Japanese
SpecialThanks
2020年04月号掲載
Member:Misaki(Vo/Gt) Toshiki(Gt/Cho) KOUSUKE(Ba/Cho) YOSHIDA(Dr/Cho)
Interviewer:吉羽 さおり
新体制となった新生SpecialThanksでの第1弾アルバム『SUNCTUARY』が完成した。キャッチーでブライトなパワー・ポップ、流れ出すメロディに心が弾んで、口ずさむことで切なく甘酸っぱいエネルギーが全身に満ちるようなスペサン節に磨きをかけ、今回はさらにパワフルにメロディが引き立ったメロディック・チューンが並ぶ。まさにTHEメロディック・アルバムだ。バンドのキャリアとしては10年を超え、現在のメロディック/ギター・ポップ・バンドにもフォロワーを生み出すSpecialThanksだが、ここにあるのはとてもフレッシュで純粋な音楽への愛や、音楽のある日常の豊かさだ。そんな1stアルバムとでも言うべき作品を作り上げた4人に話を訊いた。
-正式にこの4人になって半年ほど走ってきて、今活動としてはどんな手応えがありますか?
Misaki:いい感じです。
Toshiki:語彙力(笑)。
Misaki:(笑)ライヴが良くなって自分たちも毎回楽しめるようになったし、達成感を毎回感じられるようになってきました。最初の頃は結構もやもやとしていて、もっとああしたいこうしたいっていうのがあったんです。それは今もありますけど、最低ラインがどんどん、ね?
Toshiki:方向性がだいぶ定まってきたというか、アベレージが上がってきましたね。
Misaki:それが言いたかった。
-ライヴ後に次はこうしようとか話をすることは多いですか?
Toshiki:めっちゃありますね。
Misaki:もう殴り合いでね。
YOSHIDA:はははは(笑)。
Toshiki:胸ぐら掴み合って、これまでTシャツが何枚破れたか。
YOSHIDA:怖いなぁ。そんなバンドだったっけな。
-アルバムの曲作りはいつぐらいからスタートしたんですか?
Misaki:昨年の9月、10月でレコーディング日程を押さえていたんですけど。曲は7月から作り始めました。
YOSHIDA:相当急ピッチだったね。
Misaki:それより前からアルバムの半分くらいは元ネタがあったので、それを先に進めつつ、7月くらいからまた新しい曲を生んで、みんなでアレンジしていきました。
-昨年12月から4ヶ月連続のシングルも配信となりました。このメンバーになっての初のアルバムを前に、どう見せていくのか順番は大事にしたのではと思いますが、第1弾に「光に変えて」を選んだのは、何が大きかったですか?
Misaki:この4人で初めてのアルバムに向けてということで、この曲はパワーがあるね、すごくいい力を持っているねってみんなで話していて。あとは配信時期が12月のクリスマス時期ということもあったので、温かい感じのする曲がいいなと思ってこの曲にしました。この曲は制作の最後のほうにできた曲だったんですけど、この"光に変えて"というフレーズだけはずっと温めていたというか。前回『HEART LIGHT』(2018年リリース)というミニ・アルバムを作ったときからあったんです。『HEART LIGHT』の最後の「ハートライト」がすごくいい曲で。その曲は英語で、みんなで一緒に"ハートライト ハートライト"って歌うんですけど、次はみんなで歌える日本語の言葉にしたいって思っていたんです。その"ハートライト"に変わるような日本語の言葉っていうのが、"光に変えて どこまでも"という言葉で、2年くらい前からそのワードと、メロもサビはあったんですよ。そこからAメロ、Bメロもつけようという感じで。
-それで最後は大合唱になる曲になったんですね。
Misaki:ライヴではみんながそれを歌ってくれたらいいなとイメージして作りました。
-サウンド自体はわりとシンプルな路線になっていますが、そこはみんなで合唱できるようなアンセム感だったり、メロディだったりを際立たせようというものですか?
Toshiki:引き算でしたね。"メロディがいいから、もうギターとかいらなくね?"みたいな。
Misaki:どんどん減っていったよね。
YOSHIDA:ほんと減っていった。
Toshiki:いろいろやっても面白いかなとは思ったんですけど、これはいらないなってなりました。
YOSHIDA:当初ギター・ソロをつけようって話があったけど、できあがったらなかったりね。
Toshiki:そんなのもあったっけ?
Misaki:覚えてない(笑)。
-SpecialThanksの曲は結構ギター・ソロがありますもんね。
Misaki:私が、ギター・ソロが好きなんです。
Toshiki:大変です(笑)。
-第2弾シングル「ムーブメント」がすごくいい曲で、それがアルバムの1曲目も飾ることにもなってすごく象徴的な曲になりましたね。まさにメロディックな勢いのある曲で、且つ曲中で"令和"っていう言葉が出てくるとか、動き出したエネルギーを感じる曲になりました。
Misaki:令和になったから、1曲くらいそういう曲を作りたいなって思っていましたね。ずっとどういう感じのライヴになったらいいのかをイメージして、メンバーとみんなで話していたんですけど、やっぱりフロアのみんなが盛り上がってモッシュとかダイブが起こるような感じ......メロコアをやっている感覚はないんですけど、フロアがそうなっているのが好きなんです。それなら1曲目にインパクトのある2ビートの曲を作ろうと思って。でも、今までとは違ったメロディックな感じを出したかったので、THEメロディックというか、メロディをすごくきれいなものにして。今まで以上に激しいけれど、あえてバンド・サウンドはがっちりかっこ良く、コード感や、メロディはちゃんと美しいという"これぞメロコア"っていうものにしたかったんです。私はメロコアってメロディが良くてなんぼだと思っているので、それをSpecialThanksらしく、でも、SpecialThanksでは今までやっていなかったような表現でやろうというテーマで作りました。それが新時代にも合うかなと思って。新しい始まりの感じがしていいなと思ったし、新体制となって"ムーブメント"を起こそうっていう。そういう内容になりました。
-アレンジは、この4人になってからはどのようにやっているんですか?
Toshiki:みんなでああだこうだやってますね。大まかな形があって、僕はこれがいいと思ったものは1回とりあえずやってみるという感じで。1回やってみて、違ったら違ったでいいし、いろんなパターンを試して最善を選ぶような。
Misaki:弾き語りの状態でみんなに持っていくんです。そこで各々が受けた印象で、わーっとスタジオでやってみて、"それめっちゃいいね"とか。"今のはちょっと"ってなったら正解が見つかるまでずっと探し続けるという感じで。
-例えば、メロディックだったらメロディックというキーワードや、雰囲気というのはみんな共有できる感じですか?
Toshiki:わりと共有はできてますね。結構みんな引き出しもあるし、ベースのKOUSUKEは引き出し魔人なので。
KOUSUKE:魔人ではない(笑)。
Toshiki:曲のアレンジでも、ギターでなんか出てこないなっていうときに、KOUSUKEに"何かない?"って聞くと"僕あるんですよ"って。それ早く言ってやみたいな(笑)。
Misaki:一応待ってるんだよね。
KOUSUKE:そうですね。なるべくMisakiちゃんのデモとか、ある程度のイメージからいろいろイマジネーションしているんですけど、1回みんなの意見を混ぜてというか。
Misaki:初めてのこの4人での曲作りだったこともあるので、みんなどんな感じでやるんだろうっていうのはあったかもしれない。
-そのあたりの、お互いの様子を見るような時間って長かったんですか?
Misaki:試す時間ということではすべてがそうでしたね。すべての時間で"こういうところが得意なんだな"とか、"ここはみんなで補ったらいいな"とかが見えたレコーディングでした。
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