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INTERVIEW

Japanese

Nothing's Carved In Stone

2019年09月号掲載

Nothing's Carved In Stone

Nothing's Carved In Stone

Official Site

メンバー:村松 拓(Vo/Gt) 生形 真一(Gt)

インタビュアー:荒金 良介

今年1月に自主レーベル"Silver Sun Records"を立ち上げ、2月に日本武道館公演(2018年10月開催)の模様を収めたライヴDVDを発表。それから5月にニュー・シングル『Beginning』をリリースしたNothing's Carved In Stoneが待望の10thアルバム『By Your Side』を完成させた。すべての環境を一新させて制作に臨んだ今作は、"聴き手と嘘偽りなく向き合い、自分たちらしさを貫いていくんだ"。そんなバンドの誠実な思いが音楽や歌詞に反映されている。前作を経て、よりいっそう強靭になったメンバー4人の絆が、生々しいサウンドとなってビシビシ伝わってくる素晴らしいアルバムだ。結成10周年を通過し、またここから新たな一歩を踏み出そうとする決意漲る1枚について、村松 拓、生形真一のメンバーふたりに話を訊いた。

-前作『Mirror Ocean』(2018年リリースの9thアルバム)はスケール感のある壮大な作風でしたけど、今作は距離感の近さを感じさせるアルバムに仕上がりましたね。

生形:自分たち的には全部が初めてのことだらけでしたからね。"Silver Sun Records"を立ち上げて初のアルバムということもあるので、スタジオ選びから始めたんですよ。これまではずっと同じエンジニア、スタジオで9枚の作品を録ってきたので、今回はほんとに自分たちで作り上げたなという達成感がありますね。

村松:うん、エンジニアさんをイチから選ぶとかいう部分で手を貸してくれた人もいたし、仲間たちで作り上げた1枚ですね。

-今作は何より環境の変化が大きく影響した1枚だと?

村松:そうですね。バンドにまつわることだし、メンバーのモチベーションも上がってましたから、この状況をチャンスに変えたかったし、みんなの意識も高かったんです。

-自分たちの足で立つ覚悟ができた1枚という感じですか?

生形:そうですね。独立したことで0に戻ったし、荒金さんが言ってくれたように音の質感もこれまでと全然違うと思うんですよ。エンジニアさんの提案もあり、より生っぽくしたんです。それによって個々の楽器の分離もより見えやすくなっただろうし、曲も立体的になりましたから、それも面白かったですね。

-歌を含めて各プレイヤーの存在感が際立ってますよね。それと同時に各自の個性が球体の如く1曲の中に凝縮されている印象も受けます。

村松:バンドがもともと出してる音に近い気がしますね。

生形:そうだね。ライヴの音に近いというか。"音源とライヴ違うね!"とよく言われてましたから(笑)。

村松:"ライヴのほうがいいね!"と言われることが多くて、それはそれで嬉しかったですけど、今回はライヴの音を表現できたと思います。最初に「Beginning」を録ったときに、オニィ(大喜多崇規)のドラムが生々しくて、こんなにかっこいいんだと感じたんですよ。そこもエンジニアさんとの相性が良かったのかなと。

-今作はバンド然としたサウンドになったと思います。

生形:曲作りもよりみんなでやるようになりましたからね。昔と比べたら、時間に限りはあったけど、それが逆に良かったです。集中して制作に臨みました。

-今回のタイミングで気合は十分入っていると思いますけど、余分な肩の力が抜けて、自然体になってきたのかなと感じました。

村松:歌詞もそうかもしれない。ファンとの繋がりというか、自分たちの音楽を信じてくれる人がいて、武道館("Nothing's Carved In Stone 10th Anniversary Live at BUDOKAN")に1万人も来てくれましたから。あの光景を目の当たりにしたときに、自分たちの音楽を信じていいんだなって。

-というのは?

村松:斜に構えずに、むしろその人たちに向けて鳴らせる音があるんじゃないかなって思ったんですよ。そう考えるきっかけになりました。散々ワンマン・ツアーもやってたけど、あれだけの人数を前にしたワンマンを経験したのは大きかったですね。自分たちをもっと見せていいというか、出し惜しみせずに伝えたほうがいいんだなと。

-今までは何を出し惜しみしていたんですか?

村松:はははは(笑)。かっこつける部分って人間にはあると思うんですよ。その、かっこのつけ方が変わったのかもしれない。

-自分ではどういうふうに変わったと思います?

村松:僕は歌詞が大きいんですけど......前まではエゴが強かったと思うんですよ。こういう形に収めたいみたいな気持ちがありましたから。人に理解してもらえないところまで、強いこだわりがあったんですよ。それよりも、しっかり伝えていく、刺さるものに変えていきたいと思いました。それも武道館があったおかげで、そういう段階に来れたんじゃないかなと。やっぱり事務所から独立したのもデカかったし、全部をここに捧げなきゃという気持ちになれたことが大きいですね。バンドマンがステージに立つということにあたっては、着飾るんじゃなくて、自分を曝け出すほうがかっこいいと思うから。

生形:たしかに歌詞はすごくストレートになったよね。客観的に見ても、MCもどんどんストレートになってますし。それはメンバー全員そうなんですけどね。今はそこが一致している気がします。バンドの根本スタンスとして、音楽で何を伝えたいのか、それも話し合いましたから。芯の部分として......クサくなっちゃうけど、思春期のときに音楽に救われた経験があるからこそ、音楽をそのまま好きになるわけじゃないですか。ライヴハウスに来てくれる人もそうだけど、武道館に来てくれた人に対しても、忘れられない体験であってほしいから、そこじゃないですかね。なぜステージに立ちたいかと言うと、そういう存在になりたかったからという。それを再確認したのかもしれない。

-自分たちがなぜ音楽に夢中になったのか、その原点を再認識したことで、送り手としての自覚もより芽生えてきたと。この間夏フェス("ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019")に出演した際の、村松さんの突然のカミング・アウトも今日話してもらったことに通じますか?

村松:あれは僕としては超かっこつけたつもりなんですけどね。

-あっ、そうなんですか。

村松:それが伝わらないんだなってびっくりした(笑)。ああいうことをステージで言える人はいないでしょ?

-ええ(笑)。生き様も含めて全部曝け出していこうと?

村松:フェスはファン以外の不特定多数の人もいるじゃないですか。そこで俺にしか言えないパンチのある言葉を言って、"こいつ面白いな"と感じてもらえたら勝ちだと思うんですよ。それで俺たちの音楽に興味を持ってもらえたらいいなという思いがあったんです。音楽は根本的にブレてないので、自分のほんとのことを曝け出しても大丈夫かなと。

-なるほど。

生形:『Beginning』(2019年5月リリースのシングル)の頃からシンプルにしたいとは思ってましたから、シンプルはテーマだったかもしれない。