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INTERVIEW

Japanese

SILENT SIREN

 

SILENT SIREN

Member:あいにゃん(Ba) ひなんちゅ(Dr) すぅ(Vo/Gt) ゆかるん(Key)

Interviewer:宮﨑 大樹

ガールズ・バンドのシンボル的な存在として常に走り続けてきたSILENT SIRENが、いよいよ今年2020年にバンド結成10周年を迎える。思えば2019年のサイサイは、その視線の先に常に結成10周年を見据えていたように思う。そういう意味では、1年間助走をつけてきたとも言える彼女たちが、バンド結成10周年記念アルバム『mix10th』を完成させた。本作は、10年間バンドを続けてきた今だからこそ書ける歌詞、今だからこそ鳴らせる音を届けてくれる、まさにアニバーサリー・イヤーに相応しい作品だ。


自分たちが作り上げたもの、生み出したものは、全部が宝物


-サイサイ(SILENT SIREN)は、昨年から2020年のバンド結成10周年へ向けて走り出していましたけど、2019年は振り返ってどんな1年でした?

すぅ:2019年は10周年をすごく意識して、"10年目"という感じでライヴとかプロモーション活動をしていたので、10年続いたんだな、10年経ったんだなというのは考えていました。なので、今後どうしようか、とか、自分たちにとってバンドとは、メンバーとはどういう存在なのかって向き合った1年だったのかなって思います。

-バンドとは、メンバーとは、という問いに答えは出ましたか?

すぅ:今回のアルバム『mix10th』のリード曲が「Answer」という曲なんですけど、"これが私たちの答えだ"という感じで、この曲が自分たちの導き出した答えになっていますね。今後の自分たちがいい状態、いい未来を想像してそこに向かって進んでいく、それが私たちの答えです。

-いよいよバンド結成10周年を迎えて、今どんな気持ちですか?

すぅ:10年続くことってすごいな、というか習いごととかも10年間やったことがないし、この活動が初めてなんです。バンドを続けてきたことによって人生が変わったので、バンドを続けていて良かったとシンプルに思います。バンドをやってきて自分たちが作り上げたものとか、生み出したものっていうのは全部が宝物ですね。

ゆかるん:私はメジャー・デビューのタイミングから入ったので、今年が8年目なんですけど、途中から入ったっていうのもあって、最初のころはとにかく追いつくのに必死だったんです。ここまで必死に駆け抜けてきた感じだったので、10年目になったのもあっという間だったんですけど、改めてここまで続けてこれたのはすごいなと感じました。10年できるって、4人だけの力じゃないし、支えてくれるスタッフさんとか応援してくれるファンの人がいなかったらこんなに続けられなかったと思います。

あいにゃん:駆け抜けてきた感はみんなあると思うんですけど、私は10周年を迎えて振り返ることをするようになってきて。それがアルバムの曲の中にあったりもするんですけど、10年を振り返ったぶん、ここからはこの先を見つめて、また4人で夢を叶えていこうっていう気持ちに切り替わってきたなと個人的には思っています。他のアーティストの方とかの10周年を見るとすごいなって思うけど、自分たちもそれを迎えられたのは本当にメンバーだったり、ファンの方だったりの支えがあったからだなって思うので、これから先も恩返しをしていきたいですね。

ひなんちゅ:私は就職をせずにバンドで10年やっているので、普通の会社で働いている周りの友達からは"いつまでバンドをやるの?"とかって言われるんです。でも、バンド以外考えられないんですよね。例えば、友達関係がうまくいかなかったりとか、家出したりもそうですけど、そういうマイナスのことがバンドとしては全部プラスに生かされているというか。私の良くないところとかもメンバーが受け入れてくれて、空気清浄機みたいな形で、私の悪いところを吸い込んで違う形で出してくれるんですよ。そういうのって、バンドのいいところだなって思います。うまく言えないけど、サイサイはみんなのいいところを伸ばし合って、みんなの足りないところを補い合って音楽を作っていけるすごく特別な存在です。

-記念すべき10周年ということで、映画"『もしもあたしたちがサイサイじゃなかったら。』& 『HERO DOCUMENTARY FILM』"で映画デビューも実現しましたけど、実際にサイサイじゃなかったらどうしてたと思いますか?

すぅ:本当に想像つかなくて。私は高校生のときに上京してバンドを組んだんですけど、バンドマンとか芸能人になりたくて上京したわけではないんです。何もすることがなかったから、何かやりたいことを見つけようと思って出会ったのがバンドだったので、もしサイサイじゃなかったらって考えると恐怖です。何になってたとかいうよりも恐怖。漠然と、美容師とかになりたいと思っていたはずなんですけど、それもよくわからないですね。怖いです、考えると。

-ゆかるんさんは映画では"カリスマ教祖様"ということで、だいぶパンチの強い感じでした。

ゆかるん:アレになってたらすごい(笑)。私は、家族が大好きで、温かい家庭みたいなものにすごい憧れがあるので、たぶん結婚していたんじゃないですかね。で、子供がふたりくらいいたんじゃないですか(笑)。妄想ですけど、休みの日に子供たちと一緒にパンを作ったりして。

-あいにゃんさん、ひなんちゅさんはどうですか?

あいにゃん:ちょうどサイサイを組んだときが大学3年生で、就職活動の時期だったんです。そのときはデザインの学校にいたので、デザイン系とかアパレル系とか、そういうところの説明会に行っていました。なので、そっち関係に進めていたらいいんですけど、普通の社会人になったことがないので、たぶんすぐにクビになってるんじゃないかなと思います(笑)。バンドが10年続いたので、バンドのほうが合っているんじゃないかなって。でもバンドでデザインの仕事みたいな、好きなこともできているのでありがたいです。

ひなんちゅ:私はインドネシアに住んでいたので、インドネシアに帰って、青年海外協力隊でボランティア活動とかをしたいとなんとなく思ってました。高校生のときにはオックスフォードに留学していたので、ロンドンとかニューヨークとか、そういう英語圏のところで、バリバリのキャリアウーマンみたいな感じで働くのもいいですね。とりあえず海外に行こうとしていたので、日本には絶対にいなかったと思います。

-そんな"もしも"の世界がありながらも、結成されたバンドは節目の10周年を迎え、アルバム『mix10th』が完成しました。本作にはメロコア調、アゲ曲、弾き語り、ラヴ・ソング、キラキラしたポップス、いろんな曲が入って、まさにタイトル通り"ミックスジュース"な作品ですね。アルバムのタイトルには"10th"という文字も含まれていて、これしかないというタイトルです。

すぅ:いろんな案が出たんですけど、"10th"っていうのはどこかにつけたいみたいな話から、"10th"を"ジュース"って読むようにしました。ミックスジュースって語呂的にかわいいし、意味的にもいろんなフルーツを合わせてひとつの飲みものができるように、いろんな曲を入れてひとつのアルバムになったらすごくいいものになるんじゃないかって。コンセプトが10周年なんですけど、10周年の表現の仕方ってメンバーによって違うので、それが各々の作詞に出てますね。

ゆかるん:シンプルにすごくいいアルバムができたなって思います。10周年じゃなきゃできなかった曲や歌詞が詰まっているので、10年やってきたからこそのアルバムができたんだなっていうのはひしひしと感じました。

-1枚を通して、10年でいいこともあれば苦しいこともあったんだろうなというのが伝わってきたんですよ。

すぅ:10年あったらやっぱり悩んだりすることもあるんですけど、今まではそういうものを歌詞にしなかったんですよ。自分たちの恋愛観とか心の内を曲にしたものはあるんですけど、バンドとしての困難だったり、壁にぶつかったりということは曲にしないようにしてきたんです。でも、今回はそういうのを出したいなと思ってましたね。「she」と「Answer」はわりと赤裸々というか、自分やバンドに向き合って書きました。