド(全員のサイン入り)をプレゼントされるという企画に変更。中には"裸眼の人"に続いて"めがね、コンタクトの人"という、明らかに誰も残らない条件が続くなど、設問の順番が奇跡的に破綻しながら、最終的にドラムをやっているという女性ファンが勝ち抜けた。
続いては同企画最大の見どころと言っていいだろう、楽曲解説とカバー企画へと続く。今回取り上げたのは「ナナヒツジ」で、制作当時はツアー中でもあり、移動中の機材車で打ち込みをしたり、ライヴ後にレコーディングを行ったりと、かなりハードな状況での制作だったことを打ち明けたあとは、おのおのの演奏のこだわりポイントを解説。複雑な曲であることはこの会場にいるファンは誰しも知るところだが、こだわりを分析するのはさらに面白い。ハットリは1Aのキックがその中でも変化する部分を挙げ、ヤマシタはフレットレス・ベースを用い、音が長くなる性質を生かした聴こえ方がこの曲に合うと判断したと説明した。ちなみに黒いフレットに黒い弦を張っているので、遠目には何をしているのかわからないと言われたというエピソードも。ハヤシはイントロのリフを3案考えたことをハットリに明かされ、この日は2種類弾いて見せた。曲そのものは7拍子という、アクセントがつきスッと進んでいかない、つんのめる感覚が曲のテーマに合致したことから採用したとのこと。これだけの情報を知ったうえでいざ「ナナヒツジ」実演という流れは、いつものひりひりするエモーションとはまた違う、アレンジや音像を確認しながら聴く楽しさを体験させてくれるものだった。
さらにカバー企画はハットリが初めてエレキ・ギターの弾き語りを敢行。曲は、高校時代の軽音部で唯一スコアがあったというJUDY AND MARYの「小さな頃から」をチョイス。コード・ストロークからソロ、アルペジオまでなんとか完遂したのだが、なんといってもハットリの歌の強さを再認識させてくれるカバーだった。見ものはハヤシが手でエフェクターを押す場面。その様子をヤマシタが撮影していたことにも自然と笑ってしまった。
この日は怒濤のインフォメーションにも大いに湧いたのだが、彼らの青臭い部分を作品化したという4thフル・アルバム『Blue Smell』、そしてアコースティック・ミニ・アルバム『White Smell』を6月22日に同時リリースすることを発表。さらにこの2作のアプローチで分けた昼夜公演を東名阪ツアーで開催するという、攻めの2022年が明らかに。配信リリースを重ねてきたが、久々のパッケージに期待が募る。
後半のライヴは新作『Blue Smell』からの「ドリーミーラブストーリー」を早速、披露。単純なギター・ロックではないけれど、シンプルでブライトなアレンジに今のモードを予感できる曲だ。さらにはハットリの"みんな踊っていこうぜ。立てる?"という煽りから「ジンギスカンフー」になだれ込む。ホーム・パーティー仕様な今回のライヴの中でも、存分にはしゃげるパートだ。そして、定番中の定番である「ホワイトレインコートマン」へ。この日は現在の世界の情勢も脳裏によぎるなかで、"黒い雨"というフレーズが、より様々な悲しい出来事に重なって聴こえる。だからこそ、自分が生きていくなかで何が大切で、それを守るために何をしたらいいのかについて、思いを寄せる時間になった。バンドが自分たちの足で力強く歩き続けることで、説得力を増す曲だし、改めて今様々なリスナーに届いてほしいとも思った。
演奏曲数は多くないものの、しっかりグルーヴを醸成し、曲ごとに楽しませることが可能なのも今のシナリオアートのたくましさ。ヤマシタのよく動くメロディアスなベースが牽引する、キュートさすら感じる「ウォーキングムーン」、そしてラストはハヤシが自分たちにとってもこの企画は心のホームになり得ていて、これからの展開にワクワクしていると言い、また先が見えない世界ではあるけれど、どうにか明日へ繋いでいけたらと思うと「フユウ」を披露する。ヤマシタのフレットレス・ベースの長い音の意味が、先ほどのレクチャーでより理解できたのはこの企画ならではだった。また、「ホワイトレインコートマン」同様に、世界は自分の妄想を打ち砕くけれど、軸にある理想を諦めないための心の置きどころを彼らの音楽は保たせてくれる。トレンドやバンド・シーンの移り変わりに左右されない曲の強さを、何度も発見できるバンドなのだ。
ライヴ終了後はメンバーも一緒に解禁前の「アイマイナー」のMVをファンとともに試聴。"Scenario Home"らしい趣向がリラックスして音楽を楽しむことも、曲への理解も深めてくれた90分。次回のサブタイトルは"kitchen"らしいが、果たしてどんな趣向なのかかなり気になる。
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.11
-
TenTwenty
女王蜂
TENDOUJI
なきごと
the shes gone
フレンズ
Saucy Dog
Laughing Hick
浅井健一
WtB
yutori
ビレッジマンズストア
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
のうじょうりえ
賽
ヤバイTシャツ屋さん × Perfume
wacci
KALMA
LITE / DO MAKE SAY THINK / HOTEL NEW TOKYO
GLIM SPANKY
Mirror,Mirror
reGretGirl
四星球
Rei
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Dannie May
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
すてばち
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
SIRUP
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
さめざめ
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
the telephones
- 2025.07.23
-
東京スカパラダイスオーケストラ
板歯目
フラワーカンパニーズ×アイボリーズ
9mm Parabellum Bullet
女王蜂
- 2025.07.24
-
水平線
板歯目
bokula.
ビレッジマンズストア
竹内アンナ
the paddles
RELEASE INFO
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.13
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号