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INTERVIEW

Japanese

GANG PARADE

2025年06月号掲載

GANG PARADE

Member:ヤママチミキ ユメノユア キャ・ノン チャンベイビー

Interviewer:宮﨑 大樹 Photographer:藤咲千明

"会心作"――そう表現して差し支えないだろう。GANG PARADEが完成させたメジャー3rdアルバムは、リード曲をKENTA(WANIMA)が提供した他、大森靖子、草野華余子、KEYTALK、超能力戦士ドリアン等錚々たるアーティストが参加した全20曲(厳選盤は10曲)入りの大作だ。本作について、1万字超えの大盛インタビューを実施した。ギャンパレ(GANG PARADE)に武器は揃った。あとはやるだけだ。

-ニュー・アルバム『GANG RISE』は、初めましての作家が多いなかで、ワーナー(ミュージック・ジャパン)に所属してから最もギャンパレらしい作品になったと思いました。これまでの活動を経て、相互理解が深まったのかなと。

ユア:うん。めちゃくちゃいい作品ができたなと自信を持って押し出せるアルバムができました。改めて完成したものを聴いて、これを世に出せることが嬉しいなと思いました。

ノン:手応え大アリです。早く世に出したいし、聴いてほしいし、感想を聞きたい。どの曲もすごく良くて、全部がリード曲みたいな存在感のある楽曲ばかりが入っているアルバムです。自分たちが自信作として出せることがすごく嬉しい。

ベビ:めっちゃいいアルバムなことは間違いない。これはギャンパレの話じゃないんですけど、アルバムって飛ばしちゃう曲があったりするじゃないですか。でも、このアルバムはそれがない。ノンが言ったみたいに全部がリード曲みたいで、すごい曲たちばかり。

ミキ:みんなが言ったように、"聴いてください"と自信を持って言えるアルバムができたなと思っていて。今までギャンパレが作り上げてきたものをブラッシュアップして、より良いものを詰めた感じというか。全部が王道的なものだけど、違う角度の王道で、これを1枚のアルバムとして出せるのがすごい。ここまで詰まったものを1つの作品にできたことがすごく嬉しいなというのは、完成してから思いました。

-詰め込んだというのは本当にその通りで、このインタビュー時間内で聞き切れるボリュームじゃないんですよね(笑)。なので、どうしてもピックアップしての話にはなってしまうんですけど、なんといっても表題曲がKENTA(WANIMA/Vo/Ba)さんからの提供ということに驚きました。

ミキ:"WANIMAさんが決まりました"と言われたときは"本当に!?"、"えっ? 嘘ついていますか?"と思うくらい衝撃的でした。ディレクションについても、KENTAさんが来てくださってレコーディングしてもらったんですけど、それもなんか不思議な感じがしましたね。"NUMBER SHOT"でご挨拶して、写真をバって一瞬で撮ってもらったことが一度だけあったんです。そのときも不思議な感じがしたんですけど、今回はより密な関係性というか、"あのWANIMAと一緒にやれている......!"って(笑)。私は10年アイドルをやっているけど、そういう経験ができたのはすごく貴重だったなと思いました。自分たちのフェス("1CHANCE FESTIVAL")を開いていたり、いろんな楽曲を提供されていたりする方が、私たちのためにこうやって時間を割いてくれているという、その現実が自分の中で大きかったですね。

-レコーディングはどんな雰囲気だったんですか? やっぱり緊張しました?

ミキ:"最近休みあるの?"みたいな、世間話みたいな話をしてくれたんです。いいお兄さんって感じで。

ユア:(緊張を)ほぐしてくれましたね。

ベビ:私は当日クワガタのTシャツを着ていたので、"クワガタ"って呼ばれていました(笑)。

-(笑)ディレクションは細かいところまでしてもらったんですか?

ベビ:人によるのかな?

ユア:うん、人による。基本的にはその子の個性を一発で見極めていいところを言いつつ、リズムだったりテンション感だったりを、KENTAさんのイメージに合わせて伝えてくれたんじゃないかなと思います。技術的なところもありつつ、そこにすごくこだわるというよりも、1曲を通したときの雰囲気をすごく大事にしているんじゃないかなとは、レコーディングを通して感じました。

ノン:レコーディングしているときに、"こんなふうに歌って"みたいなお手本をKENTAさん本人が歌ってくれるんですよ。それで"本物だ!"と思って(笑)。他のメンバーのレコーディングを見学しているときも、メンバーが歌っているのに合わせて一緒に歌っていて、それだけで伝わってくるというか、自分もそんなふうにはできないけど、"少しでも近付けるように"と思いながらレコーディングしていましたね。

ミキ:自分が録る前に他の子がやっているのを見て、"こういうふうに歌ったらいいんだ"ってその場で分かるのは新鮮でした。

ユア:あとさ、仮歌が豪華だったよね。仮歌もKENTAさんが歌ってくださっていて。それが"WANIMAの曲!?"みたいな仕上がりで(笑)。

ノン:世に出ている完成した作品みたいな状態で貰ったので、本当に涙が出ちゃうぐらいのデモだったんですよ。

ミキ:その仮歌はこだわって録ってくださったらしくて、"ここは俺も何十回も歌い直したから、こういうふうに歌ってほしい"ということを言ってくださって。すごかったです。

ベビ:宝物ですね。

-改めて、楽曲への印象を聞かせていただけますか?

ミキ:歌詞を見る前にまずは曲を流して聴いていたんですけど、メロディだけでもグッと来ました。WANIMAさんの音楽って、すごく熱くてカッコ良くて、というのがあると思うんですけど、それにちょいエモみたいなものが足されていることにすごくグッと来て。その後に歌詞を読んだら、今までの歴史を自分の中で振り返ったりして、そういうのがすごく自分の中でぐるぐる回ったんです。で、次の日メンバーに練習で会ったときにみんなで"ヤバいよね!"って話したのを覚えています。

-アッパーな曲なのに泣ける、というのがWANIMAの1つの持ち味ですもんね。

ユア:うん。接点が少なかったから私たちのことはあまり知らなかったとは思うけど、歌詞も含めて解像度がすごく高いなと思って。たぶんいっぱいギャンパレのことを考えたりとか調べたりして、愛を持って作ってくれたんだなというのが曲を通して感じられて、すごくありがたいなと思います。

-解像度は本当に高いですよね。ギャンパレを長く見てきた人間からすると、最後の"あの日もここから全てが始まって/時の流れは無情にも過ぎ去って/守り続けたこの名を刻み掲げて/涙の理由なら後からわかるから"という歌詞が特にグッと来ました。

ミキ:めっちゃ分かります。本当にそうだと思う。長く見てきた人はより刺さる。もちろん最近好きになってくれた方もギャンパレのことを調べてくれることが多いので、"こんな過去があるんだ"とか思いながら聴いてもらえるのもすごくいいと思うし、こうやって長く見てくれた方にとっては"だよね! ありがとうございますWANIMAさん!"ってなると思います。

ノン:私も走馬灯系? の歌詞だなと思いました。やってきた日々の全てを見てもらっているわけではないのに、なんでこんなにも分かってくれるんだろうって。

ベビ:全部好き。全人類が好きな曲だと思います。

-続いて新曲「無理無理きもい」は、大森靖子さん作曲ということでこれにも驚きました。これは私個人の見解ですけど、ギャンパレと大森靖子さんって、音楽の方向性的や世界観としては決して交わりやすいわけじゃなかったとは思うんです。

ユア:うん。びっくりはしたかも。近いところにはいたけど、交わることはあんまりないかなって思っていました。私は古正寺(恵巳)やMAPAと仲がいいので、大森さんたちと作っているステージを観ていたから、ギャンパレとはまた違う空気がそこにあって、それがすごく好きだけど、自分たちっぽさはないのかなって感じていたんです。でも、いざ歌ってみたら新しい側面というか、ライヴでやったら他の曲とは違う空気が流れて、また1つ面白い遊び場が増えるんじゃないかなと思ったので、これからやるのが楽しみですね。交わりたくても交われないなという気持ちだったんですよ。だから交われたことが嬉しい。

ノン:私ももともと大森さんの曲がすごく好きだったんです。ただ、自分の活動と自分が好きなものって、交わってほしいものと交わらなくていいと思っているものがあって、で(大森さんは)交わらなくていいと考えていたんですよ。そこにはそこの世界があって、自分が好きでいるだけでいいと思っていたんですけど、いざ曲を貰った時はやっぱり嬉しかったですね。自分たちがギャンパレとして大森さんの曲を歌えるということが、すごく嬉しいなと思います。

-大森靖子節全開のメロディですし、キーがかなり高いのでレコーディングは大変だったんじゃないですか?

ノン:最近のレコーディングだと、録る場所を分けて歌っているんですけど、この曲は全部の歌詞を歌ってからパートを割り振ってもらったので、全てを歌ったんです。それもあってこのアルバムのレコーディング期間の中で一番疲れました。本当に体力を全て使い切っちゃって、ふらふらになりながら帰りましたね。

ミキ:難しかったです。自分の歌声と相性はそんなに良くないだろうというのは録る前からすでに考えていて。でも、せっかく歌わせてもらうんだったら、大森さんっぽさも必要かもしれないけど、ギャンパレとして出すんだったら自分らしさも必要だなとも思ったんですよ。なので、ちょっと女の子っぽい感じにしようと思って歌ったんですけど、一生懸命やりすぎて自分がどう歌っていたか全然覚えてない(笑)。音域も高いので、血管が切れそうだ......とか感じながら歌っていたのは覚えています。でもすごく楽しかったです。今までやってきたものとは全然違う音域だったりメロディだったりしたので、それはすごく面白かったですね。

ベビ:デモを貰ったときに、どうやって自分がレコーディングに挑もうかこの曲が一番悩みました。