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INTERVIEW

Japanese

ビッケブランカ

2019年06月号掲載

ビッケブランカ

ビッケブランカ

Official Site

インタビュアー:吉羽 さおり Photo by 結城 さやか

現在SpotifyのテレビCMでもオンエアされていて、"C-C-C-C-Cmon, Ca Va?"というフレーズが気になっている人も多いのではないかと思う。キャッチーで、つい口にしてしまうノリの良さとキレのいい語感がクセになるこの曲が、ビッケブランカのニュー・シングル「Ca Va?」だ。ドラマ挿入歌であり名バラードとして話題となった「まっしろ」や、ポップ奇術師ぶりでリスナーをビッケブランカの世界へと連れ立ったアルバム『wizard』を経て、また別の角度からリスナーの心を射抜くトリックスターぶりである。とはいえ彼自身"奇天烈な曲"というこの「Ca Va?」には、どんな背景があるのか。制作や現在のモードについて話を訊いた。

-「Ca Va?」は思わず口ずさんでしまうような気持ちのいい曲で、気持ちよく聴けるための仕掛けがたくさんありそうです。どんなふうに進んでいった曲だったんですか?

3年前くらいにひとりでパリに旅行に行ったんです。パリで遊んだり、現地の文化を知ったりして、それで帰国してすぐにサビ部分の"Ca Va?"っていうところだけをなんとなく作りました。ただそのときはいろんな曲を作っていた時期で、この曲を詰めていくことにはならず、ずっと温めていたものをこのタイミングでちゃんと作ってみたということでしたね。

-今回曲にするにあたっては、どんな流れがあったんですか?

SpotifyさんのCMタイアップ曲のコンペに出せるらしいよという話があったんです。ちょうどそのときは、テンポのいいポップスっぽい曲も作っていたんですけど、Spotifyさんって音楽ストリーム・サービスの世界一のところですから、これは多少ふざけても許されるだろうと(笑)。そういえばふざけた感じの「Ca Va?」っていう曲があったなと思い出して、引っ張り出してきて、広げていったんです。アイディア自体は昔ひとり旅をしたパリの記憶なんですけど、そこを今の自分のノウハウで作りたいものを作ろうという感じでできあがりました。

-言葉遊びにリズム遊びもありだし、遊び心はふんだんですね。ちなみにそのパリの思い出っていうのは、どういうものだったんですか?

この歌詞に思い出が詰まっているかというとそんなこともなく、そのときの気持ちを乗せたものだったんですよね。本当に楽しかったんですよ。ひとり旅が初めてで、しかも初の海外で──

-それがなんでパリだったんですか。

ひょんなことだったんです。当時スタイリストをやっていてくれた人がバイヤーもやっていて、パリに買いつけに行く予定だったけど、一緒に行く予定だった人がインフルエンザで行けなくなってしまって。それで"一緒に行く?"っていう感じになって、出発の3日前くらいに突如決まったんです。当時は仕事もない状態だったから、"行く行く!"って。でもそのスタイリストの人が現地のファッション関係の人たちと仕事をしている間、僕はほったらかしなので、東京で知り合ったポールというフランス人の友達にいろんなところに連れて行ってもらって、遊んだっていう。

-行き当たりばったりの旅の、そのときの勢いもこの曲には出ているんですかね。

そうですね。開放感がすごくあったんですよ。行く場所も、"宮殿とか大聖堂とか普通に日本人が行くような観光名所を回る?"ってポールとその友達のシルヴァインが言うんですけど、"そんなのいいから普段君らがやってるそのままのことを俺にやらせてくれ"、"本物のパリを見せてくれ"って言ったら、"食べ物もケバブ屋さんとかだけどいいのか?"と言うので、"それでいいんだよ"って。で、夜はちょっと治安の悪いところにあるクラブに連れて行ってくれたりして、そこで、文化の違いを大きく感じると共に、日本では受けることのなかった刺激を感じたんですよね。

-そうなんですね。

そういう体験すべてが新しくて。で、クラブに行ったら行ったでドープな音楽がずっと流れていて。延々とキックとハットだけで10分間いっちゃうようなハウスとかが鳴ってるんです。キック一発にかけて、一生懸命音を作り込んでやっているんだろうなっていうのが面白かったですね。

-そのパリで強く印象に残っていたのが、"Ca Va?"っていう言葉だったと。

"Ca Va?"ってみんな言うんですよ。友達にも言うし、親と電話するにもまず"Ca Va?"って始まるし、面白いって思ったんです。日本で言うと"今、大丈夫?"っていうノリなんですかね。その響きが面白いなと思って。本当そういう小さなエリアから始まったような曲だったんです。

-ブラック・ミュージック的な匂いがある曲ですが、話を聞いているとそのクラブで味わったようなビート感もここには生きていそうですね。

ハウスみたいにサビに向かってガーッとビルドアップしていく感じがありますしね。でもこの曲では、ビルドアップしていってサビでぶち上がるっていうよりも、リズムがもとに戻るのが、今回のグッとくるところで。サビの"C-C-C-C-Cmon, Ca Va?"のあたりもコードをあまり展開させてないんです。それも自分にとっては新しい感じだったし。フランス語で歌詞カードに載るような尺で歌っているのも初めてですしね。言葉遊びにしても、ひとつのダジャレみたいなギミックでいかに歌詞を持っていくのかとか。言い出したらキリがないくらい本当に新しいことばかりで。

-ループ的な曲で、大きくは展開しないんだけど、でも聴いているとすごく変化していくのを感じる曲でもあって、それが面白いなと感じます。

基本的には繰り返しですからね。この曲はメッセージをあまり込めすぎない方がいいだろうと思ったので、Aメロも同じ歌詞を2回歌うし。ストーリーが展開しないのがいいなっていう。一瞬の気持ちや、強い気持ちや衝動みたいなものをバンっと出すべきだろうなと。最初のアイディア段階では、"Love 君ならできるよきっと"のCメロ部分はなかったんです。ただこの曲を作り上げる頃には、そのときに湧いてきたアイディアを、ちぐはぐであろうと1個の曲にしちゃうっていうモードになっていて。過去の作品のQUEENのようなシンフォニックな感じや、"こう展開したら面白いだろう"、"ここでこう変わったら自分だったら驚くな"って意図的にやっていた部分があったんですけど、今はそういうちぐはぐなものを1個にまとめちゃうことが、自分では奇を衒うことではなくなっているんですよね。自然とその選択ができるようになっていて。それがいいことなのかどうかはわからないですけどね。自然なんです。

-では、形になるのもスムーズだったんですね。

そうですね、早かったです。