WRITERS' COLUMN
ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
2015年09月号掲載
この間、近所の焼き鳥屋でビールを飲んでいたら、カウンターの隣の席で飲んでいたおっちゃんが飲み代を奢ってくれた。そのおっちゃんは、"次は君が、君より若い奴に奢ってやってくれ"と言っていた。とても感動したし、ありがたかったし、これは、なんというか、人の営みの本質にある話のような気がしたのだ。そして同時に、音楽にも少なからず関わっている話であるような気もした。
フラワーカンパニーズの新作ミニ・アルバム『夢のおかわり』のジャケットを飾っているのは、マイクを握り歌う少年の姿である。このジャケットに映し出された少年には、次の時代を作っていく子供たちの姿と、そして、フラカン自身の今の姿も投影されているのではないだろうか。『夢のおかわり』は、結成26年目に突入したフラカンの生き様と、そして彼らが背負ってきたもの、次の世代に伝えようとしていること――それらが非常に明快な形で刻まれた作品である。アルバム『Stayin' Alive』の次に彼らが辿り着いた場所は、"歴史の途中"という、とても深く、そして大きな場所だったのだ。
何かを次の世代に引き継ごうという意識は、自分たちも上の世代から何かを引き継いできたという認識なくしては生まれない。人は、子を産めば親になるが、その親だって誰かの子である。人はずっと子なのである。『夢のおかわり』のラストを飾るTrack.7「無敵の人」で、鈴木圭介はこう歌う。"頑張ってる人に 贈る言葉はない/頑張ってる人は それだけで未来だ"――次の世代に向けて強いメッセージを送る彼の姿は、これまでのフラカンにはそうそう見られなかったものだ。だが、だからと言ってフラカンが親として一丁上がってしまったかと言えば、そうではない。Track.1「消えぞこない」では"地味でも無様でも惨めでも/根っこを張って踏ん張ってろ"と、未だ、がむしゃらにもがきまくっている自分たちの今の姿を描く。Track.2「東京ルー・リード」では、"立ち返れ 夢のルーツへ"と、自分たちの夢の根源――つまり、自分たちの親の存在を匂わせ、結成26年を迎えた自分たちもまた、誰かの子であることを印象づける。『夢のおかわり』に刻まれたフラカンは、自分たちのキャリアだけではない、もっと大きな時の流れの中にいるフラカンなのである。
人は誰だって子であり親である。忘れちゃいけないことがあり、伝えなければいけないことがある。今年の12月19日に初めて日本武道館のステージに立つフラカンは、とてもリアルな"今"のロックンロール・バンドとして、受け継がれてきたものを背負い、伝えるべきことを鳴らすだろう。私には、この記事を読んでくれるすべての人にビールと焼き鳥を奢る財力はないが、フラカンが武道館で教えてくれることは、きっちりと、どこかで言葉にして伝えるつもりである。
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