WRITERS' COLUMN
ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
2013年10月号掲載
みなさん、こんにちは。ライターの天野です。今年は邦楽も洋楽もリリース・ラッシュで熱いですね。こんな豊作な年、なかなかないんじゃないでしょうか。そんな中、僕の愛して止まないあの男もシーンの最前線に帰ってきました......。あの愛すべきロクデナシが。そう、Peter Dohertyです。彼がBABYSHAMBLESの新作『Sequel To The Prequel』を引っさげて帰ってきました。
Peter Dohertyは僕が高校生の頃に出会った、洋楽ミュージシャンとして最初のヒーローでした。初めての出会いは『ロッキング・オン』のインタビュー記事で、その中で彼が"物語には主役になれない、見捨てられた脇役たちがいる。僕は彼らの存在を忘れてほしくないんだ"みたいなことを言ってて(うろ覚えですが)、とにかく感動したことを覚えています。すぐに彼が最初に組んでいたバンド、THE LIBERTINESのアルバムを買いに走りました。衝撃でした。荒削りで、演奏下手で、でも驚くほどポップで、キラキラしてて。そこには常識とか正論の外側の世界がありました。THE LIBERTINESは、単純に言えば、"学校になんか行かなくていいんだよ"ということを教えてくれた初めてのリアルタイムのバンドでした。少なくとも、日本にこんなバンドはいなかった。その後、雑誌の記事などを読んで、彼らが抱えていた問題も知りました。ドラッグ、リハビリ、仲間割れ。度重なるトラブルとその混沌は、THE LIBERTINESの2ndアルバムと、その後リリースされたPeter Doherty の別バンド、BABYSHAMBLESの1stに生々しく刻まれています。でも、破綻していく物語すらもこんなにも美しい音楽に変えてしまう彼らの才能に感動しました。ヴォーカルも、演奏も、そして人間関係も、完全に破綻しているのに、なのにそのすべてが奇跡的なバランスで、美しかった。
THE LIBERTINES崩壊後、Peter Dohertyはトラブルメイカーとして話題を振りまきながら、BABYSHAMBLESとしてもソロとしても度々浮上してきました。THE LIBERTINESの再結成もありました。でも、2009年のソロ・アルバムはよかったですが、2007年のBABYSHAMBLESの2ndはあまりよくなかったと思います。あれは、トラブル続きのPeterをなんとか商品として成り立たせようとしたアルバムだったと思いますが、そんなこと、Peter Dohertyという才能の前には無粋です。その点、新作『Sequel To The Prequel』は素晴らしい。これはTHE LIBERTINESの1st以来、Peterが初めて"バンド・メンバー"として機能した作品です。確かに、後期THE LIBERTINESや初期BABYSHAMBLESのような、破綻すら芸術に変えてしまう奇跡的なマジックはありません。でも『Sequel To The Prequel』には、Peter Dohertyという00年代UKロックシーン最高峰の才能が生み出す音楽が、バンドという信頼と安定の中で活き活きと鳴り響いているような、そんな清々しさがあります。やっぱりPeter Dohertyを信じてよかったと思わせてくれる作品です。
Related Column
- 2015.10.25 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.09.29 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.08.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.07.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.06.20 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.05.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.04.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.03.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.02.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.01.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.12.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.11.20 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.10.18 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.09.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.08.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.07.16 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.06.11 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.05.13 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.04.10 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.03.19 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.02.12 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.01.19 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.12.07 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.11.11 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.10.28 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
LIVE INFO
- 2024.12.21
-
煮ル果実
ストレイテナー
back number
People In The Box
Helsinki Lambda Club
LiVS
シノダ(ヒトリエ)
フィロソフィーのダンス
あいみょん
Umisaya
Galileo Galilei
クジラ夜の街
クレナズム
浪漫革命
DENIMS
ベランダ
怒髪天
"MERRY ROCK PARADE 2024"
tacica
Homecomings
ずっと真夜中でいいのに。
SPECIAL OTHERS
LEGO BIG MORL
佐々木亮介(a flood of circle)
Absolute area
Hello Sleepwalkers
PEOPLE 1
新しい学校のリーダーズ
アーバンギャルド
mzsrz
MOROHA
- 2024.12.22
-
ExWHYZ
ストレイテナー
back number
Helsinki Lambda Club
tacica
シノダ(ヒトリエ)
上白石萌音
フィロソフィーのダンス
Lucky Kilimanjaro
大森靖子
あいみょん
WONK
Aooo
People In The Box
ザ50回転ズ
Homecomings
DOES
怒髪天
"MERRY ROCK PARADE 2024"
ずっと真夜中でいいのに。
majiko
ゴホウビ
miida × stico
さめざめ
小林柊矢
TK from 凛として時雨
adieu(上白石萌歌)
MyGO!!!!!
PEOPLE 1
新しい学校のリーダーズ
LEEVELLES × 名無し之太郎
- 2024.12.23
-
DOES
Cody・Lee(李)
LiVS
ドレスコーズ
Cody・Lee(李)
RAY×BELLRING少女ハート
坂本慎太郎
原因は自分にある。
東京初期衝動
- 2024.12.24
-
羊文学
川上洋平([Alexandros])
藤巻亮太
ポップしなないで
CIVILIAN
Plastic Tree
yama
- 2024.12.25
-
UNISON SQUARE GARDEN
原因は自分にある。
ExWHYZ
サンドリオン
川上洋平([Alexandros])
豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL
シノダ(ヒトリエ)
ずっと真夜中でいいのに。
- 2024.12.26
-
BiS
いゔどっと
優里
Cwondo
LACCO TOWER
ネクライトーキー / kobore
UVERworld
Dannie May
- 2024.12.27
-
いゔどっと
"FM802 RADIO CRAZY 2024"
優里
TK(凛として時雨)
シノダ(ヒトリエ)
賽
Devil ANTHEM.
"TOKYO COUNT DOWN 2024"
ネクライトーキー / 3markets[ ]
ビッケブランカ
ExWHYZ
煮ル果実
神聖かまってちゃん
SANDAL TELEPHONE
ウソツキ
"LIVEHOLIC presents COUNT DOWN SPECIAL 2024→2025"
- 2024.12.28
-
CENT
ザ・クロマニヨンズ × go!go!vanillas
the paddles
"FM802 RADIO CRAZY 2024"
TK(凛として時雨)
シノダ(ヒトリエ)
ADAM at
TENDOUJI
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
鯨木
Homecomings
"COUNTDOWN JAPAN 24/25"
モノブライト
BiS
THE YELLOW MONKEY
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI / PIGGS / Wang Dang Doodle / ゆっきゅん
"LIVEHOLIC presents COUNT DOWN SPECIAL 2024→2025"
- 2024.12.29
-
"FM802 RADIO CRAZY 2024"
ADAM at
DIALOGUE+
Aooo
"COUNTDOWN JAPAN 24/25"
"LIVEHOLIC presents COUNT DOWN SPECIAL 2024→2025"
- 2024.12.30
-
Dragon Ash × The BONEZ
"COUNTDOWN JAPAN 24/25"
"LIVEHOLIC presents COUNT DOWN SPECIAL 2024→2025"
- 2024.12.31
-
Nornis / ROF-MAO / 葛葉 ほか
"第8回 ももいろ歌合戦 ~愛の大晦日~"
フラワーカンパニーズ
FINLANDS
"COUNTDOWN JAPAN 24/25"
大森靖子
9mm Parabellum Bullet×アルカラ
"LIVEHOLIC presents COUNT DOWN SPECIAL 2024→2025"
- 2025.01.03
-
JIMMY EAT WORLD
- 2025.01.04
-
私立恵比寿中学
RAY×BELLRING少女ハート
いゔどっと
sajou no hana
PRIMAL SCREAM / ST. VINCENT / JIMMY EAT WORLD ほか
- 2025.01.05
-
RAY×BELLRING少女ハート
PRIMAL SCREAM
Base Ball Bear
WEEZER / MANIC STREET PREACHERS / DIGITALISM ほか
PIGGS
- 2025.01.06
-
THE JESUS AND MARY CHAIN
- 2025.01.07
-
WEEZER
PRIMAL SCREAM
GANG PARADE × 寺中友将(KEYTALK)
レイラ
RELEASE INFO
- 2024.12.21
- 2024.12.25
- 2024.12.26
- 2024.12.27
- 2024.12.28
- 2025.01.01
- 2025.01.06
- 2025.01.08
- 2025.01.10
- 2025.01.12
- 2025.01.14
- 2025.01.15
- 2025.01.17
- 2025.01.20
- 2025.01.22
- 2025.01.24
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ST. VINCENT
Skream! 2024年12月号