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INTERVIEW

Japanese

"夢カナYell MUSIC VIDEO CONTEST vol.4"受賞者座談会

2023年04月号掲載

"夢カナYell MUSIC VIDEO CONTEST vol.4"受賞者座談会

Kish.
EAST LAND BEATS:NORi YUKINA Jays
HIGH BONE MUSCLE:鈴木 啓(Vo/Gt)
Interviewer:米沢 彰


HIGH BONE MUSCLE(ブロンズ賞)

受賞作品:「アリカ」

-HIGH BONE MUSCLEは今がちょうどツアー([HIGH BONE MUSCLE 2nd Full Album"銀河に抱かれて"リリースツアー【大銀河行脚 2023】])の真っ最中ですね。今回のコンテスト受賞を経て、ツアー・ファイナルに向けた意気込みや手応えなど感じていたらうかがえますでしょうか?

鈴木:バンド自体もう12年やっていて、そのなかである程度結果が出せたときもあれば、悔しい思いをしたこともたくさんあって。コロナ禍もあったけど、昨年ぐらいからまたツアーとかもできるようになってきて、2023年はありとあらゆることをやっていこうと思っています。"夢カナ(夢カナYell)"みたいなコンテストもそうだし、できることは全部経験して昇華していきたいなって。ツアー・ファイナルに向けた時期にこうした賞をいただけて、自信というか追い風みたいなものをすごく感じられているので、しっかり生かしていきたいなって思っています。

-EAST LAND BEATSの今回の楽曲は、明るくいこうというメッセージ性が強く込められていて、ようやくアフターコロナを迎える日本では、ちょうどこれから改めて日常を取り戻していくのに相応しい楽曲だなという感じがしました。

Jays:みんなそれぞれいろいろな悩みを抱えていると思います。相談できるものもあれば、相談できないものも。その悩みが足枷になって、今を生きられない人がいるのも確かですよね。そんな自分を隠すために身だしなみを整えたところで、一番大切な"心の身だしなみ"が整っていなければ、それは今を生きていない証拠で。そんな人々に"大丈夫"と伝えてあげたくて作ったのが「Popping a Soda」でした。

-動画内ではストリート・ライヴの様子も写っていましたが、ライヴハウスに路上に、かなり精力的に活動を続けているようですね。今の活動状況をうかがえますでしょうか?

YUKINA:今は基本的に路上ライヴを中心に認知度を上げる活動をしています。そこで好きになってくれた方々にライヴに来てもらうことを目標に日々励んでいますね。

-Kish.さんのアプローチはとても面白いですよね。ボカロとボカロPが歌うというアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

Kish.:もともとはあまりボカロが好きじゃなかったんです。今は結構耳に馴染んできましたけど、以前はちょっとキーンとするような感じがあったり、聴く人を選ぶ声だったと思うんですよ。今は人間レベルの歌が歌えるぐらいのレベルにまで来ていて、そこまで来るとわざと人間からちょっと離してる部分もあったりして。僕が一緒にやってる可不(KAFU)さんっていうボカロもそうで、ミックス次第では人間かどうかもわからないみたいなレベルになってきていて、人間と人間じゃないものの境界が本当に曖昧になってきているんです。音楽に限らずイラストもAIで描けるとかするなかで、だったらもう一緒に歌っちゃってもいいじゃないっていう、ある種のちょっと安直な発想ではあるんですけど......。可不(KAFU)さんの声に出会えたっていうのがきっかけとしては大きいですね。

-楽曲によって生声っぽさを出したり、フィルターやヴォコーダーでむしろボカロっぽく近づけたり、表現がすごく自由だなって思いました。かなり細かく作りこんでいますよね?

Kish.:そうですね。そう言ってもらえてすごく嬉しいです。VOCALOIDって"そのキャラクターの声が好き"だから聴きに来る人が多いんですけど、その作曲者の曲を好きになったら、その人が別のVOCALOIDを使ってても、"まぁ聴いてみようかな"みたいな流れで波及していくんですけど、どこの誰ともわからない男の声が交ざるっていうのは、拒否反応を起こしやすい部分だったんですね。それを成立させるのって結構難しくて。それで、VOCALOIDと喋るコンテンツも出していて、あれは音楽を聴いてもらう前に、僕っていう人間と、VOCALOIDの声に慣れてもらうとか、存在に慣れてもらう役割もあるんですよ。意外と苦労して辿りついた表現でもあって、やるのはできるんですけど、観てもらうのが結構難しくて、ようやく最近聴いてもらえるようになってきて、すごく嬉しいです。

-HIGH BONE MUSCLEは最初におふたりをAYUKAさんのバック・バンドで観たときに、スタジオ・ミュージシャンなのかなって思ったぐらい、音楽的なバックグラウンドを広く持ってる人がやることだなって感じて。実際に影響を受けたアーティストなどをうかがっても良いでしょうか?

鈴木:世代的にBUMP OF CHICKENとか、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかに最初に触れて、バンドってこういうものだと認識して。そこから深く掘っていくなかで、NIRVANAが一番好きなんですけど、ステージングとか音楽だけじゃない、心の持っていき方とか、そういうオルタナティヴな文化からは何か影響を受けてきたなって思うんです。だけど、明確にこのバンドみたいにっていうのは正直そんなにはなくて。それよりも"ちゃんと歌われる曲"を書いていきたいなって思ってます。激しい曲も、癖がある曲も大好きですけど、ちゃんと人に、ファンに受け取ってもらえる言葉とかメロディとかを大事にして、ちゃんと歌われていく曲を書きたいなって。

-みなさん、他の参加者のMVもいろいろ観ていたと思いますが、他の参加者で気になった方や楽曲はありましたか?

Kish.:「の中」(奔走狂走局)っていう曲がもうすごいインパクトで。あとはイロハマイさんの(「友情ポリゴン」の)ああいうエレポップの感じが、観ていて楽しくなっていいなってのはありましたね。あと天上天下さん(の「金糸雀」)はその映像のクオリティがすごいなぁと思って観ていました。

鈴木:僕も当日の表彰式で流れた「の中」っていう曲がめちゃめちゃ耳に残りましたね。正直、Kish.さんとかEAST LAND BEATSさんとか上位の方々を中心に聴いてたんですけど、発表のときにいいなって思いました。

NORi:天上天下さんの作品ですね。クオリティの高い絵とそれとマッチしたパワフルな歌い回しに持っていかれました。素晴らしいアーティストさんがこの世にはたくさんいるなと思い、よりいっそう頑張らないとと思いましたね。

-今回参加してみて得られたことや感じたことなどうかがっても良いでしょうか?

Kish.:音楽で賞を取るっていう経験自体初めてで、大きな成功体験をさせてもらいました。ファンの方々と一緒に頑張って一緒に勝てたっていうのが、一体感として得られて、それがすごく嬉しいなって。アーティストなんで、みんなの人気を集約する存在ではあるんですけど、どこかで対等でいたい気持ちが結構強くあって、みんなで頑張って結果を出せたっていうのが大きな収穫だったし、これからも頑張る原動力になったなってすごく思います。あと、昔からSkream!はめちゃめちゃ見てて。僕もバンプ(BUMP OF CHICKEN)にドハマりしてバンド始めて、で、音楽誌とかそういうのを読みたくなるじゃないですか。それで毎月TSUTAYAに行ってSkream!を持って帰るみたいな感じでずっと見てて。そこでいろんなバンドを知りました。そのSkream!に載れるのか!? みたいな気持ちはあって、本当に熱いです。ありがとうございます。

YUKINA:今回参加して、やはり優勝するには応援してくれるファンのみなさまとの絆が必要だし、もっと応援してもらえるように自分たちがもっと発信していかないとなとは思いましたね。

鈴木:僕らもバンドを長くやっていて、最初のほうはコンテストとかにたくさん出てて、ある程度結果をいただいたことはあるんですけど、バンドをやっていくなかでそういうことから少し遠ざかっていて、今回やりたいって思えるものがあって参加することになって、結果もいただくことができて。ツアーの最中ではあるんですけど、ツアーに向かっていくための力になるなっていう。Skream!にも昔一度載せていただいたこともあるんですけど(※2016年1月号掲載"MLE Music"特集)、またこうやって載せていただけるのはすごく嬉しいです。

-"夢カナFES 2023"への出演が決まりましたが、フェスへの意気込みをそれぞれうかがえますでしょうか?

Kish.:実はライヴの形態がまだわからないっていう状況があって。ボカロと一緒に歌うっていう方法をそのままできれば理想ではあるんですけど、使える機材とかの関係でどうなるかまだ決まっていないんです。MVがちゃんとフル・バージョンできあがったので、それを映しつつっていう形でやりたいんですけど。あと、練習もして準備もしているんですけど、ライヴ経験があんまりなくて。軽音楽部時代にバンドでライヴハウスとかでやったことはあるんですけど、この数年間は結構打ち込みでネット上の活動だったので、久しぶりのライヴがかなり楽しみです。クオリティもどのくらいできるかっていうのはわからないんですけど、せっかくいただいた機会なので、やれるだけのことはやりつつ他の方々も観て勉強しようって思っています。僕名義としては初なので、これをひとつのスタートとして、本当に夢を叶えるきっかけのひとつとしてやっていかないと、と考えていますね。

Jays:応援してくださったみんなに、そしてこのコンテストを通して僕たちを知ってくださった方々に、感謝の気持ちを込めて、いつも通り楽しく僕たちの音楽を披露したいと思います。

鈴木:自分らのライヴはちゃんとバンドとしてしっかりした"音を鳴らしたい"ですし、この夢を叶えるっていうテーマに、長いことをやってきたなかで改めてすごく感化される部分があって。続けていても叶えられないことが多いなかで、こういうふうにメッセージとして強く出しているイベントに出させていただけるのは、改めて本当に夢があるなって思います。俺たちはバンドだっていうのをライヴでは見せたいですし、いろんなアーティストを単純に観られるのもめっちゃ楽しみです。これをきっかけにして、いろんなアーティストと、それもすごくいいアーティストと繋がれる1日にしたいなっていう思いがあるので、楽しみたいですね。

-みなさんそれぞれの夢をそれぞれうかがえますでしょうか?

NORi:EAST LAND BEATSを見て男女ヴォーカルになりましたと言われるように、男女ヴォーカルの先駆けになるのが夢です。これからもそうなるという夢を持ち続けて精進していきたいと思います。

鈴木:バンドって続けていくと、だんだんなあなあになってきちゃう部分があって、夢なんだっけとか、目標なんだっけとか、何にすりゃいいんだっけとか思うことがすごくあったんですけど、改めて10年を超えてきて、さっきも言った通りバンドの音楽をいろんな人に歌われたいっていうところが一番大きいですね。大きいフェスや大きい会場でワンマンでやりたいとか、アーティストを巻き込んで自分たちが主催したいとか、たくさん夢はあるんですけど、自分でいつからか口にしなくなったなっていうのはあって......。今、じゃあ夢は何? って聞かれたら......。"ROCK IN JAPAN FESTIVAL"ですね。

Kish.:僕は"夢を見続けること"かなってよく答えるんですけど、メジャー・デビューをするとか武道館に出るとか、一個一個の夢はもちろんイメージとしてはあるし、一個一個追いかけていきたいんですけど、やってること的にも時代的にも、数ヶ月で自分の立ち位置が変わったりするようなスピード感の中にいて。特に僕のジャンルだとデジタル・コンテンツが強いので、例えば半年前だったらAIもまだぐちゃぐちゃな絵を描いてたのに、今はもう神絵師みたいな絵が出てくるみたいな速度感の中で、長期的な目標っていうよりは方向性にしていくしかないのかなと思っています。その瞬間その瞬間に次のワクワクする夢があってそれを一個一個叶えていく、例えば僕の今の次の直近の夢はボカロと一緒に初めてのライヴをすることですし、そういう一個一個を絶やすことなく駆け抜け続けられたら、こんな幸せなことないなと思うので。ちょっと抽象的になっちゃうんですけど夢を見続けることが夢かなって考えてます。


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