Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

POLYSICS

2017年12月号掲載

POLYSICS

Member:ハヤシ(Gt/Vo/Syn/Prog)

Interviewer:吉羽 さおり

結成20周年を迎えたPOLYSICSに、新メンバー ナカムラリョウが加入! そして、新生POLYSICSでのニュー・アルバム『That's Fantastic!』が完成!という2大ニュースが飛び込んできたのが10月のこと。"なぜ今?"と頭上に"?"を浮かべたファンと迎えた4人体制のお披露目ライヴは、ひと息でその疑問を吹っ飛ばす最高のステージで、有無を言わせぬ勢いがあった。そしてニュー・アルバムでは、サウンドスケープやグルーヴをさらに広げた、まさに"That's Fantastic!"としか言えないめくるめく音の世界が展開する。20年を経ても、冒険心に溢れて、ニッチなところをとことんポップに攻めるポリの図太さを感じる1枚だ。

-10月14日の"POLYMPIC 2017 FINAL!!!!"(渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催)は、新メンバーであるナカムラリョウ(Gt/Vo/Syn)さんのお披露目となったライヴでもありましたが、最高のライヴで。まずは、結成20年にして新メンバーが加入するというのはびっくりしましたが、どういうきっかけだったのですか。

ずっと3人でやってきたんですけど、自分はどうしてもギターを弾きながら歌うので、もうちょっと自分が自由に煽れたり、パフォーマンスができたら楽しいだろうなとぼんやり思ってきたのが、ここ1年半くらいなのかな。あとは、曲作りで、シンセ・パートを打ち込みでやっていたんですけど、手弾きでシンセを弾ける人がいたら、それはそれでいいだろうなと思って。ギターとシンセが弾ける人を入れたら、面白いことができるだろうなと考えたんですよね。

-そこから人探しも始めていたんですか。

そうですね。ちょうどそれが19周年のときだったので、20周年で新メンバーを入れるというのもPOLYSICSっぽくていいかなと。止まらないぞという姿勢も出るし。そこに向けてメンバー探しを始めようと思ったんですよね。それで、昔からお世話になっているライヴハウスの人に相談をしたり。あとは友達が多そうなミュージシャンに相談をしたりして(笑)。いろいろやりましたけど、なかなかいなかったですね。

-特にPOLYSICSに加入するとなると、やっぱりフォーマットもスタイルもあるバンドだから難しさもあるでしょうしね(笑)。

ルックスも含めてですよね。シンセとギターが弾けるとしても、KenKen(RIZE/LIFE IS GROOVE etc/Ba)みたいな人は、ちょっと違うと思うし(笑)。あとは(POLYSICSの)音楽性も特殊だし。そこでうまく話の合う人がいたらいいなと思っていたところに、偶然ナカムラ君と再会したんです。

-ナカムラさんは過去にいろんなバンドをやっていましたが、対バンをしたことなどもあったんですか。

ナカムラ君は、いろいろギターを弾いたり、曲提供をしたりと、ミュージシャンとして活動していたんですけど、13年前に彼がやってたthrowcurveとポリ(POLYSICS)が対バンをして。そのときに、どうもどうもみたいな挨拶はしたんです。そのあとも対バンをしたり、ポリのライヴを観に来てくれたりしていたんですけど、ふたりで飲みに行ったりする感じではなくて、なかなか会わなくなっていたんです。で、去年、偶然再会したときに、彼がやってるバンドと、彼が手掛けた映画の劇伴のCDを貰ったんです。それを聴いたときに、コンポーザーでもあるしマルチ・プレイヤーでもあるんだなって思って、こういう人が入ったら面白いかもしれないなって、ビビッときて。それでコンタクトをとって、何度か飲みに行きましたね。

-話をしてみて、加入についても好感触な感じで?

最初はやっぱり全然で。ポリの他のメンバーやスタッフにも"こういう人がいるよ"とは言ったんですけど、どうなるかわからないですし、俺もわからなかったし。ナカムラ君にもまだ、メンバーになってくれとは言わずに、何度か飲んで人間性を探るというか(笑)。

-大事なところですね。

笑いのツボとかが合う、合わないも大きいと思うし。あとは、音楽の趣味だったり。

-以前からポリを観に来ていたということは、音楽的なところでは共通点も多いんですか。

彼は、もうちょっとUKギター・ロックとかも好きなんですけど、ニュー・ウェーヴも好きで、ポリも好きでいてくれましたね。それで最初は、POLYSICSでやる、やらないは置いておいて、彼にもポリをやってほしいと言わずに、1回、データのやりとりでセッションをしてみない? と言ったんです。それで、自分が作った曲のデータを彼に投げたら、彼はそれを面白い形で返してくれて。自分が想像してないアレンジで曲のやりとりができたときに、これは面白いかもしれないなと思って。そこで、じゃあスタジオに入ってセッションしてみようとなったんです。既存曲は形ができあがっているので、そこのうえでシンセやギターを弾いてもよくわからないから、曲作りを一緒にしてみて決めようかなと思ったんですよね。それで、今回のアルバムに入ってる「Sea Foo」だったり「Pretty UMA」だったり、あとは「Ga Ga Ga Ga Gaping」とか「ロックンロー」のデモを一緒に作ったときに、わりと彼のプレイやアイディアが新鮮だったので、これは、今までのポリにはないものができそうだなと思って。そこから具体的にみんなも、メンバーのイメージが固まったという感じでした。やっぱり俺も慎重になっていたのもあるし、それまで3人でやってた関係性も崩れる可能性もあるじゃないですか。そこはフミ(Ba/Syn/Vo)の方が、もっと敏感になってましたけどね。

-もう、3人での活動で7年ほどやってましたからね。

だから、本当に入れる? っていう話もしたり。

-なるほど、曲作りからのスタートだったんですね。だからニュー・アルバム『That's Fantastic!』の感触が、新鮮な雰囲気だったんですね。

もともとアルバム自体は、違うものにしたいなというのはぼんやりあったんですよね。POLYSICSが得意とする、速いテンポで電子音がせわしなく鳴って、ヴォコーダーが入って、展開の多いパンクみたいなものは、前回の『What's This???』(2016年リリースの14thアルバム)でやったので。"え、これポリ?"っていうもの。一瞬、ポリ? ってなるけど、"あぁ、やっぱりポリだね"っていうアルバムにしたいなというのはあって。ぼんやりと作っていったところだったんですよね。2月にリリースした再録ベスト・アルバム『Replay!』に入っていた新曲の「Tune Up!」で取り入れたアフロ・ビートが自分の中で流行っていたので、その延長で「Pretty UMA」とか「Sea Foo」みたいなものができていったりしましたね。

-それくらい、その時点で「Tune Up!」ができたことが大きかった?

大きかったですね。