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INTERVIEW

Japanese

CIVILIAN

2016年08月号掲載

CIVILIAN

Member:コヤマヒデカズ(Vo/Gt) 純市(Ba) 有田 清幸(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

今年7月の東名阪ツーマン・ツアー"INCIDENT619"のファイナル公演を機に、Lyu:Lyuはバンド名をCIVILIANへと改めた。その彼らのモードは、約2年ぶりの新作となる3曲入りシングル『Bake no kawa』を聴けばわかるだろう。2年前から表れ始めていた、バンドのソングライティングを担うコヤマヒデカズの心境の変化は、バンドにも意識の変化をもたらす。この2年間は彼らにとって空白ではなく、ここに辿り着くまでに必要な時間だった。コヤマが"ずっと出したくて仕方がなかった。とにかく早く聴いてもらいたい"と語るCIVILIANとしての初作品は、彼らの歴史の中で最も気高く勇敢だ。

-約2年間リリースはなかったと言えど、自主企画などライヴ活動が活発だったと思います。年始には夏のリリースを発表されていましたし、この期間はかなりお忙しかったのでは。

コヤマ:何から話せばいいかわからないくらい、本当にいろんなことが巻き起こって。新曲自体は去年からすでに何曲も作っているんですけど、それを発表する場に恵まれなくて、なかなか新曲を発表できない状況が続いたんですよね。僕らもそれにはすごく歯がゆい思いもあって。とにかくやれることをやろうと思っていろんな企画ライヴをして――それが今年に入って、やっと自分たちの周りの状況がひとつひとつ整っていって、やっと僕らも新しい曲を出せるようになった。もちろん待っててくださった方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、何より自分たちが待ち望んでいましたね。やっと新譜を発売できるなと思っています。

-これだけリリースが空いたのは、バンドが落ち込んでいたというわけではない?

有田:2年くらい空いてしまったことに疑問を持っている人はいっぱいいると思うんですけど、いずれそのあたりを詳しく話せるタイミングがあれば話したいと思っています。この期間はバンドの活動スタイルを改めて考え直すことも多くて、3人ですごく話し合いました。その結果が今ここから表れていく――本当に準備期間だったなと。決して後ろ向きだったわけではなく、もっと上を目指すためにどうする? という話し合いを散々していました。

純市:むしろ前向きだったよね(笑)。バンドとしてステップアップしていくために状況を変えていったり、俺らに持たれているイメージを払拭していこうと。バンドとしてもっと広がりを出せるように、いろんなことにチャレンジしていきたいね、という話を3人でしていました。

-今、純市さんがおっしゃったことと繋がると思うんですけど、改名に関してコヤマさんはブログで"自分たちがこのバンドでやりたいこと、表現したいもの、辿り着きたい場所、目指したい目標について考え話し合ったとき、Lyu:Lyuという名前に区切りをつけるべきだと考えた"と書いていらっしゃいました。これについて詳しく教えていただけますか?

コヤマ:そうですね......自分自身の口から誤解を恐れずに言ってしまいますけど、僕らの曲を聴いているお客さんにとっては"Lyu:Lyu=コヤマヒデカズ"。僕の過去や心情を吐露しているイメージだったと思うんですよ、たぶん。僕らもバンドを始めた当初はずっとそれでいいと思っていて、バンドとしてもそれで成立していたんですけど......7、8年このLyu:Lyuという名前で活動を続けていくにつれて、"Lyu:Lyu=コヤマの内面世界"というイメージが強固になっていった。それにはいい部分も悪い部分もあったと思っていて。自分自身が音楽活動をしていくうちに、例えば歌詞の内容も自分の内省的なことだけではなく、もっと周りの世界や、自分を取り巻く世界、自分の外の世界のことも歌っていきたい――歌を書いているひとりの人間として、だんだんそういうふうに思ってきたんです。

『GLORIA QUALIA』(2014年リリースの4thミニ・アルバム)からそういう心情の変化は見えていましたし、「ディストーテッド・アガペー」(2014年リリースのリミテッド・シングル表題曲)もそういう曲だったのでは。

コヤマ:やっぱり心境の変化のきっかけは「ディストーテッド・アガペー」ですね。あの曲で初めて自覚的に、自分以外のことを歌ったんですよ。今思い返すと、あの曲を作れたことが自分にとってすごく大きかったんだろうな......と。今、決して少なくない数の人たちが一生懸命僕らの音楽を聴いてくれてるんですよね。そういう状況が自分の目の前にあって。もうひとりの自分が自分に"お前さぁ、そんなこと歌詞で言ってるけど、ちょっと周り見てみろよ。こんなに応援してくれてる人がいるだろ? それなのにいつまでそんなこと歌ってるんだよ"とツッコミを入れるんですよね。だからそこに目を背けたままで今までと同じことを歌うのは自分自身に嘘をついているということだし、表現としても嘘だろうと思ってしまったんです。それで歌詞で書きたいことが少しずつ広がっていって、それも含めてバンドで何度も何度も話し合いをしていった結果、名前を新しくして新しい活動の一歩を踏み出そうよ、ということで話がまとまりました。

有田:(『ディストーテッド・アガペー』以降)作ってる曲がどんどん変わっているのが明らかで。純市とも"最近歌詞が立ち向かってるよね"という話をしたりしてて(笑)。自分たちは多くの人に聴いてもらえる音楽をやっているんだから、もっと広まるべきだろう。じゃあ広めるためにどうしようか――すべての発端はそこなんですよね。改名の話が出たのは今年の初めなんですけど、やっぱり名前を変えることにはリスクがある。今までのことを全部引き連れたうえでの改名にしよう、という結論になったんですよね。だから、"改名と同時に2年かけて作ったCDを表に出せるタイミングが来たからには、今まで以上にちゃんと腹をくくろう"という感覚もありました。