Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

GANG PARADE

Skream! マガジン 2024年08月号掲載

2024.07.08 @恵比寿LIQUIDROOM

Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:大橋祐希

ギャンパレ(GANG PARADE)が2019年以来、久しぶりに回るオール・スタンディング形式のライヴハウス・ツアー"AVANTGARDE PARADE TOUR"。そのツアー・ファイナル、恵比寿LIQUIDROOM公演が猛暑の夜に開催された。この日は同じ時間帯に新宿歌舞伎町が熱いことになっていたのだが、"ここが日本で一番熱い場所だ"と証明するように、遊び人(※ファンの呼称)からの手拍子に呼び込まれて13人がステージに姿を現した。彼女たちが1曲目のフォーメーションを作ると会場がざわめく。ユイ・ガ・ドクソンがセンターになったこのフォーメーションは、グループの最強アンセム「Plastic 2 Mercy」のそれに他ならない。この曲で、スタートダッシュからフル・スロットルのライヴが始まる。13人のパフォーマンスと、遊び人の手首に巻かれたブレスレットが、13色の光を放つ巨大な花火のようになってLIQUIDROOMを鮮やかに照らした。

ギャンパレのライヴは、LINE CUBE SHIBUYAのようなホール規模で観るのもいいし、日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)のように野外で観るのもいい。だけど彼女たちにはやっぱりライヴハウスが似合う。遊び人と近い距離で1つになっている光景を見て、改めてそう感じた。

1曲目がエレクトロの「Plastic 2 Mercy」。そこから続けたのは王道メロコア・ナンバーでシンガロングを沸き起こす「BREAKING THE ROAD」、そしてJ-POPアイドル・ソングの「QUEEN OF POP」だ。持ち曲が150曲以上あるグループならではの多彩さは楽曲のデパートと言ってもいいくらい。音楽性に幅がありながらも取っ散らかっていないのは、メンバーの内から滲み出る暑苦しいまでの情熱と、彼女たちが提供する"楽しい"が共通項として存在するからだろう。

MCではキャ・ノンが"AVANTGARDE PARADE TOUR"にちなみ、"アヴァンギャルド"であいうえお作文を披露。"アヴァンギャルド"の"ド"から濁点を投げ捨てて"「ト」、「Träumerei」!"と次の楽曲を宣言した。昨年2023年の秋にリリースされた『The Night Park E.P.』に収録されたこの曲は、しっとりときれいな情景を見せるギャンパレの新しい武器とも言える。楽曲のパフォーマンスを観ていると、心が揺さぶられ、ふとした瞬間に涙が流れそうになる。13人の歌声にはそんな力が宿っていた。ここからフォーメーション・ダンスで魅了する「lol」、和×EDMの重低音が全身を打つ「躍動」と続け、再びのMCでは今回のツアーの思い出と共に、公演ごとにセットリストを変えていたことに触れた。持ち曲が多いとなれば、どうしてもライヴでパフォーマンスする機会が減ってしまう曲もあるわけだが、このツアーではそういった楽曲にもスポットライトが当たったようだ。そんなレア曲の中から、この日は「EGOIST」を披露。タイトルがコールされると大歓声が上がり、クールでアグレッシヴな楽曲に乗せる力強い歌唱とキレのあるダンスがさすがだった。さらに、とてつもない運動量を誇る間奏のガオガオダンスが印象的な「涙は風に、思いは歌に」から、グループ名を冠した爆上げ曲「GANG PARADE」へ展開。楽曲の聴きどころの1つである、キャン・GP・マイカの落ちサビもバッチリ決まっていた。

中盤では、夏の海でのナンパをテーマにした恒例のコントをきっかけに、夏らしい1曲の「LOVE COMMUNICATION」を披露。タオルを振り回して会場が一体になり、「Wake up Beat!」、「Anything Goes!!!!」と畳み掛けていく。さらにライヴ定番曲「Happy Lucky Kirakira Lucky」をパフォーマンスし、盛り上がりが最高潮に達してから本編はラスト・スパートへ。長い活動歴の彼女たちだからこそ"行かなきゃ何回も"、"歌い続けたい言葉があるから"という歌詞が響く「Period」を歌い上げると、最後は「UNIT」でシンガロングとコール&レスポンスを起こしてライヴを締めくくった。

"まだ足りない!"の声に応えたアンコール1曲目で、最新曲「パショギラ」がフロアに投下される。今年の夏を大いに盛り上げてくれそうな予感を抱かせた。

マイクを取ったユメノユアは、このツアーを振り返りつつ"比べるわけじゃないけど(今日は)一番すごい熱気だったんじゃないかなと思うんですよ。あなたがいなければ、GANG PARADEはGANG PARADEではないし、ギャンパレでありたいなって私たちが思うことができるのも、遊び人のみんながいてくれるおかげだなと思います。大好きな、大好きなあなたが一日でもたくさん笑って過ごしていてほしいなって思うんですけど、その中にGANG PARADEという存在があったらいいなって思いながら書いた歌があります。ミキ(ヤママチミキ)と一緒に遊び人の、あなたのことを想って書いた歌です。精一杯の愛を込めて届けます"と、最後は涙を滲ませながら語る。そうしてユメノユア×ヤママチミキ共同作詞の「INVOKE」を、感情いっぱいに遊び人へ届けた。

全国を回ったライヴハウス・ツアーは、THE イナズマ戦隊提供の「ROCKを止めるな!!」で、ギャンパレとの相性の良さを見せつけて完結――になるかと思われたが、再び発生した"まだ足りない!"の声が止まない。想いに報いるために再び登場したギャンパレは、ダブル・アンコールで「CAN'T STOP」をパフォーマンス。メンバー全員が一列になって手を握り、幸福感いっぱいの世界を作り上げた。

始まりがあれば終わりがある。だからこそアーティストは、その命を燃やして今この瞬間で輝きを放つ。それが暗黙のうちにわかっているからこそ、ライヴハウスの幸福感は生まれるのだろう。そしてそれはライヴに対しても、グループに対しても言えることだ。ギャンパレは、これから再び変化を迎えることになる。7月16日にカ能セイの脱退を控えているからだ。それでも彼女たちは止まらない。今日よりももっとすごい景色を見せてくれる、作ってくれるために"止まらない/止めれない"のだ。


[Setlist]
1. Plastic 2 Mercy
2. BREAKING THE ROAD
3. QUEEN OF POP
4. Träumerei
5. lol
6. 躍動
7. EGOIST
8. 涙は風に、思いは歌に
9. GANG PARADE
10. LOVE COMMUNICATION
11. Wake up Beat!
12. Anything Goes!!!!
13. Happy Lucky Kirakira Lucky
14. Period
15. UNIT
En1. パショギラ
En2. INVOKE
En3. ROCKを止めるな!!
W En. CAN'T STOP

  • 1