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LIVE REPORT

Japanese

Nothing's Carved In Stone

Skream! マガジン 2019年08月号掲載

Nothing's Carved In Stone

Official Site

2019.06.22 @日比谷野外大音楽堂

Reported by 吉羽 さおり

梅雨の真っ只中ということで日中は雨模様だったが、開演前には雨が上がった日比谷野外大音楽堂。Nothing's Carved In Stoneの令和一発目のワンマン"Live at 野音 2019 ~Tour Beginning~"が、2年ぶりとなる野音で行われた。チケットは即完し、そして降り続いた雨が止んだ高揚感もあり、大音量のSEの中、バンド名が書かれた大きなバックドロップがゆっくりと上がり、村松 拓(Vo/Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)が登場すると、会場のボルテージがグッと上昇する。その沸騰する観客にまず食らわせたのが、5月末にリリースしたばかりのニュー・シングル「Beginning」だった。のっけから、硬質なギター・リフとグッとテンションが上がるベースとドラムとの絡みで、観客の歓声を引っ張り上げると、村松が"行こうぜ!"と声を上げる。同時にアンサンブルの密度が高くなって、村松のヴォーカルもまた野音に大きく響きわたり、そのまま「ツバメクリムゾン」へと突入して手拍子を巻き起こし、その勢いを加速させるように「Chaotic Imagination」から「Out of Control」へとアグレッシヴにドライヴしていく。すでにクライマックスを迎えたかのような、身体を震わせるような重低音でのグルーヴの「Out of Control」は圧巻で、NCIS(Nothing's Carved In Stone)の凄まじさを突きつけられる。

"もうできあがってんな。俺らもうやることないんじゃない?"。村松は楽しそうに観客を眺めて語る。そして"すげぇ楽しみにしてきて、すげぇ準備してきた。大事な家族や彼女に会うテンションで(今日は)来たんだ"とつけ加えると、ループ感のあるギターと変拍子のドラムでジリジリと昇りつめていく「PUPA」、グルーヴィな「Brotherhood」と、気持ちのいいダンス・チューンを連投。晴れやかに伸びていくヴォーカルと、強靭なビートが野音を揺らす。生形のロックンロールなリフと、日向のギタリストのようなフレージングで曲を彩っていくベースで聴かせる「Rendaman」、カーチェイス的な生形と村松のギターと、ベース、ドラムで幾何学的なアンサンブルを響かせる「(as if it's) A Warning」では、そのプレイで観客を釘づけにする。"音で魅せる"という言葉がこれほど似合うバンドもいない。どの角度から観ても、どこをフィーチャーしても濃い味を楽しめる。

「MAZE**」をじっくり聴かせ、「きらめきの花」へと向かうなかで再び村松は"最高だ"と語る。"あんなに土砂降りだったのに、晴れたね。1ヶ月前から雨の予報が出ていたのに、なんで止んだんだろう? それは地球の調子(笑)"と笑顔で続けると"絶対に枯れないデッカい花咲かそうぜ、日比谷!"と叫び歓声を巻き起こしていった。

村松がアコギを弾き語り、スタートした「Adventures」が始まる頃には、段々と照明が映えるような時間にもなってきた。"最近は、みんなの前にいるのが一番好きだ。幸せな空間をありがとう"(村松)。ステージと観客とをグッと近づけていくような「Adventures」から、続く「Pride」では、プログレッシヴで、LED ZEPPELIN的なアンサンブルでガッチリと観客を掌握すると、巨大且つ緻密な音のタペストリーを編み上げていく「Milestone」で会場をすっぽりと包んでしまう。すっかり日比谷一帯がNCISの世界で染まったところで、改めて村松はメンバー紹介をし、2019年1月に自主レーベルを立ち上げ、そしてシングル『Beginning』をリリースしたことを告げた。"ここからはすべて、自分たちの責任です"と力強く宣言すると、ここからさらに突っ走って先に進んでいく思いを、アグレッシヴな「In Future」に託し決意表明とする。そこから怒濤の如く「Bog」、「Sing」とシンガロングを生み出していき、ファットなビートの「Idols」で観客を狂気のダンス天国へと連れ立つと、それぞれの見せ場がふんだんに盛り込まれた「Like a Shooting Star」で、さらなる歓声を起こした。それでも足らぬとばかりに、"まだ出しきれてないところあるんじゃないか"と村松が叫び、「Spirit Inspiration」と、畳み掛けていく。爆裂なサウンドでガンガンと野音を揺らしてきたNCISだが、ラストに用意したのは、ジェントルに心に寄り添うような「朱い群青」だった。"新しい一歩を踏み出す1年にしたい"と語った村松は、"迷ったときに、足元をそっと照らす曲を"と、その曲と歌とで観客を抱きしめていった。

アンコールでは、「Shimmer Song」、「November 15th」の2曲を聴かせると共に、9月にはニュー・アルバムをリリースすること、それに伴ったツアーを行うことを発表したNCIS。野音というスペシャルな空間で、4人が今、新たな思いで最高な自分たちの音楽を奏で届けていくことを、強く宣言するような一夜となった。

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