DISC REVIEW
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Halujio
days
東京 府中発の4ピース・ロック・バンドによる2ndミニ・アルバム。前作では爽快感のあるサウンドや衝動を爆発させるような楽曲群が印象的で、今作でも煌びやかな音を紡いでいく「ネイキッド」や、全パートが美しく絡み合っていく「静かな部屋」等、4人の躍動的で活き活きと動き回るアンサンブルを楽しめる楽曲はありつつも、骨太なサウンドでキャッチーなメロディを畳み掛けていく「アールグレイ」等、特に変わり映えのない日常のふとした瞬間に滑り込んでくるような音と言葉たちが強く残る、全6曲を収録した。いつの間にか過ぎ去っていた日々とそれでも続いていく明日を、どこか切なくも柔らかく、そっと肯定してくれる「オールド」がとにかく優しい。(山口 哲生)
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ハイエナカー
世界中に張り巡らされてる運命の赤い糸を全部切って僕に繋いで!?
作詞作曲からサウンド・プロデュースまで手掛ける、村瀬みなと(ex-ヘンリーヘンリーズ/Vo)によるソロ・プロジェクト"ハイエナカー"。ロックンロールやカントリー/ブルースを軸に、ポップでありながら芯の通ったサウンドを鳴らす。そんな彼が放つ2ndフル・アルバムには、ツチヤカレンを迎え、2人の声が織りなすハーモニーが印象的な「スタンバイ feat.ツチヤカレン」や、疾走感溢れるギター・ロック「てぃあどろっぷ」、アコギとハイトーン・ヴォイスで情景を描く「傾いたシーソー」等多彩な全11曲を収録。どの曲にも"君"がいて、異なる曲調ながら全てが純粋なラヴ・ソングだ。聴く者それぞれの感情と重なり合い、まるで"運命の赤い糸"を全てハイエナカーに繋ぎに来たかのように響く。(中島 希実)
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ハシリコミーズ
Friends Orchestra
今年"フジロック"の"ROOKIE A GO-GO"ステージにも出演したハシリコミーズの新アルバムが、めちゃくちゃいい! 冒頭のARCHIE BELL & THE DRELLS「Tighten Up」を思わせるR&Bダンス・チューンから一気に虜にさせられた。90年代渋谷系やジャパニーズ・ヒップホップ黎明期というルーツを惜しみなく露わにし、バンドの音として昇華。小難しいことや面倒くさいことは置いといて、不器用でも気取らず思いのまま好きに行くんだというマインドを乗せた楽曲群は、野外で踊りたくなるものや家でまったり聴きたい曲、温かさにほろりとくるナンバーと幅広い。アタル(Vo/Gt)だけでなく、ドラムのサワがのびのびとメインVoをとる「パラディドル」もキュートで最高のアクセントだ。(稲垣 遥)
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シベリアンハスキー
アイラブユー!
活動開始から約1年で大型フェスを沸かせた、要注目の新世代ロック・バンドによる2ndミニ・アルバム。この上なくストレートなタイトルが示す通り、即効性を持って胸の奥に届き、やがてじんわりと広がっていくような全6曲のラヴ・レターだ。気怠いニュアンスを含みながらそれを痛快に蹴り飛ばすリード曲「ふたりだけで」では、研ぎ澄ました武器の鋭さをアピール。一方で、突如疾走し感情を爆発させる「届かない」等、新たなアイディアを盛り込んだ楽曲たちがポテンシャルを膨らませている。村田美月の歌声は、2人の間の距離をグッと近付けながら、2人だけの世界をどこまでも広げていく。そんな彼女に寄り添いながらも出し惜しみなく自己主張する各パートのアレンジも巧みだ。(サイトウ マサヒロ)
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猫背のネイビーセゾン
ICE GLEAM
夜を彩る"ネオンロック"バンド、猫背のネイビーセゾンが3rdミニ・アルバム『ICE GLEAM』をリリースした。本作は、"愛すグリーム≒煌めきを愛そう"をテーマに、初の映画主題歌「MONOTARINAI」をはじめ、すでにライヴ・アンセムとなっている「ウェイティン!!」等を含む全6曲収録。新曲「Highway Life」は、数多くのライヴを重ねた彼等が、家より高速道路で過ごす時間が長いという日常を切り取った楽曲だ。そこにタイトなリズムと駆け抜けるギター、ツイン・ヴォーカルの掛け合いが重なることで、よりバンドらしさを増した疾走感溢れる一曲に仕上がっている。また「我爱你」では、シティ・ポップの要素を取り込むことで、"ネオンロック"を新たな形へと昇華。様々な煌めきを音に変え続ける彼等の現在地を示す注目作だ。(中島 希実)
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終活クラブ
メジャーな音楽
待望のメジャー1stフル・アルバム。SNSが主戦場となった現代の音楽シーンへの嘆きや"SNS疲れ"を吹っ飛ばすキラーチューン「インターネットやめたい」は、ギター・ソロ不要論をぶった切る様が気持ちいい。そんな持ち味を貫く一方、夏の記憶を紡ぐ「幽霊」は文学的な詩が趣深く、「エキチカダンスフロア」で鳴らすのは本格ダンス・ミュージック。高純度の初ラヴ・ソング「恋」ではアレンジに木暮栄一(the band apart)を迎える等、新境地を開拓した。ただ「メジャーな音楽」や「無名芸術」からは、常に数字が付きまとうメジャー進出後の苦悩が見て取れる。シニカルに歌いながらも、"君だけを救うんだ 音楽で"とピュアなロマンを掲げ"メジャーな音楽"に挑む彼等に期待。(中尾 佳奈)
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パーカーズ
HUG
今年タクオ(Ba)が正式加入、初のZeppワンマンも決定し勢いに乗るパーカーズ。"POPS日本代表"を掲げる彼等が、今作ではピアノやストリングスを新たに取り入れ鬼に金棒だ。小粋なピアノとクラップで始まる「Hug me!!」から、進化を遂げ洗練されたパーカーズサウンドにワクワクが止まらない。今夏を盛り上げた疾走ギター・ロック「トマトジュース」や、究極のポジティヴ・ソング「Ding Dong Dang Dong」と振り切ったポップスが弾けていく。またミドル・チューン「おやすみのキス」、「大恋愛」では恋愛の眩さがサウンドの中にも光る。バンドの持つ朗らかなムードに、広がりを見せる豊かな表現で多幸感をプラス。世界をまるっと抱きしめる温もりがここに。(中尾 佳奈)
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おいしくるメロンパン
bouquet
相変わらず耳が楽しいおいしくるメロンパンの新作が到着。メジャー1stアルバムとなった本作だが、10年前の1stミニ・アルバム当時と同じ純粋な気持ちで作ったという峯岸翔雪(Ba)の言葉通り、方向性が変わったり、"らしさ"が失われたりといった心配は無用の一枚ではないだろうか。それどころか、Track.1に配された「群青逃避行」から過去曲とリンクするフレーズが登場する等、バンドの心意気が光る。ダークなオルタナティヴ・ロック「誰もが密室にて息をする」で見せる棘のある一面、今と過去を行き来する繊細な心情と風景の描写が秀逸で、一本の映画のような物語が目に浮かぶ「十七回忌」と、彼等の多彩な武器をそれぞれ研ぎ澄ませ進化させた5曲が、どこまでもフレッシュに鳴り響いている。(稲垣 遥)
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鉄風東京
Space/Range
タイトル"Space/Range"に掲げられた"空間"と"射程"。本作には、音楽がどこを居場所とするのか、どこまで進み誰に届くのか、という鉄風東京としての2つのテーマが込められた全7曲が収められた。特に「In YOURS」は、その核心を映し出す一曲だ。シンガロングで響く"Everything's my youth~"というフレーズは、本作の答えを体現するように心へ沁み込み、観客と声を重ねることでさらに力を増していく。また、今回「21km」の再録した新バージョンも収録。リフの厚みや音の重なりが増し、鉄風東京が歩んできた軌跡と積み重ねた時間の重みを感じさせる仕上がりに。疾走するギターと等身大の言葉は、仲間と共に走り続ける彼等の生き様を鮮やかに刻み、リスナーの胸にまっすぐ突き刺さる。(中島 希実)
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羊文学
D o n' t L a u g h I t O f f
期待のインディー・バンドとして出発し、今やJ-POPの人気者としての風格すら纏う羊文学。この『D o n' t L a u g h I t O f f』は、その軌跡の全てをアップグレードした入魂の一枚だ。「声」や「cure」に象徴される、泰然としたメロディと塩塚モエカの柔和且つ鋭い歌声は、ますます説得力を増している。そして、ぶっきらぼうなギターが愛おしい「ランナー」、ベースの帯域が攻めた「春の嵐」、アルバム最終盤で待ち構えるアグレッシヴな「Burning」と、ポップスとしての主張をあくまでバンド・サウンドで抱きとめる気概にも感服するばかり。ロック・バンドが高潔なインディー精神を損なうことなく誠心誠意ポップスを鳴らすという挑戦、その模範が本作にはある。(藤村 太智)
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水曜日のカンパネラ
可愛女子
とびきりキャッチーなリリックと、それをスタイリッシュに仕立てる巧妙なトラックで席巻中の水カンの新作は、なんと8曲中7曲がタイアップ。多種多様な作品から着想を得ることで、持ち前のウィットに富んだ発想力が輪を掛けて四方八方に炸裂している。TVアニメ"らんま1/2"に起用の「ウォーアイニー」では、少女から少年まで詩羽の歌声が七変化。映画"ふしぎ駄菓子屋 銭天堂"主題歌「願いはぎょうさん」では、尽きぬ欲との付き合い方を子どもたちへ丁寧に説く。そんな新鮮な一面も覗かせなから、"これぞ"と唸るのは、肉の部位を言い連ね"シャトーブリアン"で躍らせる"人名シリーズ"最新作。広義の"可愛い"を自由に発信する水カンワールドは子どもから大人まで、そして世界へ拡張中だ。(中尾 佳奈)
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NANIMONO
Kawaii Future IDOL
これまでも多様なコンセプトを掲げて活動してきたNANIMONO。彼女たちがこのたびリリースする3rdアルバム『Kawaii Future IDOL』で定めたそれは、"Kawaii Future Bass"だ。本作で見せるメンバーのアニメチックで甘い声質と、キラキラしたダンス・サウンドのペアリングは、まさに奇跡的相性である。カメレオン的にコンセプトの変化を遂げながらも、プロデューサーのこゆびちゃんが一貫して作詞を務めることで、インキャの、インキャによる、インキャのための音楽であるNANIMONOワールドに依然としてブレがないところは、さすがの一言だ。このジャンルを好む読者にも、インキャな読者にもオススメしたい傑作。(宮﨑 大樹)
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超☆社会的サンダル
う、ちゅー。
超☆社会的サンダルが初のコンセプト作品に挑んだ2nd EP。"宇宙"と"青春"をテーマとして、映画"やがて海になる"の主題歌「おとなになったら」や、MVが公開された「東京」を含む全6曲を収録する。超社らしさを推し進めながら、歌やサウンドが洗練された感覚や新鮮な印象も受ける今作。鬼才 オニザワマシロ(Gt/Vo)のソングライティング能力も爆発し、月や星を歌った壮大な曲も甘酸っぱい恋や青春を描いた曲も、独創的すぎる超☆社会的楽曲に仕上がっているのがものすごい。サウンド・プロデューサーに迎えた原田茂幸(Shiggy Jr./Gt)が楽曲やバンドの魅力を増幅させている、「オーストラリアでコアラ抱っこするまで死ねない」と「月まで歩いてみたけれど」も必聴!(フジジュン)
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鋭児
ZERO
2024年に活動休止した鋭児が、ついに活動再開。ニューEP『ZERO』をリリースする。表題曲「ZERO」のダークなムードを漂わせる印象的なギター・リフと、内に秘めた闘志を燃やすようなヴォーカル、パワフルな音像に圧倒される。浮遊感のあるサウンドが心地よく、ラテンの要素を感じさせるビート、間奏のジャム・セッション的アプローチも彼等らしさが際立つ「levitate」、楽器隊のメンバーたちが御厨響一(Vo)へのメッセージを込めたという「SMAPS」。楽曲ごとに異なる個性を持ちながら、鋭児というバンドの現在地を鮮明に描き出している。再始動後のライヴでこれらの楽曲がどのように鳴らされるのか、その瞬間からも目が離せない。(西平 歩由)
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渡會将士
引力について
新曲2曲と、厳選した過去曲9曲(一部をリテイク)を収録したEP。表題曲「引力について」は、"リンゴは落ちるのに 月が落ちないのは/彼女には彼女の 事情があるからで"と渡會らしいユニークな書き出しに思わず耳を傾けて聴き入ってしまう、爽やかながらロマンチックなナンバーだ。軽やかに転がり徐々にテンポアップしロックンロールしていく「モーニン」もかっこいい。さらに「Thank you (ALBUM Ver.)」には菊地"EMMA"英昭(brainchild's/THE YELLOW MONKEY)がギターで、EMMAを含むbrainchild'sのメンバーもコーラスで加わり、FoZZtone時代の「ベーコンエッグとシェービングヒーロー」には、オリジナル・メンバーの菅野信昭(Ba)が参加する等、ゲストの登場でも原曲との違いを楽しませてくれる。(稲垣 遥)
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Conton Candy
スノウドロップ
話題作のタイアップを次々と担当し、その名をさらに広めるConton Candyがシングル『スノウドロップ』をリリースした。表題曲は、TVアニメ"青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない"オープニング・テーマで、原作内に出てくる"思春期症候群"をキーワードにし制作。彼女たちらしい瑞々しく疾走感のあるギター・ロック・ナンバーでありながら、アニメの主人公たちに寄り添い、切なくも温かい世界観を、原作の情景を思い浮ぶ歌詞や、紬衣のクリアな歌声とコーラスが積み重なるサウンドで見事に映し出している。またカップリングには、「虹色の羽虫」を収録。残暑の情景と未練の想いを重ねた歌詞をミドル・テンポに乗せて胸奥をそっと揺らす、夏の終わりにぴったりな曲だ。(中島 希実)
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35.7
火星探索
赤丸急上昇中、現役大学生の男女4人組バンド 通称"ゴーテンナナ"。たしかに、10代を中心に、耳にすっと入って来る女性Vo たかはしの歌声とキャッチーなメロディが人気なのは納得なのだが、本作のリード曲「百年公約」を再生して、その実年齢以上に大人びたというか、芯を食うような言葉がそこかしこに見え隠れする紡ぎ方に正直驚かされた。また今回がすでに3rd EPで、ここまで作品を重ね、LIQUIDROOMワンマンや大型フェスの舞台も経験しているだけあり、サウンドからも、フレッシュで衝動的な魅力だけではなく楽曲の物語や心情、またはライヴの景色を鮮明に描くために抜き差しも意識している様子が窺える。探求心を持ってまさにシーンの真ん中に飛び出そうとする彼等の今を、味わっておいて損はしないはずだ。(稲垣 遥)
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Nikoん
fragile Report
この2ndアルバムを携えた全国47都道府県ツアーの入場権が当のCD購入だったり、すべからく定石を突破した活動を展開中のロック・バンド、Nikoん。1stアルバムがオオスカ(Gt/Vo)の楽曲が大半を占めていたのに比して今作は全曲マナミオーガキ(Ba/Vo)作品だ。サンプリングの自由度、ヒップホップのオマージュ、エレクトロニックなダンス・ミュージックにおける音色の奇異性を、人間の肉体を通して記名的なバンド・サウンドに書き換え、新しく生み出すのは彼等の意地か本能か。こんなふうに書くとアヴァンギャルドな音楽に思えるかもしれないが、メロディも構成もすこぶる美しい。表題曲の"つくっては捨てて/ないものねだりは心ゆくまで/してもいいよって私が決めたの"という歌詞そのままだ。(石角 友香)
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暴動クラブ
暴動遊戯
7インチ『暴動クラブのテーマ』(2023年)でインディーズ・デビューし、その華やかな"持った"佇まいと、若者らしく世や時代に歯向かい、退屈と不甲斐なさとを燃料にロックンロールを爆発させる暴動クラブ。今年の"フジロック"では、釘屋 玄がROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRAのフィーチャリングVoとして、堂々たるパフォーマンスをしたが、その余韻の中で発表されたのが今作でのメジャー・デビューだ。ジャズのスタンダードのタイトルを模したような、「ドライヴ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」に始まり、物語が始まるエネルギーがビートとなって加速し、カラフルなギターがロマンチックなダンスを躍らせる。キャッチーなクリシェも織り込み、今という時を何度も輝かせるアルバムだ。(吉羽 さおり)
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ランチブレイク
ナイスに恋して
前作から約4年ぶりのアルバムとなる本作は、サウンド・プロデュースをカメダタク(オワリカラ/YOMOYA/Key)が担当。グルーヴィ且つパワフルに展開される「バカと自由」や、ギター・リフが怪しげに躍る「おかしな夢」、浮遊感と激情的なサウンドが絡み合う「マスカレイド」、アコースティックな「いいのいいの」、温かみのあるサウンドで一音一音を柔らかく紡いでいく「暁鐘は鳴る」等、全11曲もれなく抜群にキャッチー。それと同時に、どれもオルタナティヴな香りが漂っていて、アレンジや展開に驚かされるものばかり。男女混声トリプル・ヴォーカルが織りなすポップ・ソングは、"進化したポップをドラマチックに体現する5人組"というバンドのキャッチコピー通りの出来栄えだ。(山口 哲生)
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東京初期衝動
東京初期衝動
8月の配信シングル「さよならランデヴー」では、盟友 北澤ゆうほ(Q.I.S./the peggies)を作曲&編曲に迎えてバンドの持つポップ性をブーストした東京初期衝動。この「さよならランデヴー」は、"君"と過ごした日々、未だ美しいだけの思い出にはできない日々を、ブライトなギター・サウンドと駆け上がっていくようなメロディとで、センチメンタルで愛おしい青春の1ページへと封じ込めたような曲となった。この青春期のストーリーと、インディーズ時代の代表曲の再録とで構成されるのが、セルフタイトルを冠したメジャー・デビュー・アルバムだ。傷付いて、傷付けて、ナイーヴさを隠すようにクールに尖ってみせる。不器用なパンク・ロックの記録となった作品だ。(吉羽 さおり)
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SIRUP
OWARI DIARY
SIRUPの約4年半ぶりとなるオリジナル・アルバム。D'Angelo直系のネオ・ソウル「GAME OVER」や、トラップ・ビートの上で無邪気に踊るようなヴォーカルが楽しい「PARADISE」といった楽曲からは、彼が自身のルーツであるR&B、あるいはヒップホップに神妙に向き合う様が窺える。また、"終わりの始まり"という本作のテーマが巧みに表現された、ダンサブルでありつつどこか密やかなトラックのユニークな温度感も見事だ。一際素晴らしいのが、Marvin Gayeの名曲「What's Going On」にオマージュを捧げたであろう最終曲「今夜」で、この楽曲での伸びやかで曇りのない歌声は、"ポジティブな絶望"を掲げた前EP『BLUE BLUR』からの跳躍を象徴している。(藤村 太智)
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岡崎体育
Suffer
誤解を恐れずに言えば"無駄にかっこいい"パンク・サウンドに、"首痛い肩痛い腰痛い膝痛い"という中年風味漂うインパクト大の情けない歌詞から始まる、いかにも"らしい"ギャップで笑わせる「Suffer」。それもそのはず、今回の演奏にはdustboxが参加しているのだが、その演奏と歌はリリックにニヤけていた人も徐々に熱くさせられる程の熱量で、特にミドル・エイジ以降のリスナーは共感も相まってグッと来てしまうのでは。そしてそれが、本曲がOP主題歌を務める"おじさん"が主人公のアニメ"まったく最近の探偵ときたら"にハマっているのもさすがだ。c/wの、24時間生配信で制作したグッド・メロディが沁みる「俺に告ぐ」、他責志向が行きすぎて壮大なテーマになってしまった迷曲「宇宙と長野」のリミックス等も味わい深い。(稲垣 遥)
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ザ・クロマニヨンズ
キャブレターにひとしずく
吹かすエンジン音に颯爽と駆け抜けるブルース・ハープ、古き良き骨太ロックンロールが薫り立つ新曲が到着。"キャブレター"とは古いバイク等に使われていたエンジンの部品であり、ライダース・ジャケットが似合いそうなヴィンテージ感がタイトルからも醸し出される。最後のガソリンを一滴、振り絞って命を燃やし尽くす。アクセル全開の痛快ナンバーだ。一方カップリングの「シカトムーン」はアカペラに近い。4分で刻むカウベルに飛び道具的なヴィブラスラップ、ギターやベースも短いフレーズのみと、とことん音を削りながら音で遊んでいる。知らない人からの連絡をシカトするというシュールな"あるある"曲かと思いきや、どうしようもない不安や悲しみもシカトしてしまおうというメッセージが軽妙。(中尾 佳奈)
RELEASE INFO
- 2026.01.21
- 2026.01.23
- 2026.01.25
- 2026.01.26
- 2026.01.27
- 2026.01.28
- 2026.01.29
- 2026.01.30
- 2026.01.31
- 2026.02.04
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- 2026.02.13
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