Japanese
ヤバイTシャツ屋さん × 令和ロマン 座談会
ヤバイTシャツ屋さん:こやまたくや(Gt/Vo) ありぼぼ(Ba/Vo) もりもりもと(Dr/Cho)
令和ロマン:髙比良 くるま 松井 ケムリ
Interviewer:山口 哲生 Photographer:清水舞
ケムリ:就職とかはどう考えてたんですか? 大学生でバンドをしていて、このまま行こう! っていう感じだったんですか?
ヤバT一同:いや、まったく。
ありぼぼ:そのときは"アルバム1枚出したら解散しよう"って話してたんですよ。
もりもと:シングル3枚と、アルバム1枚出して。
こやま:それで伝説になろうっていう。
ケムリ:ははははは(笑)!
くるま:素敵な提案(笑)。
こやま:でも、そこからなんとなく、いろんなコンテストに出ることになったりして。そこで結果を残しちゃったがゆえに、いろんなところからメジャー・デビューしませんか? っていう話が来たんですよ。でも、"いや、メジャー・デビューしません。僕ら伝説になるんで"って。
くるま:イタいですねぇ、しっかりと。
ありぼぼ:すっごくイタかったです。
こやま:ただ、絶対にないと思っていたから10-FEETか、マキシマム ザ ホルモンの事務所から声が掛かったらデビューしようかって。
ありぼぼ:うん、ありえへんことなので。
こやま:新しいアーティストをなかなか取らないんですよ。そしたらユニバーサルミュージックが10-FEETのマネージャーを連れてきて、言っちゃったからには、これはもうメジャー・デビューしようってなって、今に至る感じです。
ケムリ:コンテストっていうのは、バンドサークル内のやつではないですよね?
ありぼぼ:そうです。関西全体のコンテストで。
こやま:"eo Music Try"っていう、"ABCお笑いグランプリ"みたいなもので。
くるま:あぁ。若手のバンドが出る、みたいな。
こやま:そうです。関西のバンドマンはみんな1回そこを目指すみたいな。
ケムリ:みんな浴衣を着て審査して。
こやま:そこまでなぞってはいないですけど(笑)。で、お世話になっていたライヴハウスの店長に、"応募しといたから"って言われて。
ありぼぼ:でも、やるからには負けず嫌いなので、絶対に優勝したい! って。で、"Pocky賞"っていうのがあったんですよ。
こやま:副賞でポッキー1年分とか貰えるっていう。
ありぼぼ:うちらはそれぐらいハッピーな感じでいきたいよねって。
こやま:優勝はさすがにというか、どうせ出来レースやろと思ってたんですよ。"どうせあのバンドが獲るんでしょ? 俺らは「Pocky賞」獲れたらいいな"ぐらいの感じで。でも、一生懸命やろうって言ってたのに、最後まで名前を呼ばれなくて、"「Pocky賞」もあのバンドに獲られた! 最悪!"と思ってたら、グランプリだったんです。
ケムリ:"ABC"で優勝してるってことか。すごいな。カベポスターと一緒。
くるま:お笑いサークルは、基本的にお笑いサークル内の大会しかないんですよ。プロに交じってライヴに出ることはできるけど、戦うという感じでもなくて。お笑いサークルの大会の中で優勝して、注目される/されないっていうのも、所詮サークルの中でやってたことなんで、俺らのときはあんまりなかったんです。今はお笑いサークル自体の注目が上がってきてるから、優勝すると初めから話題になったりするけど。でも、バンドサークル同士ではみんなで一緒に頑張って、外の大会に出るってことですよね。
ありぼぼ:そうですね。
くるま:そっちのほうがいいよね? 健全というか。
ケムリ:うん。僕らは大学生の中で、ここでやってるこのレベルが正しいのかもわからずに戦っているから、優勝したとしても、自分の中で自信を持つことしかできないんですよ(笑)。他のプロと比べられないので、自分の自信だけでプロに行くか選ぶっていう。
くるま:でも、"さすがにここで負けたら論外か......"っていうのもあって。それで水溜りボンドはYouTuberになったし。
もりもと:そういうことか!
くるま:大学生の大会で決勝に行けなくて、コント師としてどうなんだろうかって考えて、YouTubeをやっていたら、そっちに行ったとか。みんな勝手に悩んだりはしてましたよ。そんな気にしなくていいのにね?
ケムリ:ホントにね......水溜りボンドがYouTubeに行ったときは、みんなでバカにしてました......。
くるま:やめなさい。思い出すのはやめなさい。
ケムリ:あのとき仲間に入れてもらえばよかった......。
ヤバT一同:ははははは!
こやま:あんなに成功するとは(笑)。
くるま:"新宿の「めだか」っていう、バンドマンとお笑い芸人しか飲んでいないような居酒屋で、水溜りボンドが初期にやってた、トランプを投げてキュウリを切るいかにもYouTuberらしいことをしているのを、冷蔵庫の奥に入れすぎて冷凍庫の風が当たって半分凍ってシャリッシャリになってるチャンジャをみんなで食べながら観て、ゲラゲラ笑っていました......。あのとき素直に仲間に入れてもらえば、こんなことにはならなかったのに......あーぁ......"じゃないんだよ。悲しくなるようなことを言うな。
もりもと:お笑いサークルってどんな活動してるんですか? それが僕わかってなくて。毎月お披露目みたいなライヴがあるとか?
くるま:(当時の慶應大学は)お笑いサークルが1個しかなかったからなんですけど、ガチからガチじゃない人まで全部いるというか。極論を言うと、お笑いでコピーっていうのはさすがにない(笑)。人のネタをそのままやるっていうのはないんですけど、それに値するぐらいの感じで、文化祭だけ出る人が一番ライト層。あと、他のお笑いサークルとの合同ライヴには出たい、他の大学のやつらと仲良くするぐらいは頑張りたい人。それと、大会にちゃんと出る人がいて。一応毎週月曜日に部会というか、教室に集まって、次の文化祭のライヴに出る人が、いきなり(舞台に)出るのもあれだから、ネタ見せをするとか。
ケムリ:仲間内で。
くるま:で、みんなが面白いって言ってくれると、いいブロックに入れるっていう感じでしたね。1年生がやるブロックとか、いろいろ分かれていたりするんだけど、"三田祭"っていう慶應の一番大きい文化祭のときは、3日間で9ステージやるんですよ。1ステージ10組ずつぐらい出るんですけど、面白い人は最後の"vol.9(ボルキュー)"に出れるっていう。それが最大の名誉なんで、そこに出るオーディションは苛烈ですね。
こやま:オーディションがあんねや。そのオーディションはサークルの部員が投票するんですか?
くるま:最終的には代表が決めてました。でも、ちゃんとみんなの意見を聞いたり、ネタ見せを後ろで観たり。
もりもと:そもそも代表は絶対におもろいんですか?
くるま:代表は......お笑いに詳しいです。
ケムリ:はははははは(笑)。
ありぼぼ:代表は出ないんですか?
くるま:出ます。でも、そもそもつまらない人が代表になることはないというか、ちゃんと大会で結果を出してる人がなりますね。
ケムリ:真空ジェシカの川北(茂澄)さんも代表でしたから。
くるま:細田(ひつじねいりの細田祥平)さんとかも。松井ケムリ先生も、実力的には代表になれるレベルだったんですけど、サークル内での政治で負けまして、副代表になりました。
ケムリ:バンドサークルにいたので(笑)。
ありぼぼ:でも、それでそこまで行くのすごいですね。
くるま:この先輩について行こうみたいなロビー活動的な時間も軽くあるんですけど、代表になる人は、飲み会でもちゃんと明るく頑張ってやったりしてて。ケムリ先生はロビー活動を喫煙所でしかやってなかったから、喫煙者からの投票しか集まらなかったんです。
ケムリ:タバコがもっと流行ってたら......。水溜りボンドに声を掛けて、もっと飲み会に参加していれば......。
もりもと:こんなに水溜りボンドが出てくるとは思わなかった(笑)。
こやま:僕ら、サークルでめちゃくちゃ人気なくて。
くるま:そうなんですか?
ありぼぼ:唯一観てくれている友達も、5メートルぐらい離れたところで観てるとか。
ケムリ:僕がいたサークルは基本コピーだったから、固定のバンドがなかったんですよ。このライヴはこのメンバーでやろうみたいな感じだったんで。でも、そういうことじゃないってことですよね?
こやま:それもやってはいたんですよ。それとはまた別で、固定のバンドも組んでやろうっていう。だから、もりもとはドラマーが足りてないから、いろんなバンドを兼任してた。
もりもと:月に1回、朝までライヴするんですよ。その中で10曲とか、いろんな人とやって。
ありぼぼ:それでいっぺんに10曲覚えるっていう。
もりもと:そのライヴの中でも、オリジナル・バンドが最後においしいところの時間を貰って、ちょっと優遇されていて。
ケムリ:じゃあもちろんいい時間に?
こやま:いや、全然です。ほんまに人気なかったんで。
ありぼぼ:一番人気なかったんですよ。
くるま:それなんでなんですか(苦笑)? 人気ってなんなんですか?
ケムリ:音楽性を評価してもらえているかどうかみたいなことですか?
ありぼぼ:そうですね。昔からこういう感じのスタイルで、ずっと変わってないんですよ。MCも台本とか作ってたんですけど、たぶんそれがめっちゃイタくて。自分たちは面白いと思ってやってたんですけど。
もりもと:イタい目で見られてましたね。
こやま:俺が大学生やったらイタい目で見るようなことをしてたんで、ずっと。
くるま:面白い感じっていうところにウエイトを置いていたのが他と違ってたんですかね。
こやま:大阪芸大にしてはちょっとポップすぎたのかも。
くるま:大学自体ちょっと尖ってる感じなんですね。
ケムリ:たしかに(出身の)芸人さんの感じを見たかぎりでは。
くるま:そうか! そうだよな!
こやま:尖ってる感じの人たちばっかりの中で、やっぱりちょっとメジャー寄りやったんかもな?
ありぼぼ:めっちゃ良く言ってるやん(笑)。
くるま:一瞬で過去の自分をすごく強引に肯定した。
-(笑)お2組は7月13日、14日に開催される"DAIENKAI 2024"に出演されます。ヤバTは昨年に引き続きの参加になりますけども、去年はどんな感じでした?
こやま:千鳥さんとコラボさせてもらったり、あとはミルクボーイさん、ななまがりさん、オダウエダさんっていう、大阪芸大の人たちと一緒にやらせてもらったりして。2日目のトリをやらせてもらったんですよ。
ありぼぼ:ただ、ヤバTに「喜志駅周辺なんもない」(2015年リリースの1stシングル『そこまでヤバくない』収録)っていう曲があるんですけど、ほんまはミルクボーイさんが"コーンフレーク"のネタのフォーマットで、喜志駅にまつわるネタをやってくれはる予定だったのが、終電で出ないといけなくて、結局できなかったっていうことがあって。
こやま:で、ミルクボーイさんのネタを、千鳥さんが代読するっていう。
くるま:聞いたことない!
もりもと:初開催だったからですかね。すっごい押したんですよ。
こやま:1時間ぐらい。
ケムリ:そんな押したんだ!?
もりもと:僕ら、ネタもライヴも観たかったんで、トリだったけど誰よりも早く行って1日楽しんでたんですけど、そしたら"ミルクボーイさん一緒にできません"っていうことになって、挨拶もできず......。
こやま:だから僕、最後の曲でかきまわしながら、"来年は1時間早く始めましょー!"って言いながら終わったんですけど。
くるま:今年も間違いなく押すとは思います。
ヤバT一同:ははははははは(笑)!
ケムリ:押しそうですね。
ありぼぼ:でも、最初からずっと面白かったですよ。コラボもなかなか普段は観られへん感じで。
もりもと:お客さんに、お笑い側のファンと音楽側のファンがいて、僕らはお笑いだけが観たいファンのみなさんの前でライヴをする機会ってまぁないんですよ。それがすごく新鮮で良かったですね。みんなきれいな格好してるんですよ。
こやま:モニターに映るお客さんがみんなきれいな格好してて、俺らのいつものライヴと違うなって思いました。
ありぼぼ:なんてこと言うんや。
くるま:ヤバTさんのお客さんも、普段はきれいな格好をしてるんだと思いますよ? 音楽のライヴだからその格好をしてるだけで。
ありぼぼ:そうそう。ライブの時は動きやすい服着てるから。
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