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INTERVIEW

Japanese

LACCO TOWER

2016年06月号掲載

LACCO TOWER

メンバー:松川 ケイスケ(Vo) 塩﨑 啓示(Ba)

インタビュアー:山口 智男

-当日に歌詞を書いたそうですけど、前々からあたためていたアイディアがあったんですか?

松川:"未来前夜"ってタイトルは、『薄紅』のときに使おうと思ってたんです。最終的には"薄紅"になったんですけど、それを今回、使いました。もともとサポートだった真一ジェットが正式メンバーになって、LACCO TOWERが音楽的にも固まり始めたタイミングの最初のシングル(2009年リリース)が"未来後夜"というタイトルだったんです。今回、メジャー2枚目だからどうというよりは、今が自分たちの中でちょっとしたターニング・ポイントのような気がしていて。だったら、"未来後夜"と対になる"未来前夜"ってタイトルでリード曲を作ったらどうかなという考えがあったんです。内容は全然考えてなかったんですけど、タイトルだけ先に決めてから歌詞を書き始めました。サウンドもそうなんですけど、歌詞もブレずに書こうと思ってたんですよ。ブレるというか、まだ広げていい時期ではないという気持ちがあって......スーパーの詰め放題ってあるじゃないですか(笑)、あれみたいにビニール袋をグッと広げてはいるんですけど、詰めるものが変わるわけじゃない。だから今回は、間口を広げたから見やすくなったというぐらいの感覚で全曲書こうと思いながら、根っこにあるものは変えちゃいけないと考えてました。まだ変えていいタイミングじゃないし、変えられる素養もない。それにもかかわらず変えたら、それこそブレたってことになっちゃうから、そこは意識しましたね。今回は、結構頑なだったかもしれない。「未来前夜」はそれがあったからこそ、すぐ書けたのかもしれないです。

-ただ、今回のアルバムには果物系のタイトルがないですね(笑)。

松川:そういえば、そうですね(笑)。言われて気づきました。

塩﨑:"次の果物は何だ?"って予想することがファンの間でも恒例になっていたところもあるんですけど、もう出尽くしちゃったんですよ。

松川:あんまりいいものが残ってないんです(笑)。漢字の字体や雰囲気、果物自体の印象とかで決めるんですけど、無理に作るのもちょっと違うなと。定番になってるから探してはいるんですけどね。漢字にしたときにいい字体だなって思っても、その果物が"パパイヤ(万寿果)"だとそれは違うだろって(笑)。

-パパイヤって漢字があるんですか!?

松川:あるんですよ。他にもいろいろあるんですけど、例えば"無花果"って(字体は)いいなって思っても、"イチジク"じゃ浣腸を連想しちゃうし(笑)。いいものがあれば作るんですけどね。

塩﨑:その代わりに、ってわけではないんですけど、今回は台所系で攻めているんで、それはまた広がりますよね。

-え、台所系っていうのは?

塩﨑:キッチンにあるようなものです。今回だったら、"蜂蜜"(Track.4)とか"珈琲"(Track.9)とか。台所系ならいっぱい(タイトルに使えそうなものが)ありますよ(笑)。

-ああ、なるほど。ちょうど"蜂蜜"ってタイトルが出たからここで聞いちゃいますけど、この曲はラブリーなタイトルなのに歌詞の内容が(笑)。

松川:そうなんです。これは不倫の歌なんですよ。"蜂蜜"の"蜜"の字って、ちょっとやらしくないですか? やらしいですよね。蜂蜜そのものは、僕は喉のケアにも結構使うんで触れる機会が多いんですけど、あの漢字がずっと好きで。下心をくすぐられるところとか、トロッとしたイメージとか、そういう部分に惹かれるんですけど、僕が歌詞にすると甘ったるい感じにならずに、やっぱり不倫の歌になっちゃうんですよね(笑)。

-松川さんの真骨頂ですよね。

松川:ありがとうございます。

塩﨑:だから、今後は台所系でキメていきますよ。"包丁"とかね。いい曲が書けそうじゃない?

-"包丁"は怖い怖い(笑)。

松川:性格が悪いんでしょうね(笑)。一筋縄でいきたくないところがある。"桜"という言葉は絶対に使いたくない、みたいな。だから、"薄紅"にしたり、"桃色"にしたり、そういうひねくれたところがあります。そうすることで叙情的に見せたいというか、わびさびを感じてほしいんです。

-今作の資料に載っていた松川さんのコメントに、"本来の良さを残しつつ、新しいものを見つけた"という意味のことが書かれていたんですけど、その中の"金言達に中指を立てんばかりの名盤が出来ました"という一文が、松川さんらしいなと思いました。

松川:ああ(笑)。表層でどう感じてもらうかは人それぞれで。そんなふうに、LACCO TOWERについていろんな人がいろんなことを言うフィールドに今、立たせてもらっていると思っているし、それはすごくいいことだと思うんですよ。とは言え、やっぱり、まだ自分の中のパンク・スピリットというか(照笑)、"うるせえよ、バカ"みたいな感情がどこかに残っている。それを表に出したいわけじゃないし、そういう人だって見てほしいわけじゃないんですけど、そのワードを入れたのは、そういう思いがどこかにあったからだと思うんですよ。LACCO TOWERの音楽って、掘っていけば掘っていくほど面白いんだよってことは、どこかで感じてもらいたいんです。日本語でやっているところや、アレンジの中でのさりげない転調を含め、人が気づかないようなところでいろいろやっていたり、バンド・キッズがコピーしてみたら意外に難しかったり。そういうところを掘れば楽しいバンドだなと自分たちでも思うんで。それこそバンドの間口が広がって、いろんなところでいろんな人に聴いてもらえるようになったからこそ、上澄みはどうとでも見てもらっていいけど、そこだけじゃないんだよって意味で、書かせてもらったような気がします。いや、(アルバムが)できたばかりで調子に乗ってたんだと思います(笑)。