WRITERS' COLUMN
ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
2014年03月号掲載
シャムキャッツのニュー・アルバム『AFTER HOURS』がリリースされるので、今回は先行シングルである「MODELS」について書こうと思う。特に、深いメッセージ性を孕んだその歌詞について、書く。(≪≫内は歌詞の引用)
この「MODELS」に登場するのは、一組の男女のカップルだ。1番では男について、2番では女について歌われる。まず男。≪朝焼けの工業団地に/夜走りのトラックが戻って来る≫。彼の職業はトラックの運転手。夜中トラックで走り、朝方帰る生活。そして女。≪彼が眠りにつく朝に/彼女は出勤の支度≫。彼女はOLか何かだろうか。朝出勤のスタイルだ。このカップルが出会うのは、夕方。≪夕方には愛しいあのこに会える≫、≪夕方にはかわいいあいつに会える≫――それぞれが、夕方に出会う相手を想い、暮らしている。何の変哲もないカップルの毎日。
しかし、この日々の中で、男は思う。≪なるべく長く続ける為にはちょっとした工夫もいるんだ≫と。彼女も考える。≪なるべく容姿に気を使うためにはちょっとだけ食費を抑えなきゃって≫。この2ラインが伝えているのは、時間もすれ違うし、金銭的に満たされているわけでもないふたりが、それでも"工夫"と"我慢"を駆使しながら、この生活を"続ける"ことを重要視していること。極めつけはここ。夜、ふたりはひっそりと話している。≪なるべく二人で続けていく為にはもしかしたら/ここじゃないところへ引っ越すのもいいね≫と。引越し。つまり、今いる場所から離れてでも、この生活を続けること。このカップルが見せる"続けること"に対する執着は、今の時代に対し、とても批評的に機能する。アベノミクスや東京五輪といった表面的な"回復"や"成長"が取り沙汰される中で、しかし、その先や裏に何があるのかわからない、ぼんやりとした靄の中を生きる今の若者たち。彼らに対し、そんな今だからこそ、しっかりと地に足をつけて生き"続け"なければならない――そんな新たな生き方の"モデル"を、シャムキャッツはこの曲で提示しているのではないだろうか。
ただ、この曲にはひとつ大きなキーワードがある。それは"タモリ"。≪タモリがはしゃぎ下らなく午後が始まる頃≫というラインがある。タモリといえば、やはり今の話題は『笑っていいとも!』の終了。つまり"タモリ"とは、"長く続いてきたものが終わってしまう可能性"のメタファーとして捉えることができる。それは戦争や天災など外的要因かもしれないし、些細な喧嘩などの内的要因によってかもしれないが、どれだけ長く続いたふたりの生活も、いつかは終わりが来る......かも。そんな未来すら暗示されているのだ。だからこそ、この曲は切なく響く。"終わり"を内包しながら、それでも"生き続ける"ことを選ぶ男女の物語。「MODELS」、まだの人は是非。
Related Column
- 2015.10.25 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.09.29 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.08.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.07.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.06.20 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.05.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.04.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.03.22 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.02.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2015.01.23 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.12.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.11.20 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.10.18 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.09.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.08.17 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.07.16 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.06.11 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.05.13 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.04.10 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.03.19 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.02.12 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2014.01.19 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.12.07 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.11.11 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
- 2013.10.28 Updated
- ライター 天野 史彬の『ベッドルームひとりぼっち』
LIVE INFO
- 2025.10.02
-
オレンジスパイニクラブ
THE ORAL CIGARETTES
感覚ピエロ
緑黄色社会
打首獄門同好会
Hump Back
たかはしほのか(リーガルリリー)
キュウソネコカミ
大森靖子
SHE'S
- 2025.10.03
-
INORAN
アイナ・ジ・エンド
reGretGirl
キタニタツヤ
挫・人間
ナナヲアカリ
Aooo
MONOEYES
eastern youth
Laura day romance
Kroi
KING BROTHERS
moon drop
すなお / TELLECHO
藤森元生(SAKANAMON)
OKAMOTO'S
Omoinotake
鋭児
Amber's
ぜんぶ君のせいだ。
WtB
- 2025.10.04
-
Appare!
水曜日のカンパネラ
フレデリック
reGretGirl
KANA-BOON
wacci
優里
YONA YONA WEEKENDERS
Cody・Lee(李)
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
ART-SCHOOL
irienchy × no more
藤森元生(SAKANAMON)
ExWHYZ
ガガガSP / w.o.d. / モーモールルギャバン / ZAZEN BOYS / 浪漫革命 ほか
LiSA
LACCO TOWER
ASP
終活クラブ
a flood of circle
トンボコープ
WtB
TOKYOてふてふ
僕には通じない
Rei
cinema staff
brainchild's
"PIA MUSIC COMPLEX 2025"
Bye-Bye-Handの方程式
indigo la End
- 2025.10.05
-
岸田教団&THE明星ロケッツ
水曜日のカンパネラ
ビレッジマンズストア
Omoinotake
LONGMAN
ExWHYZ
INORAN
フレデリック
優里
TOKYOてふてふ
アイナ・ジ・エンド
PIGGS
挫・人間
I Don't Like Mondays.
Hump Back / FIVE NEW OLD / 儀間建太(愛はズボーン) / 髭 / 石野卓球 ほか
WtB
キタニタツヤ
the cabs
ザ・ダービーズ
Rei
a flood of circle
秋山黄色
PEDRO
セックスマシーン!!
LACCO TOWER
chilldspot
YONA YONA WEEKENDERS
moon drop
the telephones
東京初期衝動
LEGO BIG MORL
シド
羽深創太(GIOVANNI)
Cody・Lee(李)
"PIA MUSIC COMPLEX 2025"
Bye-Bye-Handの方程式
TOOBOE
indigo la End
Czecho No Republic
- 2025.10.06
-
kiki vivi lily
PEDRO
LiSA
ガガガSP×バッテリィズ
THE ORAL CIGARETTES
- 2025.10.07
-
LONGMAN
緑黄色社会 × Aqua Timez
古墳シスターズ
FOO FIGHTERS
- 2025.10.08
-
THE ORAL CIGARETTES
TOKYOてふてふ
FOO FIGHTERS
Re:name × Enfants
JON SPENCER
MONO NO AWARE
ORCALAND × Gum-9
- 2025.10.09
-
キュウソネコカミ
Rei
OKAMOTO'S
終活クラブ
JON SPENCER
DOES
アイナ・ジ・エンド
感覚ピエロ
Hedigan's
Plastic Tree
羊文学
Kroi
- 2025.10.10
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
暴動クラブ × 大江慎也
Rei
SUPER BEAVER
ザ・シスターズハイ
KING BROTHERS
PEDRO
YOASOBI
moon drop
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
the cabs
WHISPER OUT LOUD
FRONTIER BACKYARD
LEGO BIG MORL
JON SPENCER
NOMELON NOLEMON
a flood of circle
DOES
水曜日のカンパネラ
FOO FIGHTERS
キタニタツヤ
たかはしほのか(リーガルリリー)
ExWHYZ
MONOEYES
藤森元生(SAKANAMON)
大塚紗英
感覚ピエロ
ZAZEN BOYS×サニーデイ・サービス
East Of Eden
アーバンギャルド
JYOCHO
羊文学
小林私
THE SPELLBOUND
- 2025.10.11
-
終活クラブ
キュウソネコカミ
トンボコープ
Appare!
cinema staff
秋山黄色
YOASOBI
moon drop
OKAMOTO'S
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
KNOCK OUT MONKEY
INORAN
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
KANA-BOON
ExWHYZ
FRONTIER BACKYARD
androp
カミナリグモ
brainchild's
フレデリック
envy × world's end girlfriend × bacho
"JUNE ROCK FESTIVAL 2025"
East Of Eden
Official髭男dism
藤沢アユミ
豆柴の大群
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.12
-
a flood of circle
キュウソネコカミ
SUPER BEAVER
WtB
キタニタツヤ
セックスマシーン!!
WESSION FESTIVAL 2025
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
INORAN
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
Omoinotake
Bimi
ART-SCHOOL
Official髭男dism
eastern youth
なきごと
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.13
-
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
Awesome City Club
ExWHYZ
Appare!
The Biscats
brainchild's
Rei
OKAMOTO'S
秋山黄色
Age Factory
トンボコープ
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
"WESSION FESTIVAL 2025"
岡崎体育
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
シド
SCANDAL
cinema staff
Cody・Lee(李)
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
hockrockb
Omoinotake
Kroi
PIGGS
清 竜人25
Plastic Tree
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
RELEASE INFO
- 2025.10.01
- 2025.10.02
- 2025.10.03
- 2025.10.05
- 2025.10.06
- 2025.10.08
- 2025.10.10
- 2025.10.11
- 2025.10.12
- 2025.10.13
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.17
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.29
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
OASIS
Skream! 2025年09月号