WRITERS' COLUMN
ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
2014年01月号掲載
銀杏BOYZの新作が出る。9年ぶりに出る。この9年という期間が長いのか短いのか、それは人それぞれが判断するところだが、とにかく、出る。9年ぶりに銀杏BOYZのアルバムが出る。
この9年間でいろんなことが起こった。アメリカの大統領は1回変わり、日本の総理大臣は何度も変わり、アラブでは革命が起こり、世界の様々な場所が天災に見舞われた。『笑っていいとも!』の終了も発表された。きっと多くの人が生まれ、多くの人が死んだ。2005年当時、高校への登下校の間ずっとイヤホンをつけて当時出たばかりの銀杏BOYZの2枚のアルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』と『DOOR』をひたすら聴き続けていた広島の片隅で暮らす、女の子とまともに喋ったことのない童貞少年は、この9年の間にキスもセックスも経験し、今こうやって音楽媒体で銀杏BOYZのアルバムについて原稿を書こうとしている。本当に、この9年間でいろんなことが起こった。
だから、9年ぶりの新作『光のなかに立っていてね』と『BEACH』のリリース日が2014年の1月15日だと発表された時、ぎょっとした。あの2枚の1stアルバムがリリースされたのが、2005年の1月15日。そしてもっと言うと、GOING STEADYの解散が発表されたのが、2003年の1月15日。この"1月15日"という日がバンドやファンにとって特別な日であることは確かだ。でも、また?まだ、そこにこだわり続けるの?――ちょっと不安になった。彼らはこの9年間、ずっと同じ場所にいたのだろうか?
社会で起こる様々な事象に対して、ある種の使命感や天性の反射神経でもって俊敏に反応するアーティストがいる。たとえばASIAN KUNG-FU GENERATION。彼らは"今、世の中で何が起こっているのか?"ということに対して鋭く嗅覚を尖らせているし、何か起これば、それに対してアクションを起こす。それは彼らが自分たちの立場やそこにある発言力を自覚しているからだし、ミュージシャンとして社会にコミットしていくことに積極的だからだ。しかし、銀杏BOYZの場合はどうか。彼らには、そういった社会性は皆無のように思える。2011年には東北の震災をうけて"スメルズ・ライク・ア・ヴァージン・ツアー"を行っているが、結局、それが終わってから今まで音沙汰はなかった。社会で何かが起こるたびに、いや、いっそそこまで大きな物事ではなくても、メンバーの結婚のような、個人的なレヴェルの話でもいい。その都度、起こる出来事に対して音源のリリースやライヴでコミットしていくことは、きっと可能なのだ。でも、銀杏BOYZはそれをやらなかった。彼らは同じ場所にいて、かつて掘った穴を、さらに深く掘り進めていた。ただひたすら、深く深く深く深く深く......。それはとても狂気的なことであり、しかしそれこそが、銀杏BOYZの、峯田和伸という表現者の業なのだと思う。
(次回に続く)
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