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INTERVIEW

Japanese

パスピエ

2016年08月号掲載

パスピエ

メンバー:大胡田 なつき(Vo) 成田 ハネダ(Key)

インタビュアー:秦 理絵

10年代の幕開けと共に正体不明の音楽集団としてニュー・ウェーヴを基調としたハイクオリティなポップ・ミュージックでシーンを席巻してきたパスピエ。圧倒的に特異な存在でありながらも、昨年12月に初の日本武道館単独公演も成功させ、多くのロック・ファンに愛される存在へと成長した。そんな彼らが武道館以降の一手として今年4月にリリースした5thシングル『ヨアケマエ』に続き、極めて短いスパンで7月27日に両A面シングル『永すぎた春 / ハイパーリアリスト』をリリースした。しかも、このタイミングでアーティスト写真での顔出しも解禁。一体パスピエに何が起きてるのか。大胡田なつき(Vo)とバンドの首謀者・成田ハネダ(Key)に語ってもらった。

-先日、初めて素顔で出演されたフジテレビの音楽番組"Love music"を見ました。

成田:全国放送のテレビ初出演が生演奏だったので緊張しました。

大胡田:もう"何? 何?"って変なテンションで(笑)。不思議な空気でした。

-リスナーの反応を見ると"まさか"という驚きもありつつ、様々ですね。

大胡田:そうですね。"嬉しい!"って言う人もいれば、顔を出してない方が好きだったと言う人もいて。まぁ、そうだろうなとは思います。自分の好きだったバンドの秘密の部分が普通になっちゃうのは複雑だと思うし。いろんな意見があるのは予想していました。

成田:でも思ったよりは――

-好意的に受け止めてくれてる?

成田:そういう方もいらっしゃったので良かったですね。

-もともとライヴでは普通に顔を出してたのも大きかったんでしょうね。

成田:ある種、僕らも完全に顔を出さないって割り切っていたわけではなかったので、それで衝撃が少なかった部分もありますね。だから今後もライヴをするうえでは、今までと何ら変わりはないので。そこは良かったなと思ってます。

-今回リリースされる両A面シングル『永すぎた春 / ハイパーリアリスト』からはアーティスト写真でも顔を出してますけど、このタイミングを探ってたんですか?

成田:探っていたというか......僕らがひとつ面白さとして取り入れてたことが、ここまで来てしまったなという感じなんですよ。正体不明バンドとして予想以上に定着してしまったので、顔を出すことがバンド側からのアクションのようになってしまったんです。だから出すなら出すで、"良きタイミングでやらないとな"とは思ってました。

大胡田:最初は私がバンド用のフライヤーとかで絵を描いたのがキッカケなんですけどね。アーティスト写真の代わりにメンバーの顔を描いてて。

成田:それも面白がってくださる方がたくさんいたというところが大きいですかね。だとしたら、僕らもそこに乗っかろうかなという流れでしたね。

-最初はそんなに重い感じで正体を隠していたわけではなかった?

成田:全然、超軽いですよ。で、そういう中で昨年3rdフル・アルバム『娑婆ラバ』をリリースして、そのツアーの最後(※2015年12月22日)には武道館でワンマン・ライヴをやらせてもらったんです。そこで応援してくださってる方にバンドの集大成は見せられたと思うんですね。それで去年が終わった段階で何かひと区切りをつけたいなと考えたときに"じゃあ、(顔を)出そうか?"みたいな。やるなら今年がいいんじゃないかなっていうのはありましたね。

-では2016年から、バンドの第2章が始まっているという感覚ですか?

成田:そういうふうに捉えてもらってもいいんですけど、僕らのやることは今までと変わらないと思ってます。自分たちが納得できる良い曲を作って、それを引っ提げてライヴでパフォーマンスをする。昔も今もその二軸は変わっていません。だから内側はまったく変わってないんですけど、外側が変わったことで捉えられ方が変わってくるというのはリアルタイムで実感してることですね。僕らの本質は全然変わらないと思ってます。

-パスピエはデビューから今年で5年が経ちますが、最近フェスなどでパスピエのライヴを見ると、もともと強烈な異物感があったパスピエという存在がロック・リスナーにすごく受け入れられているのを感じるんです。メンバーとしてはバンドの立ち位置をどう考えてます?

大胡田:私はまだシーンの中でどこに属しているという感覚はあんまりないんですよ。例えば何かイベントがあったとして、そこに自分を合わせる――合わせるとはちょっと違うんですけど、そのイベントの空気を読んで、その雰囲気の中に気持ちを合わせてライヴをすることはできるようになってきました。

成田:そもそも女性ヴォーカルのバンドって、いそうでいないんですよね。いるんですけど、それ以上に男性ヴォーカルのバンドが増えてきてる。だから稀有な存在でいられるんです。単にそれはラッキーでしかないんですけど。僕はロックを女性がやること自体"捻じれた現象"だと思ってるんですね。それを面白く表現するために楽器陣がバックアップしていけたら、そこで生まれる僕らの立ち位置はリスナーが判断してくれればいいかなと思っています。

-ロックを女性がやること自体が捻じれた現象だということは最初から意識していたんですか?

成田:そうですね。僕がメンバーを集めてパスピエができたんですけど、その面白さは絶対にあるなと思って、大胡田を誘ったんです。ドラムとかベースとか楽器をやる女性は増えてきましたけど、フロントマンで女性ひとりっていうのは、今もあんまりいないと思ってて。その稀有な存在感は大事にしたいなと思います。

-話を訊いてると、パスピエってどこまでが計算で、どこまでが偶然なのかがあんまりわからないバンドだなと思うんですよね。

成田:8割が偶然ですよ(笑)。偶然の産物にいかに乗っかっていけるかは大事だと思ってるんです。さっきの顔出しの話で言ったら、去年までは正体不明のバンドでいることへの意識がすごくあったので、例えばスナップ写真を撮りましょうっていうときも、CDで顔を隠したりとかしてたんです。だから出自は僕らじゃなかったけど、僕らがそこに影響されていくこともたくさんありますね。それはもちろんすべてが計算ずくでないし、結構ゆるゆるですけど。最終的にそう見られてるんだったら面白いんですよね。