Japanese
yama
2025年03月号掲載
葛藤を抱えながら前に進む人たちを緩やかに繋ぐ";(セミコロン)"
yamaが4thアルバム『; semicolon』を3月5日にリリースした。歌い手シーンから飛び出し、匿名的な存在から、ライヴやツアーでリアルな聴き手とのコミュニケーションを通じて、yamaにしか表現できない作品を1stアルバム『the meaning of life』(2021年)、2ndアルバム『Versus the night』(2022年)、そして自身の作詞作曲やクリエイターとのコライトがグッと増えた3rdアルバム『awake&build』(2024年)と重ねてきた。アルバムごとに単にヴォーカリストとしてだけではなく、1人の人間としての変化と成長を刻み、前作『awake&build』で"モラトリアム3部作"を締めくくったyamaは実際、配信シングル「こだま」以降、明らかに綴る言葉に変化を見せる。タイアップ曲としての役割を含むのは確かだが、ネクスト・フェーズは「こだま」を皮切りに「声明」、「オリジン」、「BURN / yama×WurtS」、「雫(prod. indigo la End)」にも明確に窺え、さらにアルバム・スケールでその実感を確かなものにしてくれた。
前作『awake&build』でも、果敢に数多くのコラボレーターと楽曲を生み出したyamaだが、今作でも、アルバム・リリース直前に先行配信されたindigo la Endとの初タッグである「雫」での新鮮な驚きに並ぶ楽曲が、多彩にラインナップされた。オープナーは前作収録の「偽顔」、「沫雪」でも共作したMatt Cabと再びコライトした「TORIHADA」だ。前作でも打ち込みのトラックやR&B/ヒップホップのメロディのフロウで一皮剥けた印象を与えたが、今回はよりナチュラルな印象のトラックと、何よりも恋に落ちる瞬間を描いたようなリリックに驚かされる。清冽なyamaの声が上がる心拍数を爽やかにすら感じさせるのも新鮮だ。以前から感じていたが、こうしたエアリーな楽曲でのヴォーカルは、ポスト宇多田ヒカルと言っても大袈裟じゃない存在感を放つ。
yama『Film』Music Video
続く「Film」は「こだま」も記憶に新しいmaeshima soshiとの初共作。シンセ・ベースのグルーヴと洒脱なギター・カッティング、グルーヴの上を滑らかにすべるストリングス・アレンジが非常にスタイリッシュだ。写真のフィルム、そこに焼き付けてしまうことで過去になってしまう時間。これまでにない語彙と表現に驚いてリピートしてしまう。
yama『偽顔』Music Video(3rd ALBUM「awake&build」)
yama『沫雪』Music Video
続く「こだま」はmaeshima soshiとOHTORAの作曲。この曲が昨年2月にリリースされた際にもyamaのネクスト・フェーズを実感したが、アルバムで聴くと、軽快な打ち込みのトラックとダンス・ミュージックのグルーヴに自然と身を任せることができる。「こだま」はNTTドコモ"卒業希望式"CMソングとして、"社会に卒業してほしいこと"を全国の若者から募集し、そこからyamaがインスピレーションを受けて作詞したもので、その内容には"誹謗中傷"や"周りの目を気にすること"を卒業したいという声が多かったらしい。この曲の主人公が傷を負った側の視点でしなやかに生きていこうとしているのは、yamaの個性でもあるし、時代の投影でもあると感じる。
yama『こだま』Music Video
切なさを含みながらも明るい曲調が続くなか、ボカロPであり、ONIONRINGのベース&ヴォーカルでもあるTaskの作詞作曲による「声明」が、言葉数の多いメロディを乗りこなすyamaのヴォーカリストとしての軸にあるスタイルを、アップデートした形で浮き上がらせる。
そして、これまでもアーティストとのコラボ楽曲をいくつもリリースしてきたyama。その最新形が"仮面同盟"を自認するWurtSなのはファン垂涎だったはずで、そのコラボが、TVアニメ"るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱"第2クール・オープニング・テーマ「BURN」で実現したのは印象に残っている。WurtSが作詞作曲を手掛けた、彼らしい爆発力のあるオルタナティヴなバンド・サウンドで、2人が声を合わせるサビのアンセミックな痛快さは癖になる。
yama✕WurtS『BURN』Music Video
さらにアルバム新曲の「MUSE」は、VOCALOIDクリエイター kemuで、PENGUIN RESEARCHのベーシストでもある堀江晶太と詞曲を共作した。バグを起こしたように暴走するトラックはボカロクリエイターのそれだし、ボトムを支えるベースラインが肉感的な生ベースなのは堀江らしい。2人に共通するバックグラウンドごと更新したような聴感が、アルバムを聴く楽しさを加速させる。そこからスリリングなトラックメイクとSF的な世界観の「オリジン」へもスムーズに接続。OHTORAとNew Kのコンビが作る緻密なのにどこか軽いトラックに乗る、言葉数の多い歌メロを乗りこなしていくyamaに少し懐かしさを感じるぐらい、このアルバムで聴けるyamaの歌のレンジは広い。新鮮さで言うと、シティ・ポップとディスコ・ポップが融合したニュアンスの「レコード」も面白いと思う。SIRUPやMAZZEL等R&B/ポップ・ジャンルで活躍するプロデューサー、Taka Perryとのコライトが英語詞のラインを生んでいて、yamaのジェンダーレスでまっすぐな声が、むしろ曲を平凡なものにしないことを証明している。
アルバムも終盤に向かうと生のバンド・アンサンブルの有機的な楽曲で、じっくりyamaの表現に触れる楽曲が続く。「一寸の赤」でもお馴染みのにおが作詞、作曲、編曲を手掛けた「rain check」は、ネオ・ソウル/ジャズ・フレーヴァーの全身の力みが抜けるような音像が、欠点だらけの2人でもお互いの良さを知りたいという不器用な寛容を温かく照らしている。におだけでなく、再び共作したクリエイターとyamaの信頼関係が、脱モラトリアム期を構成する楽曲にリアリティを添えているのだろう。メロウネスとバンド・サウンドは続く「雫」で溢れるリリシズムを花開かせる。アルバム先行シングルとしてリリースされたこの曲でindigo la Endを編曲、つまり演奏で迎えたことが大きな話題になったが、作詞作曲がyama本人であることをいい意味で一瞬忘れる程、indigo la Endのシグネチャー・サウンドが全編で鳴っている。大切な人との別れは前作収録の「陽だまり」でも描かれていたが、「雫」も解釈の幅がありつつ、別れが自分に与えた気付きが聴く者の心を共振させる。その場面においてindigo la Endの切なくも大きな波のような音像は決してベタつかず、yamaの表現をニュートラルに着地させている。まさに脱モラトリアム期だからこそ生まれた名曲だろう。
yama『雫(prod. indigo la End)』Music Video
ラストはタイトル・チューンの「semicolon」だが、驚く程、R&Bが浸透した90年代以降のJ-POPの王道バラードなのだ。作曲は上口浩平とのコライトで、曲のトーンと、モラトリアム期との声の表現力の違いを感じることで、"セミコロン"というテーマが立体的になる。アルバムとして見事な構成だ。
yama『semicolon』Music Video
ちなみにタイトルの";"は関係のある2つの文章を繋ぐ接続詞や、1つの文章を終わらせないピリオドとコンマの中間的な役割を担う記号だ。このことからニュー・アルバムは過去と未来の中間点である現在を示唆しているのだろうし、モラトリアムから完全に脱したわけではないことも窺える。また、2010年代頃から海外で心の病に苦しむ人たちをサポートするムーヴメントの一環として、";"のタトゥーを入れSNSに投稿することで互いに励まし合う非営利団体の活動があり、そのタトゥーの代金を、団体に賛同するタトゥー・ショップたちが、緊急電話連絡センター等に寄附するというイベントを行ってきている。";"にはこれまでの人生に区切りを付け、新しい人生を歩んでいくという意味が含まれており、そして同じ立場にある人同士が静かに連帯できるという意味でも、作品性と無関係ではないだろう。アルバムの随所に込められたyamaの意思を、感覚を開いて受け止めてほしい。(石角 友香)
yama 4th Album「; semicolon」全曲Trailer
yama
NEW ALBUM
『; semicolon』
【完全生産限定盤】CD+BD+GOODS
SRCL-13183〜5/¥13,500(税込)
【初回生産限定盤】CD+BD
SRCL-13186〜7/¥8,800(税込)
【通常盤】CD
SRCL-13188/¥3,300(税込)
[MASTERSIX FOUNDATION]
NOW ON SALE
1. TORIHADA
2. Film
3. こだま
4. 声明
5. BURN / yama✕WurtS
6. MUSE
7. オリジン
8. レコード
9. rain check
10. 雫(prod. indigo la End)
11. semicolon
- 1
LIVE INFO
- 2025.04.13
-
片平里菜
PIGGS
Maki
THE BACK HORN
SUPER BEAVER ※振替公演
go!go!vanillas
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
ACIDMAN
藤巻亮太
a flood of circle
古墳シスターズ
The Ravens
セックスマシーン!! × KiNGONS
FINLANDS
サカナクション
THE YELLOW MONKEY
超☆社会的サンダル
SCOOBIE DO
LOVE PSYCHEDELICO / The fin. / 荒谷翔大 / 幽体コミュニケーションズ
MAN WITH A MISSION
THE BAWDIES
Cö shu Nie
DENIMS
岸田教団&THE明星ロケッツ
CNBLUE
Novelbright
Ado
Mega Shinnosuke / Conton Candy / トンボコープ / TOOBOE / Aooo ほか
ヒトリエ
Panorama Panama Town
四星球
怒髪天
cinema staff / 9mm Parabellum Bullet / アルカラ / ストレイテナー ほか
Tempalay
ハク。
原因は自分にある。
パスピエ
"SYNCHRONICITY'25"
THE ORAL CIGARETTES
- 2025.04.14
-
YONA YONA WEEKENDERS
ELLEGARDEN × FEEDER
- 2025.04.17
-
柄須賀皇司(the paddles)
XIIX
yama
KANA-BOON
ELLEGARDEN × FEEDER
SUPER BEAVER
The Ravens
君島大空
KIRINJI
Mirror,Mirror
androp
東京初期衝動
村松 拓(Nothing's Carved In Stone/ABSTRACT MASH/とまとくらぶ)
- 2025.04.18
-
超☆社会的サンダル
THE KEBABS
藤巻亮太
Maki
Omoinotake
THE LAST DINNER PARTY
緑黄色社会
THE ORAL CIGARETTES
yama
never young beach
曽我部恵一
FUNKIST
androp
indigo la End
"I ROCKS 2025 stand by LACCO TOWER"
あっこゴリラ
THE BACK HORN
- 2025.04.19
-
"ジゴロック2025"
MAN WITH A MISSION
フラワーカンパニーズ
GANG PARADE
ねぐせ。
サカナクション
"IMPACT! XXII"
WANIMA
眉村ちあき
ヤバイTシャツ屋さん / SUPER BEAVER / ストレイテナー / アルカラ ほか
THE YELLOW MONKEY / UVERworld / シンガーズハイ / yutori ほか
never young beach
原因は自分にある。
THE ORAL CIGARETTES
古墳シスターズ
THE BAWDIES
FINLANDS
sumika
ずっと真夜中でいいのに。
ゴキゲン帝国
太田家
Base Ball Bear × ART-SCHOOL
FUNKIST
HY
PIGGS
BRADIO
須田景凪
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
"I ROCKS 2025 stand by LACCO TOWER"
- 2025.04.20
-
片平里菜
"ジゴロック2025"
chef's
眉村ちあき
緑黄色社会
サカナクション
ビレッジマンズストア
fox capture plan
This is LAST
NOT WONK
古墳シスターズ
10-FEET / フラワーカンパニーズ / 四星球 / くるり / Hakubi ほか
UVERworld / Novelbright / TOOBOE ほか
原因は自分にある。
藤巻亮太
go!go!vanillas
NakamuraEmi
HY
sumika
indigo la End
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
THE BACK HORN
ずっと真夜中でいいのに。
THE LAST DINNER PARTY
SCOOBIE DO
BRADIO
吉澤嘉代子
"I ROCKS 2025 stand by LACCO TOWER"
moon drop
- 2025.04.21
-
THE KEBABS
クジラ夜の街×ルサンチマン
SANDAL TELEPHONE
- 2025.04.22
-
片平里菜
SUPER BEAVER
THE KEBABS
HINDS
Saucy Dog
THE YELLOW MONKEY
NANIMONO × バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
暴動クラブ
- 2025.04.24
-
PEDRO
柄須賀皇司(the paddles)
片平里菜
阿部真央×大橋卓弥(スキマスイッチ)
indigo la End
w.o.d.
BIGMAMA / cinema staff
THE KEBABS
yama
藤巻亮太
- 2025.04.25
-
古墳シスターズ
FUNKIST
そこに鳴る
w.o.d.
Keishi Tanaka
fox capture plan
chef's
ラブリーサマーちゃん
それでも世界が続くなら
斉藤和義
yama
the shes gone
Laughing Hick
ビレッジマンズストア
- 2025.04.26
-
CYNHN
Keishi Tanaka
阿部真央×大橋卓弥(スキマスイッチ)
sumika
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
Novelbright
ヤバイTシャツ屋さん / 打首獄門同好会 / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / キュウソネコカミ ほか
FUNKIST
"ARABAKI ROCK FEST.25"
GANG PARADE
サカナクション
渡會将士
"nambar forest'25"
INORAN
ACIDMAN
Laura day romance
Bimi
Subway Daydream
Bray me
FINLANDS
WANIMA
Omoinotake
柿沼広也 / 金井政人(BIGMAMA)
古墳シスターズ
ハシリコミーズ
THE BAWDIES
斉藤和義
Panorama Panama Town
Ado
MyGO!!!!! × Ave Mujica
村松利彦(Cloque.) / まやみき(ank) / るい(TEAR) ほか
RAY
This is LAST
- 2025.04.27
-
原田郁子(クラムボン)
Keishi Tanaka
sumika
ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ
BLUE ENCOUNT / SUPER BEAVER / 四星球 / ENTH ほか
The Ravens
FUNKIST
"ARABAKI ROCK FEST.25"
THE KEBABS
GANG PARADE
ヒトリエ
緑黄色社会
サカナクション
"nambar forest'25"
Bray me
FINLANDS
Ayumu Imazu
渡會将士
Bimi
HY
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
オニザワマシロ(超☆社会的サンダル) / 名雪(Midnight 90's)
Subway Daydream
THE BAWDIES
fox capture plan
トゲナシトゲアリ×ダイヤモンドダスト
Ado
MyGO!!!!! × Ave Mujica
RELEASE INFO
- 2025.04.15
- 2025.04.16
- 2025.04.17
- 2025.04.18
- 2025.04.23
- 2025.04.25
- 2025.04.26
- 2025.04.28
- 2025.04.30
- 2025.05.03
- 2025.05.07
- 2025.05.09
- 2025.05.14
- 2025.05.16
- 2025.05.21
- 2025.05.23
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Bimi
Skream! 2025年04月号