Japanese
SUIREN
Skream! マガジン 2024年04月号掲載
2024.02.25 @Spotify O-nest
Writer : 石角 友香 Photographer:きるけ。
SUIRENがメジャー1st EP『Reverse』のリリース・パーティーをHello SleepwalkersとCIVILIANという強力なゲストを迎えて開催した。Hello SleepwalkersはSUIRENもCIVILIANもファンだといい、CIVILIANのコヤマヒデカズ(Vo/Gt)はSUIRENのRen(Key)と共にバンド外の活動で作家/プレーヤーとして共同作業をする仲だ。そんな繋がりもありつつ、音楽で異次元世界に連れて行ける個性を持った3組という共通項があると言えるだろう。
この日の口火を切ったのはHello Sleepwalkers。昨年、4人体制となりサポート・ドラマーを加えた形態で活動を続けてきたハロスリ(Hello Sleepwalkers)を近くで見ようと待機していたファンはメンバーの覇気に満ちた演奏に全力で応戦。シュンタロウ(Vo/Gt)、ナルミ(Gt/Vo)のツイン・ヴォーカルや、彼らにタソコ(Gt)を加えたトリプル・ギターのせめぎ合いはハロスリならではのスリル。轟音で攻める「天地創造」や「百鬼夜行」で完全に空間を支配したあとはシュンタロウがハンドマイクでアクティヴに歌うディスコ・チューン「Jamming」など、彼らの音楽的なレンジの広さを実感。SUIRENとの対バンは初めてだが、事前にラジオで顔合わせしたあと、サウナと麻雀の話題ですっかり意気投合したと笑わせていた。結成12年のキャリアにして、どこか少年性や冒険のストーリーを失わないバンドのキャラクターは独自のもの。現体制の代表曲と言える「午夜の待ち合わせ」をラストに配し、全6曲を一気に駆け抜けた。
フィジカルな躍動感を見せたハロスリとは対照的に荘厳なSEでスタートしたCIVILIAN。コヤマが自身の存在をかけて制作した新作『Never Open Door For Strangers』から、SNSの病理を暴くような「人類教ノスゝメ」をオープニングにセットし、コヤマ、有田清幸(Dr)、純市(Ba)の出す音の説得力に圧倒される。続く「犬になりたい」も怒濤のヘヴィネスを叩きつけるが、轟音でも濁らないのが彼らのスキルと楽曲の完成度の高さを証明している。ただただ音に身を委ね、演奏に集中するフロア。中盤以降は人間の温かい部分や生きるうえでの光を綴った楽曲を配し、特に信念を貫く人の美しさと、そうした存在への眼差しに音楽ジャンルを超えたメッセージを感じられる「覚えていようと思ったよ」はその場にいるオーディエンスに深く染み込んだように見えた。共演者への感謝の言葉も、ひとつひとつのステージを大切にするコヤマの姿勢が窺えた。ラストは現在のCIVILIANを象徴するモダン・ロックの至高ともいうべき「déclassé」で、3ピースの究極のアンサンブルを響かせてくれた。
いよいよこの日の主役、SUIRENのステージへと転換が行われるのだが、(Spotify)O-nestの舞台狭しと機材がセッティングされる時間もファンの待望感が高まるのがわかる。メジャー1st EP『Reverse』のあの複雑且つ繊細な世界がバンド・セットで実現されるのだから、それも当然と言えば当然か。水のイメージが想起されるピアノ・インストのSEが流れ、まずサポート・メンバー3人が登場し、少し遅れてRenとSui(Vo)が現れると拍手もボリューム・アップ。スターターはEPのリード曲である「Eye Shadow」だ。手数の多いドラム・パターンや蠢くベースはさすがライヴの迫力。
それでいて一瞬の閃光のようなRenのピアノも効果的だ。間髪入れず「Eye Shadow」と並び、現在のSUIRENを象徴するナンバー「stella」がSuiの歌から始まる。彼のジェンダーレスな声の魅力は熱唱系やシャウトするヴォーカリストとまた違う切実さを纏って届くことを実感する。SuiとRenのユニットであるから当たり前なのだが、ヴォーカリストとキーボーディストがステージの最前で並び、お互い全身でパフォーマンスするスタイルも新鮮に映る。
Suiがリリース・パーティーに参加してくれたオーディエンスに感謝を述べ、ハロスリやCIVILIAN目当てのリスナーも、オールインで楽しんでほしいという意味のことを鯛焼きの頭から尻尾までという喩えで表していたのが少し微笑ましかった。
続いてはジャズ・ファンク・テイストの「喰う虚」を披露し、彼らもまたその音楽的なレンジの広さでライヴに緩急をつけることができるアーティストであることを証明する。R&B調の楽曲でのSuiの地声からファルセットへのシームレスな歌唱は流れにフックをつける大きな武器だ。そしていわゆる男性ヴォーカルのセクシーさとはまた違う澄んだ聴感が、歌詞と不思議な化学反応を見せて面白い。さらにエイティーズ感とエレクトロニックの要素が融合した「Arcle」と、手持ちの札の多さを示す。そして何より様々なジャンル感を横断しつつも、SUIRENのシグネチャーのように存在感を示すRenのピアノの音色が効果的に響くのだ。
そして彼らの名前を広く知らしめるきっかけになった「黎-ray-」の存在感の強さよ。人気アニメ"キングダム"のオープニング・テーマでもあるこの曲が映画的なスケールを持っていることは自明だが、ライヴではそのシュア且つタイトに刻まれるドラムのパターンが肉感的に迫ってくる圧が痛快で、楽器のせめぎ合いに巻き込まれている間に曲がどんどん進んでいく。ほとんどブレスする隙もないようなメロディの最後をロング・トーンで歌い切るSuiに曲中でも拍手を送る人がいたのも納得だ。そこに切り込んでくるRenのピアノ・ソロ、そしてギター・ソロ。音楽で作るSF世界の攻防めいた アンサンブルのパワーに圧倒されてしまった。
そのあとは一転してEPの中でもひと連なりの世界観を醸成していたタームを生で表現していく。土砂降りのSEにRenのピアノ・ソロが重なっていく「白雨」、続けて「Squalling」に繋がる展開を生でも実現。重厚なサウンドでありつつ、この曲でのRenの水音にも似たリフの存在感はやはり光っていた。メンバー紹介を挟んで、5人編成での演奏は続く「レプリカ」で締めくくったのだが、生音とコラージュ的なSEが交差する演奏はこの曲。歌われる内容はレプリカ=偽物ではなく、ここにいる自分はほかの誰でもないというテーマだが、だからこそこの凝りに凝った構成がその意味を深くする。今回のニューEPもそうだが、存在証明をかけたSUIRENの音楽性を端的に表す曲であり演奏だったのだ。
このあと、サポート・メンバーが袖に下がり、SuiとRenがステージに残る。メジャー1st EPのリリース後初のバンド形態でのライヴでもあり、ふたりは改めて決して短くない互いのキャリアや、それでも実現したい理想に向けてマイペースで歩んでいくことを宣言していた。その言葉を聞いたあとのふたりだけの演奏であるパーソナルな聴感の「room」はシンプルだからこそ、究極、歌とピアノで成立するSUIRENの軸の強さを印象づけるエンディングとなった。
多彩なタイプの楽曲をコンパクトに7曲チョイスして届けられたこの日。まだまだ聴きたい曲があるし、彼らの音楽のスケール感に合う場所でもぜひ観てみたい。この先へ想像が膨らむばかりのリリース・パーティーだった。なお、今春にはふたり編成で各地でのライヴも決定している。
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