Japanese
ビッケブランカ
Skream! マガジン 2022年12月号掲載
2022.10.30 @東京ガーデンシアター
Writer 吉羽 さおり Photo by 藤井拓
ビッケブランカが新たにスタートするイベントの第1弾"Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-"が、10月30日に東京ガーデンシアターで開催された。初のアリーナ公演である今回は、デビュー5周年を締めくくり、次への架け橋となる記念すべきステージだ。ちょうどハロウィン時期とあって、会場内には囚人服(「Slave of Love」のMV)やキツネの耳をつけた(ビッケブランカ VS 岡崎体育「化かしHOUR NIGHT」のMV)観客の姿も見えるし、何より"みんなが集まれる場所を"という思いで立ち上げたビッケブランカにとって初めてのイベントということで、いつものライヴよりも祝祭的な雰囲気が漂う。ひな壇状に作られた広いステージの中央には、"RAINBOW ROAD"というタイトルとシンボルとなる虹色の気球が大きく描かれ、そして客席に長い花道が伸びてサブステージが設置されている。ここをどう使うのかなど想像を巡らすのも楽しい。
そんな期待感いっぱいの観客の大きな拍手が、低音の響きが心地よいバンドが奏でるリズムに乗って手拍子に変わって、ライヴは「Shekebon!」でスタートした。広いステージを闊歩しながら歌うビッケブランカからは笑顔がこぼれ、バンド・アンサンブルはますますグルーヴの密度を上げて、ダンサブルにロックに観客を揺さぶっていく。続く「ココラムウ」ではピアノを奏で、位置こそ固定されるも、踊る観客の動きを止めることなく晴れやかなムードを引っ張り上げるパフォーマンスで魅せた。間奏パートでは、早くもショーの中盤かというボルテージの高さで、たっぷりとした尺で幻惑的なサウンドを編み上げる。見どころの多いアンサンブルの醍醐味に観客からは歓喜の拍手が上がって、ステージとフロアとの一体感を強くしていく。そして、続いた「Moon Ride」でピアノからギターに持ち替えて軽快にリフを刻む。まだまだ頭3曲だがビッケブランカの様々な面を見せる始まりで、"RAINBOW ROAD"への思いが窺える。実際にMCでは、"いつも以上に考えたステージで、この日をめちゃくちゃ楽しみにしていた"と語った。久しぶりにギターを弾いているから、という言葉から続いたのは「Black Catcher」。「Black Rover」に続き手掛けた、アニメ"ブラッククローバー"のオープニング・テーマで、ストリーミング総再生回数が1.5億回を超えるこの曲だが、バンド編成では今回がライヴ初披露となった。デビュー5周年の軌跡を辿る意味合いもある今回だからこそのセットリストだろう。
軽快なピアノ・サウンドとファルセットが華やかで、アッパーな雰囲気を生む「Natural Woman」から、同じファルセットを使った曲でも一転して内省的でエモーショナルな「ミラージュ」が並び、観客の心も大きくアップダウンさせたところで、改めて"「RAINBOW ROAD」へようこそ"と挨拶をしたビッケブランカ。"かっこつけすぎた3曲だったので、ここからフレンドリーなビッケブランカが出てきます"と言い、また目の前に伸びる花道を見ながら、"いつ使うんだと思ってるでしょ"と含みたっぷりに笑みを覗かせると、"最後まで楽しんでいきましょう、どうぞよろしく"と曲へと突入した。ストリングス奏者ふたりが加わって、さらに厚みを増したアンサンブルでスタートしたのは「オオカミなら」。ビッケブランカの新たな魅力となっているエヴァーグリーンな歌謡曲、ポップスのきらめきを真正面から奏でるこの曲で、この日初めて花道へと踏み出していく。フロアとの距離がさらに近くなって、コロナ禍ゆえに大きな声は上げられないけれど、観客は手を振ったりして、会場内の空気がさらに柔らかくほどけていくのがわかる。そこに「ポニーテイル」が甘酸っぱい風を吹かせていくのも気持ちいい。
爽やかに盛り上げたこの中盤では、花道先のサブステージを使ってより深い時間も生み出していった。照明を最小限に、鍵盤と、その手元と足元を照らすライトのみというミニマムなスタイルで(大きな会場内でそこだけポッとライトが灯った、ぽつねんとした感じがシュールで、フロアから思わず笑い声も漏れたが)、「Divided」をプレイ。始まれば、その静かで美しい弾き語りに観客が息を飲む。曲の後半にメロディに絡むストリングス、そしてバンドが色を添えるが、ライヴではよりこの曲の端正な骨格、メロディやヴォーカルのしなやかさが際立っている。そこに続いた「まっしろ」も然りだが、ビッケブランカのバラードはシンプルで、力がある。この夏に生まれたバラード「魔法のアト」が、そこに続いた。ライヴ初披露となったこの曲について、MCで"自分の心の一番下が動いて作った曲"だと紹介したビッケブランカ。囁くように言葉を紡ぎ、エモーショナルに歌い上げる歌やブレスのひとつまでが大きく響くほど、観客はその歌を静かに受け取っていく。その余韻を背負いながらリリカルなアンサンブルで描いた「北斗七星」では、ラストにステージの背に星空が広がってドラマチックだった。
後半へというMCでは、改めて"RAINBOW ROAD"を立ち上げた思いを語ったビッケブランカ。これまで瞬間、瞬間を懸命にやってきた自負や自信があること、それができたのはこうしてライヴに来てくれる、期待してくれるみんながいるからこそで、そんなみんなが一堂に集まれる場所を作りたいという思いが芽生えたこと。そして年に1回でも互いの近況を報告し合えるように、この"RAINBOW ROAD"をスタートしたという。"またすぐにでも集まれますように。そう願ってます"というと、再びボルテージを上げての後半戦。高揚感のあるドラム・ビートにQUEENばりのドラマチックなギターが鳴り響き、あの曲だ! と喜びを炸裂させたい観客の思いをジリジリと引っ張るようなイントロから、「Winter Beat」へなだれ込む。ボリュームのあるサウンドが会場を明るくし、さらに明度を上げながら「Slave of Love」へと、ゴージャスなロック・ショーのごとき展開で観客の興奮と拳を上げていった。これもまたビッケブランカの真骨頂という流れだが、今回はさらにひと味加わって、夏にリリースしたEP『United』収録の「This Kiss」では4人のダンサーが登場。ビッケブランカもダンサーと一体となって踊って会場の温度を上げていく。これまでも楽器はもちろん、DJでフロアを一斉に跳ばせたりしてきたが、ダンスまでとは。エンターテイナーぶりをさらりと見せつけたところで、最強ダンス・チューン「Ca Va?」、そしてラストは幸福感を一気に上昇させるように「ウララ」で観客を一体化。
会場の熱を惜しむかのようにフロアやその上の2階、3階の席までのひとりひとりを眺めて手を振り、観客の拍手を全身に浴びて、エンディングへと駆け上がっていく笑顔はとにかく印象的だった。ツアーやライヴでは、よくその日やツアーでの出来事などMCでも饒舌に楽しませるビッケブランカだが、この日はとにかく"喋ることがない"と自ら言うくらい夢中で、楽しんでいた。洗練されたステージだが、アンコールの最後の最後までピュアに"ライヴ"やこの空間、時間を作り上げ、堪能し、そしてまた次に繋げていくという確かな心意気が窺えた。今回は5周年の集大成であり、また始まりの1歩となった"Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-"だが、きっとこれという定型のない、その都度のビッケブランカの"RAINBOW ROAD"を見せてくれるものになるのだろう。
なお、この日のセットリスト・プレイリストを各配信サイトで公開中。
またCSテレ朝チャンネル1で、この"Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-"特番が12月31日にオンエアされる。
そして、本公演のライヴ映像作品が2023年1月25日に発売が決定している。
プレイリスト情報
"RAINBOW ROAD -軌- Set List"
プレイリストはこちら
[Setlist]
1. Shekebon!
2. ココラムウ
3. Moon Ride
4. Black Catcher(本人Gt)
5. Natural Woman
6. ミラージュ
7. オオカミなら
8. ポニーテイル
9. Divided
10. まっしろ
11. 魔法のアト
12. 北斗七星
13. Winter Beat
14. Slave of Love
15. This Kiss
16. Ca Va?
17. ウララ
En1. Changes
En2. THUNDERBOLT
[Member]
井手上 誠(Gt/Cho)
HALNA(Ba/Cho)
横山裕章(Key/Cho)
若山雅弘(Dr/Cho)
岩村乃菜(Cho/Syn/Perc)
岡部磨知(1st.Vn)
天野 恵(2nd.Vn)
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