Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube

DISC REVIEW

Lost Art Of Conversation

NAKED SIX

Lost Art Of Conversation

英国ギター・ロックの伝統を引き継ぐ新たな才能がここに! 3ピースのエネルギッシュなロック・バンド、NAKED SIXのデビュー・アルバムがリリースされた。若者のロック離れなんてなんのその、時代の移り変わりには、必ずロックの芽が息吹く。NAKED SIXのサウンドには、そんな空気を感じさせるパワーがある。根底にはUKギター・ロックのシンプルな魅力がありながら、ガレージ・ロック、オルタナ、パンクなどのアグレッシヴな面も併せ持ち、時折ブルージーで影のある顔ものぞかせる。だが、そんな複雑なことは考えず、頭を空っぽにして楽しめるアルバムだ。その証拠にほら、曲の頭で"ワァーオ、イエー!!"って気持ちよく叫んでる曲が2曲も。今の君に必要なのはこの"ワァーオ、イエー!!"ですよ。(山本 真由)

Father Of All...

GREEN DAY

Father Of All...

期待通り、なのにまったく新しいGREEN DAYがここに! ポップ・パンク/ポップ・ロック・シーンのヒット請負人、Butch Walkerをプロデューサーに迎えた新作。前作が社会的な問題を盛り込みつつ、比較的シンプルなパンク・ロック・スタイルで攻めていたのに対し、今作は遊びの要素がありエンターテイメント性が高い作品となった。ブラック・ミュージックを意識したような裏声を使った歌唱やハンズ・クラップのリズム、そして、それがGREEN DAY節のポップなロックにハマった気持ち良さ。Billie Joe Armstrong(Vo/Gt)の息子、JoeyがSWMRSでレトロな音楽を若い感性で取り入れているし、お互いにいい刺激を与え合っているのかも? なんて考えてしまう。(山本 真由)

Miss Anthropocene

GRIMES

Miss Anthropocene

エキセントリックで刺激的な新世代のポップ・アイコン、GRIMESが気候変動をテーマにした壮大なコンセプト・アルバムを完成させた。"Miss Anthropocene(人新世=人為的要因の気候変動などによってもたらされる想定上の地質時代)"と題された今作は、世界の終焉を楽しむ気候変動の女神をGRIMESが演じ、楽曲制作やプロダクションだけでなく、ヴィジュアル・イメージなど統括的なアートワークをひとりでこなしている。エキゾチックでミステリアスなメロディや、北欧神話のような神秘性を秘めた楽曲のダイナミズム、洗練されたEDMのポップネス、オルタナティヴ・ロック的なギター・サウンドの存在感。それらすべてが不思議な調和で交じり合う未知の感覚が癖になる。(山本 真由)

~How I'm Feeling~

LAUV

~How I'm Feeling~

LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター、LAUV。耳心地のよい優しいタッチの楽曲と、SNS世代の若者の声を代弁するようなリリックが共感を呼び、新世代ポップ・スターとも称される彼が、初のフル・アルバムをリリースする。すでにヒット・シングルをいくつもリリースしているので、もはやこれが現状のベスト盤と言ってもいいくらいの充実した内容だ。なんでもない日常の美しく煌めく刹那を拾い上げ、そして、危うい心の内を曝け出す、そのピュアな美しさがいい意味でとてつもなくしんどい。穏やかな曲調なのに、冒険心のあるリズムやセクシーなグルーヴで遊び、メロディの美しさを際立たせている。細かい音の使い方やエフェクトのひとつひとつにも神経の行き届いた完成度の高い作品。(山本 真由)

The Slow Rush

TAME IMPALA

The Slow Rush

奇才、Kevin Parker(Vo/Gt)率いるオーストラリアのサイケデリック・ロック・バンドがバレンタインデーに新アルバムをドロップ。数々のフェスでヘッドライナーを務めただけでなく、昨年は結婚し、公私共に充実していたKevinが、今作でもすべての楽器を演奏しているほか、ミックスやプロダクションも兼任している。細かいことはいろいろやっているのに、テクニカルな印象というよりは、80'sっぽいアナログなシンセ・サウンドの温かみや、自然と引きずり込まれるような根源的なリズムが印象的。才能が溢れ出すぎて怖いけど、それがちっとも嫌味じゃない、ナチュラルで我が道を行く雰囲気もすごい。TAME IMPALAの真骨頂とも言えるアートを超えたポップの世界をご堪能あれ。(山本 真由)

Perdida

STONE TEMPLE PILOTS

Perdida

新ヴォーカリスト Jeff Guttを迎え復活を果たし、2018年にはバンドとして2度目のセルフ・タイトル・アルバムをリリースしたSTONE TEMPLE PILOTS。彼らが現体制2作目のオリジナル・アルバムにして、バンド初となる全編アコースティックの作品を作り上げた。アコースティック・ギターをはじめ、フルートやアルト・サックス、マーキソフォンなどの楽器も取り入れられた、ブルージーな枯れた味わいのサウンドは、スペイン語で"喪失"を意味するタイトルも相まって、バンドが辿ってきた歴史と思わず重ね合わせてしまうような哀愁を帯びている。一方で、温もりのあるJeffの歌声からは希望も感じさせる。過去を受け入れながらも、着実に前へ進んでいくというバンドの意志が窺える作品だ。(菅谷 透)

New Hope Club

NEW HOPE CLUB

New Hope Club

イギリスの3人組ポップ・バンド、NEW HOPE CLUB。昨年行った初の単独来日公演も盛況だった彼らが、満を持してデビュー・アルバムをリリース。哀愁を帯びたメロディにR&Bやラテン・ミュージック、エレクトロ・ポップなど様々なダンス・ミュージックを混ぜ合わせ、オリジナルな世界観を作り出している。USっぽいサウンドなのかなと思いきや、シンプルな楽曲の中には、しっかり彼らのバックグラウンドにあるUKロックの片鱗を感じ取ることができる。何しろ若いし顔がいいので、アイドル的な目で見られてしまいそうだが、3人ともマルチ・プレイヤーで、とにかく、ソングライティングのセンスもアレンジメントのセンスも抜群の音楽エリートなので、幅広い世代に聴いてほしい。(山本 真由)

The Kids Are Coming

TONES AND I

The Kids Are Coming

シンプルだが印象的なピアノ・イントロに、一度聴いたら耳から離れない強烈な歌声――「Dance Monkey」が30ヶ国以上のシングル・チャートで1位を獲得し、YouTubeではMVが7億回再生を超えるなど大ヒットを記録している、シンガー・ソングライター Toni Watsonのソロ・プロジェクト TONES AND I。彼女のデビューEPは、その歌声を存分に堪能できる内容に仕上がっている。しっとりと歌い上げるTrack.3、5や、軽快なリズムが心地よいTrack.4など、楽曲ごとに多彩な表情を見せるヴォーカルは、オーストラリアの路上から1年で世界的なスターへと上り詰めた実力を証明している。日本盤には「Dance Monkey」のピアノ弾き語りバージョンも収録。(菅谷 透)

Everything Else Has Gone Wrong

BOMBAY BICYCLE CLUB

Everything Else Has Gone Wrong

3年間の活動休止を経て2019年にシーンへ復帰したロンドン北部出身の4人組インディー・ロック・バンドが、約6年ぶり5枚目となるアルバムをリリースした。ポスト・パンクの影響を受けたギター・ロックに端を発し、静謐なフォークからきらびやかなエレクトロまで、アルバムごとに大胆な変化を見せてきた彼らだが、今回はバンド独自のキャラクターを確立し、全英1位を獲得した前作『So Long, See You Tomorrow』の流れを汲みつつ、より洗練させた音楽性の、まさに復帰作に相応しい内容に。エレクトロニクスとバンド・アンサンブルを巧みに折り重ねた色彩豊かなサウンドと、美メロを紡ぐドリーミーな歌声が生み出すソフトでポップな世界は、何度でも訪れたくなるほどの心地よさだ。(菅谷 透)

Walking Like We Do

THE BIG MOON

Walking Like We Do

各地で絶賛された前作から約3年。ロンドンを拠点に活動する、4人組ガールズ・インディー・ロック・バンド THE BIG MOONが、2作目となるニュー・アルバムをリリースした。今作はKAISER CHIEFSやDEERHUNTER、M.I.A.など幅広いアーティストを手掛けるBen H. Allenをプロデューサーに迎え、より丸みのあるポップなサウンドへと進化。独特の気だるい雰囲気とノスタルジックな印象はそのままにサウンドの厚みが増して、さらに全方位的に楽しめる作品となった。目の前に情景が広がるような物語性のある楽曲の数々は、まるで青春映画のサウンドトラックのようだ。ワールド・ツアーを経て彼女たちが歩んできた濃密な音楽体験が凝縮されている。(山本 真由)

Seeking Thrills

GEORGIA

Seeking Thrills

新世代のエレクトロ/シンセ・ポップ・クイーンとして注目を浴びているGEORGIAが、ニュー・アルバムをリリース。「Started Out」や「About Work The Dancefloor」といった先行シングルなど、ここ日本でもすでにシンセ・ポップ好きの中では話題となっている楽曲をはじめ、ポップでレトロ感のある楽曲は妙に中毒性がある。アナログ・シンセなどの機材にもこだわった80年代風のビートや、ダンス・フロアを意識したアンセミックな曲調も、マニアックなのに親しみやすい。彼女自身がもともとドラマーということもあって、様々なリズムをナチュラルに乗りこなし、都会的なビートから野性的なビートまで、自分色の浮遊感のあるお洒落サウンドに完成させるセンスはさすが。(山本 真由)

Divinely Uninspired To A Hellish Extent

Lewis Capaldi

Divinely Uninspired To A Hellish Extent

2019年に最も売れたSSWと言えばこの人、Lewis Capaldiだろう。スコットランド人アーティストとして38年ぶりの全米シングル・チャート1位獲得も、大きな話題となった。それにしても、このぽっちゃりした地味な青年がこんな奇跡の歌声を発するなんて。若さに見合わぬ激渋ヴォイスと自虐も交えたユーモア溢れるSNSでの振る舞いという、ギャップ萌えキャラにハマってしまう方も多いのでは。フォーク・ロックをベースとした素朴なメロディと語り掛けるような歌唱。そこにスケール感のあるアレンジが加わり、テンションが上がっていくハスキーで力強い歌声もグッとくる。良曲の教科書のような聴いても歌っても気持ちのいいバラードが詰まった今作は、きっと多くの人の記憶に残るだろう。(山本 真由)

The Juice

G.LOVE

The Juice

ヒップホップとブルースを融合させた"ラグ・モップ"のオリジネーター G. LOVEの、ソロ名義としては約9年ぶり4作目となる新作。自身のバンド、G. LOVE & SPECIAL SAUCE名義でリリースされた近作は、ヘヴィなロックンロールの要素も持ち合わせたスタイルだったが、グラミー受賞のブルースマン KEB' MO'や、名だたるスティール・ギタリストなどのコラボレーターを迎えた今回は、代名詞と言うべきブルージーなサウンドに満ちた、キャリア25周年を総括する内容に。ゴスペル調のコーラスが美しいTrack.1や、アッパーなグルーヴに思わず頭を揺らしてしまうTrack.4、ブルース・ハープが染みわたるTrack.7など、肩肘張らずにまったりと楽しめる1枚だ。(菅谷 透)

Girl

GIRL RAY

Girl

HOT CHIPやTHE DRUMSらを輩出した"Moshi Moshi Records"の秘蔵っ子、ノース・ロンドンのガールズ・ポップ・バンド GIRL RAYが2ndアルバムをリリースした。今作は、デビュー作で見せたインディー感バリバリのローファイ・サウンドから、一歩も二歩も進化して、上質な大人のシンセ・ポップに。しかしながら、いい意味でのノスタルジックなインディー感はしっかりと残っているし、華美な装飾がまったくない余白のあるサウンドも彼女たちらしい。サブカル臭プンプンだった個性派オシャレさんが、都会派になって帰ってきたみたいな不思議な感じだが、インディー・ポップmeets R&Bの世界観に表現の幅が格段に広がったことで、より多くのリスナーにリーチするだろう。(山本 真由)

Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

FOALS

Everything Not Saved Will Be Lost Part 2

前/後編からなる2部作の後編は、ダンス色濃い前編に対して、ビッグなリフをガツンと鳴らしたロック色濃い作品に。デビューから10年、インディー・ダンス・ロックの新星からUKロックを代表するスタジアム・ロック・バンドに成長したFOALSの軌跡を、今一度、2枚のアルバムでダイナミックにアピールする格好となったわけだが、FOALSが持つロック・バンドとしての魅力がぎゅっと凝縮しながら、同時に新境地も印象づけているところがポイント。その意味では、オープニングを華々しく飾るソウルフルなロック・ナンバー「The Runner」、FOALS流のブルース・ロックと言える「Like Lightning」が一番の聴きどころ。ROYAL BLOODやTHE BLACK KEYSのファンにも薦めてみたい。(山口 智男)

Love More

Maxim

Love More

THE PRODIGYのフロントマン、Maximが約14年半ぶり3作目となるソロ・アルバムを日本先行でリリースする。共にフロントマンとして活躍した盟友で、2019年3月に亡くなった"Keef"ことKeith Flintへと捧げられた今作は、反骨精神だけでなく、"今を懸命にハッピーに生きる"というポジティヴなメッセージも込められている。トラックはレゲエのヴァイブスが色濃く反映されており、女性VoをフィーチャーしたTrack.3、4や、過去作に通じる攻撃的ヒップホップのTrack.2、モダンなトラップ・チューンのTrack.8など、様々なジャンルのエッセンスを凝縮。THE PRODIGYのような派手さはないものの、Maximのパーソナリティが伝わってくるような作品だ。(菅谷 透)

Magdalene

FKA TWIGS

Magdalene

アルバム・デビュー作『LP1』(2014年)が注目を浴び、翌年には"フジロック"のWHITE STAGEでヘッドライナーを務めるなど、一気に世界的人気アーティストとなったFKA TWIGS。アーティスティックな楽曲そのものはもちろんのこと、ダンサー出身の彼女らしい身体表現や、抜群のスタイルを生かしたファッション・アイコンとしての存在感も含め、MVなど優れたヴィジュアル表現でも話題となった。そんな彼女が5年ぶりとなる新作アルバムをリリース。今作は個人的につらい時期を乗り越えたことが楽曲に投影されているらしく、光を失わないピュアな歌声、そして電子サウンドに交じった木管楽器の温かな響きなど、彼女が見いだした希望が投影されたような、力強さと優しい輝きに満ちた作品となった。(山本 真由)

No Holiday

THE MUFFS

No Holiday

ハスキーな歌声と力強いシャウト、かき鳴らすギター、そして、ワイルドな音楽性でも隠しきれないチャーミングなパーソナリティ。今年10月、ポップ・パンク/パワー・ポップ・シーンのレジェンド、THE MUFFSのフロント・ウーマン、Kim Shattuckが亡くなった。遺作となった今作には、結成からKimが病気の進行により手足の自由が効かなくなるまでの間、彼女が書き溜めてきた楽曲が収められている。GREEN DAYをはじめ多くのバンドに影響を与えたTHE MUFFSらしい、激しくもポップでもあり、新しくてノスタルジックなこのアルバムには、ALSという難病と闘いながらも、ラスト・アルバムのプロデュースを諦めなかった彼女の、生命力や音楽に対する愛がたくさん詰まっている。(山本 真由)

New Hell

GREET DEATH

New Hell

ミシガン州出身の3ピースによる2ndアルバム。2017年の1stアルバム『Dixieland』では轟音のシューゲイズ・サウンドで高い評価を受けた彼らだが、今作ではそれに加えて、エモ/ポスト・ロックのダイナミズムと構築美が備わった作風に。ヘヴィ・ロック/スラッジにも肉薄する重々しさにサッドコアの繊細さが同居したアンサンブルと、それぞれ表情の異なるふたりのヴォーカルによる、憂いを帯びたメロディを紡ぐコーラス・ワークが織り成す音世界は圧倒的。途方もないカタルシスを生む長尺のTrack.4、9は息を呑むほどの美しさだ。CONVERGEのJacob Bannon(Vo)が主宰する"Deathwish"からのリリースというのも頷ける、闇と美を湛えた傑作。(菅谷 透)

Ode To Joy

WILCO

Ode To Joy

"俺が作る最高の曲を、お前ら、どれだけぶっ壊せるんだ!?"というフロントマン、Jeff Tweedyの挑戦に経験豊富な名うてのミュージシャンたちが応え、バチバチと火花を散らしていたWILCOも今は昔。Tweedyのソロ活動を挟んで、3年ぶりにリリースするこの11作目のアルバムは、作品を重ねるたびごとに強まっていった歌志向がついに頂点に達したことを思わせる。まるでTweedyのソロを、WILCOのメンバーと作ったみたいだ。最初に聴いたときは、ボソボソと歌うTweedyのヴォーカルの印象のせいか、あんまり地味でびっくりしたが、聴いているうちに味がしみるいわゆるスルメ盤。Tweedyが屈指のメロディメーカーであることを改めて実感。バンドの演奏はちょっとTELEVISIONを思わせるところも。(山口 智男)

Hey, I'm Just Like You

TEGAN AND SARA

Hey, I'm Just Like You

10代でデビューしたカナダのオルタナ・フォーク・ロックの双子デュオもキャリア20年余。本作は自伝"High School"の執筆のために資料を探していた際、発見したキャリア初期のカセットが制作の発端にあったのだとか。自伝と対になっている印象のある本作。現在ではアップデートした大人のエレポップを聴かせるふたりが、THE SMASHING PUMPKINSやPAVEMENTを想起させる、オルタナティヴなギター・ロックとエレクトロニックなアレンジをミックスしているのが楽しい。ただ、そこで歌われているのはティーンエイジャーならではの悩みや手に負えないほどの夢。アルバム・タイトルが示唆しているように、誰もが通ってきた青春期の思いを作品化することで肯定するような印象だ。(石角 友香)

Leaving Meaning.

SWANS

Leaving Meaning.

NYエクスペリメンタル・ロックの重鎮による15thアルバム。2010年の再結成以降の活動スタイルであった6人編成を、前作『The Glowing Man』をもって解散させたSWANSだが、今作ではフロントマンのMichael Giraを中心に、エレクトロ・ノイズの鬼才 Ben Frostや、豪州の即興演奏バンド THE NECKS、さらには元メンバーなど、Giraが性格面まで考慮して選んだという30名以上のアーティストが参加している。近作に比べるとポスト・ロック的な轟音ノイズはやや控えられ、ネオ・フォーク/ゴシックのオーガニックな質感が増しているが、Giraの呪文のような歌唱と、反復しながら展開していく暗黒のグルーヴは実にSWANSらしい。美と混沌を湛えた、奥深い1枚。(菅谷 透)

Lilac

THE EARLY NOVEMBER

Lilac

THE EARLY NOVEMBERと言えば、90~00年代に多くのポップ・パンク/エモ・バンドを輩出したDrive-Thru Records全盛期のバンド(そのシーンの衰退と共に活動を休止)というイメージが大きいが、実は2011年に復活を果たしている。Rise Recordsと契約し、復活3作目となる今作は、彼らの持ち味であるエモーショナルなメロディはそのままに、しっとりとした大人の魅力も加わり、バンドの成長と成熟が感じられる。厚みを増してスケール感のアップしたサウンドも、バンドの実力を表しているだけでなく、今っぽさがあっていい。また、女性受けのいいAce Endersの爽やかで甘い歌声も、表現力がアップし、リスナーの心をグッと掴む強力な武器となっている。(山本 真由)

You Deserve Love

WHITE REAPER

You Deserve Love

アメリカ ケンタッキー州ルイビルを拠点に活動しているガレージ・パンク・バンド、WHITE REAPERの3枚目のフル・アルバム。もともとは3ピースだったが、『White Reaper Does It Again』(2015年)はキーボードを迎えた4人編成でリリースし、今作ではさらに5人になってパワーアップした姿でのリリースとなる。今作では、よりキーボードの存在感も増し、パワー・ポップ的な軽やかさが加わっている。ロックンロール・リヴァイヴァル系のバンドの裾野あたりから、さらに踏み込んだアプローチで広いリスナー層に受け入れられるサウンドに進化したが、決して日和見なわけではなく、シンプルな音作りと粗削りな部分を残した彼ららしいスタイルには好感が持てる。(山本 真由)