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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2021年08月号掲載

そこに鳴る

Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo)

Interviewer:山口 智男

-ところで、今回の7曲、1曲ごとにテーマはあるんですか?

鈴木:「vermisst」は"アニメのテーマ・ソングの尺の曲を作ってごらんよ"ってレーベルの方に言われて、アニソンみたいな1分半の曲を、その1分半の中でどれだけできるかって考えながら作りました。僕ら、アニメのタイアップが合うとめちゃめちゃ自負しているのに、全然話が来なくて(笑)。早くお願いしますって思ってるんですけど、なかなか来ないので、自分から作ったんです。もちろん、今回リリースするのはその1分半のバージョンを発展させたものなんですけど、今度1分半のバージョンを公開して、アニメを含めそれに合う映像を募集するんです。日本には日の目を見ていないクリエイターがたくさんいるはずだから、僕らの曲を使って世に出ていってもらったら、曲に映像をつけてもらった僕らとウィンウィンじゃないかって。もしかしたら、今後MVを含め、映像を作るときに声を掛けるかもしれないし。応募方法は近々、バンドのWEBサイトで発表する予定です。

-そんな企画も考えていたわけですね。第2弾の「VortEx」以降の6曲についても聞かせてください。

鈴木:「VortEx」は藤原がメインで歌う曲を増やしたいと思いました。これまで曲を渡すたび、キーが高い高いって言われてたけど、"軽音部(そこに鳴る軽音部)"をやるなかでもっと上を行ったほうがおいしいと思って、この前、カラオケで藤原が女性キーの曲を歌っているときに、キーをポンポンポンと上げていったんです。そしたら、上げたほうがいいんですよね。だいたい、普通の女性の方のプラス2ぐらいがハマるってわかって、それくらいの高さで作ったのが「VortEx」。

藤原:私、地声が低いから高いキーは出ないと思ってたんですけど、"軽音部"でボカロの曲を歌ったら歌えるってなって、自分のおいしいところが出る高さがわかってきたんです。「VortEx」も歌いやすかったです。最近は逆にキーが低いほうが難しい。

鈴木:第3弾の「渇望の日」はシンプルやけど、凝ってる。なおかつギターがもうちょっとわかりやすい曲を作りたかったんです。これ、歌詞が一番生々しいのかな。

-どれも生々しいですけど。

鈴木:あ、ほんまですか。自分ではわからないんですよ。

-どの曲の歌詞も苦悩しているというか、もがいているというか。

鈴木:日々、苦悩しながら生きていますからね。それでもやっていくしかない。どの曲においても、そういうことを表現しているのはこれまでと変わらないですね。

-第4弾の「恣意的三分間」はピアノが入っていますが。

鈴木:『ゼロ』(2018年リリースのミニ・アルバム)から毎作、同期を使った曲を1曲は入れるようにしているんです。でも、MVにできるようにっていうぐらいの気持ちで作ってたことぐらいしか覚えてないな。

-以前、「絶対的三分間」(『一閃収録』)という曲がありましたが、繋がりがあるのかないのか。

鈴木:そう思わせてます。

藤原:そういえば、「絶対的三分間」も「恣意的三分間」もマラカスがサビに入ってるんですよ。

鈴木:偶然です。しかも、両方とも尺が偶然3分だったっていう。

-第5弾の「回帰」は......。

鈴木:一番遊んでいる曲です。というか、悪ふざけでしかない。ええんかな。こんなにハチャメチャにしちゃって。

-すごくかっこいいですよ。

鈴木:バラードっぽく始まって......。

藤原:そこからが予想外ですよね。

鈴木:節操がない。

-でも、それがそこに鳴るらしさなんじゃないかと思いました。

鈴木:「6月の戦争」(『YAMINABE』収録)みたいな曲は、今はもう作られへんと思いながら、たぶんそういうことをしたかったんやろなと。もともと、アルバム曲ぐらいのテンションで作ってたんです。だから、遊んでいるというか、そんなに肩肘張ってない。ただ歌が難しすぎて。なぜ最後自分に出せないキーの高さにしたんだろうって思います。

-そして、第6弾の「雨に消えて」。

鈴木:ギターを爪弾きながら歌っているところと、そのあとのピロピロしているイントロのところまでぐらいがずっとあって、気に入ってたんです。当然、リード曲にするぐらいの気持ちもあって、それをよりブラッシュアップしました。

-これもハーモニー・ワークが聴きどころではないでしょうか。

鈴木:面白いですよね。今回のドラムは3曲が志雄で、4曲は斎藤翔斗って今やってくれてる子が叩いているんですけど、歌がうまいうえに歌いたがりなんです。「掌で踊る」(『ゼロ』収録曲)のハーモニーは音源では3声なんですけど、ライヴではずっと2声でやってたんですね。でも、その翔斗はフィルを叩きながら下のハモリを入れてくるんです。じゃあ、下ハモもある前提で曲を作ろうと思って、それが「雨に消えて」で、さらに掛け合いっぽくなっているから、よりTHE ALFEE感があるんですよ。

-THE ALFEEに相当ハマっているようですね?

藤原:かなりハマりました。

鈴木:『新世界 -Neo Universe-』ってアルバムが好きなんですよ。プログレなのかハード・ロックなのかフォークなのか、THE BEATLESなのか、もうなんなのかよくわからない。J-POP的というか、折衷感がすごいんです。

-どんなきっかけでそんなにハマったんですか?

藤原:私のお母さんがずっと大好きで、私はお母さんのお腹の中にいるときから胎教として聴かされてたんです。私が初めて行ったライヴが、2歳のときに行ったTHE ALFEEなんですよ。そのあと、お母さんにいろいろ聴かせてもらった中で、その『新世界 -Neo Universe-』がめちゃくちゃ良くて面白くて、メンバーに聴かせたんです。そしたらバンド内で流行って、"軽音部"でやろうってなりました。「星空のディスタンス」をコピーしたとき、3声のハーモニーっていいなって改めて思いました。

鈴木:THE ALFEEを聴いてなかったら3声にしようと思ってないですね。

-そんな新たな展開も楽しめる"7 ultimate materials"をリリースしたあとは、東名阪のワンマン・ツアーを開催するそうですね。

藤原:はい。11月からツアーします。12月3日の東京公演はせっかくの10周年なので、恵比寿LIQUIDROOMというそこに鳴るにとって、過去最大規模の会場に挑戦します。"7 ultimate materials"の全7曲もやるので、楽しみにしていてください。