Japanese
SpecialThanks
2016年05月号掲載
Member:Misaki(Vo/Gt)
Interviewer:沖 さやこ
2015年7月に2ndフル・アルバム『missa』をリリースし、ツアーのセミ・ファイナルである下北沢GARDENで開催されたワンマン公演も大成功を収めた紅一点の歌姫Misaki率いるSpecialThanks。彼女たちが完成させたミニ・アルバム『heavenly』は、さらに高まるバンドへの意欲がエネルギッシュに突き抜ける初期衝動にも近い未完成感が爽快な作品である。前編成で制作した最後の作品でもあり、新たな一歩に向け闘志を燃やした全6曲。そこにはこれまで続いてきたバンドにしか成し得ないパワーがあった。
-前作『missa』リリース時にお話をうかがったとき、Misakiさんのモチベーションがかなり高くなっていると感じましたが、リリース以降はどのようにお過ごしでしたか?
全国ツアー("SpecialThanks『missa』release tour")を回りました。『missa』自体はすごくいいものができたと思ってたんですけど、初日はそれをちゃんと表現していける自信があまりなくて。だからこのツアーを通してメンバーそれぞれが成長していきたいと思って1本1本ライヴをして、最初は不安だったけれどどんどん自信もついてきて、11月に開催した下北沢GARDENでのワンマン・ライヴではものすごくいいライヴができたと思います。ライヴで成長できた期間でした。
-バンドの調子もかなりいいように見受けられたので、昨年末に発表されたギターのHeisukeさんとドラムのJunpeiさんの脱退には驚きました。
結構前から話は出ていて、確定したのは下北沢GARDENでやったワンマンの前くらいで。4人全員がそれぞれのやりたい方向に進めるようにしたいなと思って......。メンバー・チェンジがあるたびに周りの人は私のことを心配そうな目で見るんですけど(笑)、今回のHeiちゃんとJunpei君も含めて、今までもそれぞれに個人的な事情があって、円満にさよならしてるんです。だから(脱退したメンバーが)サポートで参加してくれたこともあるし、今でもライヴに来てくれるし、ダイヴまでしてくれたりする(笑)。
-へええ、それは嬉しいですね。いい話。
一緒にバンドで頑張ってた人が今の新しい曲でノッてくれるなんて、泣けてきますよね。だからメンバー・チェンジはみんなが思うほどネガティヴなことではなくて。過去のメンバーがそれぞれいいアイディアをバンドに残していってくれてるので、みんなのおかげで昔の曲も、今の曲もできてるんだろうな......と思います。
-バンドに残ったHiromu(Ba/Cho)さんはなんとおっしゃっていますか?
Hiromu君も"やっと、みーちゃん(Misaki)がもっと本格的にバンドを頑張ろうとしてくれて嬉しい。ずっと待ってたから、ようやくこれからだ!"ってやる気に満ちている私に喜んでくれてます(笑)。とはいえ、今回のミニ・アルバム『heavenly』はツアー中に制作をしていたので、メンバーが抜けてしまうことに対して"これからどうなるんだろう?"という気持ちはあって。それがそのまま出ているのが「DOUNARUNO!?」(Track.1)です。
-今までのMisakiさんはバンドマンとしての心情を曲にすることはあまりなかったので、こういうところからもMisakiさんのバンドへの向き合い方が変わっているんだろうなと感じました。
ああ、そうかも。「DOUNARUNO!?」は"これからの人生"について書いてて、今の私は、ほぼ100%バンドが占めてるので自然とバンドのことを歌った、みたいな(笑)。私のそのときの心境がそのまま出ている曲なので、スーッっと書けました。それに、私だけじゃなくて"これからどうなるんだろう?"と不安な気持ちを持っている人に、ときめきアンテナを張り巡らせてほしい!
-"ときめきアンテナ"?
そう、ときめきアンテナ! "これやりたい!"、"これ素敵!"という感覚はどんどん衰えていくらしいから、いつも敏感でいたくて。ときめくことばっかりどんどんやっていったらすごくいい人生だし、すごく魅力的になれるんじゃないかなぁと思って。"みなさんもそういう生き方どうですか?"という気持ちもあります。"本当はこれがやりたいけどできない"、"こっちに行きたいけどちょっと......"という方向ばかりに行くと、魅力が減っていっちゃう気もして。
-"ときめいている心に/素直に/やってみたいの"という歌詞はそういう気持ちから来ていると。日本語詞でここまでストレートに言い切れるところからも、Misakiさんのモードがさらにバンドに対して前のめりな印象がありました。加えて、日本語詞はMisakiさんの歌をさらに豊かにしていると思います。
昔は英語に憧れもあったし、日本語で書いて意味がストレートにわかってしまうのが恥ずかしいから、英語で日記みたいな歌詞を書いていたけど、今は日本語でこういうメッセージが書けるようになって。お客さんも、英語でも日本語でもどっちも好きでいてくれるので、すごくやりがいがあって楽しいです。英語よりも日本語の方がいろんな歌い方ができるなと思う。日本語だといろんな声の出し方ができて、声を使い分けられるし。歌詞がストレートに伝わるから余計に"ここはこういうふうに歌おうかな"と意識しますね。英語よりもさらにちゃんと歌で表現したいなと思うようになりました。歌声は力強くなってきてるかな......と思うんですけど、これからもっと優しい歌い方にも挑戦していきたいと思ってます。
-「DOUNARUNO!?」、「SWEET」(Track.2)という最初の2曲も象徴的ですが、今回の『heavenly』はすごくエネルギッシュなSpecialThanksを感じることができました。
『heavenly』はもっともっと上を見ているSpecialThanksの新しい第一歩になる作品というつもりで作ったので、みんなにその第一歩をちゃんと見てもらって、これからお客さんと一緒に音楽を楽しんでいきたいと思っています。だからこの作品が今のSpecialThanksの完成形だとは思ってないです。
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