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Japanese

Nothing's Carved In Stone

2011年06月号掲載

Nothing's Carved In Stone

Writer 花塚 寿美礼

Nothing's Carved In Stone(以下NCIS)は生形真一(ELLEGARDEN)を中心に結成され、日向秀和(ストレイテナー/killing Boy)、大喜多崇規(FULLARMOR)、村松拓(ABSTRACT MASH)から成る、今や日本のロックシーンを担う重要人物揃いのバンド。生形が村松の声に惹かれヴォーカルに大抜擢したことから……なんて野暮な説明は、もはや不要か?

このバンドを知ったのは、生形、日向が参加しているから聴いてみたというきっかけからだった人も多いのではないだろうか。入り口としては充分だ。自分もそんな経緯で聴いた中のひとりであるが、最初は勝手にELLEGARDENのようなサウンドを想像してプレーヤーの再生ボタンを押してみたら、そんな想像はぶっ壊された。そこには、ELLEGARDENとは違った旨みが溢れていたからだ。雑念を跳ね除けるような直球なロック・サウンドと、“ひなっち”こと日向秀和が叩き出すベースのグルーヴ、バンド全体を引っ張っていく大喜多のドラムの強度。そして、踊るように鳴らされる生形のギター・メロディと、濃厚な存在感を放つ村松のヴォーカルから成るバンド・アンサンブル――。そのすべてが彼らでしか鳴らせない高度なサウンドに感服すると同時に、日本のオルタナティヴ・ロック・シーンを盛りあげる中心的なバンドになるだろうとも確信した。

そんな彼らの約1年ぶりとなるフル・アルバム『echo』が、6月8日についにリリースされる。全13曲収録でバンド結成3年目にして放たれる強力な3ndアルバムだ。個人的な印象だと、前作『Sands of Time』よりサウンドのドラマティックさが増幅しているような気がする。

インスト曲「Material Echo」から幕を開け、ラスト・ナンバー「To Where My Shoe Points」まで13の紡がれる音の連鎖――。センチメンタルな旋律や、ときには血が燃えるようなソウルを感じさせたり、ダイナミックかつソリッドなギターリフなど変化に富んでいてじつに多彩だ。隅々まで散りばめられた情緒的なメロディや、今回が初となる日本語詞の楽曲があることも大きな話題かもしれない。どちらかというと、歌詞で何かを伝えるというよりかは、とことん音を突き詰めるバンドという印象のあった彼らが、日本語で歌う。そこには、新たな自分達に出会うため、新たなサウンドにめぐり会うための挑戦があったのだろう。その枠に囚われない探求心で、リスナーを新たな世界へさらに導いて欲しいと願う。

6月18日からは、ワンマンツアー“Tour echo”もスタート。彼らのバンド・サウンドがオーディエンスと共鳴していく光景が目に浮かぶ。五感をフルに刺激するような、最新鋭のロック・アルバムを完成させてしまった彼らは、これからどこまでいくのか? 極上の男気ロックは、いざ、ネクスト・レベルへ――。

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