DISC REVIEW
A
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androp
hooray
今年CDデビュー15周年を迎えたandropが、ニュー・アルバムをリリースする。昨年末に15周年への決意をしたためたステートメントを発表し、対バン・ライヴやワンマン・ツアー開催、ゲストVoをフィーチャリングに招いたシングルの発表等、精力的な活動を見せてきた彼等。そんな華々しいアニバーサリー・イヤーを締めくくる本作は、andropらしいエッジーなバンド・サウンドを湛えたTrack.1からライヴ会場での大合唱が目に浮かぶTrack.10まで、バンドの生音感を大切にしたような楽曲が並ぶ。日本語で"万歳"を意味する"hooray"というタイトルの通り、これまでの軌跡を噛み締めながら、リスナーへ感謝の想いをまっすぐに伝えるハートウォーミングな1枚。(山田 いつき)
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androp
effector
『cocoon』以来約3年9ヶ月ぶりのフル・アルバム。タイトル"effector"は、それぞれの曲がなんらかの効果をもたらし、聴く人の生活を変える役割として使われてほしいという想いから付けられた。「Moonlight」や「SuperCar」といった煌びやかでポジティヴな色の曲、ネガティヴな感情も露わにする「Know How」、チルで心地よい「Lonely」など全14曲。揺れ動く時代を生きるなかで誰かに言ってほしかった言葉、大切なことに気づかされる鋭い言葉もあり、希望に溢れた思いにも、誰にも言えずに抱えていた暗い気持ちにも寄り添い、心に響いてくる作品だ。革新的なサウンドで聴き手に衝撃を与え続けてきた近年のandropを総括する内容でもあり、2021年必聴の名盤と言っていいはず。(三木 あゆみ)
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androp
Koi
前作『daily』から約2ヶ月ぶりのリリースとなる今作は、高橋一生と川口春奈のダブル主演映画"九月の恋と出会うまで"の主題歌を表題に据えたシングル。映画の登場人物たちのまっすぐな想いに背中を押されて完成させたという表題曲「Koi」は、一途な恋心をストレートに描き、大切な人への強い想いを歌い上げたドラマチックなラヴ・ソングだ。彼らがこれほど王道なラヴ・ソングを作るのは意外だったが、もし作るとしたらこんなふうに、どこまでも純粋で嘘偽りのない恋を映し出すのだろうと思っていた。カップリングの「For you」は、日本郵便"ゆうパック"のタイアップ・ソング。ダンサブルでエレクトロな横ノリの打ち込みサウンドは、常に挑戦を続ける彼らの最新型とも言えそうだ。(三木 あゆみ)
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androp
daily
デビュー10周年イヤーに突入したandropの新作。前シングル「Hikari」も含めた今作には、節目を迎えるに相応しい6曲が揃った。R&Bの雰囲気を感じられる「Blue Nude」とリラックスしたテンポのダンス・ナンバー「Saturday Night Apollo」は、これまでにない新機軸。ストレートな言葉を紡ぎ、切ない愛を揺れるブランコに重ねたバラード「Blanco」では、ノスタルジックなメロディに胸がきゅっと締めつけられる。アルバム最後に収録されたリード曲「Home」は、大切な人に向けて伝えたいことが詰まった温かい曲。タイトルのとおり、きっと聴く人の心の拠りどころになるだろう。全体的にBPMを抑え、よりメロディを強めた、心に染みる楽曲が並んだ傑作。(三木 あゆみ)
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androp
Hikari
表題曲は、フジテレビ系のメディカル・ヒューマン・ドラマ"グッド・ドクター"の主題歌。サウンドはピアノやストリングスが主体となって繊細さや彩りを表現し、ギター、ベース、ドラムは一歩下がったアレンジながらも、メリハリとダイナミクスをつけて楽曲に表情を与えている。透明度の高い内澤崇仁(Vo/Gt)の歌声は、ひとつひとつの歌詞を時に優しく時に力強く、そして大切に紡いでいく。暗いトンネルを進んだ先に見えるような希望を思わせる優しい"光"を描くこの曲は、感動的な人間ドラマを描き上げる"グッド・ドクター"との親和性もばっちりだ。c/wには、よりシンプルなアレンジで内澤の心地よい歌声をじっくりと味わえる表題曲の"piano TV ver."と、2018年6月に行われたライヴの音源を早くも収録。(大木 優美)
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androp
Joker
2018年のリリース第1弾に相応しく、新たなサウンドを大胆にアピールするニュー・シングル。映画"伊藤くん A to E"の主題歌でもある表題曲は、演奏そのものは疾走感に満ちたものながら、シンセ・サウンドとダンス・ビートを加えたところにバンドの新たな方向性が感じられる。アンセミックに作り上げながらも、耳に刺激的な音色が、歌に込められた必死の想いをさらに強いものにしている。一方、c/wの「Ao」はホーンやグロッケンシュピールが賑やかに鳴るオーケストラルなポップ・ナンバー。初めの一歩を踏み出す勇気を華やかなサウンドが祝福。ここしばらく生音のバンド・サウンドを追求していたandropは、新たな挑戦に取り組み始めたようだ。この2曲がリスナーに期待させるものはかなり大きい。(山口 智男)
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androp
SOS! feat. Creepy Nuts
話題のヒップホップ・ユニット、Creepy Nutsとandropがともに作り上げた(アンチ)サマー・アンセム。2016年10月にリリースした『blue』で人間のダーク・サイドに対峙したあのandropがと考えると、その振り幅に驚かされるが、レゲエに挑んだ「Sunrise Sunset」も含め、音楽的な収穫はかなり大きい。アンセミックなサビは彼ららしいと言えるものだが、R-指定によるラップ・パートはDJ松永にトラックメイキングを任せたことで、andropはこれまでにないファンキーな演奏にチャレンジ。映画"2001年宇宙の旅"で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」のフレーズをサンプリングするという初めての試みとともに、今回の収穫が今後の曲作りにどう反映されるかが楽しみだ。(山口 智男)
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androp
Prism
前回のリリースから7ヶ月ぶりとなるニュー・シングル。その前作『blue』で人間のダーク・サイドと対峙することに振り切ったandropが、表題曲では再び煌めきに満ちた未来を歌い上げている。何かが大きく変わったわけではないが、それでもどこか新しいと感じられるのは、演奏から芯の強さが感じられるからだろうか。内澤崇仁(Vo/Gt)によるゆったりとした歌も聴きどころだ。その他、前へ前へと突き進む演奏が焦燥感を駆り立てる「Ryusei」(ギターがUKネオサイケっぽい!)、映画"君と100回目の恋"の挿入歌「BGM」(シングル・バージョン)も収録。弾き語りで始まるフォーキーなバラードと思わせ、バンド・サウンドが加わる「BGM」は、マーチ風の演奏が面白い。3曲共にギターがキラキラと鳴る。(山口 智男)
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androp
blue
第1章の完結編だった『androp』から1年2ヶ月。第2章のスタートを印象づけるため、意識的に変化を求めながら作ったという6曲を収録したアルバム。ポスト・ロック、ダブステップ、シューゲイザーといった海外の先鋭的なサウンドを、日本語のギター・ロックに取り入れるという意味では彼ららしいと言えるものの、これまであえて描いてこなかった闇や人間の黒い部分を抉り出したような歌詞に挑んだうえで、これまで以上にライヴを意識したサウンドを求めたせいか、ナイーヴなバンドというイメージも含め、バンドの印象はここからかなり変わっていきそうだ。しかし、それもandrop。変化したというよりは、これまで時折、見せながら隠し持っていた牙をさらに研ぎ澄ましてきたといった方が正しいかもしれない。(山口 智男)
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androp
androp
キラキラしたサウンドと爽やかなメロディの組み合わせが炭酸飲料のCMソングに相応しいTrack.1「Yeah! Yeah! Yeah!」でこれまで通りandropらしさを印象づけてからは意外性と驚きの連続の4thフル・アルバム。これまで避けてきたというリフを軸にしたアレンジやフュージョンの影響も取り入れながら、彼らがここでアピールしているのは、格段に幅が広がったandropらしさだ。音の作り方や音の録り方にこだわりながら、そこから浮かび上がる、ぐーんと骨太になったバンド・サウンドも聴きどころ。精力的にライヴを重ねてきた成果だろう。結果、打ち込みのサウンドの比重は減り、ラストの「You Make Me」もシンセをバキバキ鳴らしながらSKRILLEXも真っ青のダブステップ・サウンドに人力で挑む!(山口 智男)
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androp
Ghost
フジテレビ系のドラマ"ゴーストライター"の主題歌「Ghost」に「Answer」と表題曲の"strings version"をカップリングした7ヶ月ぶりのニュー・シングル。「Ghost」はアンセミックだった前作「Shout」から一転、ピアノのループとストリングスも使って、メランコリックに仕上げながらドラムの音色を強調した音作りがダブステップを思わせるなど、ありがちなバラードで終わらせないところがサウンド・メイキングにも意欲的に取り組んできたandropならでは。一方、「Answer」はandropが同時に生粋のライヴ・バンドでもあることをアピールするラウドロック・ナンバー。メンバー4人が取っ組み合うような激しい演奏は文句なしにかっこいい。両極端な2曲がバンドの魅力をダイナミックに描き出す聴き応え満点のシングルだ。 (山口 智男)
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androp
Shout
1万人の大観衆を熱狂させた国立代々木競技場公演から約5ヶ月。andropが完成させた5thシングル。自分たちの音楽を、もっともっと多くの人たちに叫んででも届けたいという想いを、ギミックを使わずに生身のバンド・サウンドで表現した「Shout」「Run」「Alternative Summer」の計3曲を収録。TVドラマ"家族狩り"の主題歌でもある表題曲はアコースティック・ギターの弾き語りバラードと思わせ、バンド・サウンドに転じるアレンジが、よけいな音を削ぎ落としたうえで4人だけの音をストイックに追求したバンドの姿をダイナミックに描き出す。サンバ調のリズムが新しい「Run」、変拍子で観客をノセることに挑んだ「Alternative Summer」はともに新たなライヴ・アンセムの誕生を予感させる。(山口 智男)
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androp
period
"これがandrop"とメンバーが胸を張る3rdフル・アルバム。ライヴ・アンセムの「Voice」、壮絶な想いを歌ったバラードの「Missing」といったシングルも収録。それらがエレクトロも使う現代のギター・ロック・バンドという従来のandrop像を印象づける一方で、ヘヴィ・ロック、シンセ・パンク、ジャンク・ロック、ジャズといった意外性の連続とも言える曲の数々がバンドの劇的な進化をアピールしている。そういう、ある意味過激な試みが決して内向きにならず、前作よりも前向きかつオープンマインドに感じられるのは、ライヴでファンのみんなと分かち合うことを意識した結果。ハイトーン・ヴォイスで歌うandrop節とも言える美しいメロディはもちろん健在。前作からわずか1年3ヶ月。彼らはものすごいスピードで進化を遂げている。(山口 智男)
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androp
Missing
シングルにバラードを選ぶなんてちょっと意表を突かれた。しかし、考えてみれば、バラードも確かにandropの持ち味の1つ。美しいメロディと胸を締めつけるような歌の世界観を生かすことを考えた正攻法のアレンジながら、弾き語りがダイナミックなバンド・サウンドに変化する展開はまさにドラマチック。サビで聴かせる今にも壊れそうな心を表現したような内澤崇仁(Vo/Gt)のファルセットも聴きどころだ。因みに北川景子と深田恭子がW主演するホラー映画『ルームメイト』の主題歌でもある(ちょっと意外?!)。カップリングの「Melody」はエレクトロニックな音色も使ったトリッキーなアレンジを閃かせるandrop流ダンス・ナンバー。新たなライヴ・アンセムになりそうな予感。ぜひライヴで聴いてみたい。(山口 智男)
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androp
Voice
androp史上最もアンセム度の高い名曲が誕生した。androp節を思わせながら、シンガロング必至の"オー、オー"というコーラスの効果なのか、どこまでもオープンな印象がある。高揚した気持ちが曲とともに大空へ舞い上がって行くような感覚が心地いい。ぜひ、これはライヴで聴いてみたい。だからって、単純にライヴのサウンドをスタジオで再現したわけではない。彼らがこれまで追求してきたダンサブルなサウンドとオーガニックなバンド・サウンドを巧みに掛け合わせ、アンセミックに昇華させた斬新なサウンド・プロダクションにも耳を傾けたい。カップリングの「UtaUtai no Karasu」はモダンなR&Bの影響も窺えるアコースティック・バラード。「Echo Boy」はアコギの弾き語りナンバー。「Voice」をはじめ、それぞれに違った魅力が楽しめる3曲が収録されている。(山口 智男)
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androp
one and zero
今年リリースした2枚のシングルの収録曲も含む全15曲を収録した2ndフル・アルバム。自分の音楽生命を賭けてもいいとメンバーが語る作品に対して、こんなふうに言うのはちょっと気が引けるのだが、2枚のシングルで印象づけた野心的なサウンド・アプローチをさらに推し進めたことを思わせる曲の数々を聴くことは、音楽ファンにとって至福以外の何物でもない。andropらしいナイーヴなギター・ロックとバラードに加わったニュー・ウェイヴやエレクトロニカの手法を使った曲は、コアな音楽ファンにもアピールするに違いない。その一方ではTHE BEATLESにまで遡ることができるパワー・ポップやアコースティック・ギターの弾き語りも披露。そういう多彩な曲をひとつのイメージにまとめる美しいメロディと歌声こそがandropの真骨頂。初回限定盤に付くLIVE DVDには今年3月31日に行われたワンマン・ライヴの映像が7曲収録されている。(山口 智男)
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androp
Boohoo / AM0:40 / Waltz
前回の両A面シングルに続いて、シングルというフォーマットを、巧みに自分たちの表現の手段、あるいは一貫した流れに取り入れたことを窺わせるtriple A-side single。光の三原色というテーマの下、ダンス・ミュージックにアプローチしつつ、バンドが新たにアグレッシヴなサウンドを手に入れたことをアピールする「Boohoo」、疾走感が痛快な「AM0:40」、ノスタルジックなアコースティック・ナンバーの「Waltz」というそれぞれに印象的な3曲を収録。バンドの最新モードを表現した3曲とのことだが、劇的に進化を遂げているandropの一瞬を切り取った3曲と受け止めるべきなのだろう。ナイーヴな歌を支える思いの外、強靭なバンド・サウンドも大きな聴きどころだ。(山口 智男)
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androp
World.Words.Lights. / You
昨年9月にリリースした1st full album『relight』が現在も売れつづけている4人組、andropによる2012年のリリース第1弾は、バンド初のシングルだ。浮遊感あふれるピアノをフィーチュアしたダンス・ナンバーの「World.Words.Lights.」とドラムが暴れまわるアグレッシヴなギター・ロック・ナンバーの「You」。印象があまりにも対照的な両A面扱いの2曲は、そもそもは1曲になるはずだったというところがおもしろい。そのせいか、くり返し聴いていると、全然違う2曲が1つに溶け合うような錯覚にとらわれる。同時リリースの1st DVD『LIVE DVD "angstrom 0.3 pm" @SHIBUYA-AX』は、昨年5月28日のSHIBUYA-AX公演を収録。映像と照明を駆使した彼らのライヴの魅力を堪能できる。演奏の熱気をストレートに伝える映像も見ごたえあり。(山口 智男)
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THE ANDS
FROTHY
90'sオルタナの申し子と言えるサウンドの延長上で、既成概念や固定観念から解き放たれ、さらなる広がりを見せ始めた2011年結成の3人組による3rdアルバム。かなりの深度まで水中に潜ろうとしている姿を捉えたアートワークを考えると、音楽性を広げたと言うよりは、むしろ深いところまで追求したと言った方がメンバーたちの本意なのかもしれないが、LED ZEPPELINを思わせるTrack.4「Womb」や跳ねるリズムがブギっぽいTrack.5「Mute」におけるハード・ロッキンなサウンドは、まさに新境地。"泡のような"を意味するアルバム・タイトルは、泡のように形を変えることを恐れないというバンドの意思表示なんだそうだ。本作における手応えを糧にTHE ANDSは美しい音楽を求め、これからも挑戦を続けるに違いない。(山口 智男)
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THE ANDS
Fab Noise
まるでNIRVANAを彷彿とさせる力強いオープニング・ナンバーで始まる今作は90’Sのギター・サウンドを網羅した様なとても魅力的なアルバムだ。NANANINE、monokuro、hare-brained unityと蒼々たるバンドのメンバーが集結し、昨年春に結成されたTHE ANDSは昨年の7月のライヴ・デビュー以降、自主企画、コンピ『WHAT ABOUT US?』の参加など様々な活動の中、バンドとして力を蓄えてきた。そんな中、満を持して今作が初のアルバム・リリースとなる。ややノイジーでソリッドなギター・サウンドや英国的で普遍的なメロディを持っている曲、グルーヴィな曲から疾走感溢れる曲までアルバムはとてもバラエティ豊か。その直球なサウンドはグッと心に響くはず。(遠藤 孝行)
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V.A.
くるり鶏びゅ~と
錚々たるメンバーが集結し、くるりの名曲をカヴァーした鶏びゅ~と・アルバム。それぞれが趣向をこらしたカヴァーを披露しているが、その中でも別次元の名演を披露しているのが松任谷由実「春風」。いっそのこと、シングル・カットしたらいいのに。トラディショナルなメロディ解釈が新鮮なハンバート・ハンバート「虹」も素晴らしい。9mm Parabellum Bullet の「青い空」は、原曲を知らなければ彼らのオリジナルだと言われても納得してしまいそうな出来映えだし、Andymori「 ロックンロール」もカッコイイ。曽我部恵一「さよならストレンジャー」の渋いフォーク・カヴァーも流石の味わい。あと、「言葉はさんかく こころは四角」での木村カエラの素朴な歌声が好きです。(佐々木 健治)
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ANDYMORI
Andymori
才能のカタマリのようなデビュー・アルバム。まったく未整理でやけっぱちの感情をそのまま鳴らし、舌っ足らずで空回り気味に転がるANDYMORIのロックンロールは、なぜか聴いた者を圧倒的な勝利の感覚に酔いしれさせる。 まごうことなきTHE LIBERTINES直系のガレージ・パンク・サウンドは、凡百のフォロワー・バンドを蹴散らすに十分な天性のセンスで、目も眩むほどの輝きを放っている。手数の多いグルーヴィーなドラミング、軽やかなギター・リフ。何よりヴォーカル小山田の、一点の曇りもない歌声が、ANDYMORIを特別なものにしている。安いウィスキーを空けるだけで丸一日無駄にするような、どうしようもない日常を歌っているのに、それが小山田の声に乗るだけで負け犬気分は消え失せ、勝者の高揚感に満たされるのだ。新たなヒーローの誕生に、今はワクワクするばかりである。(榎山 朝彦)
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...AND YOU WILL KNOW US BY THE TRAIL OF DEAD
Lost Songs
昨年は実に11年振りの来日を果たしその存在を知らしめた...AND YOU WILL KNOW US BY THE TRAIL OF DEADの新作が待望の国内盤化である。スタジオ作としては通算8枚目、プログレ、ポスト・ロック、ハードにサイケと持ち前のジャンルレスな感性そのままに、強靭なアート・ロックとして貫かれた世界観。本作は政府の圧力やメイン・ストリーム・カルチャーに蔓延した情熱に対する無関心という抑圧に、クリエイティヴィティで抵抗しているあらゆるアーティストたちに贈るものとして、PUSSY RIOTに捧げられている。漲る緊張感と力強さの理由も納得、インディペンデントな歩みこその重みもある。『Madonna』『Source Tags & Codes』と並ぶ重要作だ。(伊藤 洋輔)
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...AND YOU WILL KNOW US BY THE TRAIL OF DEAD
Madonna
11年ぶりの来日を"Hostess Club Weekender"で果たし、予定通りであればこの1999年作の名盤『Madonna』全曲セットでフロアを湧かせてくれるであろうテキサスの至宝。今回は来日を記念してその傑作がBlu-spec CDとして再発。ノイジーなものからメロディアスなものまでイマジネーション溢れるギター・リフとカッティングのアンサンブル、タイトでありつつシンプルにも呪術的にも展開するリズム、エモの括りに押し込められないどこか冷静で鋭利なアプローチは、発表から10年以上を経た作品とは思えないセンスに貫かれている。最近のバンドならCLOUD NOTHINGSを想起させるむき出しの衝動とも共振するし、形式を越えたポスト・ロックとも言える創造的な音響など、どこを切っても刺激的な1枚。(石角 友香)
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anew
異日常
始動1周年を目前に、待望の1stフル・アルバムが完成。幻想的でサイケデリックな空気を纏ったタイトル曲「異日常」や、骨太なリフを擁したダンス・チューン「ぼくたちに明日はない」、叙情系ハードコアな「偶像依存SHOW」に、タイトルからしてインパクト抜群なエモ・ナンバー「どうせ馬鹿にしてるだろ?」など、英国のJ-POPチャートで首位を叩き出した1stミニ・アルバムからさらに振り幅を広げつつ、より強烈な個性を放つ全10曲が収録された。また、ポップ・パンク的な解釈を施した"伝説のミュージシャン"ノリアキのカバー曲「Debut」や、TOKYO PINK所属のシンガー・ソングライター はる陽。が手掛けた、感傷的でドリーミーな「しゃぼん」など、とにかく良曲目白押し! さらに支持を集めそうな大充実作だ。(山口 哲生)
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anew
位置情報なし / デキルカナ?
昨年12月、デビューと同時に発表した初音源『世界ヲ染めていく』が、英国チャートJ-POP部門で首位を獲得した、山形在住の4人組アイドルによる1st両A面シングル。本作には、孤独や焦燥を感じさせるバンド・サウンドの上で、語感のいい言葉たちを軽やかに弾ませながら駆け抜けていく「位置情報なし」と、パッと聴いた感じでは意味不明でユニークさはありながらも、グループとして走り始めた現在の状況を物語るようにも感じさせる歌詞や、パンチの効いたノイジーなギターに、後ろで鳴り響くパーカッションが躍動感を強く与えるアップテンポなロック・ナンバー「デキルカナ?」を収録。個性は大きく異なりながらも、どちらも強烈なまでの中毒性を持ちつつ、ライヴの興奮を激しく駆り立てるものになっている。(山口 哲生)
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anewhite
anew
1st MVになり、瑞々しいギター・サウンドと心の機微を詩的に映像的に描写する歌で、anewhiteの存在を印象づけた「カヤ」。3rd EPはその「カヤ」での衝撃を追体験する「どうでもよくなれ」で幕開ける。EPのリードとなるこの曲は、鮮やかな音楽世界で聴き手の心を動かす。ギターや鍵盤が切なさの琴線に触れ、一方リズムはラテン的なタッチもあり躍動感が高く、そこに佐藤佑樹の詩情的な歌声が乗る。歪でいてひとつに収まっているアンサンブルは、主人公の複雑な情緒を表すかのようだ。アルバム『2000's』発売後の昨年は挑戦的な制作を続けた。エレクトロを導入した攻撃的な「キンセンカ」や、佐藤が中学時代に書いた「ライムライト」は経験値を増したからこその表現が冴える。丁寧に磨いてきた先で出会う新しさがあるEPだ。(吉羽 さおり)
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anewhite
2000's
2000年生まれのメンバーを中心とした ロック・バンド、anewhiteの1stフル・アルバム。"年上の彼の煙草"に徹底的にスポットを当てながらふたりの関係を描く「カヤ」、幽霊になってしまった恋人の物語「バケトナ」など着眼点が面白く、同音異義語を多用しながらの歌詞表現も特徴的。今作では多彩な楽曲が並んでいて、何を歌っても下品にならないヴォーカルの声質も今後武器にしていけそうだ。2010年代の邦楽ロックがルーツらしく、ピアノも取り入れた4ピース・サウンドから感じるのは、好きな音楽を衒いなく鳴らす純粋さと次を担っていこうという意気。「2000's」で歌われる"憧れは追えないままでいるけど/憧れは終えないままでいるよと"のラインは特に切実だ。(蜂須賀 ちなみ)
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Angel Olsen
My Woman
米シカゴを拠点に活動するアシッド・フォーク系女性SSWの3rdアルバム。前作収録の「Hi-Five」のようなサウンドですらラウドに聞こえるほど、今作ではドラムやベースが最低限しか鳴っていないうえに、ギター・サウンドもどこかサイケデリックでメランコリックだ。そこに彼女独特の舌足らずで不思議な声の伸ばし方をするヴォーカルが乗ると、さらに幻惑的な世界が広がる。今回はCHARLI XCXやSky Ferreiraなど、時代を映す女性アーティストを手掛けてきたJustin Raisenがプロデュースしていることも、そんなサウンドの一因かも。銀髪姿も披露するなど"シルバー"が印象的なMVが制作された「Intern」のようなビートレスのシンセ・サウンドはこの曲だけだが、たとえギター・サウンドでもミニマルで極私的な空間を作り上げているのが肝。(石角 友香)
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ANGELS AND AIRWAVES
Lifeforms
元BLINK-182のTom DeLongeがフロントマンを務めるバンド、ANGELS AND AIRWAVESの約7年ぶり(=BLINK-182脱退後初)、6作目となるスタジオ・アルバム。UFO研究家でもあるTomの宇宙への憧憬がそのまま音になったような、浮遊感あるスペーシーなオルタナ・ロックを鳴らしてきた彼らだが、今作でもその方向性は健在で、シンセとヴォコーダーを巧みに使ったTrack.1から作品世界へと引き込まれる。重厚なサウンドのTrack.2、軽快なポップ・パンクを奏でるTrack.4、宇宙時代の甘酸っぱいラヴ・ソングなTrack.8など、爽快感のある音像でまとめられたアルバムだ。ポップ・パンクはあんまり......というロック・ファンにもぜひおすすめしたい。(菅谷 透)
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Anger Jully The Sun
Afterglow.
The Floorを輩出した"Yumechika Records"から、その名をじわじわと全国へ轟かせるギター・ロック・バンドがついに全国流通盤をリリース。全国デビュー盤なのに"afterglow(=夕焼け)"と名付けるところにも彼らの哀愁が見え隠れし、荒々しく、ライヴハウスの生音を閉じ込めたようなサウンドが彼らの熱量を際立たせている。サビの繰り返すフレーズや耳馴染みのいいメロディがキャッチーなインパクトをもたらす「君の影は」。要所要所に挟んでくる王道セオリーからハズしたギターの音が印象的な「枯れた花びらを見て」。そして、小竹森敬太(Vo/Gt)の低くて太いながらもクセのないヴォーカルが、ひりついた音に乗る様も新鮮。まずは自己紹介として、そして今後の彼らへの期待もさせてくれる1枚だ。(稲垣 遥)
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ANIMAL COLLECTIVE
Isn't It Now?
USインディーの中でも特に個性の塊といったサウンドを発信し続けるANIMAL COLLECTIVEが、水を得た魚のようにクリエイティヴィティを開放したニュー・アルバム。前作『Time Skiffs』は、コロナ禍もあってリモートでのレコーディングとなり、ある意味パッケージとしてきれいにまとまった感のある作品になっていたが、今作はその間くすぶっていたアイディアが一気に放出されたのだろう、64分(※輸入盤)という大作でありながらたった12日で完成したというのだから驚きだ。トロピカルでポップな楽曲と、対照的にアンビエントで実験的要素が満載の楽曲があったり、聴く者をザワつかせるニクい演出も彼ららしい。さらに約22分という長さに驚かされる「Defeat」が、意外にも聴きやすいというのも意外性だらけで面白い。(山本 真由)
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ANIMAL COLLECTIVE
Time Skiffs
ANIMAL COLLECTIVEってこんなに聴きやすかったっけ。00年代後半のUSインディーを席捲したフォークとサイケの折衷ブーム、およびボルチモア結成のバンドが拠点としたブルックリン・シーンを代表する4人組の6年ぶりとなるアルバムは、そんな印象にちょっとびっくりだ。評価を勝ち得るなかで推し進めてきた実験的なアプローチではなく、フォークとサイケの折衷をメロディの心地よさとともに追求したところ、冒頭の印象に繋がったようだ。そこに絶妙な割合で入り交じるエスニックなサウンド、ラテンのリズム、ジャズ/フュージョンのエッセンスが彼ららしい。プログレ・サイケなTrack.3の宇宙的なサウンドとTrack.4の生々しいバンド・サウンドのコントラストもダイナミックだ。(山口 智男)
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ANIMAL COLLECTIVE
Merriweather Post Pavilion
常に斬新なサイケデリックミュージックを奏で続けるANIMAL COLLECTIVEから届けられた新作は、もう誰も辿り着けないところへ彼らが到達していることをはっきりと示す傑作となった。実験精神を追求する彼らの音楽は、これまでも新しいもの好きな音楽愛好家には高い評価を受けながら、決して一般性を持つものではなかった。前作『Strawberry Jam』も以前に比べれば、格段にポップな作品だったが、彼らはこの作品で、その扉を全ての人に完全に開いてしまった。天上に住む人々の囁きのようなVOと、天から降ってくるような眩い音が、柔らかくしなやかなビートの上で舞い踊る、極上のサイケポップ。決して実験精神を失うことなく、聴く者をカラフルな桃源郷へ導いてくれる、至高の作品。(佐々木 健治)
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Anly
EMERGENCY
表題曲「EMERGENCY」はドラマ"僕のヤバイ妻"のオープニング・テーマ。19歳という若さで不倫ドラマの主題歌をどう歌うのかと思っていたが、ヴィンテージ・ロックのサウンド(※サウンド・プロデューサーは根岸孝旨、ギターはThe Birthdayの藤井謙二!)を背に"それでも希望を信じたい"という普遍的な願いを歌うことにより、そこに自身の感情を宿らせることも、多くの共感を呼ぶことも可能にさせた。カップリングには、気持ちいい風が吹き抜けるようなテンションのTrack.2「虹」、アコースティック・ギター1本でLED ZEPPELINをカバーしたTrack.3「STAIRWAY TO HEAVEN」を収録。多彩な3曲で魅せる3rdシングルだ。(蜂須賀 ちなみ)
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ANNA CALVI
Anna Calvi
挑発的な真っ赤な唇が一段と目を引くジャケット。そのミステリアスさに、この唇から零れる声は、歌は、一体どういうものだろう? と激しい探究心をくすぐられた。英ロンドン出身のソロ・シンガーANNA CALVIのデビュー・アルバム。ARCTIC MONKEYSのメンバーが自らオープニング・アクトに指名したりと、デビュー前から話題の絶えない彼女の実態が明らかになった。彼女の歌もギターも、官能的なだけではなく、過剰なほどの強い愛情が込められている。その愛情は時に人を傷付けてしまうかもしれない。でもそのくらいの激しさがなければ、想いは届かないのだ。悲しさ、妖しさ、優しさが、緻密に描かれている油絵の世界に飛び込んだようだった。彼女の音楽にジャンルは不要。人生を捧げた10つの世界がここには存在する。(沖 さやこ)
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Anny
泣いてもいいやん
いやあ、面白い。"神戸から日本に元気を!"をコンセプトに活動するメロディック・パンク・バンドの2ndアルバム――そう聞いて抱いた印象は痛快に蹴散らされた。たとえば、女性ヴォーカルのキュートな歌声。聞きとりやすく親しみやすい日本語(ときどき関西弁)の歌詞。メンバーのJ-POP好きが想像できる起承転結のハッキリした展開。甘酸っぱくてキュンとするメロディック・パンク。疾走感はありつつも、多くのパンク・バンドが持っている無骨さとか、汗だくになりながら全力疾走していく感じとはまた別の魅力を持つバンドだ。"MINAMI WHEEL"や"COMIN'KOBE"、アルカラ主催の"ネコフェス"への出演を通して関西圏を中心に知名度を上昇させている彼ら。要注目。(蜂須賀 ちなみ)
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Another Life
S.T.E.P.
東京を拠点に活動するポジティヴ系アグレッシヴ・ロック・バンド Another Life、初の全国流通盤ミニ・アルバム。ギターのyusuke Kobaが作曲を、ヴォーカルのれいゆうが作詞を中心に手掛けて作り上げた全4曲はライヴで盛り上がること間違いなしのアップ・ナンバーばかり。疾走感のあるビートにのせて、ツイン・ギターがめまぐるしく重なり合う楽曲には、どれも"ここで爆発しましょう"というわかりやすいサビが用意されている。リード曲の「感エモ」では支えてくれた人への感謝を込めたほか、別れの悲しみを滲ませた「ハナレバナレ」も、心の中で嫌いな奴を"制裁制裁制裁"と連呼する「サイコパス」でさえも、あらゆる感情をポジティヴに笑い飛ばすようなスタンスが、このバンドの持ち味だ。(秦 理絵)
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another sunnyday
OPEN WORLD
伊藤文暁(Vo/ex.serial TV drama)、大山純(Gt/ストレイテナー)、ナカヤマシンペイ(Dr/ストレイテナー)、美登一(Ba/THE RODS)によるバンドの1年ぶりの新作。どちらかというとラフな、ロックのカッコよさと楽しさをストレートに表現したサウンド。これだけ手練れのミュージシャンが集まっているのに複雑で緻密なアンサンブルを繰り広げはしないこと、そしてそれを"世界を開け"と名付けていることに大きな意味を感じる。Track.1「ヘブン!」は初っ端から"ど派手な希望ふらし やるだけやればいい/終わりにビビったら進化へまっしぐら"と歌う。情報過多の時代だからって考えすぎてばかりだと頭が石になっちまうぞ、と言われている気分だ。(蜂須賀 ちなみ)
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Anrietta
Memoraphonica
暗闇から沸き出でる一筋の光とその残像。平均年齢23歳、5人組のドリーム・ポップ・バンドAnriettaのデビュー・アルバム。Track.1の「Aqua」から7分を越す大作。レーベル・メイトのmatryoshkaを若干彷彿させるような吐息交じりの女性ヴォーカルに、緻密に編みこまれた音と音が静かに寄り添っていき1つの物語を紡ぎだす。そしてTrack.2の「Lost seasons」でバーストさせたシューゲイズ・ライクなギター・サウンドを披露。そしてリード曲の1つである「On the way across the rainbow」ではピアノとストリングスの音がヴォーカルを引き立たせ、特にこのバンドのメロディ・センスの良さを感じさせる。全編に言えることだが非常に神経質な音の作りこみをしている、しかしその楽曲群を窮屈ではなくむしろ生活に寄り添うサウンドトラックのように聴き手に溶け込ませることが出来ているのは流石。(伊藤 啓太)
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アンテナ
あさやけ
配信シングル「未来を待てない」、「花空」を含むANTENAの3rdミニ・アルバム『あさやけ』。インスト曲を経てオープニングを飾るのは"東京はやばいんです"のフレーズが癖になる「Jibunmakase」。夜から朝になるように、アーバンなサウンドは時間経過とともに温かみを増し、アコースティック・ギターやピアノの音色、バンドの有機的なアンサンブルも表出。開けたところへと向かっていく。歌詞には自分自身や身近にいる人を大切に思う気持ちが表れており、昨年から続くコロナ禍における渡辺 諒(Vo/Gt)の心情が色濃く落とし込まれている印象。夏場ぼーっとしている瞬間からふと始まる考え事、無常観までを滑らかに描いた「みんみん」のさりげないすごさにも注目したい。(蜂須賀 ちなみ)
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アンテナ
風吹く方へ
讃美歌のように神秘的な「光」で幕を開ける、ANTENAのメジャー1stフル・アルバム。渡辺 諒のファルセット・ヴォイスと、キーボードの浮遊感には、ふわふわとした心地よさがあるが、彼らが提唱しているコンセプトは"ライフソング"。つまり、私たちの生活やリアルを感じられる芯が貫かれているのだ。"酔っ払って寄っかかって 傾いた電車で"というフレーズを、これ以上ないほど美しく歌う「あなたが眠るまで」は、彼らならではだと思う。また、「ごきげんよう」や「入道雲」で、今の時代にかつてのシティ・ポップ感を真っ正面から鳴らしているところも興味深い。さらに、大人になる切なさを"ラララララ"と力強くシンガロングする「風吹く方へ」には、今の彼らの意志が表れていると思う。(高橋 美穂)
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アンテナ
深い 深い 青
渡辺 諒(Vo/Gt/Key)の療養のため2018年4月より活動休止していたアンテナが、無事復活し、ミニ・アルバムをリリース。無理に希望を目指すでもなく、かといってやたら斜めに構えるわけでもなくフラットで素直な作品だ。平熱に近い楽曲たちを聴いて、休止期間中に彼らは有意義な時間を過ごすことができたのだろうと思った。まずそれが嬉しい。ビートの打ち方や洋邦のミックス感など、前作『モーンガータ』で見られた方向性も踏襲しつつ、コーラス・ワークなどに新たな要素を取り入れ、浮遊感と透明感のあるサウンドを実現。それがヴォーカルの声質、人生の光と影を見つめる歌詞の筆致にもよく合っている。新鮮さと恐ろしさを纏った冬の朝に散歩しながら聴くのがおすすめ。(蜂須賀 ちなみ)
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アンテナ
モーンガータ
仙台の4ピース・バンド、アンテナがメジャー・デビュー。前作からバンド・サウンドにシンセサイザーを取り入れ始めたこと、そして本作ではBUMP OF CHICKENやTRICERATOPSなどを手掛けた木崎賢治氏をプロデューサーに迎えたことが影響し、サウンドは洋楽からの影響を吸収したテイストに変貌。それでも7曲すべてがアンテナの曲として響いているのは、自問自答に苦しむ人の姿を時間軸に沿って描く"夜"の物語と、"自分たちらしさ"を探し、紆余曲折の道を歩んできたこのバンドの歴史がピッタリと重なっているからだろう。回り道と思っていた日々だって、かけがえのない財産に変えることができる。身をもってそれを実感した彼らが、"似た者同士"なあなたへ贈る歌。(蜂須賀 ちなみ)
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アンテナ
天国なんて全部嘘さ
Track.1「おはよう」、Track.4「ピザ取るから」など収録曲のタイトルを見ただけでも察せられるように、歌の内容はこれまでよりも生活に寄り添ったものに。さらにシンセ・サウンドを大胆に取り入れたTrack.5「天国なんて全部嘘さ」が象徴するように、4人で鳴らすサウンドの幅もグッと広がった。つまり、端的に言うと変化作。それでもむしろ"やっと出会えた"と感じてしまうのは、いい意味で欲深くなったというか、自分の人生にも相手の人生にももっと踏み込んでいきたいんだ、という彼らなりの覚悟が読み取れるからだ。波乱の1年を乗り越えた先で本作を作り上げたことに拍手を送りたい。ここからもっといいバンドになっていきそうだ。(蜂須賀 ちなみ)
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アンテナ
底なしの愛
もしもあなたの心の中に音楽にしか洗い流せない部分があるのならば、一度聴いてみて欲しい。私も実際そういう人間なんだけど、このバンドの音楽が自分の内側から離れてくれなくて困っている最中だからだ。言うならば、あたたかな痛みを残されたような感覚。困っていると言いながら正直嬉しかったりするんだけど。様々な形の"愛"をコンセプトにしたミニ・アルバム――とはいっても、そこにファンタジックな甘さはない。少々ひねくれた視点で人間の喜怒哀楽を捉える歌詞と、"正統派"を自ら掲げるサウンドはネガもポジも飾らずに鳴らす。自らの性格をそのまま落とし込んだ全7曲。ある意味残酷だがこの上なく人間臭くピュアな行為がどうしても憎めないし、それこそが彼らの等身大の魅力だ。(蜂須賀 ちなみ)
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アンテナ
バースデー
2010年に仙台で結成された4人組バンド、アンテナ。TOWER RECORDS限定でリリースされた1stミニ・アルバムが仙台店ウィークリー・ランキング1位を獲得したり、"ARABAKI ROCK FEST.12"ではメイン・ステージにも立った経験を持つ彼らが3年ぶりに新作をリリースする。渡辺諒(Gt/Vo)の甘い歌声で歌われるどこか懐かしいメロディは心地よく、親しみやすさに溢れている。流れる日常に思いを馳せるような優しい気持ちになれる「バースデー」、力強いビートが印象的な「サニーデイ」、これまでライヴでも披露されており、彼らのアンセムとも言えそうな「ブックメーカー」など、多彩な全6曲を収録。彼らの可能性を示す名刺代わりの1枚になることは間違いない。(齋藤 日穂)
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anthology three chord
view
2011年に北海道札幌市で結成された4人組ロック・バンドのデビュー・アルバム。札幌を拠点に活動し全国区となった大先輩、bloodthirsty butchersの影響を受けているのはサウンドからも明白。乾いたドラムの音に乗せて2つのギターが単音で絡み合い、骨太なベース・ラインが曲全体をビシっと締める「future」など、黙々と奏でられる硬派な楽曲は無骨な4人の職人が演奏しているような印象を受ける。ただ、それを"エモい"という言葉で切り取ってしまえないほど飾りのない歌声は、まるで友人が部屋に来て目の前で歌を披露しているような生々しさがある。その朴訥さがバンド小僧って感じでとても良い。居心地の悪さや孤独、コンプレックスを感じさせる「海の向こう」の一体感や力の入り具合がこのバンドの個性を表している。(岡本 貴之)
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ANTONY AND THE JOHNSONS
Swanlights
ANTONY AND THE JOHNSONSの世界は、あまりにも独自に突き抜けており、安易な気持ちでは触れられない気がする。そう感じたのは彼が敬愛する日本舞踏界の至宝、大野一雄をジャケットに配した前作『THE CRYING LIGHT』でのこと。壮大なサウンド・スケープに唯一無二の歌声は、強固なまでの美意識を醸し、まるでSIGUR ROSなど幼く感じてしまうほどの張りつめた緊張感があった。その孤高の世界観がビルボードのヨーロッパ・チャートで1位を獲得したのは当然な結果か。そして、待望の新作である。前作と比較するとラフな質感を活かし、さまざまなアプローチでこれまで以上に大衆的間口の開かれた印象を受けるが、美意識の芯は揺るがない。歌姫BJORKとのデュエット曲は早くも話題になっているが、個人的にはラスト「Christina's Farm」の壮美な流れに感動した。(伊藤 洋輔)
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anzu
未来展望
少女性を残したウィスパー、ブレス成分多めの距離の近いヴォーカルが、有機的なアンサンブルと相まって情景を拡張してくれる聴き心地のいい7曲。エヴァーグリーンなアメリカン・ポップス調の「オルリーの丘」に始まり、舞台を想定した観客の拍手や環境音がユニークな「ガルニエ」、CARPENTERSやBurt Bacharachにも通じるメロディを持つ「ロンポワン」、ストリングスとピアノが静かに緊張と解放を表現する「彼女の静謐」、UFOを意味する「OVNI」での懐かしい印象のピアノとエレクトロ・サウンドのバランスも印象的。フランスの映画音楽の主題歌めいた「saravah!」を経て、カラスの鳴き声など日常のサウンドも混じる「ある晴れた朝に」まで、自然且つモダンな聴感が残る。(石角 友香)
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Ao
空の無い世界
冒頭から"報われることの無い努力も/生きていればたくさんあるし/仕方ないって 当たり前だって/少しずつ諦めて"(Track.1「サクリファイスタウン」)と歌っているように、独白のような歌詞は健在。これで嘘なわけないよな、みたいな内容が焦燥感すら覚えるギター・ロック・サウンドに乗ることにより、こちらの胸に容赦なく刺さりまくる。raison d'etre時代の曲も収録したというエピソードからもわかるように、何周か回って原点に戻ってきた、だから濃度が高くアクも強い、という温度感の作品。それはつまり、このバンドにしかできないことばかりが詰まっているアルバムだということだ。結成13年目でこの境地に辿り着いたことを、素直に祝福したい。(蜂須賀 ちなみ)
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