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INTERVIEW

Japanese

ビッケブランカ

2016年11月号掲載

ビッケブランカ

ビッケブランカ

Official Site

インタビュアー:秦 理絵

-しつこいですね(笑)。

でもね、冷静に考えたら、しつこいのはこの子に対してだけなんです。粘着質だと思われがちだけど、他の恋愛はものすごくあっさりしてますから。意外とうわべだけすくっていく方だから、恋の回数だけ多い。でもね、その人が結婚したって聞いたんですよ。そこから1年ぐらいは夢を見てたんですけど、今はもう夢に出てこなくなりました。やっと解放されたっていう。みんなと似たような経験だけど、ちょっと濃いめの経験をそこに抱いてるわけですよね。他に考えることがないから、恋愛のことばっかり考えてたんです。

-それが「Slave of Love」や他の曲のテーマにもなってると。

自分がみんなと同じテーマで歌えて、みんなにもわかってもらえる出来事がそこしかないんです。だから、昔の自分のちょっとした感覚――例えば、うわっ......クラスが違った、みたいな。そういう小っちゃい感覚をイタコ型で憑依させるんですよ、別人になって。そうすると、自分はヤンキーになったり、好きな人は吹奏楽部だったりする。そうやって現実とは違うストーリーができてくるんですね。だから昔の経験を、ちょっと寓話的に書けたりするんです。

-今回のミニ・アルバムだと、そういうふうにできた曲はありますか?

「Echo」(Track.4)は自分の想いだって言った方が輝きそうですけど、寓話ですね。

-大切な人を優しく包み込むような男のバラード。

そういう気持ちになった一瞬を切り取って、そのまま自分がずーっと生きてたらどうなっただろう? みたいなことを想像して書きました。その主人公ができあがるルーツというか、その瞬間の自分を忘れてないから、これもルーツを広げる作業ですよね。男らしい愛を言葉で表現できましたね。

-「Echo」なんかは、洋楽と言うよりもJ-POPの王道バラードですね。

J-POPは子供のころから嫌いじゃないんです。この曲も5年ぐらい前からあったんですけど、当時はまだ根っこがない状態じゃないですか? だから、白人ピアノ・バラードみたいな、極端な言い方をしたら、男のピアノ弾きがよくやるペラペラなスタイルだったんです。それが今は全然好きじゃなくなってるんですよ。それをディレクターが聴いて、"これは化けるよ"って言ってくれて、作り直しました。今はもうビッケブランカっていう存在が、退屈な歌をやるようにもなってないから、サビの"ウォーウォー"の部分は現在の僕をブチ込んだ状態ですね。開けてるし、さっき言ったプラスの側が強くなってると思います。

-ダイナミックで開放感がありますもんね。「ココラムウ」、「Echo」は5、6年前の曲を掘り起こしてるっていう話でしたけど、新しく作ったのは?

「Slave of Love」と「Natural Woman」です。

-そのへんは洋楽っぽい曲ですね。Track.6「Golden」はどうですか? もともとバンドをやってた時代もあるっていうところにも通じる、青春感のあるピアノ・ロックですけど。

これも6年前ですね。サウンドのアイディアとかサビのメロディは、昔からずーっとあるものです。僕にはルーツとしてバンドもあるから気持ちいいんですよ。『Rockin' The Suburbs』(2001年リリースのデビュー・アルバム)ぐらいのころのBen Foldsですよね。「Golden」のスピーディな感じとか、切り取って楽しくなる感じっていうのは、他の曲とも共通してるところがあって。ジャンルレスだけど、しっかりピアノが鳴ってれば僕になる。あとは、"自分はどういう人間か"、"どういう音楽を表現するべきなのか"を持ってると、そんなにブレないですね。

-最初に言ってた、"今ようやくメジャー・デビューできるのも納得の流れ"っていう意味が話を聞いてよくわかりました。自分が何者であるかを知れたからの今なんですね。

そうですね。それが大事だなっていうのは、今になって思います。もしかしたら、本来自分はどんな人間だったかとか、自分はこうなんだって言うことが恥ずかしいって風潮もあると思うんです。なんか、"自己顕示欲、強っ"、"自己愛、強っ"、みたいな。ふわっとした方がオシャレでよくない? みたいな。でも、自分を理解して自分を出すことは、別に恥ずかしいことではないと思うんです。勇気がいることでさえない。当たり前のことなんですよ。だから、もっと自分を理解するってことが、今の世の中には大切だと思う。......って、突然熱くなっちゃったんですけど(笑)。

-いいと思います(笑)。でも、それを曲の中では言わないんですね。

そうなんです。それは自分の音楽で体現していくことなんですよ。その塩梅が大事ですね。"これがビッケブランカだ"って出しすぎるのも違うから。"これがビッケブランカです"ってしっかり言うけど、その中に詰まってるものは優しいものだったりする。その音楽自体は暑苦しくはない、けど、人が暑苦しい。これがいいと思うんですよね。

-では最後に、この先のビッケブランカはどういうふうに活動をしていきたいですか?

あんまり、来年の目標みたいなのを持たんようにしてます。その先に躍起になるというよりは、今できることをヒーヒー言いながらやる、それだけですね。人様がどう思うかは、人様が決めるから。こういうふうになりたいから、こういうふうになろうっていうのは、もう違うんですよね。自分のルーツが過去にあるから、その先にはルーツはないと思ってるので。そのまま、あるがままにっていう感じですね。