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DISC REVIEW

A

The Experiment

ART vs SCIENCE

The Experiment

ダンス・ロックの常識を覆す、激アツなエモーショナル! 完全生バンドで本国オーストラリアだけでなく、USやUKなど様々な国を踊り狂わしてきたスリー・ピース・バンドART VS. SCIENCEが堂々の日本デビューを果たす。パワフルでカラフルなJimとDanのツイン・ヴォーカルと、変幻自在に音色を変えるキーボード、フィジカルで激しく脈打つビート。思わず口ずさんでしまうメロディと掛け声に、自然と気分が高揚してくる。「常にライヴを意識している」というメンバーの言葉通り、非常にライヴ感が強く、非常に近距離で彼らの温度を感じられる作品だ。既存のスタイルに囚われず、自分達がやりたいように無邪気かつ自由に音を鳴らす。だから聴き手も安心して彼らの音の中に飛び込めるのだろう。(沖 さやこ)

Climbers aim high

asayake no ato

Climbers aim high

年齢を重ねるごとに、純粋に夢を追うことは難しくなる。バンドなんてその代表格と言っていい。諦めさせようとする環境に勝てず辞めていく仲間もいる中で、自分はこのままでいいのだろうか? 今作の1曲目を飾る「クライマー」には、葛藤と戦いながら、それでも"次こそは"と高みを目指す、asayake no atoの本音が綴られている。息継ぎする間もなく重ねられていく言葉、気持ちに拍車をかける疾走感と横溢する眩しい音の粒――きっと、同じように夢を胸に抱いたままもがくすべての人の心を奮い立たせるはずだ。そんなメッセージ性もさることながら、このバンドの素晴らしいところは、歌詞の内容を抜きにしても情感溢れる歌、ポスト・ロック/エモの影響をいい塩梅の押し引きで散りばめながら描く美しいサウンドスケープ。そのアンサンブルの妙に感動する。 (松井 恵梨菜)

Memories

asayake no ato

Memories

cinema staffが2011年にリリースした1stフル・アルバムは、砂漠から"海"を目指す旅路を描いたものだった。asayake no atoは同じく2011年、京都で結成された4ピース。cinema staffやLOSTAGEなどからの影響を感じさせるエモさと、独自のセンスで多彩なサウンドを鳴らす彼らがいよいよ攻めに入る。1stミニ・アルバムのテーマは"海"。悲しみや弱さを抱えながらも、美しく強くあろうとした人たちの生き様を描いたドラマチックな7曲が展開される。スケール感のある音像も魅力的だが、なにより神社 宏行(Vo/Gt)のヴォーカルが素晴らしい。凛としたその歌声は、聴けば聴くほどにリスナーをひき込んでゆく。小説を1ページずつ捲っていくように、じっくりと味わいたい。(奥村 小雪)

CHAIN

ASCA

CHAIN

これまたハネそうな予感しかしない。昨年リリースされたシングル『RESISTER』のヒットと、1stアルバム『百歌繚乱』の高完成度ぶりをもって、存在感を増してきたASCAがこのたび発表したのは、TVアニメ"ダーウィンズゲーム"のOP「CHAIN」を表題曲とした充実のシングル。看板曲のアタック感とキャッチーさがずば抜けているのはもちろんだが、いなためなロック・チューンにして、ASCAの歌にはソウルフルな色合いも漂う「いかれた世界だろ構わないぜ」や、DJ Massを制作に迎え、クラブ・テイストの漂う音像を背景に、ASCAが遊び心たっぷりなヴォーカリゼイションを繰り広げる「Don't disturb」も聴きどころ満載だ。全曲にてASCAが作詞に参加している点も要注目!(杉江 由紀)

百歌繚乱

ASCA

百歌繚乱

液体、気体、個体、はたまたシャーベット状と温度や環境によって様々な形態となっていく水のように。歌う楽曲によって次々と表情を変えてゆくASCAというヴォーカリストの持つポテンシャルが、この1stアルバムではよりいっそうの鮮やかさをもって花開くこととなったようだ。超ビッグ・タイトル・アニメ"ソードアート・オンライン アリシゼーション"のOPとして名を馳せた「RESISTER」など、いわゆる代表曲たちが一挙集結しているという点でも今作はマストバイとなるが、一方ではアルバムならではと言える趣向が凝らされた新曲群が、実に興味深い仕上がりとなっている点にもぜひご注目をいただきたいところ。1stアルバムにして、もはやベスト盤かのようなこの充実ぶりはある意味で末恐ろしい。(杉江 由紀)

RUST / 雲雀 / 光芒

ASCA

RUST / 雲雀 / 光芒

あたかも三種の神器のごとく、3曲の珠玉曲が揃った今回のシングルはASCAにとって今の充実した活躍ぶりをそのまま体現したものとなっているのではなかろうか。力強さとしなやかさをともに感じさせる「RUST」でのヴォーカリゼーションは彼女の持ち味を存分に映えさせる曲であるし、「雲雀」はかの梶浦由記氏が作詞作曲アレンジを手掛けたリリカル且つどこかオリエンタルな風情を漂わせた響きの中で、ASCAが繊細で温かな歌を聴かせるあたりが実に乙。なお、この楽曲は現在TVアニメ"ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-"EDとしてオンエア中とのこと。「光芒」は最もニュートラルなトーンでASCAが持つヴォーカリストとしてのポテンシャルを感じられる仕上がりだ。(杉江 由紀)

RESISTER

ASCA

RESISTER

抗い難いものに抗うことで初めて生まれるアイデンティティがあるのだとしたら。この表題曲の中でASCAが歌い上げてみせるのは、ひとつの決心であり切なる願いでもあるのかもしれない。世界的な人気を誇るラノベ発祥のアニメ作品"SAO"シリーズ最新作"ソードアート・オンライン アリシゼーション"第2期OPテーマとして起用されているこの楽曲においてはASCA自身も作詞に参加。物語の中に漂う緊張感や渇望を言葉と歌の両面で表現することに成功している。なんでもアニメ・ファンの間では"神曲"であると評判も高いそうだが、いちアニソンの域を優に超えるドラマチックな展開はもはや痛快と言ってもいいほど。一方、初回盤に収録のc/w「ただいま。-Studio ver.-」で聴ける、素に近いASCAの歌声の赤裸々さもまたいい。(杉江 由紀)

凛

ASCA

これまでのASCAは、比較的しっとりと聴かせることの多いシンガーであった。しかし、以前から彼女の声質にはパワー感のある楽曲も映えるのではないか、と個人的に感じていたのである。その意味でいけば、TVアニメ"グランクレスト戦記"後期OP曲となった表題曲「凛」はまさに彼女の持つポテンシャルをこれでもか! と抽出した仕上がりだと言えよう。c/wの「サルベージ with EMO Strings」は9人編成のストリングス・チームとの、スケール感たっぷりなコラボ曲。一方、「Don't leave me」はASCAがリスペクトしている阿部真央のカバー・チューンで、これまたASCAの新たな表情を垣間見ることができる秀逸な仕上がり。なお、購入するなら「凛」のMVを収録したDVD付き初回盤をぜひ!(杉江 由紀)

PLEDGE

ASCA

PLEDGE

ASCAは、年若い女性ヴォーカリストでありながら、すでに中学生時分、コンテストでファイナリストに選出されたことがあるという経歴の持ち主だ。故に、その歌唱力はもちろん折り紙つき。TVアニメ"グランクレスト戦記"のEDとして絶賛オンエア中の表題曲しかり、自らが過去に経験した遠距離恋愛をモチーフにして詞を綴り歌い上げたという「悠遠」しかり、聴き手の耳にまっすぐ届いてくるようなピュアな歌声は極めて瑞々しく尊いのだ。それでいて、「グラヴィティ with fox capture plan」で感じられるような躍動感を持ったタイプの楽曲も生き生きとパワフルに歌いこなすことができるヴォーカル力を持っているだけに、彼女の擁する可能性はとても大きいと言える。ここからが伸び盛り本番なのでは。(杉江 由紀)

In The Silence

Ásgeir

In The Silence

2012年、Bjorkも所属するONE LITTLE INDIANよりリリースしたデビュー作『Dyrd I daudathogn』は、出身のアイスランド史上最速で売れたアルバムとなり、全人口の10%が持つ売り上げを誇った、シンガー・ソングライターÁsgeir。2作目の今作は、アコースティック・ギターやピアノを基調に、エレクトロやバンド・アンサンブルで描くサウンドは、時空をたゆたう幽玄的な世界からジャングリーで奇天烈なポップ世界までと様々。柔らかなファルセットVoが、様々に散らばる世界をひとつに結んで一篇の映画を観るようなアルバムにしている。Todd Rundgrenの時間軸をねじ曲げるような音遊びや積み重ねを、テクノロジーでよりモダンにし、かつ美しくエヴァーグリーンなメロディが懐かしさをも誘う。新しくもどこかで出会っている、この感覚がいい。(吉羽 さおり)

Islands

ASH

Islands

復活をアピールした『Kablammo!』からおよそ3年。北アイルランドの3人組が新作をリリース。多彩な楽曲が集大成を思わせた前作から一転、今回は、まずグランジ世代のパワー・ポップ/ギター・ポップ・バンドの矜持を印象づけたうえで、ダンス・ビート、ハード・ロッキンないなたいリフ、THE BEACH BOYS風のハーモニーを交え、抜群のアレンジ・センスを見せつける。「Incoming Waves」はピアノとアコースティック・ギターのシンプルなアンサンブルから壮大に展開するドリーム・ポップ・ナンバーだ。直球のパワー・ポップ・チューン「Buzzkill」では、同郷の大先輩であるTHE UNDERTONESのメンバーが客演するという、パワー・ポップ・ファンには嬉しいサプライズも。(山口 智男)

Kablammo!

ASH

Kablammo!

"最後のアルバムとなる"と宣言した前作『Twilight Of The Innocents』のリリース以降も、"1年間、アルファベットの各文字のシングル曲を2週間毎に発表していく"という前代未聞の企画"A-Z Series"によりクリエイティビティを発揮したASH。8年ぶり、通算6枚目となる彼らのニュー・アルバムは、2分半足らずのパワー・ポップ「Cocoon」から始まり、ストリングスの音色が甘くも儚いアンセミックなナンバー「Moondust」、ダンサブルな四つ打ちビートを軸に展開される「Go! Fight! Win!」、90'sの懐かしさ漂う「Shutdown」やカレッジ・ロックな「Dispatch」など名曲揃い。多彩でありながらも、ひとつの作品としてまとまりがあり、アルバムというフォーマットの魅力を再認識できる1枚。(奥村 小雪)

A-Z Vol. 2

ASH

A-Z Vol. 2

今年のフジロックで久々にASHのパフォーマンスを見たが、良い意味で昔と変わっていなかった。変わっていない部分とは、ともすれば無邪気なほどの、音楽に対するピュアな姿勢だ。そのスタンスがブレないから、いつでも瑞々しく、あの胸のすく繊細な旋律を奏で続けることができる。そんな彼らだからこそ、2週間に1度、デジタル配信&アナログで26曲を1 年間でシングル・リリースするという前代未聞な企画も有言実行できたのだろう。そしていよいよ、その『A-Z』シリーズの完結編、Vol.2 がリリースされる。Vol.1同様、全曲それぞれのスタイルでバラエティに富んだ内容はもちろん、これでもかってくらいASH節満載!曲作りからレコーディングにツアーと同時進行で制作されたというこのシリーズだが、その野心と勇気に心から拍手を送りたい。(佐々木 健治)

A-Z Vol .1

ASH

A-Z Vol .1

ASHが取り組んできたA-Zシリーズから13曲をコンパイルした『A-Z Vol.1』。2週間ごとに一曲発表するというリリース形態自体、大きなチャレンジだったわけだが、様々なスタイルに挑んだ各曲のクオリティの高さはさすがASH。常にフレッシュな状態で活動を続けていなければ絶対に停滞してしまうだろうが、このコンピレーションのどこを切っても瑞々しくエネルギッシュな彼らの様子が伝わってくる。しかも、まだこれがシリーズの全貌ではなく、残り13曲もあるわけだから恐れ入る。正直、これほどASH の活動にワクワクするのは久しぶりだ。ベテラン・バンドが陥りがちなマンネリズムに堕することなく、これほどのポップ・ソング集を届けてくれたこと。どんな能書きよりも、このことこそが何よりも大切な事実だ。(佐々木 健治)

Beast Mode / オクターヴ

ASH DA HERO

Beast Mode / オクターヴ

"劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-"の劇中歌を掲げたダブルAサイド・シングルには、自身の中の"怪物"を解き放てと、シリアス且つ獰猛なバンド・サウンドを高鳴らす「Beast Mode」、初期衝動を抱えながら未来へ向けて加速していく姿を描いた「オクターヴ」の2曲に加え、両楽曲のエンドロールとしても、そこから続いていく物語としても胸に響く、壮大なスケール感を誇る「Light my fire」を収録。アニメ"ブルーロック"とのタッグはTVシリーズから引き続きということもあり、作品との相性や親和性はさることながら、ASH DA HEROというロック・バンドだからこそ放つことができるメッセージが刻まれていて、彼らのスタンスを明確に提示したものになっている。(山口 哲生)

Judgement

ASH DA HERO

Judgement

漲りまくりの初期衝動を閉じ込めた現体制初アルバムから、約半年で到着したメジャー1stシングル。TVアニメ"ブルーロック"2クール目オープニング主題歌のタイトル・トラックは、ヒリヒリとした高速ギターとスクラッチが高揚感を激しく煽るなか、"この世は2つに1つ"とシンプル且つ強靭な言葉を叩き込むスリリングなアップテンポ・ナンバーだ。強烈なグルーヴと爆発力たっぷりなバンド・サウンドの上でASHがラップを畳み掛ける「自分革命」(ADH盤収録)も、凄まじい熱に溢れていて血が騒ぐが、バンド結成までの道のりと5人が目指すものを刻みつけたような「最強のエンドロール」(ブルーロック盤収録)が、とにかくドラマチック。これから先彼らがこの曲を大会場で高鳴らす瞬間を想像するだけで心が震える、端的に言えば超激エモ曲!(山口 哲生)

Genesis

ASH DA HERO

Genesis

昨年9月、ソロ・プロジェクトとしての活動を完結させ、バンドとして歩み始めたASH DA HEROによる、現体制での初アルバムであり、メジャー・デビュー作。グルーヴィ且つ重量感のある強靭なバンド・サウンドで戦争、疫病、差別、同調圧力などといった、この世界を覆うネガティヴを痛快なまでに切り裂いていく全12曲を収録している。ヴォーカル ASHの武器のひとつでもあるラップも非常に鋭利で、凍ってしまった、もしくは日和った心を突き動かす熱いメッセージが込められているが、それはリリックの節々に表れているように、とても冷静に、場合によっては冷酷なまでに現代を見据えているからこそ生まれてくるのだろう。圧倒的なまでにヒロイックなサウンドを現場で、しかもスタジアム・クラスの大会場で味わいたい。(山口 哲生)

Weedkiller

ASHNIKKO

Weedkiller

ヴィヴィットなブルー・ヘアーに、過激なリリックやダーク・ファンタジーなアートワーク、グロテスクなMVと、強烈なインパクトを放つエキセントリックな魅力で注目を集める新世代のポップ・アイコン ASHNIKKO。性的差別や男性優位な世の中への怒りを音楽を通しぶつけてきた彼女が、"環境破壊とテクノロジー"をテーマにデビュー・アルバムをリリースした。"Weedkiller(除草剤)"というワードはこのテーマを直接的に表しながらも、一方的に傷つけられた心が枯れ果てていくようなイメージも含ませ、彼女のパーソナルな怒りの根源を同時に表現。多くのゲストも参加しジャンルの枠にとどまらない自由さはあるが、荒廃した世界を想起させるダークな世界観は一貫され、作品全体でひとつの物語、ディストピアを描いている。(中尾 佳奈)

94-Now: Collaborations

ASIAN DUB FOUNDATION

94-Now: Collaborations

多様なバックグラウンドを活かし、多国籍なジャンル・ミックスを実現、独自の音楽性で人気を博してきた、ASIAN DUB FOUNDATION。今作は、そんなADFの30周年を記念した、彼等の多様性の集大成的コラボ集だ。冒頭を飾るIggy Popとの共演曲「No Fun」の熱量で圧倒し、その後も激しいビートとアジテーション、ラップで畳み掛けたかと思えば、様々なスパイスの香り漂うオリエンタルな味付け、エレクトロ・ミュージックと伝統楽器のマリアージュという素晴らしい音楽体験を提供してくれる。RADIOHEADのEd O'Brien(Gt)、PRIMAL SCREAM、Chuck D等、ジャンルを問わず実力派が惚れ込むADFの世界観を凝縮した1枚。(山本 真由)

The Signal And The Noise

ASIAN DUB FOUNDATION

The Signal And The Noise

今年結成20年目を迎えるASIAN DUB FOUNDATION。この記念すべき年に、創設メンバーであるDr.Dasなどオリジナル・メンバーが復帰したアルバムが完成した。ヘヴィなベース、アグレッシヴなバングラ・ビート、そこにノイジーで印象的なギター・フレーズやテンションの高いヴォーカルがのっている。90年代、彼らが登場したときの衝撃や高揚感にもう一度触れる感覚を味わいながら、よりグルーヴィーに、音楽地図を広げ深化を遂げた、ノリの気持ちよさを体感するアルバムだ。言わばADFによる、もっともADFらしいアルバム。曲のフックはもちろん、メンバーのバックボーンや精神、情熱を、音楽のなかで共存させる無二のサウンドを極めている。ステージへの期待が否が応でも高まる1枚だ。(吉羽 さおり)

MAKUAKE / Little Lennon

ASIAN KUNG-FU GENERATION

MAKUAKE / Little Lennon

ストリングスが奏でる希望的なサウンドを軸に、何度でも立ち上がろうとする意志を描いた「MAKUAKE」は、11年ぶりとなるアジカン主催ロック・フェス"NANO-MUGEN FES."のテーマ・ソング。栄光や挫折を経験してきたアジカンらしさのある心強い詞に、複数アーティストによる賑やかなコーラスが重なり合う展開には思わず胸を打たれる。カップリングは、2015年リリースのアルバム『Wonder Future』の収録曲「Little Lennon / ⼩さなレノン」を岸田 繁(くるり/Vo/Gt)プロデュースのもと再録した「Little Lennon / ⼩さなレノン (Born in 1976 ver.)」。原曲にはなかった管弦楽器が用いられ、より疾走感と多幸感が溢れる仕上がりに。アジカン史上最も恍惚な音が鳴らされる本作は、今と向き合いながら生きる僕等の未来を祝福する。(⼭本 剛久之)

ライフ イズ ビューティフル

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ライフ イズ ビューティフル

目を背けたくなるような悲惨でやるせないニュースや、うんざりするような社会の状況、他人の言動等が溢れる現実の中で、"それでも"という想いを歌にした表題曲「ライフ イズ ビューティフル」。盤石なサウンドと落ち着いた歌唱、澄んだコーラスからは、このメッセージに迷いが一切ないこと、彼等がまっすぐ見つめる先に光が存在することが窺えて奮い立たせられる。カップリングには、のんに提供したパワー・ポップ「Beautiful Stars」のセルフカバーを収録(本家音源/MVもアジカンがバックバンドを務めており要チェック)。2曲共、シンプルだからこそ日々の生活のお供に携えられる、自分なりの"美しい人生"を諦めない私たちへの応援歌だ。(稲垣 遥)

Single Collection

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Single Collection

全33曲の歴代シングルが紡がれ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが日本のロック史に残してきた功績を改めて体感することができる、メジャー・デビュー20周年記念盤。再録された「遥か彼方」で幕を開け、地を這うようなイントロのベース・ラインがノスタルジアと高揚感を運んでくる。20年経っても歌い続けるバンドの熱量が確かな軌跡として反映されている一方で、リスナーは各楽曲の歌詞に登場する"君"に当時の自分や大切な人を投影させ、懐かしさに浸るだろう。暗いムードが漂う情勢や、やるせない日常からも目を逸らさず、今を生きて、愛を鳴らし続けてきたアジカン。これからも変わらない4人だけの音を世界中に響かせてほしい。(山本 剛久之)

宿縁

ASIAN KUNG-FU GENERATION

宿縁

アジカン×アニメ"NARUTO-ナルト-"シリーズとしては、「ブラッドサーキュレーター」に続く3弾目。ここで"前世からの因縁"を意味する"宿縁"というキーワードを挙げたのは、今の自分の行動があとの世代に与える影響や人間のいい意味での変化について、後藤正文(Vo/Gt)が懲りずに希望を託しているからだと思う。王道ギター・ロック・チューンだが、コードがロング・トーンであることで降りしきる雨=現在の世界を思わせるのはリアルだ。また、後藤&喜多建介(Gt/Vo)の共作で喜多Voの「ウェザーリポート」は、近さを感じるミックスが離れていくふたりという珍しいテーマを自然に聴かせ、『サーフ ブンガク カマクラ』の続編という「日坂ダウンヒル」は、ローファイ・ヒップホップ調。各々今年のアジカンの動向を示唆しているのかも。(石角 友香)

出町柳パラレルユニバース

ASIAN KUNG-FU GENERATION

出町柳パラレルユニバース

すでに後藤正文(Vo/Gt)がポッドキャストなどで開陳しているのでサブテキストとして書くが、このシングルの4曲目「柳小路パラレルユニバース」は、『サーフ ブンガク カマクラ』の"続きの駅"として作られていた曲だ。アジカンの青春を想起させる力みのないパワー・ポップが、森見登美彦作品の舞台である京都に移植されたのが、今回の表題曲「出町柳パラレルユニバース」というわけだ。こちらにはアウトロにサイケデリックなギター・フレーズが追加され、アニメ"四畳半タイムマシンブルース"の世界観も。WEEZERのカバーにはAAAMYYY(Tempalay)が参加、喜多建介(Gt/Vo)とのツイン・ヴォーカル(!)の「追浜フィーリンダウン」と、肩の力が抜けたアジカンの素が楽しい。(石角 友香)

プラネットフォークス

ASIAN KUNG-FU GENERATION

プラネットフォークス

進化を続けるアジカンの10thアルバム。三船雅也(ROTH BART BARON)とのハーモニーが圧倒的な爽快感を生むリード曲や、切なくも温かいサウンドに乗せた美しい言葉が沁みる「フラワーズ」、ラップとの融合が新しい「星の夜、ひかりの街(feat. Rachel & OMSB)」、"胸の奥で歌ってよ"という言葉とともに壮大なコーラスが響く今のライヴ・シーンを映したような1曲「Be Alright」など、青春を彷彿させる初期楽曲の青さと、近年の洗練された円熟味が合わさった14曲が収録。アジカンらしさを核としながらも、多彩なアレンジやコラボで新たな広がりを見せている。また多様性やネット社会に切り込む歌詞も奥深い。この惑星に生きるすべての人にとっての明るい未来を祈る1枚。(中尾 佳奈)

ダイアローグ / 触れたい 確かめたい

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ダイアローグ / 触れたい 確かめたい

1年2ヶ月ぶりの新作は、両A面シングル。「ダイアローグ」も「触れたい 確かめたい」も、このコロナ禍による社会を映したような曲で、今改めて大事なものを突きつけられる感覚があるが、実は昨年行った欧州ツアーの際に、ロンドンでレコーディングをした曲だという。ダイアローグ=対話や、人や社会の礎になるものを童話のように、また詩的に描いた「ダイアローグ」。シンプルなメッセージが、細やかなディテールを含んだふくよかなギター・サウンドで織り成され、普遍的なダイナミズムを放つ。また「触れたい 確かめたい」では、塩塚モエカ(羊文学)がゲストVoで参加。後藤正文との歌のアンサンブルで、センチメンタルな記憶や残像を刺激する曲になった。またCD版のみリモート制作による「ネクスト」を収録。(吉羽 さおり)

ホームタウン

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ホームタウン

3年半ぶりのオリジナル・アルバムは、シンプルなバンド・アンサンブルの魅力と底力が発揮されたパワー・ポップが満載。驚くのは、バンドのルーツのひとつでもあるWEEZERのRivers Cuomo(Vo/Gt)が2曲作曲していること。だが、Riversの曲も消化し、むしろバンドのDNAを感じさせながら、全体的にグッとBPMを落とし、各楽器の音の鳴りや音場の豊かさで全編に一貫性を持たせていることが、アルバムであることの意義を実感させる。表題曲や「ボーイズ&ガールズ」に代表される、ここからもう一度歩き出そうとする意志とそれを表現するサウンドの親和性を存分に味わいたい。ホリエアツシ(ストレイテナー/Vo/Gt/Pf)らが手掛けた曲を含むEPも合わせた15曲すべてをぜひ聴いてほしい。(石角 友香)

ボーイズ&ガールズ

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ボーイズ&ガールズ

「生者のマーチ」もそうだったが、今回の「ボーイズ&ガールズ」も徹底して、4人の音しか鳴っていない。それは立ち止まるとか振り返るとかではなく、歩きながら自分の中身を見つめるよう背中を押してくれる。情報量過多で"衝撃"という引っかき傷を作る音楽の真逆にあるのではなく、アジカンの新曲は自発的な発電を促しているのだ。サウンドはWEEZERなど初期の影響源を再解釈しているようでもあり、でも曖昧さはなく、ビートもグルーヴもリフもしっかり地に足をつけているのが新鮮。2曲目の「祝日」はシャッフルのリズムが珍しくアジカンを"男っぽいバンド"という形容で表したくなった。それはギター・アンサンブルの特異性にある。深呼吸して、しぶとく生きよう。そんな後藤正文(Vo/Gt)の声が聴こえるようだ。(石角 友香)

Re:Re:

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Re:Re:

2ndアルバム『ソルファ』収録時から12年。この再レコーディング版のイントロが鳴った瞬間、蘇ったのは"Wonder Future"ツアーの国際フォーラムでのライヴだった。そして、さらにそのあと、ヨーロッパや南米ツアーで確信した"楽曲は届くところには届いている"という思いの反映。細部のアレンジが更新されたことも、楽器の録り音ひとつひとつも、音が鳴る空間が著しくワイド・オープンになったことも、すべてが経験から得た気持ちを反映しているのだ。リスナーの年齢やアジカンと出会った時期によってこの曲の捉え方も違うだろう。個人的には、いよいよ閉塞感のどん詰まりにあった日本において、『ソルファ』は音楽で"それでも行くんだよ"というベクトルを指し示す作品だった。思えばアジカンは言い続けているのだ、そのことを。(石角 友香)

Right Now

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Right Now

行定勲監督の映画"ピンクとグレー"のために『Wonder Future』のツアー中という、多忙さの中で書き下ろされたのが今回の「Right Now」。一聴でアジカンとわかるリフと8ビート。映画の世界観にも通じる東京・渋谷界隈の情景や匂い、自分と他者の境界線の曖昧さと裏返しの自意識過剰。後半にガラッと曲調もテンポもキーも飛翔するように変化する展開が窓を大きく開けるような印象も。そしてこの構成も映画の内容とリンクしている。カップリングには『Wonder Future』のツアーからライヴ音源として「Eternal Sunshine / 永遠の陽光」、「深呼吸」、「Wonder Future / ワンダーフューチャー」の3曲を収録。2015年の経験を血肉にして2016年を走り出すアジカンが、新たな代表曲になり得る大きな一打を繰り出した。(石角 友香)

Wonder Future

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Wonder Future

ゴッチがブログに"震災後、2度目の人生を生きている心持ち"という意味のことをときどき書いているが、現実の音像、そして作品に昇華されたのが今作なのだと思う。シングル『Easter』同様、FOO FIGHTERSのプライベート・スタジオで全曲レコーディングされたこのアルバムの重量とソリッドさが矛盾なく存在するどでかい音像は、イヤフォンで聴いてもつま先まで痺れるようだ。まず肉体に訴えかけてくる。そしてもはや対岸の火事ではなくなった人間同士の断絶などの現実を冷静に描く歌詞の多さ。しかしアルバム・タイトルが示唆するように未来は"ワンダー・フューチャー"なのだ。楽観も絶望もない、励ましもセンチメントもない。ただ生きる意思を鳴らしたらこうなんだ、そんな潔さに満ちている。(石角 友香)

NANO-MUGEN COMPILATION 2014

V.A.

NANO-MUGEN COMPILATION 2014

このコンピの充実度は毎年計り知れないが、今回はASIANKUNG-FU GENERATIONの新曲「スタンダード」を聴くだけでも相当、価値ある1枚。ゴッチ自身が"これは先の都知事選についての歌"と明言しているが、何も変わらないと諦めたら非難の対象と同化してしまう。愚直なまでに続けること、そしてバンドのイメージを引き受けるとはどういうことか?まで応えた1曲だ。文字数の半分をAKG新曲に費やしてしまったが、今年はユニコーンやスカパラなどベテランから、KANA-BOON、グッドモーニングアメリカら新鋭、くるりやストレイテナーらAKG同世代まで縦横無尽な出演者が揃うわけで、このコンピも自ずとその厚みや充実感を体感できる。お得感で言えばくるりの未音源化楽曲や、ストレイテナーの新曲収録も嬉しい。(石角 友香)

Yes,We Love butchers〜Tribute to bloodthirsty butchers〜"The Last Match"

V.A.

Yes,We Love butchers〜Tribute to bloodthirsty butchers〜"The Last Match"

吉村秀樹が亡くなってから1年と1日目にリリースされるトリビュート盤第4弾。あがた森魚(ブッチャーズの射守矢や小松も参加)、the 原爆オナニーズらベテラン、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやTHE BACK HORNといったシーンの中核を担う存在、+/−ら海外の盟友、それでも世界が続くならといった若手まで顔を揃えた今回は、シリーズの中でも最も吉村の影響の広範さを証明。ギター・サウンドとフィードバックだけで胸に熱いものがこみ上げるAKGやenvy、合成ボイスや読経のようなリズム感で再構築したASA-CHANG&巡礼や、ピアノをフィーチャーし、生死の狭間を行くようなサイケデリックな祈りの歌へ昇華したGREAT3など、バンド/アーティストがリスペクトの姿勢を究極まで研ぎ澄ましている。(石角 友香)

Can't Be Forever Young

Gotch

Can't Be Forever Young

全曲メジャー・キー、生ドラムを使わない圧の少ないサウンド・プロダクションが、まず聴き手の構えた気分を解きほぐす。"まぁ座りなよ"とでも言われてる気分とでも言おうか。スクラッチが90sのUSインディーやローファイ感を想起させる「Wonderland/不思議の国」もあればオーソドックスなR&Rが新鮮なタイトル・チューンもあるし、ホリエアツシがギター、ピアノ、コーラスで参加した「Great Escape from Reality/偉大なる逃避行」はエクスペリメンタルでありつつ、潔く音を引いた聴感が心地よい。そしてアルバムのラストに配置された「Lost/喪失」が、アルバムの中にあることで、また違う聴こえ方をするのも興味深い。日常の中にある旅もどうしようもない諦念も怒りも、声高じゃない分、より細胞に染みわたる。(石角 友香)

フィードバックファイル2

ASIAN KUNG-FU GENERATION

フィードバックファイル2

シングルのカップリングやアルバム未収録曲の編集盤である『フィードバックファイル』第2弾。アルバムやシングルの表題が音楽的なイノベーションを前向きに背負う位置づけにあるとすれば、このシリーズは必然的に普遍的で無防備な楽曲が揃うことになるのではないだろうか。中でも今回、胸に深く刻まれるのは震災直後、やむにやまれぬ心情でゴッチが命を削りだして書いた曲。記号にしてはいけない3.11、アーカイヴできないあの頃の気持ちが否応なしに思い出される「ひかり」や、この2年のライヴの重要曲「夜を越えて」の存在感。また、昨年のハマスタ・ライヴ日に配信された新曲「ローリングストーン」「スローダウン」に窺える11年目への姿勢。移ろう日々の中でも常に携えていたい気持ちを呼び起こす名盤だ。(石角 友香)

ザ・レコーディング at NHK CR-509 Studio

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ザ・レコーディング at NHK CR-509 Studio

1曲目の「遙か彼方」での太いベース・ラインが鳴った瞬間の臨場感たるや!メンバー4人での緊張感のあるテイクには、初期のナンバーが持つ心の底から奮い立つようなアジカンならではの音楽の駆動力が、今のアレンジで鳴らされている。また、三原重夫(Perc)、上田禎(Key/Gt)、岩崎愛(Cho)を迎えた7人編成での「新世紀のラブソング」など、オリジナル録音の再現ではない新たな解釈は、合奏の歓びが(もちろん、シビアさも含めて)横溢。奇しくも最新曲「今を生きて」のタイトルが象徴的だが、ライヴ・レコーディングとはまさにそれ。そしてその臨場感を削がず、美化せず、ただクオリティの高い音像として定着してくれたことに感謝したい。メンバーはもちろん、楽器やアンプやエフェクターの息遣いが聴こえる。(石角 友香)

NANO-MUGEN COMPILATION 2013

V.A.

NANO-MUGEN COMPILATION 2013

ASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催するNANO-MUGEN CIRCUIT 2013に出演する全アーティストの楽曲を収録したコンピレーション・アルバムがリリース。アジカンの楽曲「Loser」は、BECKの同名曲の日本語カヴァーだ。歌詞は日本語訳ではなく、原曲が綴る"負け犬"を、後藤正文が2012年の日本版として新たに描いている。その中には"海辺で燃え続ける夢の切り札""膨張する正義"など、最初から最後まで意味深なワードが並ぶ。後藤のポエトリー・リーディング風のラップはそれを軽やかに届けるが、内にこもる怒りはBECKのそれを彷彿させる。全15アーティストの提示したい色が明瞭に出た楽曲たち。現代の日本に鳴り響く芯のある音楽を、この1枚で楽しめるはずだ。 (沖 さやこ)

今を生きて

ASIAN KUNG-FU GENERATION

今を生きて

アルバム『ランドマーク』から約半年のインターバルでリリースされたシングルは、映画『横道世之介』の書き下ろし主題歌。長崎から上京したばかりのお人よしの大学生である主人公とそれを取り巻く青春物語である『横道世之介』ワールドに寄り添うあたたかいナンバーだ。喜びや哀しみが漂う日常的な風景が描かれた歌詞と、気張らず軽やかに鳴り響くサウンドは、人間が持っている自然体の力強さを感じさせる。後藤正文のファルセットは大切な人に優しく手を振るようなやわらかさで、聴いているこちらも自然と笑顔になっていた。"生きている"という事実を素直に喜びたくなる。タップ・ダンスのようにたくましく躍動的に耳を刺激するピアノの音色が印象的なc/w「ケモノノケモノ」も必聴。(沖 さやこ)

ランドマーク

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ランドマーク

3.11以降、社会的な発言や行動をとってきた後藤正文が放つ言語、そしてバンド・サウンドの現在が注目される本作は、まさにこの間、彼らが体験してきた逡巡や希望や疑問が、シンプルで純度の高い表現で結晶した力強い内容。浮遊感とトライヴァルなビートが交錯する「AとZ」、アジカンらしさを2012年にアップ・デートしたような「それでは、また明日」、後藤のスポークン・ワーズが諦観と希望を行き来する樣がリアルな「マシンガンと形容詞」後戻りできない事実を認めつつ、だからこそ日常の愛おしさが際立つ「アネモネの咲く春に」など全12曲。表現に正解も不正解もないが、今年発表される作品として、何かしらの感銘や反応をリスナーに起こす作品。(石角 友香)

マーチングバンド

ASIAN KUNG-FU GENERATION

マーチングバンド

鳴らす足音。息を吹き込み、力強く叩きながら、鳴らされる沢山の楽器。一歩ずつ前進する、前へ前へと突き進む姿を、行進する吹奏楽団と形容した本作は、迷ったけれど、苦しいけれど、それでも前へ進んでいこうと強く決意し歩み出した者の歌だ。そして今、後藤正文(Vo&Gt)が、どうあろうとしているのかがよく分かる。"希望を掲げよう""ささやかな光を"というように、希望を灯そうという想いが能動的な言葉たちから読み取れる。歩みを止め、躊躇することはいくらでも出来る、その迷いや弱さを消せぬことは認めた上で、"それでも僕らは息をしよう"と歌う。そうやって前進していく言葉たちは、一度も振り返らず、一度も後退しないまま、最後まで"行け"と想いを貫き通す。後藤の言葉、その伝えようとする想いは、僕らの心目がけて一歩踏み出した。(島根 希実)

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011

V.A.

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2011

アジカン企画&主催の夏フェス"NANO-MUGEN FES."も今回で9回目(ツアー形式だった「NANO-MUGEN CIRCUIT2010」を含めると10回目)。WEEZERやMANIC STREET PREACHERSをヘッドライナーに、BOOM BOOM SATELLITES、the HIATUS、若手注目バンドねごと、モーモールルギャバンなど、洋邦共に相変わらずの豪華ラインナップ。出演バンドの楽曲が1曲ずつ収録されているコンピレーション・アルバムは、今作で5作目。そして、今回収録されているアジカンの新曲は2曲。チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo&Gt)を迎えた「All right part2」は、後藤と橋本の気だるい歌い方と熱が迸る歌詞のコントラストが鮮やかで、高揚感に溢れたギター・リフとメロディも力強く鳴り響く。ユーモラスなあいうえお作文、男性の言葉で歌う橋本の艶とレア感も思わずニヤついてしまう。東日本大震災時の東京を描いた「ひかり」は、人間の醜い部分や絶望感にも目を逸らさず、物語が淡々と綴られている。言葉をなぞる後藤の歌に込められた優しさと強さは、当時の東京を克明に呼び起こしてゆく。生きることが困難な時もあるだろう。だが"オーライ"と口ずさめば、ほんの少し救われる気がする。音楽の持つ力を信じたい――改めて強くそう思った。(沖 さやこ)

マジックディスク

ASIAN KUNG-FU GENERATION

マジックディスク

Track.1「新世紀のラブソング」、Track.2「マジックディスク」で幕を開けるこのアルバムは、新しい時代をポップにしていこうという意志によって貫かれている。「新世紀のラブソング」や「迷子犬と雨のビート」でみせたように様々な新機軸がありながらも、従来のアジカン・サウンドがまた新たな次元に到達している。これまで以上に軽やかなフィーリングがとても新鮮だ。2000年代の閉塞感から抜け出し、新たな10年をどう塗り替えていくか。それは結局、個々の生活の中に、個々の思いの中にしかない。その意志の強さが徹頭徹尾貫かれる『マジックディスク』。音楽が持つ魔法の力をもう一度信じよう。きっと10年後にこのアルバムが2010年代の日本のポップ・ミュージックにとってターニング・ポイントのひとつになっているはずだ。(佐々木 健治)

ソラニン

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ソラニン

4月に公開される映画『ソラニン』の主題歌となるニュー・シングル。昨年リリースされたシングル「新世紀のラブソング」は、これまでのアジカンの言語感覚をもう一歩推し進める形で新たなスタンダードを提示する挑戦的な曲だったが、今回はこれぞまさにアジカンと言うべき王道のスタイル。起承転結のはっきりした展開で、アジカンらしいフックの効いたメロディがドライヴしていく。今回は、『ソラニン』の原作者浅野いにおが手がけた歌詞にメロディをつけるというコラボレーションという形態をとっている。新機軸に挑むことと王道と呼べるスタイルで楽曲を更新していくことが両輪となって、アジカンというバンドをさらに前進させ続けるという事実を示す一曲。カップリングには、映画用に新たにミックスされた「ムスタング」を収録。(佐々木 健治)

新世紀のラブソング

ASIAN KUNG-FU GENERATION

新世紀のラブソング

1年2ヶ月の創作活動を経た後にリリースされるアジカンのニュー・シングルは、二つのメイン・メロディが交錯し、歌うというよりは呟きを発する前半から、1オクターブを自在に操りながらも、朗々と力強いメッセージを発する後藤の歌が、曲を聴いた何時間後も頭に残って離れることがない。これまでのアジカンらしさは決して失われていないながらも、確実に新機軸を打ち出しており、まだまだ音楽に対する意欲が彼らの中で漲っていることを感じる。そしてそこには、様々なバンドが通過する迷走感は微塵もなく、ファンの期待に応えながらも新しい感動を投げかける、とっても素晴らしい曲なのだ。カップリングの「白に染めろ」も、力強さに満ち溢れたナンバーだ。12月からは全国ツアーが始まるが、新世紀を迎えた彼らの勇姿を、とくとこの目に焼き付けたい。(杉浦 薫)