Japanese
Lyu:Lyu
2014.06.26 @渋谷TSUTAYA O-WEST
Writer 山口 智男
5月8日の東京公演を皮切りに北は札幌から南は福岡まで7都市8公演を、名古屋と最終日の東京を除いてワンマンで回ってきたLyu:Lyu。4thミニ・アルバム『GLORIA QUALIA』のリリース全国ツアーがこの日、ファイナルを迎えた。今回のツアーの大団円と成功を祝福するため駆けつけたのは、先輩にあたるLUNKHEAD。両者の交流が始まってからずっと熱望していた共演がこの日、ついに実現した。それも含め、この日のライヴはLyu:Lyuと彼らのファンにとって特別なものになったにちがいない。
"Lyu:Lyuと俺らとみんなでO-WESTを最高の場にしよう!"
小高芳太朗(Vo/Gt)の第一声を合図に演奏を始めたLUNKHEADは、いきなりレッドゾーンに突入したことを思わせる熱演をLyu:Lyuのファンにぶつけ、一気に会場の温度を上げていった。
"初対面でも行きずりの恋に落ちてください。いつか(気持ちを)掴んでみせます!"
なるほど。短いセットに120%の熱をぎゅうっと凝縮したことを思わせる演奏はそういうことだったのか。LUNKHEADは後輩のライヴに招かれ、ライヴを盛り上げたいという気持ちが第一にあるにはちがいない。しかし、その気迫に満ちた演奏からは、彼らがLyu:Lyuに本気で勝負を挑んでいることが窺えた。
メジャー・デビュー10周年を迎えてもなお、ギラギラした気持ちを失わないLUNKHEADの姿はLyu:Lyuのメンバーにとっても大いに刺激になったと思うが、あれだけの熱演の直後にもかかわらず、自分たちのペースを崩さずに芯に熱を持ちながらも決して熱しすぎないLyu:Lyuらしい世界観を1時間半にわたってじっくりと作り上げていった彼らもまた見事だった。
リヴァーブを効かせたギターが印象的だった1曲目の「先生」からアップ・テンポの絶唱系ナンバー「Seeds」、そして言葉を畳み掛けるヴォーカルが演奏を加速させた「アノニマス」を立て続けに演奏して、ライヴの流れを決めたところで、コヤマヒデカズ(Vo/Gt)が『GLORIA QUALIA』の産みの苦しみと、それが今回のツアーで報われたことを語る。
文学青年風のコヤマ、黒のパーカーに短パンといういでたちがなんだかラウドロック・バンドのメンバーっぽいベースの純市、そして陽気なドラマーの有田清幸。見た目もキャラもそれぞれに違う3人が奏でる、決して明るいとは言えない現実を受け止めながらもそこに救いや希望を見出そうしていることを思わせる歌の数々を、しっかりと受け止め、じっくりと聴きいるファンの姿が印象的だった。そこには熱狂や興奮とは違うバンドとファンの繋がりが感じられた。
"(ここにこうしていられるのは)俺たちを見つけてくれた君たちの力。この場にいてくれるだけでうれしい"
コヤマがそんなふうに感謝の気持ちを述べてからの中盤以降はコヤマの弾き語りからスタートする「文学少年の憂鬱」他、メランコリックなギター・ロックに広がりを加える曲の数々を『GLORIA QUALIA』のみならず、2013年3月にリリースした1stフル・アルバム『君と僕と世界の心的ジスキネジア』からも披露。エキゾチックなメロディがどこか昭和歌謡っぽい「ランララ」がおもしろい。いや、おもしろいと言えば、イントロを聴いたファンが歓声とともに反応した本編ラストの「メシア」もそうだ。ギター・リフが激しいロック・ナンバーながら、歌メロがどこか往年のAOR風になるところがバンドの幅広いバックグラウンドを想像させた。
秋には新しいCDをリリースして、11月7日のTSUTAYA O-EAST公演を含むワンマン・ツアーを大阪、名古屋、東京の3ヵ所で行うという。
"まだまだ止まらないのでついてきてください"(コヤマ)
ツアーの成功を、これからの活動に繋げるという想いを込め、ミラー・ボールが眩い光を放つ中、バンドは最後に「彗星」を演奏して、いままさにスケールアップしようとしているバンドの姿をダメ押しでファンの脳裏に焼きつけたのだった。
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