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LIVE REPORT

Japanese

SILENT SIREN

Skream! マガジン 2022年02月号掲載

2021.12.30 @東京体育館

Writer 宮﨑 大樹 Photo by 上飯坂一/増田慶

"ガールズ・バンドと言えば?"そんな問いに対してSILENT SIRENが真っ先に思い浮かぶ人は多いだろう。サイサイ(SILENT SIREN)は、これまでずっとガールズ・バンド・シーンを駆け抜け、駆け上がり、最前線に立ち続けてきた。そんな彼女たちが、2021年をもって活動を休止することを発表し、結成から11年の感謝をサイサイファミリー(※ファン)に伝える"SILENT SIREN 年末スペシャルLIVE TOUR 2021「FAMILIA」"を開催。同ツアーのファイナル、活動休止前ラスト・ライヴが年末の東京体育館公演で行われた。

オープニングに流れたのは、バンドのメイン・アイコン"サイサイくん"が登場するムービーだ。"活動休止前だからといって、しんみりせずに明るく楽しもうよ"とサイサイから言われているような気がするポップな映像ののちステージに現れたのは、すぅ(Vo/Gt)、あいにゃん(Ba)、ゆかるん(Key)の3人と、サポート・メンバーのふたり。この日のサイサイを支えるのは、サポート・ドラムが渡邊 悠、サポート・ギターは元メンバーでありサウンド・プロデューサーのクボナオキ、そしてここに集まった(+配信で視聴している)多くのサイサイファミリーだ。

開幕は「FAMILIA」。この曲は、活動休止の発表後にリリースされたオール・タイム・ベスト・アルバム『SILENT』『SIREN』に収録された新曲であり、このツアーのタイトルとして掲げられている1曲だ。"FAMILIA"="家族"への愛、絆、信頼が詰め込まれ、そして活動休止の発表に寄せられた"これからもみんなに笑顔を届けたいという想いは変わりません。その準備の為に、少し時間を下さい"という言葉からも感じさせる、未来への想いを滲ませるような曲を、バンドのアイデンティティたるすぅのガーリーな歌声で届けていく。女性ベーシストとして確固たる存在であり続けるあいにゃんのスラップも躍動。曲の始まりと共に、会場で配布されたブレスレットが一斉に点灯し、東京体育館を神聖で美しい空間に彩った。

"「FAMILIA」へようこそ! 私たちがSILENT SIRENです!!"(すぅ)とサイサイ屈指のダンス・ナンバー「フジヤマディスコ」を投下。サイサイのエンターテイメント性の高いライヴを作り上げるにあたってなくてはならない存在であるゆかるんが、扇子を振り回し、会場の熱をグッと高めると、人気曲「八月の夜」へ。するとオーディエンスは一斉に頭を振り、腕を振り、息の合った動きを見せる。それは一朝一夕では成しえない、サイサイとサイファミ(※サイサイファミリー)の両者が長年培ってきたからこそ生み出せる一体感だ。すぅがギター・ソロを奏でながら、感慨深そうに客席を見渡す姿も印象的だった。「Sweet Pop!」で、すぅが花道を通りサブステージへ歩み、続く「ビーサン」では、あいにゃんとゆかるんも合流。3階席からは3人の表情までは確認できなかったが、メンバー同士で目が合った瞬間に笑顔になったことは不思議と伝わってくる。コロナ禍で歓声を上げることは未だに叶わないが、自然と心の声でコール&レスポンスをしてしまう筆者がいた。


"今日は特別な1日だから、みんなにすごく楽しんでもらいたいなと思って、「これぞサイサイだよ」というセットリストと「特別なときにやりたいなと思っている曲」を詰め込んで持ってきました。懐かしい冬曲を持ってきたので、ぜひ聴いてください"(すぅ)。そう話して披露した「I×U」を、冬の空気のように澄み切ったサウンドに乗せて切なく歌い上げると、続いて"とっても大事な曲"だという「stella☆」へ。思い出深い曲をパフォーマンスすることで、いろいろな出来事が走馬灯のように駆け巡ったのかもしれない。すぅは涙をグッと堪えながら歌唱していた。『SILENT』&『SIREN』からは、もうひとつの新曲もプレイ。その「恋爛漫」は、"新しい始まり"を歌う春曲だ。思えばサイサイには季節の曲がたくさんある。それはきっと春夏秋冬を通してリスナーに寄り添い続けていた証だろう。活動休止に際して新たな始まりを歌うポジティヴな姿勢は、この先に希望を持てるし、聴いていて背中を押してもらえる気がした。

"自分たちがこんなにいろんな人に愛されるバンドになるなんて思っていなかったし、すごく嬉しいです。サイサイはいろいろ悔しいことも言われてきたけど、うちらなら大丈夫だってやってきたし、そんな私たちにずっとついてきてくれた、応援してくれているファンのみんな、チームのみんな、本当に心からありがとうと伝えたいです。今日でいったん終わってしまうと思うとすごく悲しいし、このバンドは人生だった。活休してしまうけど、それも自分たちで出した答えだし、悲しいし、寂しい。人生楽しいこととかいっぱいあるけど、私はこれが一番楽しいと思ってる。でも、未来に向かって進んでいく。もっともっとみんなに楽しいことを届けられるように出した答えです"。

すぅが決意を表してから「Answer」を届けると、続く「KAKUMEI」では、"答え"を出した3人を祝福するかのように、東京体育館は光に溢れていった。サイサイが出した"答え"は間違っていない、誰も否定できるものではないと思わせられる瞬間だった。

しんみりしたムードを打ち払うように、ここでまさかのパート・チェンジを実行。すぅはベース・ヴォーカル、あいにゃんはギター、ゆかるんはドラム(!?)を担当するという。"サイサイは3人になってから3人でライヴをしたことがなかったし、今回のライヴもサポートしてもらってライヴをしているんだけど、3人の姿を最後に一度観てもらいたいと思って、話した結果こうなりました"と、すぅが"3人のサイサイ"へのこだわりを覗かせた。そうして特別編成で披露した「ランジェリー」では、普段はゆかるんが行う振付をサイファミみんなで踊ったのだが、活休前にして、新たな形の可能性を感じさせた瞬間だったように思える。


そして、ここからのラストスパートはあっという間だった。「DanceMusiQ」で東京体育館を巨大なダンス・フロアに変えると、アグレッシヴなロック・ナンバー「ALC.Monster」で畳み掛ける。攻め手を休ませずに「女子校戦争」、「てのひら」と波状攻撃をする怒濤の展開。最後はメロコア・チューンの「HERO」に11年間の感謝を込めて駆け抜けていった。

惜しみない拍手に迎えられ、アンコールに登場したサイサイは、すぅが"寂しすぎるぜー! 終わりたくないぜー!"と心から叫ぶ。続けて"自分たちが歩んできた道が歌詞になっている曲とか多いじゃん? 今までで一番大事にやってきたというか、バンドっていいなと思いました!"と話して活動を振り返りつつ、"みんなが聴いてくれる限り、私たちはみんなの心にいるなぁと思います。SILENT SIRENになれて本当に良かったです!"と締めくくった。そうしてアンコール1曲目に、サイサイで作った初めての楽曲「チラナイハナ」を愛おしそうに届けると、最後はサイサイらしく、明るく楽しいフィニッシュへ一直線。タオル曲「ぐるぐるワンダーランド」で会場の温度を一気に上げてから、"また会おうね!"の言葉で代表曲「チェリボム」をサイファミと共にプレイした。かわいくて、カッコ良くて、明るくて、楽しい。これぞサイサイと言えるフィナーレだった。

アンコールを終えて、お互いにハグをする3人の姿が輝いていた。エンディング・ムービーで最後に流れたのは"一生青春"の文字。サイサイの青春はこれからもきっと続くはず。


[Setlist]
1. FAMILIA
2. フジヤマディスコ
3. 八月の夜
4. milk boy
5. Sweet Pop!
6. ビーサン
7. BANG!BANG!BANG!
8. I×U
9. stella☆
10. 恋爛漫
11. シンドバッド
12. Answer
13. KAKUMEI
14. ランジェリー
15. DanceMusiQ
16. ALC.Monster
17. 女子校戦争
18. てのひら
19. HERO
En1. チラナイハナ
En2. ぐるぐるワンダーランド
En3. チェリボム

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