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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2018年05月号掲載

そこに鳴る

Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo)

Interviewer:山口 智男

-その他の曲は、どんなふうに作っていったんですか?

鈴木:「掌で踊る」の次に「表裏一体」ができたんですけど、「表裏一体」は同期を入れたくなってしまって。これはもう僕の興味の話なんですけど、"メタルやりたい!"、"同期を入れたい!"っていうテンション感というか、興味が出ちゃったからやりたいって感じで、今まで3ピースで、ギター1本でできる範囲でしかやらんかったけど、それを取っ払って作ってみようって、はしゃぎながら遊んだみたいな感じですね。ある種、一番初期衝動的かもしれないです。

-藤原さんは同期を入れることについては?

藤原:まったく抵抗はなくて、「表裏一体」を聴いたときも、そこに鳴るの新曲っぽいと思いました。

-3ピースでというこだわりはなかったわけですね。

藤原:変にそういう縛りを作ると、広がらないし、面白いこともできないし、それよりも楽しくやろうやって感じですね(笑)。

-同期を入れたくなったきっかけって何かあったんですか?

鈴木:TVアニメ"東京喰種:re"のオープニング・テーマ「asphyxia」を演奏しているCö shu Nieってバンドがいるんですよ。去年、『METALIN』のツアーの名古屋公演(4月13日に池下CLUB UPSETにて開催)に出てもらって。もともと注目はしていたんですけど、そこで対バンして、(Cö shu Nieから)貰った音源を聴いてみたらすごすぎて、埋もれていていいレベルじゃないというか、普通に宇多田ヒカルとか椎名林檎とかぐらいの逸材やんっていうぐらいの完璧さと独自性があって、その完璧さに憧れたんです。そのCö shu Nieが同期を使っていて、いろいろな音がいっぱい入っているんですけど、それを聴いたら、ギター1本では限界があるような気がして。だから一度、3ピースということを取っ払って作ってみたいと思ったんです。

-完璧さっていうのは、楽曲の完成度ということですか?

鈴木:ぬかりないというか、隙がないというか、秒単位で突き詰めている。全部の瞬間、全部のトラックに意味がある。"なんとなく"がないんです。"これ、ええ感じやん"って言っているところがひとつもなくて、"絶対、これ"ってところまで、"こうだ!"って突き詰めているのがわかる。たぶんTK(凛として時雨/Vo/Gt)さんもそうだと思うんですけど、それを感じたんです。

-完璧さを求める曲作りは、今回、他の曲でも?

鈴木:秒単位で突き詰めたっていう意味では、「掌で踊る」が一番近いかもしれないです。

-6曲目の「indelible time」も同期が入っていますが。

鈴木:「表裏一体」が、同期を入れることにはしゃいでしまったようなところがあったので、同期を使ってはしゃがずに作ったのが「indelible time」です(笑)。

-今回の曲作りは、以前よりも自由になったというか、解放されたようなところがあるわけですね?

鈴木:これまでも解放されていなかったわけではないと思うんですけど、もっと肩の力が抜けたというか、いい意味で、もっと適当でいいんだって思えた、そういう感覚はあります。2曲目の「Less Than Zero」のイントロのド頭のギター・フレーズは結構、適当に弾いたというか、楽器屋で試奏することになって、とりあえず何か弾いてみたぐらい力を抜いて、弾いてみたやつがかっこいいやんってなったから、それをイントロにしてみようかってなったんです。それが結構、凛として時雨っぽいんですよね。今までだったら、時雨(凛として時雨)っぽいからやめておこうってなってたと思うんですけど、今回は別にいいかって思えたんです。(僕たちは)時雨を意識しているってよく言われるんですけど、実は全然意識してなくて、染みついちゃってるから、意識してなくても出ちゃうんですよね、たぶん。だから何も考えないほど時雨っぽくなっちゃうのかもしれないです。

-藤原さんは今回の曲を聴いたとき、どんなことを感じましたか?

藤原:どれも1回聴いただけで、いいなってなりました。

鈴木:あ、ほんま? 初耳です(笑)。

藤原:あとは難しそうだなって。

鈴木:初めに聴かせたのが「表裏一体」と「掌で踊る」。その2曲を同時にスタジオに持っていって、デモを流したんですけど、どんよりしちゃって(笑)。

藤原:(笑)聴いて、すぐ"かっこいいな"って思ったんですけど、そのあとに"これ、自分にできるのか!?"って気持ちがやってきて。

鈴木:性格だな。